大学の学費の平均は?4年間で掛かる費用や入学時に必要なお金

大学の学費の平均は?4年間で掛かる費用や入学時に必要なお金

笑顔の大学生

大学4年間で必要な費用は?学費の平均は?

高校卒業後、大学へ進学する割合は現在では5割を超えています。少しでも就職に有利になるのであればと、子どもを大学まで行かせてあげたいと考えるご両親は多いでしょう。

しかし、子どもを大学まで卒業させるとなると大学の費用が気になるところ。国公立の大学に入学してくれれば少しは楽になりますが、定員などの問題で難しい場合もありますし、子どもが私立大学を希望する場合もあります。

大学は4年間あるため、卒業するためには相当なお金の準備が必要です。今回は、大学の学費の平均と4年間で掛かる費用や入学金など、必要な費用についてご紹介します。

大学の入学時に必要な費用の種類

大学の校門に佇む男性

大学入学時には、授業料だけではなく入学料や施設設備費などが掛かります。また、大学や学部によっては実験費や実習費、後援会費、校友会費、同窓会費、大学生活協同組合連合会費、父母会費や保険料など、納付しなければならない費用が多数あります。

大学の費用を考える際、授業料ばかり意識しがちですが、入学時は授業料だけでなくその他の費用が想像以上に掛かります。請求書が届いてからお金が足りないと焦ることがないように、十分な準備をしておきましょう。

大学の入学時に必要な費用の平均金額

積み上げられたコインと角帽

大学入学時に支払う費用は、具体的にどのくらい掛かるのでしょうか。

入学金の支払いは1回だけとはいっても高額ですし、入学金以外にもいろいろと支払いが生じます。また、入学時に支払う費用に国立、公立、私立で違いはあるのでしょうか。ここでは、大学入学初年度に掛かる金額について平均額を見ていきます。

国立大学の入学時に必要な費用の平均金額

国立大学の場合、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって定められた標準額を踏まえつつ、入学費や授業料および検定料を各国立大学法人で定めることになっています。この標準額は、文学部でも理・工学部でも医療系学部でもすべて同額です。

国立大学の入学費の標準額は28万2,000円、授業料の標準額は年額53万5,800円、これらの費用を合計すると81万7,800円です。全国に86法人ある国立大学のうち入学金は全法人が標準額と同額に設定しており、授業料は81法人が標準額と同額を設定しています。

それ以外の5法人において、一部の大学院では授業料が標準額より3%ほど安く、一部の大学の学部においては、授業料が標準額より10%ほど高く設定されています。夜間など定時制の場合は半額で入学金は14万1,000円、授業料は年額26万7,900円掛かり、合計すると40万8,900円です。

大学によっては施設設備費・実習費、後援会費や保険料などの支払いが必要で、数千円から50万円程度の費用が加わります。特に、医学部や歯学部、芸術学部などは施設設備費・実習費が高額になる傾向にあります。なお、施設設備費・実習費等の費用が一切掛からない国立大学もあります。

公立大学の入学時に必要な費用の平均金額

公立大学は、それぞれの地域に対する貢献を期待して地方公共団体が設置・管理しているため、地域内出身の学生は入学金が安く設定されており、学校によっては、地域内出身学生と地域外出身学生の入学金の差がとても大きくなっています。

地域内出身学生は入学金を安く、地域外出身学生は入学金を高く設定している公立大学がほとんどで、地域内出身学生の入学金の平均は23万186円、地域外出身学生の入学金の平均は39万4,225円です。夜間など定時制の場合、地域内出身学生の入学金の平均は12万3,375円、地域外出身学生の入学金の平均は21万1,500円です。

公立大学の授業料も、国立大学の標準額を基に設定されています。金額は、年額48万6,000円から69万6,000円とさまざまで、平均53万8,294円です。夜間部など定時制の場合、26万9,000円から40万1,800円とあり、平均30万1,375円となっています。授業料に関しては、地域内出身学生と地域外出身学生とも同額の学校がほとんどです。

全日制(昼間)大学の入学初年度に必要な費用を合計すると、地域内出身学生の場合76万8,480円、地域外出身学生の場合93万2,519円程度掛かります。

入学金や授業料以外に掛かる費用は、施設設備費・実習費、後援会費や保険料などがあります。金額は数千円から50万円程度と、大学によって異なる金額設定です。国立大学と同様に、医療系または芸術系は施設設備費・実習費が高い傾向にありますが、施設設備費・実習費等の費用が一切かかららない公立大学もあります。

