給食費を払えない!払わないとどうなるの?給食費を滞納しそうなときの対策
給食費が払えない、「滞納しそう」というときの対処法について
給食費問題って聞いたことありますか?小学校や中学校の給食費を払わない方、払えない方が増えているようです。
そもそも、「給食ってお金を払うの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。実は給食は無料ではなく、毎月4,000円~5,000円の負担になり、子だくさんの家庭では毎月数万円の給食費を負担するケースもあります。また、給食費は毎月発生しますので、その支払いを維持するのも一苦労でしょう。
毎月の給食費の支払いができないと未納扱いとなり、学校から督促があったり自治体によっては財産処分をされたりする可能性もあります。
そこで今回は、給食費を払わないとどうなるのか、給食費を滞納しそうなときの対策についてご紹介します。
給食費の未納問題
平成24年度に文部科学省が公表した、学校給食費の徴収状況の調査結果は、以下のようになりました。調査対象は583校となっています。
学校給食費の総額と未納額
小学校
給食費総額 | 約61億4,000万円 |
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学校給食費の未納額 | 約2,600万円 |
未納金額の割合 | 0.4% |
中学校
給食費総額 | 約29億7,000万円 |
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学校給食費の未納額 | 約1,800万円 |
未納金額の割合 | 0.6% |
小中学校合計
給食費総額 | 約91億1,000万円 |
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学校給食費の未納額 | 約4,500万円 |
未納金額の割合 | 0.5% |
学校給食を提供した児童生徒数と未納の児童生徒数
未納の児童数に関しては、以下の通りです。
小学校
学校給食を提供していた児童生徒数 | 14万816人 |
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学校給食費が未納の児童生徒数 | 1,153人 |
未納人数の割合 | 0.8% |
中学校
学校給食を提供していた児童生徒数 | 6万4,986人 |
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学校給食費が未納の児童生徒数 | 757人 |
未納人数の割合 | 1.2% |
小中学校合計
学校給食を提供していた児童生徒数 | 20万5,802人 |
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学校給食費が未納の児童生徒数 | 1,910人 |
未納人数の割合 | 0.9% |
学校給食費の徴収方法
583の小中学校に対する調査結果として、給食費の徴収方法は以下の通りです。
口座引き落とし | 72.4% |
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児童生徒から学級担任へ手渡し | 8.1% |
PTA等と連携し徴収 | 5.8% |
指定した口座への振り込み | 5.0% |
児童生徒から学校事務職員へ手渡し | 1.4% |
保護者の銀行口座から、給食費を引き落としている割合が72.4%を占めているものの、未だに手渡しでの徴収も多いことがわかります。次に、指定した金融機関への振り込みが5.0%あることに注目してください。振り込みは、その都度金融機関に赴くことになり、保護者の負担が増えるでしょう。
また、児童手当から学校給食費を徴収している、という小中学校が30.9%あるということは、給食費の支払いにおいて経済的に厳しいご家庭が少なからず存在する、といえます。
学校側は給食費未納の原因を、保護者の経済的な問題が33.9%、保護者の責任感・規範意識の欠如61.3%と見ています。経済的困窮が1/3、経済的な事情以外の保護者の問題が2/3ほどでしょう。
給食費未納の児童生徒数の推移を、平成22年度のものと比べてみると、増えたが15.2%、変わらないが34.9%、減ったが14.5%となっています。給食費の未納が増えた原因が保護者の経済的な問題である、と感じている学校が48.8%とほぼ半数で、家庭によって経済的な困窮が発生していることがわかります。
尚、給食費の未納が減った原因と考えられているのは、家庭訪問を含む督促の強化が46.2%とほぼ半数で、就学援助制度の活用推奨が17.9%、児童手当制度の活用が12.8%となっており、公的制度の活用が給食費未納を抑えることにつながっていることがわかります。
また、給食費の未納を改善するために効果のあった取り組みに関しては、家庭訪問が29.5%と最も多く、次に電話や文書による保護者への説明が26.2%、就学援助制度等の活用推奨が19.9%です。
給食費の相場
神奈川県川崎市は、平成30年4月分から学校給食費を改訂しました。
