残価設定ローン(残クレ)とは?メリット・デメリットを徹底解説!

残価設定ローン(残クレ)とは?メリット・デメリットを徹底解説!

残価設定ローン

残価設定ローン(残クレ)のメリット・デメリットと注意点について

車を購入する際には、経済的に余裕があれば現金で一括支払いをすることも考えられますし、状況によっては全額をローンで支払う場合もあります。また、現金とローンを併用して頭金をいくらか支払って残りをローンにするなどのケースもあるでしょう。

このようなケースで活用できるものが、残価設定ローン(残クレ)です。残クレを利用する場合は、通常のマイカーローンと同じく頭金を差し引いた金額で契約できます。月々の支払いをできるだけ軽くしながらも、ハイランクな車にも手を出しやすいシステムといえるでしょう。

今回は残クレについて、そのメリットやデメリットを踏まえて詳しくご紹介します。

残価設定ローン(残クレ)とは?

残価設定ローン(残クレ)とは?

残価設定ローン(残クレ)とは、車両価格の一部を残価として設定し、支払いの最終回以外はその残価を差し引いた価格を分割払いするという仕組みのローンです。ここでいう残価とは、将来想定される下取り価格のことを指します。つまり、残クレとは下取り価格が保証されたローンのことであるといえます。

例えば、500万円の車で残価が100万だとすれば、最終回以外は500万-100万=400万を分割払いにして購入できます。ただし、最終回で支払うという点では残価もローンの一部のため、残価以外の部分をローンにできるという認識はしないようにしてください。

考え方としては、次の通りです。

例)車両価格500万円、残価100万円、60回払いの場合
500万円-100万円=400万円÷59回(初回~59回目の支払い)
+最終回100万円(60回目の支払い)

残クレを利用することで、最終回を除いては実質400万円の車と同じ額を支払うことになるため、当分は毎月の負担が軽くなり、ハイランクの車種にも購入しやすくなるのです。

最終回の支払いについては3つの選択肢があり、さまざまな要望に応えられるようになっています。それでは、残クレのメリットや最終回の支払いなどについて以下で見ていきましょう。

残クレを利用するメリット

残クレを利用するメリット

途中で乗り換えたい方にはメリット大

同じ車に10年以上乗り続ける方もいます。一方で、新しい車が出れば試してみたくなり、ローンを全額支払う前に乗り換えるという方もいるでしょう。

残クレでは、残価として設定した車両価格の一部を除いて分割にするため、購入する車種の割には比較的安価なローンで購入できます。残価は最終回で支払うため、途中で乗り換える場合には残価を支払う必要がありません。

つまり、新車を数年などの短いスパンで乗り換えたい方にとっては、非常にメリットが大きいローンだといえるでしょう。

無理のない購入が可能

残クレでは、契約時に頭金を支払うことと、残価(最終回の支払額)を決めることが特徴です。つまり、車両全額を分割にして支払うよりも、最終回を迎えるまでの月々の支払い負担が軽くなります。

また、金利的にもそれほど高くなく、銀行とあまり変わらないキャンペーン金利もあるため、総じて経済的に無理のない金額で希望する車種に乗れることがメリットです。会社員や公務員の場合はボーナス払いも併用できます。

最終回の支払い方法が選択可能

契約時に設定した最終回の残金をどうするのかについては、車をどのようにしたいかで変わってきます。プランによって以下の選択が可能です。

  1. 違う車に乗り換えたい(残価の支払い不要)
  2. 返却する(残価の支払い不要)
  3. 所有したい(最終回に一括or分割で残価を支払う)

残価の支払いが不要な選択肢があるため、多くの人にとってメリットがあるローンといえるでしょう。

下取り価格が保証されている

中古車市場は車種によって人気が異なりますし、数年後には新しいモデルのあおりを受けて価格が大幅に下がることも考えられます。その点、下取り価格が保証されている点はメリットが大きいといえるでしょう。

