妻の借金が発覚!夫の返済義務はあるの?離婚前にチェックすべきこと
妻が借金した場合の返済義務とチェックすべきこと
生活をするためには、衣食住に関する出費が不可欠です。その中で夫婦の可処分所得(※1)内で収まりきらず、一時的に必要になる出費を借金で補うこともあるでしょう。
夫婦で話し合ってローンを利用する場合は、夫婦の助け合いで借金の返済を行うことになれば、問題はありません。
しかし、妻が夫に隠れて借金をしている場合もあります。では、妻が隠れて借金をしていて、返済が滞ったり、返済が不可能になったりした場合、夫に返済義務はあるのでしょうか。特に妻の借金が理由で離婚を検討されている方は、気になることでしょう。
そこで今回は、妻が借金をしていた場合、夫に返済義務があるのかなど、離婚する前にチェックすべきことについてご紹介します。
(※1)可処分所得
実収入から、税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた手取り収入のこと。可処分所得から生活費用を捻出します。
妻の借金で多い理由
妻に限らず、女性が借金をしてしまう理由は、 「人付き合いを大切にするため」 というのが多いのではないでしょうか。人間関係を壊したくないという欲求から、必要があれば、借金をしてでも当面の問題を解決してしまうようです。
その他には、日常生活のストレスから解放されるために、 ギャンブルに手を染めてしまうというケース も考えられます。
いずれにしても主債務者(※2)が妻となる場合、借金の理由にはどのようなケースがあるか具体的に見ていきましょう。
(※2)主債務者
借金を申し込んだ張本人のこと。
ショッピング
日常生活で必要なショッピングで、次の給与日までの不足分を補うために借金をしてしまうことがあります。また、つい高級なものを求めてしまう場合や、必要なもの以外も購入してしまっている可能性が考えられます。
日常生活で、何らかのストレスが妻にかかっている場合、 ショッピングでストレスを解消 するために、借金をしてしまっている可能性があります。
交際費
「人付き合いを大切にする」ための典型例が、 交際費の捻出のための借金 ではないでしょうか。近所付き合い、子供の学校やクラス内での親同士の付き合い、仕事場での付き合いと多方面にわたって断り切れない出費があるものです。
特に専業主婦の場合、近所の方とかかわる時間が長いため、ご近所との持ちつ持たれつの出費が多くなることも十分に考えられます。
子供の教育費や生活費
子供のいるご家庭では、子供が小さいときから将来を見据えた教育ローンを利用して、教育ローンの満期を迎える頃になると、 受験料、入学金、授業料、施設利用費、 場合によっては仕送りのための費用がかさむ時期を迎えます。
夫婦の可処分所得から教育費を捻出するにしても、昨今の教育費用の高騰もあり、借金による状況の打開策がとられることもあるのではないでしょうか。
またこのとき必要な借金の総額によっては、その一部は夫を債務者とし、残りは妻を債務者とする借金とすることもあるでしょう。
奨学金
妻が学生の頃に得ていた奨学金の返済に長期間を要する場合、結婚後も返済が続いていることになります。
奨学金の利率はそれほど高くは設定されていないことから、いわゆる借り換えローン(※3)による借金の繰り上げ返済もままなりません。長期間にわたりジワリと生活に影響し続ける奨学金の返済は、別の観点での問題点を多く持った制度で、返済不要や無利子の奨学金も検討されて実施の方向にあります。しかし、すでに返済中の奨学金には適用されないため、これも妻の借金の理由として多いのではないでしょうか。
(※3)借り換えローン
現在返済中の借金について、より金利の低いローンを利用して、返済中の残金を全額返済し、金利の低いローンへの返済に借り換えること。
ギャンブル
ギャンブルをするために、借金をする方もいます。ギャンブルの問題点は、習慣性があり、なかなか改善されないことです。ギャンブルは、勝ったときの爽快感が忘れられず、ついつい続けてしまいます。
もともとギャンブルは、長期間にわたれば元締め(ディーラー)が勝つようにできているわけですが、 習慣がつくと理屈では割り切れない依存性 を示すことになってしまいます。
女性が身近ではまるギャンブルは、仕事終わりや買いもののついでに気軽に楽しめるパチンコではないでしょうか。
ギャンブル依存症の場合、本人だけでは抜け出すことが非常に困難であるだけに、深刻な問題をはらんでいます。
妻の借金が発覚!夫に返済義務はある?
