過払い金の相談は弁護士と司法書士どちらがおすすめ?相談先選びのコツ

過払い金の相談は弁護士と司法書士どちらがおすすめ?相談先選びのコツ

過払い金の相談

過払い金請求に適した相談先の選び方

普段から見聞きしないことに関して、ご自身で行動を起こすことは大変な勇気が必要です。過払い金の請求もその1つといえます。これまで苦労して返済してきた方にとっては報われる行動ですが、すべてを1人で行うと時間も労力もかかるため、仕事などに悪影響が出る可能性があります。

そのため、法律に関することは弁護士や司法書士などの専門家に頼んだほうが安心です。

過払い金に関する相談といえば、真っ先に弁護士や司法書士を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、結局どちらに相談すれば良いのかは判断が難しいところです。

そこで今回は、過払い金の相談をするなら弁護士と司法書士のどちらがおすすめなのか、また相談先選びのコツについてご紹介します。

過払い金請求の相談先でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

過払い金の相談はどこにすれば良い?

過払い金の相談はどこにすれば良い?

まず、過払い金の相談はどこで行えば良いのでしょうか?過払い金の相談は、弁護士、司法書士の他、弁護士会、地方公共団体が行う法律相談、法テラス、NPO団体などで行うことができます。

インターネットなどで検索して、近くの弁護士事務所や司法書士事務所を探す方法が一般的といえますが、敷居が高いと感じる方がいらっしゃるかもしれません。また、具体的にどの専門家が良いのか分からず、相談するところを決められない場合があります。

そうした場合には、弁護士会や地方公共団体の法律相談、法テラス、NPO法人を活用することを検討すると良いかもしれません。これらの違いに関しては、後述することにして、まずは弁護士と司法書士に相談する違いについて解説します。

過払い金について弁護士に相談する場合

過払い金について弁護士に相談する場合

過払い金に関して弁護士に相談する場合、弁護士または相談事務員に相談内容を伝えます。

無料相談を行っているケースも多いことから、話をしっかり聞いてくれそうかどうか、懇切丁寧に対応してくれそうかどうかを判断しましょう。

その後、実際に進める場合、費用がどれぐらいかかるのか確認してください。過払い金請求では、「着手金」と「成功報酬」を支払うことが一般的です。

着手金

着手金とは、事件(過払い金請求案件)の結果に関わらず、着手する段階で支払う報酬を指します。このような着手金は、弁護士事務所が相談依頼の解決に向けて活動するための対価と考えてください。着手金が一度にまとめて支払えない場合には、分割払いでもOKという事務所もあります。

着手金は、借入金額や借り入れを行った貸金業者の数によっても変動する費用で、おおよその目安としては、「貸金業者の数×1~3万円程度」としていることが多いようです。中には着手金無料という場合もあります。

成功報酬

成功報酬は、実際に過払い金返還に成功した場合に支払う報酬です。この成功報酬には、主に3種類あり、「解決報酬金」、「減額報酬金」、「過払報酬金」に分けることができます。

解決報酬金

貸金業者との事件(過払い金返還請求案件)が解決したことにより発生する報酬です。日本弁護士連合会(以下、日弁連)が貸金業者1社あたり2万円以下(商工ローンは1社5万円以下)にしなければならないとルールを定めています。

減額報酬金

貸金業者と交渉の結果、借金を減らすことができた場合に、減額に成功した金額をもとに算出される報酬です。

例えば、100万円の借金があった場合に、支払いすぎた利息が30万円戻り、実質的な借金が70万になったとしましょう。この場合、減額分は30万円となります。日弁連では減額報酬をとる場合には、減額分の10%以下としなければならないとルールを定めています。この減額報酬金は、必要な場合もあれば不要な場合もあるため、弁護士や司法書士の判断によります。

過払報酬金

回収できた過払い金をもとに算定される報酬です。日弁連では、訴訟せずに和解により回収した場合には回収額の20%以下、訴訟したことで回収した場合には回収額の25%以下になるようルールを定めています。

例えば、A社に100万円の借金があったが、訴訟の結果、100万円の借金がなくなり、かつ30万円の過払い金が返還できた場合を考えてみましょう。この場合の解決報酬金を2万円とし、減額報酬金は100万円×10%=10万円(上限)、過払報酬金は30万円×25%=7.5万円(上限)となり、最大で19.5万円が成功報酬になることが分かります。

過払い金が返還されるまでの流れ

過払い金請求に関して相談する際は、以上のような費用がどの程度かを聞き、納得した上で依頼しましょう。その後、取引履歴の開示を行い、過去の借金の状況を調べ、利息制限法に基づき、払いすぎた利息がどの程度あるかを計算します。

引き直し計算を行い、過払い金を算出すれば、過払い金返還請求を行う段階です。貸金業者から和解案の提示があった場合には、和解するかしないかを弁護士と相談しながら選択します。

和解できない場合は訴訟を起こすことになるため、別途費用が必要になります。和解もしくは訴訟により過払い金返還が実現すれば、その後指定した口座に交渉した過払い金が入金されます。

弁護士に相談するメリット

以上、弁護士に過払い金請求を依頼する費用や流れについて説明しました。

それでは、弁護士に相談するメリットには何があるのでしょうか。

個別の借金や過払い金の額に関係なく相談可能

貸金業者に対して返還を求める金額が140万円を超える場合には、弁護士にしか相談できません。明らかに金額が多額になる場合には、弁護士に相談し、最後まで貸金業者との交渉を行ってもらうことになります。

