修学旅行費用が払えない…未払いだと行けないの?払えない場合の対処法
修学旅行費が未払いのときや、払えないときの対処法について
大人になって授業風景や放課後が思い出せなくとも、なんとなく修学旅行の一コマは覚えている、そんな人も多いのではないでしょうか。小学校、中学校、高校と経験する修学旅行は、少しずつ行き先も遠くなり、思い出に残っていきます。また、社会人になって各地を訪れたとき、「あ、ここ修学旅行で行った」ということで学生時代を思い出す方も多いことでしょう。ただ、最近は修学旅行の費用が払えず、思い出作りが出来ない学生も多くなっているとか。
今回は、費用が払えない時に修学旅行がどうなるか、そして対処法についてご紹介します。
修学旅行費用はいくらかかる?
そもそも修学旅行はどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
日本修学旅行協会刊行による「データブック2013教育旅行年報」によると、中学校における修学旅行の平均費用は61,952円(国立71,277円、国立56,978円、私立80,287円)。一方高校における平均費用は97,486円。(国公立87,654円、私立113,142円)。高校になると、公立(国公立)と私立の差が拡大します。高校の私立では平均値で10万越え。
学校は旅行会社を通じて、行き先と費用感をバランスにかけて場所や行程を定めており、生徒に広い視野を持たせるため、「修学旅行は海外で」と限定している学校もあります。修学旅行先が海外の場合、当然国内に比べて合計費用は高くなりがち。かつ、後述するように、海外は多くの臨時出費が必要となり、リスクもあります。ただしそれは国内でも同じ。観光客が多く、宿泊場所や食事場所が確保しづらい場所は、やはり費用が高くなりがちです。
なお、修学旅行の費用に関しては、高騰を防ぐために都道府県による実施基準が設けられています。
東京都にある高校の場合、公立で7万9,800円以内、私立で9万5,000円以内です。前述した平均値は、この基準を逸脱しているのでは?という疑問が生まれますが、修学旅行は様々な周辺費用も必要となるため、どこまでを平均値として定義するのかの違いと考えられます。
また、海外に行く方針の学校は、当然パスポート取得費や海外旅行保険など別途お金がかかるため、総額は高くなりがちです。費用にかかる為替の影響も強くあるでしょう。
親世代に比べて海外に出やすくなった昨今は、行き先の選択肢も広がり、費用も割高になっていることがわかります。この時期の保護者は入学費や学費といった通常の教育費はもちろんのこと、修学旅行の費用も意識して確保しなければなりません。
修学旅行は、学校によっては100名を超える団体行動になることもあります。大型のバスを要し、同行する教師の数も、安全を考えて多めに参加させなくてはなりません。そのため宿泊場所や食事場所においても、何カ月も前からの確保が必要です。個人旅行に比べて費用相場も割高になるため、担当の教員は難しいやり繰りを迫られます。
修学旅行では子供に持たせるお小遣いも必要
修学旅行では、交通費や宿泊費等の基本的な修学旅行費用の他に、子どもに持たせるお小遣いも必要になってきます。基本的な修学旅行費用「のみ」だと子どもは現地での友人との買い物や食事ができず、参加したはいいけれど逆に肩身の狭い思いをさせてしまうことも。相場額を聞いて平均額を持たせるようにはしたいものです。
このお小遣い金額、学校で指定している場合はまだ保護者も助かるのですが、生徒同士の「相場」で決まってくる場合は頭が痛い問題。少なく持たせれば生徒は友人とのグループから外れてしまうし、多く持たせれば子どもが「浮く」原因になってしまいます。相場を知るにはPTA活動などで学校に通っている他の親からのリスニングが必要となります。
お小遣いだけではありません。「お財布もちゃんとしたものを持たせなきゃ」「トラベルリュックも持たせなきゃ」と、修学旅行では「見えない費用」がとても多いもの。見劣りする旅行携帯品を持たせて侘しい思いをするのは我が子なので、親としても良いものをそろえたいとは思いますが、なかなか難しいところです、仲の良い友人の親と、「どのくらいお金がかかるのだろう」と話し合ってもいいでしょう。
修学旅行費用の支払い方法
