親の借金は子供が払うしかない?親の借金で損をしないための基礎知識

親の借金は子供が払うしかない?親の借金で損をしないための基礎知識

親の借金

親が抱えた借金で損をしないための基礎知識と対策について

「一緒に暮らしている親が借金を繰り返して返せなくなった」「亡くなった自営業の親が銀行からお金を借りているようだ」「借金癖が治らず母と離婚した父が亡くなったが、子供は借金を背負わなければいけないのか」

借金に関しては家族の中でもいろいろな問題が起こります。しかし、親が借金を返済できなくなった場合や、亡くなった親の借金を自分が相続することになった場合について、どんなことが起こるのか、どんなことをすればいいのかなど、知らない方が多いと思います。

そこで今回は、親が借金を返済できなくなった場合に、借金はその子供が払わなければならないのかについてご紹介します。

親に借金があることがわかったら

親が借金をしていることがわかったとき、ショックを受ける方もいるかもしれません。今まで借金に縁のなかった方であれば尚更でしょう。しかし、借りている本人は借金をさほど重大であるとは考えていない場合があります。借金に慣れると、お金を「借りて準備する」ということ自体が当たり前になってくるためです。借金があることを過度に指摘することは親の自尊心を傷つけることにつながる可能性もありますので、慎重に対応する必要があるでしょう。

親に借金があることがわかったら、まずはその借金がなぜ必要なのか、その理由を確認しておきましょう。パチンコやスロットなどのギャンブルのため、医療や介護の資金のため、年金が少なくて生活費が足りないためなど、借金といってもさまざまな理由があります。

また、借り入れ時の契約内容についてもよく確認しておきましょう。親の収入をもとにした無担保・無保証という契約になっている場合は、借金の返済が滞ったとしても、子供が代わりに立て替え払いをするような事態にはなりません。

親が借金を返せない場合、子供に影響はあるのか

例えば父親が借金をしていることがわかった場合、「いずれ子供である自分が借金返済の責任を負うことになるのだろうか」と心配になるのではないでしょうか。

しかし、基本的には借りた本人の責任で借金を返すことが前提になっているので、無保証人タイプの借り入れであれば、子供が借金の督促をされることはまずありません。

通常は、借金の返済ができなくなると、借りた本人(この場合は父親)が自分の財産を処分(売却)して借金を返済することになります。処分する財産としては、不動産が代表的です。

借家住まいであれば処分する不動産がないかもしれませんが、父親名義の持ち家に住んでいる場合はそうはいきません。借金返済のために財産を処分することとなれば、自宅を売る事態に発展することもあるでしょう。もちろん、自宅が母親や子供の名義であれば自宅を売る必要はありません。

父親が借金をしており、かつ自宅の所有者でもある場合は、借金返済が滞った際に家がなくなって引っ越しを余儀なくされる可能性があります。それが嫌な場合は、子供が借金の立て替え払いをすることになるでしょう。そのようなケースでは、親が借金をして返済できなくなった場合、子供にも影響があると言えます。

親の借金で子供に影響が出るケース

子供に借金の督促がいくのは、「親と子供が共同でお金を借りたことになっている契約」の場合、または「子供が親の連帯保証人になっている契約」の場合、そして「親の借金に子供の自宅を担保として提供している契約」の場合に限られます。

同居している、別居しているということは、基本的には督促に影響しません。借り入れ時の契約内容でどのような条件になっているかを確認すれば、明確にわかります。

親の借り入れの際に子供が署名をしていれば、親と共同で借り入れしたか、連帯保証人になったか、自宅を担保に物上保証したかのいずれかであると考えるのが適当でしょう。その場合、親が借り入れを返済できない場合は、子供が自分の財産を守るために立て替え払いすることになります。

親が借金を返済できない場合、家を売らなければならないのか

家を売らなければならない?