妻が夫に隠れて借金をしていた場合、夫に返済義務はあるのでしょうか。
ここでは、妻の借金に対する夫の返済義務や、妻が内緒で借りた借金の返済方法などについてご紹介します。
返済義務とは?
返済義務とは、借金をした者(債務者)が、お金を貸した者(債権者)に対して、そのお金を返済する義務のこと。貸金業者を利用して借金をしたときに取り交わす契約内容で、借りたお金(元本)だけでなく金利(借金返済時の利率)も決められるため、借金をした方は、返済期間に見合った元本と金利を債権者に返済する義務(返済義務)が生じることになります。
そして、この返済義務を果たさないと、債務者とその周辺の方にとって、大きな借金問題を抱えることになります。
妻が内緒で借りた借金の返済方法
妻が夫の知らぬ間に、借金をして何らかの返済トラブルに巻き込まれた場合、夫にはどのような対処方法があるでしょうか。法的な義務でいえば、妻が借金の契約を取り交わすとき、夫が妻の保証人になっていなければ、夫は妻に代わって借金を返済する義務は、原則としてありません。
しかし、法的義務がそうであっても、妻が返済トラブルに巻き込まれたことを知った夫は、見て見ぬふりはできないのではないでしょうか。
借金の額にもよりますが、対処法の1つとしては、社会的信用を得られる夫の場合、より金利の低いローンを利用して妻の借金を繰り上げ返済し、自分の借金として返済する方法が考えられます。
貸金業者の危ないアドバイス
お金を借りる際、お金の使途として、「生活費などの家事に必要なため」と書くよう主婦にアドバイスする業者がいます。
使い方は自由なので、本来は借金の使途を答える必要はないのですが、ここを書かせることには一定の意味があります。そして、ここに「生活費などの家事に必要なため」と書くようアドバイスする貸金業者には要注意です。
先に、夫が保証人でなければ、妻に代わって借金を返済する義務はないと書きましたが、例外事項として日常家事債務(※4)の場合には、夫が保証人でなくても返済義務が発生する可能性もあります。
実際の使途が何であろうと、「生活での家事に必要なため」と記載されていれば、後にトラブルがあった際に、夫を妻と同等の債務者にできるようになっているのです。
(※4)日常家事債務
夫婦が日常生活を送る上で発生する家事関連の事象に使うための借金のことで、「住まいの家賃・光熱費」「夫婦の医療費」「子供の教育費」「身分相応の夫婦の衣服」などに使うための借金のこと。
妻の借金で離婚!離婚前に確認したほうが良いこと
度を越した妻の借金を理由に離婚を考えた夫が、離婚届にハンを押す前にチェックすべき項目には何があるのでしょうか。借金のトラブルから解放されたいがために離婚をしたが、それでも借金から解放されることはなかったというのでは、笑い話にもなりません。
ここでは、妻の借金を理由に離婚する際、事前に確認したほうが良い項目についてご紹介します。
連帯保証人になっていないか?
夫の知らない間に妻が借金をしていた場合、連帯保証人(※5)にされていないか確認しましょう。
連帯保証人には、債務者と同等の返済義務が生じます。夫が連帯保証人の場合、たとえ離婚により夫婦関係がなくなったとしても、連帯保証人であることに変わりはありません。そのため、妻の借金に対する返済義務から免れることができなくなります。
しかし、知らぬ間に連帯保証人にされていた場合、貸金業者に異議を申し立てて、保証契約自体を無効にすることが可能です。
契約書の内容をよく読まずにしていると、自分が連帯保証人であることを黙認したことになってしまいます。貸金業者から送られてきた書類は、すぐに内容を確認して、異議申し立てを行いましょう。
(※5)連帯保証人
連帯保証人には、債務者と同等の責任があるため、債権者から本来の債務者を差し置いて連帯保証人に返済を求められても、断ることができません。これに対して保証人は、まず本来の債務者に返済を求めるよう債権者に主張すること(催告の抗弁権といいます)、ならびに本来の債務者の財産を強制執行し、処分するよう債権者に主張すること(検索の抗弁権といいます)が可能です。貸金業者が求めるのは連帯保証人です。
借金の内容が日常家事債務に相当しないか?