学年別給食費を廃止して一律の料金にした点と、全体的に値上げした点の2つが主な改訂です。値上げの理由は食材価格の上昇と、平成26年の消費税率引き上げ(5%から8%)により、従来と同額では学校給食の質を維持することができないため、とされています。
神奈川県川崎市の給食費は下記の通りの変更となります。
改定前の給食費月額
- 小学校1・2年生 3,650円
- 小学校3・4年生 3,850円
- 小学校5・6年生 4,050円
改定後の給食費月額
- 全学年一律 4,500円
改定後の値上げ幅は、学年ごとに若干異なりますが500円~900円程度で、年間だと6,000円~1万800円程度の値上げです。決して高くはありませんが、元々安価であったことと、子どもの人数が多いご家庭には、大きな値上げのショックが家計を圧迫するかもしれません。
また、全国的に見ても、小中学校における給食費の相場は月4,000円~5,000円です。
神奈川県川崎市は、2018年度より給食費の引き上げを行いました。改定後の金額は、一食あたり270円となり平均並みといえるでしょう。
どのような場合に給食費の滞納が起こるのか
どこの学校にも起こりうる問題として捉えられる給食費の未納ですが、実際どんな場合に未納が発生しているのでしょうか。また、給食費の未納を放置するとどうなるのかについてもお伝えします。
単純に支払いを忘れてしまった場合
文部科学省の調査にもあるように、学校給食費の支払いはいくつかの方法に集約されています。具体的には、保護者の銀行口座引き落とし、児童生徒が担任や事務職員に手渡し、PTA等と連携し徴収、学校が指定した口座へ振り込んでいる、などです。
口座から引き落とされる場合、給食費は未納にはならないと思いがちですが、実はそんなことはありません。たとえば、学校指定の銀行に給食費専用の口座を開設したら、定期的に自分の生活口座から学校指定の銀行口座へ、振り込みや預け入れを行う必要があります。これは非常に手間がかかりますし、入金を忘れる可能性も否めません。普段の生活口座が給食費の引き落としに使えない場合は、口座引き落としといえども未納は発生するでしょう。
また、児童生徒が学校に現金を持って行く場合、気になるのは学校内での盗難ではないでしょうか。給食費が盗まれたというケースは、昔から一定数ある話です。キャッシュレス時代に現金を持たせる、というのは時代錯誤ですが、実際の学校運営では行われる方法になります。
他にも、子どもが給食費の封筒を家に持って帰ることを忘れたり、持って帰ったとしても保護者に渡し忘れたりすることもあるでしょう。学校や先生からの手紙や連絡を子どもが伝え忘れるのはよくあることで、これは保護者が注意しないといけません。子どもが給食費をしっかり学校へ持って行けるよう、通学時に確認をしてあげましょう。とはいえ、仕事が忙しくて子どもが給食費を持ったか、なんてチェックしている時間がない方もいることから、給食費の支払いを忘れてしまうケースはよくあることです。
学校から指定された口座への振り込みで、給食費を納付している場合は、銀行まで行く時間が取れず面倒になる、振り込みに行こうと思っていたが、忘れてしまい期日が過ぎてしまった、ということも給食費滞納の理由と考えられます。
このように、保護者や児童生徒の時間や手間を取る方法は、給食費の集金方法としては改善の余地がありそうです。
転職や離婚などによって収入が減った場合
収入が減ったことで給食費の支払いが苦しい場合もあります。
具体的に、収入が減るときはどんな場合でしょうか。その1つが転職です。
転職にも様々ありますが、仕事が激務で残業の少ない職場に転職をすれば、残業代がつかない分収入が減ることになるでしょう。
もう1つは離婚です。
厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査結果の概要(平成28年度)によると、母子家庭における母自身の平均年間就労収入は200万円、父子家庭における父自身の平均年間就労年収は398万円となっています。
小さい子どもがご家庭にいる場合は、フルタイムで働くことも難しいでしょう。また、働いて得た収入を給食費の支払いに使うこと以上に、生活費はもちろん小さい子どもがいれば保育料など、他費用の支払いに充ててしまうのが現状です。
これにより、給食費の滞納につながるケースがあります。
疾病の治療や冠婚葬祭などで支出が増えた場合
長期の病気治療で仕事を辞めたり、休職したりすることもあるでしょう。有給休暇があったとしても、有給をすべて消化してしまえば無給の休暇となり、収入は激減します。傷病手当金などが出る場合もありますが、収入の全額が補償されるわけではありません。また、収入が減るだけではなく、治療費や通院交通費などもかかり家計を圧迫します。そうなると、子どもの給食費の支払いは優先順位が下がってしまうでしょう。
他にも、冠婚葬祭で一時的に支出が増えることもあるでしょう。結婚祝いや香典であれば、参加を辞退することで支出を抑えることができます。しかし、家族の冠婚葬祭の場合、気軽に辞退するわけにもいきません。また、葬儀の喪主になるような場合は、数十万円から数百万円の負担が一時的に発生する可能性もあります。
お金があるのに「払わない」場合