では、保護者はどのように修学旅行費用を学校に支払っているのでしょうか。一般的には、通常の授業料と合わせて「修学旅行積立」が行われます。多くの学校では、入学時からこの積立が開始されます。修学旅行が近くなってから10万円近くの支出を依頼すると、その時の経済状況によって支払うことのできない親が出てきます。そのため細分化した積立の方法が支持されています。保護者によっては、「毎年の授業料として支払っていたため、内訳に修学旅行の積立部分があったとは知らなかった」という親もいるほど。
修学旅行が近づいて「まとまったお金が必要だな」と感じたら、学校へ支払った学費に積立が含まれているか確認してみましょう。手元の書類に残っていなくても、学校に問い合わせると判明します。
修学旅行費用が未払いだとどうなるか
では、保護者が費用を確保できず、修学旅行費用が未払いだった場合はどうなるのでしょうか。基本的に、未払いの生徒は修学旅行には参加できません。旅行自体に強制的に参加したとしても、後日催促状が届きますので、費用を支払わなくてはなりません。
積立にて参加費を集めている学校の場合、未払いでは学校から「このままでは参加できないのですが」という打診がされます。このときに生徒本人および保護者は、参加可否の最終返答をしなければなりません。参加を表明し、積立のない場合は当然ですが一括支払いを求められます。
以前は学校の判断で、「思い出づくりのために(未払いでも)修学旅行に連れていきたい」と生徒を連れていくケースが多かったようです。ただ、修学旅行から戻ったあとに学校が保護者に請求しても無視が続き、最終的には「無視していたら無料で修学旅行に行けた」ということを周囲に吹聴する保護者まで現れた、というケースがあり、その学校では大問題になりました。そのような背景もあり、近年は「完全先払い」を徹底し、未払いの場合は連れていけない、という方針が多くの学校で徹底されているようです。
学校は旅行会社に旅行費用を支払う義務があるため、未払者の分を建て替えると、本来使用する目的に予算を使うことが出来なくなる、という側面もあるようです。
どうしても修学旅行費用を支払えない場合の対策
ただ、生徒の親がみな、「どうにかして子どもをタダで修学旅行に行かせたい」と考えるような悪意のある人ばかりではありません。事情があってどうしても修学旅行の費用を支払えない場合、対策はあるのでしょうか。
まずは学校へ相談
まずは学校に相談しましょう。公にされると子どもが傷つくことも想定されるため、担任の先生に時間をとってもらい、個別に相談するようにしたいもの。修学旅行の終了後、きちんと支払う意思があること、悪意はなく現時点での支払が難しいことを伝えると、学校から前向きな回答をもらえるかもしれません。
自治体の就学援助を受ける
保護者が生活保護を受けている場合、自治体が修学旅行の費用を助成してくれるケースがあります。「就学援助制度」といわれるものです。本来は給食費や学用品が対象ですが、生徒にとって重要な修学旅行の費用も含まれる場合があります。
適用条件は自治体によって異なりますが、「生活保護を受けていること」「世帯所得が一定基準を下回ること」「児童手当を受けていること」などの条件があります。居住地の自治体のホームページや窓口などで詳細を知ることができますので、確認してみましょう。
実際の手続きは、生徒が学校から受け取ってくる就学援助制度の申請用紙に必要事項を記入し、学校に提出する流れです。受け取っていない場合は市区町村の窓口でも受け取ることができます。ただ、この制度にはひとつ注意点があります。それは「後払い」ということです。
まずは積立を自己負担で対応し、修学旅行が終わると実費申請します。その結果認められたものを、援助対象として受給することができます。自治体により対象項目が異なるので、細かい点は自治体のアナウンスを必ず確認するようにしましょう。
奨学金や教育ローンでお金を借りる
どうしてもお金を借りたいという場合であれば、利率の低い奨学金や教育ローンを選択することも検討しましょう。教育目的限定という条件がありますが、修学旅行の費用は教育目的の支出に含まれることが多いため、問題ありません。念のため、借入時に確認しておくと安心です。
カードローンでお金を借りる