親が借金を返済できなくなった場合、誰か(誰でも構いません)のお金で親の借金を返済することができれば、財産を処分する必要はなくなります。借金の額が大きい場合は、自宅を処分せざるを得ない場合もあるでしょう。自営業の方で仕事関係のお金を借りている場合は、金額が大きくなりがちですので、家族が立て替えて返済するのは難しいこともあるでしょう。

家族が立て替えて払うときに注意したいことは、冒頭でも伝えましたが借金の理由です。パチンコやスロットなどのギャンブルでお金を借りている場合は、今後も本人が借金をする可能性が高いと考えられます。一度返済しても、家族にとっては二度目、三度目の立て替え払いが発生する懸念があります。

医療、介護、生活資金不足の場合は、そもそも生活が成り立っていないため、同居・別居の有無を問わず家族の支援が必要です。公的な資金援助や生活保護の受給申請などが必要になるかもしれません。

本人は家族に頼りたくないと考えているかもしれませんが、放っておくと後で家族に大きな影響が出てくることもあり得ます。借金の原因を早めに把握し、対策を練っておくことも重要です。

親の借金返済が滞った場合に備えて生命保険に加入すべきか

生命保険に加入すべきか

 

なぜ生命保険の話になるのかというと、実は借金と生命保険は密接な関係があるからです。例えば住宅ローンを借りる場合は、銀行が保険料を支払うことで生命保険に強制的に加入させる仕組みになっています。

会社でお金を借りる際は、選択制ですが借金を帳消しにする生命保険に加入することができますし、別途生命保険会社の死亡保険(生命保険)に加入することもできます。万が一、借金が返済できなくなった場合に、家族や会社に借金を残さないようにする仕組みがあるのです。

借り入れの方法によりますが、生命保険つきの借り入れであれば、親が亡くなっても借金は帳消しになります。もし生命保険がついていなければ、別途生命保険に加入するという選択も視野に入れるべきでしょう。注意点は、年齢が高くなるほど生命保険料が高くなること、一定の年齢を超えると生命保険に加入できなくなることです。

親が借金をしたときに連帯保証人になっている人はどうすればいい?

連帯保証人になっている人はどうすればいい?

連帯保証人になるということは、「借主が借金の返済ができない場合に、連帯保証人が責任をもって返済します」ということですから、借金の返済ができなくなったタイミングで、連帯保証人のもとに督促がきてしまいます。

そのため、親が借金をする際に、連帯保証人の欄に子供が署名していた場合、親の借金返済が滞ると連帯保証人である子供に督促がいきます。この場合、子供は借主である親に代わって借金を返済しなければなりません。借金の立て替え払いが嫌だからといって、連帯保証人をやめることはできないのです。

連帯保証人が借金の返済を行う場合、基本的には一括払いとなります。金額的に一括払いが難しい場合は、貸主との交渉の上で分割払いや減額といった「任意整理」を行う必要があるでしょう。まったく返済できない場合は自己破産の手続きを取ることとなります。

親の借金で損をしないための基礎知識

以下では、親の借金で子供が損をしないための基礎知識についてご紹介します。

親の借金を把握しておく

親の借金を把握しておく

親の借金で損をしないためには、親に借金があるかどうかを把握しておくことが大切です。しかし、教えてくれと頼んでもそう簡単に教えてもらえるものでもありません。どうしても教えてくれない場合は、常日頃コミュニケーションをとっておき、生活スタイルを把握したり、外出先を確認したりしておきましょう。そうすると、お金の流れも把握しやすくなります。銀行の通帳を見せてもらえれば、それがもっとも客観的な資料となりますが、積極的に子供に通帳を見せたい親がいるとも思えません。従って、日常の会話を通じて年金の額や生活費の額、生活費が足りているかどうかを確認し、情報の取得を心がけるようにしましょう。