ただし、残価はローン最終回の支払額のため、保証された下取り価格で返却すれば最終回の支払いがそのままなくなるだけで、利益が発生するものではありません。

残クレを利用するデメリット

残クレを利用するデメリット

マイカーローンや他のローンと同様に、残クレにもメリットがあればデメリットもあります。

対象車種が限定されている

残クレは全ての新車で利用できるわけではなく、メーカーごとに対象車種が限定されています。希望する車種が残クレ対象の中になければ、残クレによる恩恵は受けられません。

最終回の残金の支払い

残クレでは、確かに毎月の支払額は安く抑えることができ、リーズナブルな価格でハイランク車種に乗ることができます。ただし、それは最終回を迎えるまでの話であって、乗り心地などを気に入って所有したいと思った場合は、最終回に残価を支払わなければなりません。一括の場合、相当な額になる可能性もありますし、残価を分割にすれば利息分がさらに増えることになります。

支払最終回が来たときに残価を支払う余裕がない場合は、そのまま所有したくても手放すことにもなりかねないでしょう。毎月の支払いが楽だからといっても、最終回の支払額を用意しておく必要がある点はデメリットといえます。

売却する場合はメンテナンスが必要

最終回でディーラーへの返却を選んだ場合は、保証された下取り価格で売却し最終回の支払いがなくなります。ただし、下取り価格はあくまでも車両に不備がなかったときの価格であって、傷や故障など明らかに修理が必要な状態であれば、保証価格で買い取ってもらえない可能性も十分あるのです。

下取り価格が保証されているとはいっても、必ずしもその価格になるとは限らないため、普段からメンテナンスや車の扱いには気をつけておく必要があるでしょう。

残クレの利用が向いている人とは

残クレの利用が向いている人とは

残クレでは、下取り価格(下取り時点の中古車市場の相場に左右されません)が保証されています。また、残価の支払いを最終回に据え置いているため、最終的な選択に自由度があります。つまり、ローンの途中で子どもが生まれて家族が増えたため、定員が多い車に乗り換えたいなど、ライフステージに合わせた買い換えもスムーズです。

新車に乗りたい

新車に乗りたい人

車好きの方の中には、流行の車や新しいモデルに頻繁に乗り換えたいという方もいるでしょう。車を下取りしてもらって最終回の残価を清算した上で、新たに残クレを組み直せばまた同じように残価を据え置いた返済を続けることも可能です。残クレを提供するメーカー各社によっては、3年・4年・5年などの短期間プランがありますので事前に確認してください。

また、他の売却方法で査定価格よりも高く売却できる場合は、現金一括でとりあえず買い取るという選択肢もあるでしょう。

走行距離が短い方はお得

走行距離が短い

実は下取り価格の保証には車両本体の損傷はもちろんですが、他にも走行距離の利用頻度なども保証条件の1つです。

例えば、普段は電車通勤であまり車を使用しないなど、年間走行距離が短い方はさらにお得なケース※もあります。ただし、残クレ各社ごとの所定の走行距離を超過した場合には下取り価格が減額され、差額を追加料金として支払わなければなりません。

また、年ベースの例では、1万Km/年間走行距離未満であれば(3年~5年)での新車への買替時に残クレの利用でキャッシュバックが可能などのキャンペーンをしているメーカー(残クレ)もあります。

このように残クレは毎月の返済が楽なだけでなく、他にもさまざまな独自のサービス(車両本体のメンテナンス)もあり販売店で事前に確認しましょう。

※「走行距離/借入期間が月ベースでの目安の参考例:1,000Km/月、1,500Km/月」および 「年ベースでの目安の参考例:4万Km/3年、5万Km/4年、6万Km/5年」など。

残クレを利用する場合の注意点

注意点

申込段階では、メーカー各社の残クレの内容に微妙な違いがありますが、「返済回数の違い※1、金利の違い※2」は特に注意したい点です。そして、カーリースなどと違い自動車を購入すること自体に変わりはないため、車検費用や自動車税などは随時支払いが必要になります。

また、残クレを提供するメーカー各社により表現の違いはありますが、最終回の残価にも契約当初よりの金利分が含まれていると認識しておきましょう。その他、販売店により残価設定金額も異なるため、Webサイトで事前に確認したモデルプランは参考程度にし、具体的な購入の意思がある場合は必ず見積もりを取って金額を確認しましょう。

※1.返済回数の違い:取り扱いローン各社により、同じ3年でも36回払いや37回払いなどがあるため、プランの見積もりの際には注意しましょう。

※2.金利の違い:メーカーごとのキャンペーン金利も魅力的ですが期間やその他の条件も注意してください。また、同じメーカーの場合でも販売店により違いがあります。

販売会社に車両の買い取り義務はなし

契約者にはその残価設定額の支払い義務が当然ありますが、実は販売会社には車両自体を買い取る義務はないのです。あくまでも義務がないというだけで、買い取ってもらえないという意味ではありません。

