身に覚えのない入金…もしかしたら押し貸しかも?どう対応するべき?
身に覚えのない入金が!押し貸しだったらどう対応すればいい?
通帳を記帳した際に身に覚えのない入金があったら、あなたはどうしますか?取りあえず様子を見る方も多いかと思いますが、原因が誤振込ならともかく、もしヤミ金業者からの振り込みかと疑われるようであれば注意が必要です。
貸してほしい、と頼んでもいないのにヤミ金業者がお金を貸してきて、高い利息とともに返済を要求するのが「押し貸し」。今回は、その押し貸しについての概要や対応方法についてご紹介します。インターネット社会では個人情報が出回りやすいため、自身の防衛としてぜひ理解を深めておきましょう。
押し貸しとは?
押し貸しとは詐欺の一種で、ヤミ金業者が勝手にあなたの銀行口座に現金を振り込んだ上で、法外な高金利の利息などを請求してくるものです。金融庁のホームページでも悪質な業者例として掲載されています。他にも、借りるつもりがないのに無理やり振り込まれるケースや、ホームページからの借り入れの申し込みを取りやめたのに、勝手に振り込まれるといった事例です。
そもそも貸金業を営むためには登録が必要で、貸付金利は年20%を超えると出資法違反とされています。しかし、法律に違反するような高金利で貸し付けをしているのが、無登録で貸金業を営むヤミ金業者です。例えば、10日で1割の利息という業者であれば、10万円借りると10日で1万円の利息になりますが、さらに悪質になると10日で3割や5割といった信じられない利息を請求してくる業者が存在します。
もちろん、心当たりのない入金を確認したところ、単なる誤振込だったということもあります。そのような場合には、金融機関で振込人と連絡を取り合って、払い戻し(組戻し)などの手続きが可能です。
ただし、誤振込ではなく運悪く押し貸しだった場合には、不当な利息請求の電話がかかってくるケースが多く、無視していると取り立てがエスカレートしてくる恐れがあります。
また、押し貸しによる取り立てがしつこく、やむなく返済したとしてもすぐに同じ手口で再度振り込まれてくる場合があります。この場合、ズルズルと借り続けてしまい、法外な利息を払い続けることになるかもしれません。初期の段階での対応をしっかりしておくことで、被害をストップ、もしくは最小限にとどめられるでしょう。
押し貸しに遭うとどうなるの?
勝手に振り込みをしたヤミ金業者から、不当な高金利の利息を請求する電話がかかってくるケースがあります。例えば、身に覚えのない1万円が口座に振り込まれて、気づかずにそのままにしていると、「いつ返済するつもりだ!2万円借りたいと言うから利息1万円を差し引いた1万円を振り込んだ。早く返済しろ!」とヤミ金業者から利息請求の電話がかかってくるイメージです。
最初は、身に覚えがないのでそのまま放置するパターンや、「振り込まれた金額を返金したい」という希望を伝えるものの応じてもらえず、ヤミ金業者の強引な取り立ての電話が再三かかってくるそうです。また、ヤミ金業者を無視し続けていると、「自宅や職場まで押しかけるぞ」と脅されることもあるので、仕方なく要求通りにお金を支払ってしまうケースもあります。
押し貸しに狙われやすい人
ヤミ金業者は無作為に電話や振り込みをしているわけではありません。押し貸しのターゲットとして1番狙われやすいのは、過去にヤミ金業者を利用した人や、申し込みをした人です。では、具体的にもう少し細かく見てみましょう。
過去にヤミ金業者からお金を借りたことがある人
過去にヤミ金業者からお金を借りた経験がある人は、電話番号に住所、勤務先などの個人情報を把握されているでしょう。中には、業者間のつながりで個人情報が共有されているケースがありますので、知らないヤミ金業者にも個人情報が伝わっていることが考えられます。そのため、ヤミ金業者からお金を借りた際の口座はいち早く解約して、電話番号などもできたら変更しておくことをおすすめします。
ヤミ金業者に申し込んだことがある人
ヤミ金業者からお金を借りていなくても、申し込んだ経験があるだけでも、借りた場合と同様、業者に個人情報が出回っている可能性があります。そのため、ヤミ金業者に申し込んだ経験がある人は、できるだけ早めに口座を解約したり、電話番号を変更したりしておきましょう。