普段から親との交流を図る

普段から親との交流を図る

「親が借金の返済ができなくなって初めて借金がわかった」「親が亡くなって初めて借金があることを知った」という家庭は珍しくありません。誰しも自分に借金があること自慢げに話す人はいないでしょうし、できれば他人には知られたくないものです。ましてや子供には伝えにくいでしょう。親も子供には迷惑を掛けたくないと思っていることと考えられるので、親が子供にいろいろと話せる環境になるよう、子供が意識することが必要です。いつでも親と会話ができるような関係を構築しておくことが非常に大切だと言えるでしょう。

親の借金の連帯保証人にはならない

親の借金で子供に影響が出るケース

連帯保証人になると、借金を借りた人が返済できなくなった場合に、借金返済の督促をされることになります。事前に借りた本人から連絡があれば心の準備もしやすいのですが、実際には突然銀行などの貸し手から連絡が来ることになります。そこで初めて借主が借金の返済に窮していること、しばらく返済ができていないことを知ることになるのです。もちろん、連帯保証人として署名し、契約書を取り交わしている以上、嫌とはいえません。

連帯保証人にならないことが非常に重要ですが、どうしても連帯保証人になることが必要であれば、借主である親の収入と資産状況、生活水準などを確認してください。親は情報を出したがらないかもしれませんが、連帯保証人になってもらうのに情報を開示しないという理屈はありません。連帯保証人の責任が借主と同様に重いからこそ、借主は誠意をもって情報を開示することが大切なのです。

最近は連帯保証人になってくれる人も減っているため、連帯保証人になってくれる企業(保証会社)にお金を払って、連帯保証人代行を依頼するケースが増えています。保証会社という言葉が借り入れのときに出てきたら、連帯保証人が必要ない仕組みでお金を借りることができる、と覚えておきましょう。

親の借金の物上保証人にはならない

親に借金があることがわかったら

物上保証人とは、借主が借金を返済できなくなったときに、借主ではなく自分の自宅などを処分していい、ということを承諾し、保証する人です。

連帯保証人と同じく、物上保証人にもならないことをおすすめします。親の借金の物上保証人になっている場合、親の借金返済が滞ったときに、自宅を売る事態に陥る可能性があるからです。

連帯保証人も物上保証人も、借主が返済できなかった場合に代理で返済することに同意する契約となります。

「手持ちのお金で代理返済する」連帯保証、「不動産などの財産を売却換金して返済する」物上保証は、多少の違いはあるものの、貸主を守るという目的において共通しているのです。

万が一、親から物上保証人になってほしいと頼まれたら、借金をする目的、使途、金額などをよく確認しましょう。そして、代理返済することが難しいと感じたら断ることをおすすめします。その場合、親には保証会社を使うようにすすめると良いでしょう。

親が借金をする予定がある場合は、団体信用生命保険への加入をすすめる

親が借金をする予定がある場合は、金融機関が提案してくる団体信用生命保険にはできるだけ加入するようにすすめましょう。この保険は、借主が亡くなった際に保険が借金を全額返済してくれる仕組みになっています。団体信用生命保険を活用すれば、親が亡くなったときに、相続で悩む必要が薄れます。

親の借金について心配なら借り入れ時の契約内容を確認しよう

今回は、親の借金を子供が払うしかないのかについて、また、親の借金で損をしないための基礎知識についてご紹介しました。

親の借金を子供が払うかどうかは、借り入れ時の契約内容によって異なります。親が借金をしていることがわかった場合、いずれ自分が返済の責任を負うことになるのだろうかと非常に心配になると思いますので、可能であれば借り入れ時の契約内容を確認させてもらいましょう。親の借金が、自分を含めた家族にどれだけの影響を及ぼすか知っておくことは、今後の対処法を考える上でも重要です。

また、親がこれから借金をすることがわかった場合には、借金をする理由を確認し、保証人が必要な場合は保証会社の利用をすすめたり、団体信用生命保険への加入をすすめたりするなど、事前に対策をとるのが有効です。親の借金で損をしないために、今回ご紹介した基礎知識をしっかりと押さえておきましょう。

高橋 成寿
高橋 成寿

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。

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