下取り価格保証と査定価格の関係

残クレでは、最終回の残価(保証された下取り価格)を据え置く点がポイントですが、保証された額のまま下取りしてもらうには条件が必要です。

その1つに走行距離があります。残クレ提供メーカー各社が特約で定めている走行距離を超えた場合には、超過1kmごとに5円などの超過分の金額が請求されます。また、下取りや買い取りの査定では、メーカーによってはそのボーダーラインが50点であったり100点(50点よりも細分化)であったりします。

査定に備えるには、法令点検やメーカー指定の整備点検などの継続が必要です。事故の修復履歴、過度な使用や違法な改造などは減点※の対象となるため、注意してください。

返却時の査定で売却価格が残価を下回る場合には、その差額を現金一括で支払う必要があります。ただし、車両に傷があっても保証されないというわけでもないため、最終的な査定のことを考えて、普段から大切に扱うようにしましょう。

※内・外装の減点基準の例:車種別の免責基準(10万円~20万円)や精算可能上限値(15万円~25万円)などを設定しています(超過の場合は1,000円×減点分/税別の修理費用が発生)。

契約終了時に今の車を乗り続けたくなったら

当初、残クレでの乗り換えプランで契約した車を契約終了時点では乗り続けたくなることもあるでしょう。こうしたケースでは、最終回の残価を基本的には現金一括で支払う必要がありますが、現金一括の支払いが難しいケースでは、再度クレジット(分割)契約も可能です。

ただし、残価を分割にするためには再審査が必要になり、審査が通ると借入申込時点での金利が適用されます。また、この場合の借入期間は各社で条件が異なるため、確認が必要です。

【例】

  • 当初の契約が5年のプランの場合は利用が不可
  • 最長で5年間
  • 通算で6年間の利用に限るなど

残クレとリース契約とは別物

繰り返し新車を乗れる点で勘違いされやすいものが車のリース契約ですが、残価設定ローンとは異なるため、注意しましょう。リース契約は購入ではなくあくまでもレンタルという位置づけです。

中には、2年(契約自体は5年など)の短期でも10年などの長期でも利用できるリースもありますが、基本的にはリース契約終了時に所定の状態にて車を返却する必要があります。下取り価格が保証されていることもなく、違う車に乗り換えたい場合は単に借りる車が変わるだけで、買い取ってもらって乗り換えるわけではありません。

また、リース契約には車検費用など諸費用も含まれていますが、その分残クレよりも毎月の支払いが高くなることも特徴です。

予算が少ない場合は残価設定ローン(残クレ)を選択肢に

今回は、残価設定ローン(残クレ)について、そのメリットやデメリットを踏まえてご紹介しました。

残クレでは、将来的な下取り価格を残価として設定し、残価をローンの最終回に据え置いて分割払いにできるため、最終回までの支払い負担を軽くすることができます。また、残価の支払いに関しては、

  1. 新車に乗り換える
  2. 返却する
  3. 所有する

の3通りの選択肢があり、1.と2.に関しては、保証されている下取り価格を残価に充てることができるため、実質残価の支払いが不要です。そのため、数年などの短いスパンで車を乗り換えたい方、家族構成や環境が変わったために乗り換えたい方などにはメリットの大きい仕組みといえるでしょう。

ただし、車の状態によっては必ずしも保証された下取り価格にはならないため、残クレの恩恵を最大限に受けるためには、普段から車を大切に扱うことが大切です。

欲しい車種があるけれど、予算の関係で手が出せない、さまざまな車種に乗ってみたい、ローンの途中で買い換える可能性がある、などさまざまな理由で車の購入に踏み切れていない方は、残価設定ローン(残クレ)の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

木村 正人
木村 正人

ファイナンシャル・プランナ-、CFP®、GLGカウンシルメンバ-
FP1-オフイス21 代表(http://fp1-office21.com/)

ライフプラン&マネ-に関するコンサルティングから金融・財務など法人まで、コンサルティングを行う。全国信用組合月刊誌、みずほリサーチ&コンサルティング専門書、そのほか「一般・経営者」向けコラムなど原稿執筆実績あり。

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