私立大学の入学時に必要な費用の平均金額

私立大学の場合、入学時に掛かる費用は学部により異なります。文部科学省の「私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額(平成28年度)」によると、文学部へ入学時に掛かる費用の平均は入学金が平均23万4,763円、授業料は平均75万8,854円、施設設備費・実習費が平均15万7,246円、これらを合計すると115万863円です。

理系の場合、文系に比べると入学費および施設設備費・実習費ともに高い傾向にあり、入学費が平均25万6,208円、授業料は平均107万1,560円、施設設備費・実習費が平均19万565円、これらを合計すると151万8,333円です。

理系の中でも医学・歯学系はさらに高く、入学費が平均101万3,054円、授業料は平均289万6,848円、施設設備費・実習費が平均88万3,026円、これらを合計すると平均479万2,928円掛かります。

その他の学部は入学費が平均26万5,694円、授業料は平均95万5,473円、施設設備費・実習費が平均23万3,970円、これらを合計すると145万5,137円です。

さらに諸費用として、後援会費、校友会費、同窓会費、父母会費や保険料などの支払いが必要な場合、数千円から20万円程度、医療系学部の場合は70万円程度掛かり、これらの費用が入学料、授業料、施設設備費・実習費に加わります。

なお、これらの諸費用は一切掛からない私立大学もあります。

大学4年間(6年間)で掛かる学費の平均金額

授業を受ける大学生

大学の学費は4年間でどのくらい掛かるのでしょうか。入学金は入学時限りの支払いですが、授業料や施設設備費・実習費、その他諸会費は毎年支払う必要があります。

多くの大学は学費を前期と後期の2回に分けて支払います。大学は4年間(医学・歯学系は6年間)のため、学費を8回(医学・歯学系の場合は12回)支払うことになります。大学を卒業するためにはいくら掛かるのでしょうか。

国立、公立、私立大学に分けて、平均の学費と4年間(または6年間)の総額を見ていきましょう。

国立大学4年間(6年間)で掛かる学費の平均金額

国立大学の場合、文学部や理・工学部、医学部、歯学部であっても同額です。学費の合計額を、標準額を用いて計算すると初年度合計で81万7,800円です。2年目以降は授業料53万5,800円掛かり、4年間合計すると242万5,200円です。医学・歯学系の場合、2年間多く通うため、6年間の合計は349万6,800円(全日制のみ)です。定時制の場合、初年度は40万8,900円、2年目以降は26万7,900円掛かり、4年間合計すると121万2,600円掛かります。

学校により異なりますが、施設設備費・実習費、後援会費や保険料などの支払いもあります。金額の範囲は0円から50万円と幅広く、年間15万円程度は掛かると思ったほうが良いでしょう。

これらを加えると、大学入学から卒業までの学費は、全日制の場合302万5,200円、医学・歯学系の場合は439万6,800円程度掛かります。

公立大学4年間(6年間)で掛かる学費の平均金額

公立大学の場合、地域内出身学生と地域外出身学生の入学費が異なります。

地域内出身学生の場合、初年度の学費合計額の平均は76万8,480円、2年目以降は年間平均53万8,294円の授業料が掛かり、4年間合計すると238万3,386円です。医学・歯学系の場合、2年間多いため、6年間の合計は345万9,974円(全日制のみ)です。定時制の場合、初年度の学費合計額は平均42万4,750円、2年目以降は平均30万1,375円の授業料が掛かり、4年間合計すると132万8,875円掛かります。

地域外出身学生の場合、初年度の学費合計額の平均は93万2,519円、2年目以降は年間平均53万8,294円の授業料が掛かり、4年間合計すると254万7,401円です。医学・歯学系の場合は6年間通うため、合計は362万3,989円(全日制のみ)です。定時制の場合、初年度の学費合計額は平均51万2,875円、2年目以降は平均30万1,375円の授業料が掛かり、4年間合計すると147万1,000円掛かります。

国立大学と同様に施設設備費・実習費、後援会費や保険料などの支払いがあります。金額は0円から50万円と学校により異なりますが、年間15万円程度は掛かると思ったほうが良いでしょう。

これらを加えると、全日制で地域内出身学生の場合は298万3,386円程度、医学・歯学系の場合は435万9,974円程度です。また、地域外出身学生の場合は314万7,401円程度、医学・歯学系の場合は452万3,989円程度になります。