インターネットオークションを利用したことがある人
ヤミ金業者と接触したことがない人でも、押し貸しの被害に遭うことがあります。それは、インターネットオークションを利用したことがある人です。
インターネットオークションでは、落札後の郵送のやり取り時に個々の名前や住所、口座番号などを教えますが、ヤミ金業者はこの取引相手の個人情報を利用して、詐欺を発生させている場合があります。
しかし、最近のインターネットオークションなどでは、振込先や自宅住所の明記をしないで取引できる業者が増えてきているので、以前のように押し貸しに巻き込まれる心配は減りました。とはいえ、すべてが整備されているわけではないので、インターネットオークションで個人情報を取り扱う際には注意したほうが良いでしょう。
身に覚えのない入金があった時の対応方法
さて、実際に押し貸しとして口座に入金された場合には、どのように対応したら良いのでしょうか。ここでは、見に覚えのない入金があった時の対応方法をご紹介します。
銀行に確認する
自分の口座に身に覚えのない入金を確認した場合、その入金が誤入金であるケースも考えられます。そのため、まずは銀行に問い合わせをしてみましょう。もし誤入金であれば、金融機関が振り込み主と確認を取り、振り戻し(組戻し)の処理をしてくれます。
しかし、押し貸しの可能性がある場合、業者はあえて振り込みしているので返金できる可能性は低いでしょう。
口座を解約する
押し貸しの場合、実際にお金が振り込まれる前に「お金を貸した」などと、身に覚えのない電話が入ることがあります。このような場合は無視せずに、知らない業者からの入金がないかどうか銀行へ確認しに行きましょう。もし手続きのタイミングが早ければ、口座を解約することでヤミ金業者からの入金を拒むことが可能です。
しかし、入金確認をした時点で、既にお金が振り込まれていた場合には、ヤミ金業者としてもお金を貸した事実ができたので、違法な利息の取り立てをしてくることが予想されます。その場合には、早急に警察や弁護士への相談をおすすめします。
また、ヤミ金業者から入金されたお金は、使わずに確保しておきましょう。そして再発を防ぐためにも、ヤミ金業者に知れ渡ってしまった金融機関の口座は、解約しておいたほうが良いでしょう。
警察に相談する
押し貸しと判断できる場合、警察への相談や被害届の提出によって、ヤミ金業者からの取り立ての電話や脅し等が解消されると思うかもしれません。しかし実際は、ヤミ金業者からの押し貸しといっても、警察の対応を期待するのは難しいでしょう。
また、警察で被害届が受理されないケースもあるため、ただ報告をするだけではなく、被害に遭っている証拠を少しでも渡せるようにしておきましょう。例えば、お金が振り込まれた通帳のコピーや電話、メールのやり取りなどです。特に、ヤミ金業者の電話対応で苦労するケースが多いので、電話があった場合には録音をしておきしょう。初めての電話では難しいかもしれませんが、2回目以降は必ず録音することを忘れないようにしてください。
弁護士に相談する
警察に相談すると共に弁護士にも相談してみましょう。ただし、弁護士も得意分野が大きく異なるため、ヤミ金業者を専門に扱う弁護士に相談することをおすすめします。
また、弁護士に相談する場合、相談費用も気になるところです。市区町村の弁護士無料相談の利用や、タイミングが合わないようであれば、消費者センターとつながりがある弁護士事務所などに、料金も含めて相談してみましょう。最近は、初回のみ無料で相談できる弁護士事務所もあるようです。
供託制度を使って元本を返済する
押し貸しによって振り込まれたお金をヤミ金に返そうとしても、応じてくれるケースは少ないでしょう。ヤミ金業者は、こちらの言うことには聞く耳を持たず、返済日と利息が指定されるケースが大半です。しかも実際に振り込まれたお金は返せていないので、すっきりしないでしょう。
このような場合には、供託制度を利用することをおすすめします。供託制度とは、借金の返済をしようとしたのに、債権者が返済されることを拒むなどの理由によって返済ができない場合に、返済したい金額分のお金を供託所という国の機関に預けることで、返済義務を免れることができる制度です。
供託手続きは自分で行うこともできますが、手間がかかるので、供託制度の利用を検討する場合は弁護士への相談をおすすめします。