返済の目途が立っていて、一時的にお金が足りない場合、カードローンなどでお金を借りることもひとつの方法です。修学旅行は子どもにとって一生の思い出になります。元本+利息の返済スケジュールを組み立てたうえで、お金を借りるようにしましょう。
ここでの注意点は2つです。1つは「利率」にしっかりと目を向けること。利率10%と15%では、総返済額は大きく異なります。2つ目は、カードローンは返済が進むと追加で手に入る借入枠を見て、「まだ借りられるではないか」と他の出費をカードローンで購入しないこと。その分もカードローンの高い利率が加算され、返済に苦労することになります。
修学旅行のために子どもに黙ってお金を借りて、計画性が低いために日常生活に悪影響が生まれた。それでは子どもも喜びません。学校に相談→自治体の援助といった「順番」を守るようにしましょう。気軽だからと計画なくカードローンを借りないように。借りるのであれば、返済計画をしっかりと立てましょう。
海外への修学旅行時にはこんな費用にも要注意
特に海外への修学旅行においては、以下の費用にも要注意です。
スマートフォン(携帯電話)
通常、国内で使っている携帯電話は国外で使えない場合があります。かつ「使えない」ならば安心なのですが、何気なく現地で操作していると、パケット定額サービスに加入していなかったばかりに後々腰を抜かすほどの金額が請求されるケースも。
学校によっては「スマートフォン持参禁止」を打ち出しているところもありますが、「我が子だけが持っていないと友人との間に差が生まれるのが怖い……」というご両親も多いことでしょう。
その場合は、「海外用のレンタルWi-Fi」が効果的です。そのWi-Fiにつなぐことでインターネット料金を定額とすることができ、費用を抑えることができます。ただ、レンタルした場合は子どもがWi-Fiの手続きを問題なくできること、恒常的につなげることの確認を忘れずに。
医療機関
海外で体調不良を起こした場合、お世話になるのが現地の医療機関です。修学旅行先が海外の場合は医療スタッフを同行させる学校もあるようですが、そのようなスタッフが同行しない場合はやはり現地の医療機関に頼らざるを得ません。
ただし、医療機関の支払いには要注意。日本のように健康保険制度も使用できなければ、そもそも言葉も通じない。適切な場所を「ここが痛いんです」などと伝えるのにも相応の言語力が必要です。
そのため、突発的な病気やケガなら仕方がないのですが、あらかじめ予想できるリスクは出発前、日本にいるうちに対応しておくようにしましょう。代表的なものが「歯医者」です。
「虫歯がある」「歯が痛い」「詰め物がとれそうだ」その場合は時間を作って歯医者に行き、治療しておくことを強くすすめます。日本であれば保険適用のうえ1,000円で終わるような話も、海外に行けば何十倍になる危険性も。実際に頻繁に海外へ行くビジネスマンの間では、長期出張の前に歯医者に行くことが常識だとか。
歯医者と同じように、ちょっと風邪をひいているという場合も注意しましょう。日常から使用している風邪薬は、現地の空港で没収されてしまうこともあるようです。旅行を楽しむためにも、引きかけている風邪や疲れは海外に持ち出さないようにしたいですね!
修学旅行費用が払えない場合はまず学校に相談を
今回は、修学旅行が払えない場合、旅行自体への参加はどうなるのか。また、払えない場合の対象法につきお伝えしました。以前は見過ごされていた未払い参加も、現在は厳しく不参加とする学校が増えているようです。
入学時からの積立ができなくても、いくつか方法はあります。
まずは学校に相談してみるようにしましょう。奨学金や教育ローンからお金を借りる場合は、利率と返済スケジュールにしっかりと気を配ること。利率の高いカードローンはあくまで「奥の手」です。修学旅行への参加に関しては、子どもの意見も聞いたうえで先々をしっかりと考えた方法をとることが大切です。
自分も子どもの頃に経験した、一生に何度もない学生時の修学旅行。生徒も両親も納得して参加できるといいですね!

AFP(R)認定者/…株式会社FP-MYS代表
FP-MYS代表。相続×FintechプラットフォームLettePla開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。
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