夫は連帯保証人でなくても、妻が借金を申し出た際の申込書で、借金の使途を日常家事債務に充てる旨を書いていた場合、夫にも借金の返済義務が生じます。この場合も、夫には離婚後、返済義務が残ってしまいます。そのため、借金の内容が日常家事債務に相当しないか確認するようにしましょう。
夫名義のクレジットカードを使っていないか?
妻の借金が原因で離婚する際は、夫名義のクレジットカードを使っていないか確認しましょう。夫名義のクレジットカードによる借金がある以上、離婚しようがしまいが、夫に返済の義務があります。この場合、夫の信用度を利用した組み換えローンの利用は、ほとんど不可能です。
自分(夫)の両親や親戚、友人にお金を借りていないか?
お金は貸金業者だけでなく、身近な人から借りているケースも考えられます。ただし、人からお金を借りている場合は、事実関係を把握することが困難です。
当然、妻に問いただすことになりますが、正直に話してくれるとは限りません。もしかしたら、貸した本人の情報として、夫の耳に入ることも考えられます。
いずれにしても、両親、親戚、友人からの借金は、夫も債務者として返済することが重要です。お金の問題で、血縁や友人との関係を壊すことは避けたほうが良いでしょう。
住宅ローンをどうするか?
住宅の登記簿(不動産の登記事項証明書)上の所有者が、原則として住宅ローンの債務者になるため、離婚後も所有権をそのままにする場合は、それまで通り住宅ローンの返済義務は所有者が負うことになります。
しかし、住宅ローンを利用する場合は収入額が返済能力になるため、どちらか単独の収入では住宅ローンを利用できないこともあるでしょう。その場合は、夫婦の収入合計で住宅ローンを利用することになります。
そしてこの場合、返済義務が夫婦双方になる(連帯債務)ため、離婚する際は話がややこしくなります。離婚に際して、住宅ローンの返済義務をどちらか一方にすべく(単独債務)、夫婦間で合意に至ったとしても、債権者である金融機関は、連帯債務を単独債務にすることを承諾しません。その場合は、離婚後、それぞれの債務を返済すれば良いのですが、一方が返済を滞らせた場合、もう一方に返済の義務が生じます。最悪の場合、住宅をあきらめざるを得なくなります。
住宅ローンについては、離婚前に、どうするかをしっかり話し合っておきましょう。
親権と養育費をどうするか?
子供に対する、離婚後の親権の所在や養育費は、金融機関への借金とは異なりますが、お金が必要になるため、離婚の前に確認しておいたほうが良いでしょう。
離婚の原因が妻の借金だとしても、親権は、妻の側が得ることが多い傾向にあります。この場合、子供の養育費は、夫婦の話し合いによりますが、夫が相応の負担をするケースがほとんどです。
妻の借金は夫の負担になる!離婚する場合は諸情報の確認を
今回は、妻が借金をしていた場合、夫に返済義務があるのかなど、離婚する前にチェックすべきことについてご紹介しました。
離婚する際は、相当の覚悟とエネルギーが必要です。また、妻の借金が理由で離婚する場合は、夫に返済義務が発生してもしなくても、夫にとっては大きな負担となるでしょう。
妻の借金が理由で離婚する場合、離婚前に確認しておいたほうが良いことが多々あります。
できれば夫婦円満に人生の終焉(しゅうえん)まで一緒にいたいものですが、転ばぬ先のつえとして、借金と離婚に関する諸情報を確認しておきましょう。

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表
2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。
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