私立大学4年間(6年間)で掛かる学費の平均金額

私立大学の授業料は学部によって異なります。

文科系学部の初年度の学費合計額は平均115万863円、2年目以降は年間平均91万6,100円の授業料および施設設備費・実習費が掛かり、4年間合計すると389万9,163円です。

理科系学部の初年度の、学費合計額の平均は151万8,333円、2年目以降は年間平均126万2,125円の授業料および施設設備費・実習費が掛かり、4年間合計すると530万4,708円掛かります。

医学・歯学系の場合、初年度の学費合計額の平均は479万2,928円、2年目以降は年間平均377万9,874円の授業料および施設設備費・実習費が掛かります。医学・歯学系は他の学部より2年長く6年間合計すると2369万2,298円です。

その他学部の初年度の、学費合計額の平均は145万5,137円、2年目以降は年間平均118万9,443円の授業料および施設設備費・実習費が掛かり、4年間合計すると450万6,881円掛かります。

その他の諸費用として、後援会費、校友会費、同窓会費、父母会費や保険料などの支払いが必要な場合があります。金額には幅があり、年額0円から20万円程度、医療系学部の場合は70万円程度加算されます。

諸費用を年額10万円、医学・歯学系は50万円とし合算すると、文科系学部の場合の学費の総額は429万9,163円程度、理科系学部の場合の学費の総額は570万4,708円程度、医学・歯学系学部の場合の学費の総額は2669万2,298円程度、その他学部の場合は総額で490万6,881円程度が必要です。

大学は入学料・授業料・施設設備費以外の費用も掛かる

各種費用項目が記載された封筒

大学の費用を考えるとき、まず学校に納付する費用を真っ先に想像してしまうものですが、実際には学用品や生活費用など、学校に納付するもの以外の費用のことも考慮する必要があります

学業に必要な費用

相談する女性

ノートパソコンの購入代金

授業やレポート、論文等の作成で使用するため、多くの大学ではノートパソコンの購入が必要です。パソコンは大学が推奨する製品を購入する必要はありませんが、少なくともMicrosoft Office搭載モデルを購入したほうが良いでしょう。金額はパソコンのメモリ容量や処理速度などにより異なりますが、15万円程度が一般的です。型落ち品だと正規価格より50%から30%程度割安に、中古品や展示品だとさらに安く購入できる場合があります。

選択した授業ごとの教科書・教材費

教科書や参考資料など、学用品の購入が必要です。大学の教科書は高校までの教科書と異なり、市販で販売されている書籍を教科書として使用する場合があります。金額は選択する科目により異なりますが、すべてそろえると数万円から中には10万円を超える学科もあります。教科書は学年が上がるごとに購入する必要があり、基本的には毎年数万円程度の学用品代が生じます。

日々の生活に必要な費用

1人暮らしの女性

大学生になると、自宅から離れた学校に通うため学生寮やアパートなどで一人暮らしを始める人もいれば、大学が自宅から近い場合は実家暮らしを続ける学生もいます。初めて一人暮らしを始める子どもを持つ親としては、できる限りサポートしてあげたいものです。

一人暮らしをする場合と実家暮らしとで、金額的にどのくらいの差があるのでしょうか。

一人暮らしをする学生への仕送りの平均金額

一人暮らしをするためには家賃の支払いや生活費などが必要です。大学生活協同組合連合会の「第53回学生生活実態調査の概要報告」によると、仕送りの平均金額は7万2,980円です。一人暮らしをする学生のうち、仕送り金額が5万円から10万円の学生が一番多く、下宿生の37.2%を占めます。次に仕送り金額10万円以上の学生が30.9%、5万円未満の学生が15.5%、仕送りがない学生が7.1%となっています。

主な内訳は、住居費が5万2,820円、食費が2万5,190円、教養娯楽費が9,830円などです。

実家暮らしの学生へのお小遣いの平均金額

実家暮らしの場合、一人暮らしに比べると費用は掛かりませんが、それでも、日々の生活費や交際費、学用品の購入などの支払いが生じます。実家暮らしの学生の、お小遣いの平均金額は3万4,992円です。主な内訳は、食費が1万2,580円、教養娯楽費が9,470円、交通費が8,680円などです。

大学4年間(6年間)の学費やその他の費用の合計金額は?