押し貸しへのNG対応
押し貸しの被害にあった場合には、会社の人や知人などにもなかなか相談しにくいものですし、きちんとアドバイスをしてくれる人がいないと不安になるものです。
そこで、押し貸しで避けたほうが良い対応についても見てみましょう。
電話を無視する
ヤミ金業者の取り立て電話に対して、毅然(きぜん)とした態度で対応することはもちろん必要ですが、電話を無視することはおすすめできません。なぜなら、口座番号などの個人情報を知った上で、お金を貸したとして振り込みをされているため、無視している間にも利息は増えていきます。
さらに、利息の取り立ての電話に出ない場合、ヤミ金業者の取り立てが自宅や職場に押しかけてくる可能性が考えられます。近所や職場の目を考えると、まずは上述の「身に覚えのない入金があった時の対応方法」などを参考に、ヤミ金業者からの電話は無視せず対応しながら、今後の戦略を考えていきましょう。
その一方で、無視や放置が1番だという意見もあります。怪しいメールが届く程度の詐欺であれば無視すれば問題ありませんが、押し貸しの場合には口座番号が特定されて、電話番号も把握されている状態ですので、やはり無視や放置はNGです。
また、詐欺行為自体は、自分の口座に相手から入金された時点で始まっています。ヤミ金業者が個人情報として、自宅の住所や勤務先などを知っていれば、取り立ては電話だけではなく、自宅や勤務先にまで及ぶかもしれません。勤務先への取り立ての電話が原因で、会社からの信用を失いクビになってしまったケースもあるので気を付けましょう。
脅しに従う
ヤミ金業者の脅しに従って、要求通りの金額で返済をすることもおすすめできません。完済した時点で一瞬すっきりするかもしれませんが、ヤミ金業者からはいいカモだと思われて、追加融資として同じ様に振り込みをしてくる可能性が高いといえます。
利息を払う
利息分だけを払うのも同様です。ヤミ金業者の要求を全部飲まないとしても、利息だけ払うなど、ヤミ金業者の要求通りに対応することは、今後のためにもおすすめできる対応ではありません。
押し貸しを防ぐためには?
押し貸しの被害を防ぐためには、まずヤミ金業者とのつながりを作らないことが何より大事です。ただし、既にヤミ金業者に借り入れをしたことがあって、個人情報を開示してしまっている人は、ヤミ金業者に知られている口座を解約しておきましょう。さらに、登録してある電話番号も変えておいたほうが、被害に遭う確率は低くなります。
もし、番号の変更が難しい場合には、登録してある連絡先以外は着信拒否にするなどの対策を取っておくことをおすすめします。
また、一度ヤミ金業者に渡ってしまった個人情報は、ヤミ金業者のグループ内において顧客名簿が出回っている可能性があります。そのため、ヤミ金業者と関わりを持ったことがある人は、その時に登録した個人情報はグループ内で共有されているという認識は持っておいたほうが良いかもしれません。
付け込まれやすい押し貸し詐欺!1人で悩まずに相談を
今回は、押し貸しの概要や、押し貸し被害にあった時の対応方法などについてご紹介しました。
勝手に振り込んで法外な利息を取り立てるといった被害は、わたしたちの身の回りでも少なからず起きています。押し貸しの被害に遭いやすいのは、ヤミ金業者と関わりを持ち、個人情報の開示をした人たちですが、中にはインターネットサービスの利用がきっかけで被害に遭うケースもあります。もし不明な入金や電話があった場合は、適切に対応をすると共に、1人で悩まずに警察や弁護士、消費者センターなどに相談しましょう。
CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランナー技能士
株式会社K’sプランニング 代表取締役社長
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事
大手損害保険会社で事務企画や本店営業を経験後に2010年にFPとして独立。女性の視点も踏まえたお金のノウハウをセミナーや企業研修にて延べ3,000人以上の方々に伝授。家計相談を中心とした個別相談やマネー情報等の執筆でも活動中。
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