義務教育だから払わない、などの理由で給食費を払わない方が一定数います。その割合は全体の1%に満たない人数です。給食費を払うことで給食が出る仕組みですので、給食費を払う必要があります。また、お金があるのに給食費を払わないというのは、現状ではルール違反とされることが多いでしょう。毎月の給食費はやはりしっかりと支払うことが大切です。
給食費を滞納した場合どうなるか
給食費を滞納し続けると、強制徴収や給食の提供停止が実施される可能性があります。これらが原因で自分の子どもがいじめにあう場合もあるようです。
まず、給食費を未納のままにしておくと、学校からの督促があります。家庭訪問や電話・手紙での納付督促が一般的でしょう。他には、納付の選択肢として公的支援の推奨をする学校も多いようです。児童手当から給食費を天引き納付する方法や、就学援助制度を利用する方法もあります。
また、給食費の支払いがない家庭に対して、強制的に財産を処分することを取り決めた自治体も存在します。兵庫県丹波市では、学校給食費滞納整理等事務処理要綱を定めて、自治体として給食費未納の対策をしています。この対策は、給食費の未納に対して強制的に財産を処分することまでを明確にしており、お金があるのに支払わない方に対して効果を発揮するでしょう。生活困窮者や生活保護者は対象ではないため、一定の効果や抑止効果に期待が持てます。
集金で給食費を集める学校のなかで、PTA役員である保護者が集金を手伝う場合、誰が未納か保護者間でわかってしまいます。そのため、給食費未納情報に基づく子ども同士の差別やいじめなどにつながる可能性も否定できません。
埼玉県北本市では、給食費の未納世帯に対して給食を停止し、弁当持参とする旨の通知をしたところ、該当43世帯中41世帯が支払ったということが起こりました。払えるのに払っていなかったのか、通知があったから工面したのかはわかりませんが、徐々に厳しい処分を下す自治体が増えてきている印象です。
どうしても給食費が支払えない場合の対策
給食費が払えない事情は、家庭によって様々でしょう。故意に給食費を払わない場合は論外として、払いたくても払えない状況の人はどう対処すればいいのでしょうか?
まずは学校に相談
給食費の支払いが難しい、と思ったときは学校に相談してください。学校側は過去の色々な知見がありますし、支払いが厳しい場合の児童手当からの天引きや、就学援助制度の紹介などをしてもらえるでしょう。このような学校側の対応は、給食費関連のことでわからないことがあったときにも心強いですよね。
ただ、学校から就学援助制度の紹介を受けても、その制度を確実に利用できるとは限りません。1つずつの可能性を模索しながら、対処していきましょう。
自治体の就学援助を受ける
就学援助制度は、経済的な理由で学校への通学が難しい家庭など、児童生徒が就学困難と認められる世帯に対して、給食費や教材費を市町村が援助してくれる制度です。
就学援助の主な対象者は、生活保護を受けている世帯、生活保護は受けてないが所得額が基準額以下の世帯となっています。これらに該当すると、学校関係の費用補助が受けられるのですが、そのなかに学校給食費があります。つまり、認定基準を満たすことができれば自治体の支援を受けて給食費を払えるのです。
カードローンなどでお金を借りる
一時的に資金が足りず給食費が支払えないときは、カードローンを利用するのも1つの方法です。さきほどお伝えした就学援助制度は、生活保護水準と生活困窮状態にある家庭のための制度といえます。それなりに収入があったり、持家があったりして該当しない家庭で、一時的に資金が足りなくなった場合は、カードローンを利用するのもいいでしょう。
カードローンは金利が高いと考える方もいますが、短い期間での一時的な利用であれば、金利負担も少なくて済みます。入学前後でお金が足りないとか、転職、離婚、引っ越しなどでお金が足りない場合は、資金調達の一手段としてカードローンを活用するのもいいでしょう。各種公的制度の利用と異なり、すぐに活用できるのもポイントです。
給食費の滞納時にはカードローンを利用し賢いお金のやりくりを!
今回は給食費を払えない場合や、払わないとどうなるのかについてご紹介しました。
給食は無料で提供されているわけではなく、毎月4,000円~5,000円の支払いが必要です。しかし、毎月の給食費の支払いができなくて滞納するケースも多くあります。
給食費が支払えないとわかったときには、まず学校や自治体に相談することをおすすめします。場合によっては、児童手当からの天引きや就学援助制度の利用申請ができるでしょう。
もし、これらの制度の利用が難しければ、一時的にカードローンでお金を借りるという選択もあります。カードローンの種類によっては、審査や融資の対応がスピーディーなところもあるため、今すぐに給食費を確保したいときにも安心です。計画性のある返済プランも考慮しながら、賢くお金をやりくりしてください。
ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役
慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。
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