電卓と手帳とえんぴつ

4年間の学費の合計はすでにご紹介しましたが、実際には学費だけでなく、パソコンの購入、教科書や参考資料の購入、子どもへの仕送りやお小遣いなどさまざまな費用が生じます。

すべて合計するとどのくらい掛かるのでしょうか。

国立大学に4年間または6年間通う場合

国立大学全日制の場合、学校に納付する総額はおよそ302万5,200円、医学・歯学系の場合はおよそ439万6,800円です。その他、パソコン購入に15万円程度、教科書や参考資料、学用品の購入に年間10万円程度、一人暮らしの学生への仕送りが月額7万3,000円程度、実家暮らしの場合は3万5,000円程度掛かります。

これらを合計すると、一人暮らしの場合は707万9,200円程度、実家暮らしの場合は525万5,200円、医学・歯学系で一人暮らしの場合は1040万2,800円程度、実家暮らしの場合は766万6,800円程度必要です。

公立大学に4年間または6年間通う場合

公立大学全日制において学校に納付する総額は、地域内出身学生の場合およそ298万3,386円、医学・歯学系の場合はおよそ435万9,974円です。地域外出身学生の場合、314万7,401円程度、医学・歯学系の場合452万3,989円程度掛かります。その他の学業に必要な物品の購入費用や生活費については、国立大学と同様です。

これらを合計すると、地域内出身学生で一人暮らしの場合は703万7,386円程度、実家暮らしの場合は521万3,386円、医学・歯学系で一人暮らしの場合は1036万5,974円程度、実家暮らしの場合は762万9,974円程度掛かります。

地域外出身学生で一人暮らしの場合は720万1,401円程度、実家暮らしの場合は537万7,401円、医学・歯学系で一人暮らしの場合は1052万9,989円程度、実家暮らしの場合は779万3,989円程度必要です。

私立大学文系学部に4年間通う場合

私立大学全日制、文系学部の場合、学校に納付する総額はおよそ429万9,163円です。その他の費用と合計すると、一人暮らしの場合は835万3,163円程度、実家暮らしの場合は652万9,163円程度掛かります。

私立大学理系学部に4年間通う場合

私立大学全日制、理系学部の場合、学校に納付する総額はおよそ570万4,708円です。その他の費用と合計すると、一人暮らしの場合は975万8,708円程度、実家暮らしの場合は793万4,708円程度掛かります。

私立大学医学・歯学系学部に6年間通う場合

私立大学全日制、医学・歯学系学部の場合、学校に納付する総額はおよそ2669万2,298円です。その他の費用と合計すると、一人暮らしの場合は3269万8,298円程度、実家暮らしの場合は2996万2,298円程度掛かります。

私立大学その他学部に4年間通う場合

私立大学全日制、その他学部の場合、学校に納付する総額はおよそ490万6,881円です。その他の費用と合計すると、一人暮らしの場合は896万881円程度、実家暮らしの場合は713万6,881円程度掛かります。

大学入学に必要なお金や学費は早めに用意しておこう

今回は、大学の学費の平均と4年間(医学・歯学系学部の場合は6年間)で掛かる費用の総額についてご紹介しました。

学費はもちろん、子どもへの仕送りや生活費、教材費の購入などすべて合計すると、子ども一人が大学卒業するまでに安くても700万円程度、場合によっては3,000万円程度掛かります。このように大学入学、そして卒業に必要な費用はすぐに準備できるような金額ではないため、子どもが小さいうちから貯金しておくなど早めの準備が大切です。

学費の準備をしてきたけどどうしても足りないというときは、国の教育ローンや奨学金の利用を検討してみてください。しかし、奨学金などは審査があり融資までに時間が掛かるため、緊急なときにはカードローンを利用するのも手です。どちらにせよ、将来的に返すことになるお金となるため、無理のない返済計画を立てた上で利用しましょう。

富田 浩司
富田 浩司

ファイナンシャルプランナー AFP/富田FP事務所 代表

ゴールドマン・サックスでの勤務経験のある独立系ファイナンシャルプランナー。
防衛省陸上自衛隊、国内大手電気会社、外資系証券会社、独立系コンサルタントの経験を経て、2007年(株)フォーチュンフィールドを設立。富田FP事務所所長として、資産運用や家計の見直しセミナー、コンサルティング業務、マネー情報に関する執筆活動を行っている。設立から12年、「家計と企業財務の健康促進パートナー」をモットーに顧客の資産形成および収支改善に向けアドバイスを行っている。
著書:『子育てママのためのお金の教室 実況中継』、『「稼ぐFP」の作り方:ネット社会を生き抜く新しいFP戦略とは』

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