地方裁判所に提訴することで早期の過払い金返還が実現可能

140万円を超える過払い金返還訴訟では、簡易裁判所ではなく地方裁判所を利用します。地方裁判所への提訴を行った場合、訴訟に出席できるのは弁護士や債務者、貸金業者の代表取締役などに限定され、司法書士は出席できません。

貸金業者側も弁護士をたてる費用等を考慮すると、早く和解したいのがやまやまといえるため、債務者側に有利な和解案を持ちかけてくることも考えられます。その結果、早期の過払い金返還が可能となる場合があるのです。

納得いく金額が回収可能

司法書士の場合、140万円の壁が存在し、回収できる過払い金に制限がかかります。弁護士にはそうした制限はないため、特に過払い金が多額となる場合には、納得いく金額の回収を目指すことが可能です。

弁護士に相談する際の注意点

弁護士に相談する際の注意点は、弁護士とはいえども過払い金請求に強い弁護士もいれば、不慣れな弁護士もいることです。そのため、過払い金請求の実績がある弁護士かどうかを依頼前に確認しておきましょう。

コスト重視でいきたい方は、着手金無料、相談料無料をうたっている弁護士を探すことをおすすめします。ただし、成功報酬額がどの程度になるのかも確認したほうが良いでしょう。

また、弁護士の考え方によっては、どのように過払い金を回収するかが変わってきます。返金金額を重視しているのか、返金期間を重視しているのかで交渉内容も変わってくるのです。

弁護士が、金額と期間のどちらを重視するのか、または希望した対応をしてくれるのか、ホームページや電話などで確認しましょう。

過払い金について司法書士に相談する場合

過払い金請求の書類不足チェックなど専門的な観点を相談したい場合

取り扱える金額が弁護士と司法書士(実際には認定司法書士)では異なります。

司法書士は、140万円以下の過払い金返還請求の場合のみ対応可能です。

司法書士に相談するメリット

弁護士と比較して、司法書士には、過払い金請求の金額面に制限がありますが、司法書士に相談するメリットとしては、一体何があるのでしょうか。

弁護士に依頼するよりも費用が安くなる傾向がある弁護士に依頼するよりも費用が安くなる傾向がある

各事務所によって支払う費用は異なるため、一概にこうだとはいい切れませんが、弁護士に依頼する場合に比べて、司法書士に依頼したほうが費用を安く抑えられる傾向があります。借金額も140万円以下であり、あまり費用をかけたくないという場合には、司法書士に相談することを考えてみましょう。

過払い金請求の書類不足チェックなど専門的な観点を相談したい場合

ご自身で過払い金請求を行う場合、和解案など専門的な内容について、不安に思うことがあるのではないでしょうか。専門的な内容について、書類不足をチェックしてほしい場合は、司法書士に相談すると良いでしょう。

このようなニーズを持っている方は、弁護士よりも司法書士のほうが、ハードルが低く感じるのではないでしょうか。

和解により早期解決を目指したい場合

借入額が少なく、早く和解に持ち込みたい場合は、弁護士に依頼するよりも司法書士に依頼したほうが良いでしょう。過払い金返還請求に慣れている、ベテランの司法書士に依頼した場合、スムーズに手続きを行ってくれるため、早期解決を期待できます。

司法書士に相談する際の注意点

司法書士に相談する際の注意点は、過払い金返還請求できる金額に制限があることです。過払い金返還請求できる金額は、140万円以下となります。

過払い金返還請求の金額が大きい場合は、最初から弁護士に相談することをおすすめします。仮に過払い金が150万円ある場合、司法書士に依頼したら140万円以下で請求されてしまうといったトラブルも考えられます。

また、司法書士の本来の専門は、裁判所や法務局へ提出する書類の作成です。そのため、過払い金返還請求に関して、すべての司法書士が慣れているわけではありません。司法書士に過払い金返還請求を依頼する場合は、司法書士に実績があるかどうかを確認するようにしましょう。

過払い金の相談先選びのコツ

弁護士会に相談弁護士会に相談

過払い金請求における弁護士と司法書士の立場の違いについて解説してきました。この他にも、弁護士会や地方公共団体の法律相談、NPO法人に相談する方法があります。

ここでは、過払い金の相談先について紹介し、相談先選びのコツについて解説します。

弁護士会に相談

どの弁護士に相談して良いか分からない場合は、お住まいの地域の弁護士会に相談する方法があります。弁護士会に相談する場合は、過払い金返還請求の実績があるかどうか、クレジットや消費者金融の相談が可能かどうかを確認しましょう。

地方公共団体が行う法律相談

地方公共団体によっては、無料で法律相談を行っている場合があります。気軽に利用できるため、とりあえず相談してみたいという方におすすめです。ただし、必ずしも過払い金返還請求に強い弁護士や司法書士に相談ができるとは限りません。

法テラスに相談

法テラス(日本司法支援センター)とは、国が設立した法的トラブルに関する総合案内所です。経済的に余裕がない方向けに無料相談も行っており、必要に応じて弁護士費用や司法書士費用の立て替えを行ってくれる場合があります。具体的に、どこに相談すべきか相談窓口を知りたい場合に活用すると良いでしょう。

NPO法人に相談

NPO法人の中には、過払い金に関する相談を、無料で受け付けているところがあります。

ただし、相談を受ける方が、弁護士や司法書士ではない場合があることに注意しましょう。また、NPO法人は無料相談が可能な機関ではありますが、その後の依頼で費用を請求される場合もあるようです。

過払い金の返還請求を行うことが確定している場合は、弁護士や司法書士に直接依頼したほうが良いかもしれません。

過払い金の請求金額に応じて相談先を決めよう

今回は、過払い金の相談をするなら弁護士と司法書士のどちらがおすすめなのか、また相談先選びのコツについてご紹介しました。

弁護士と司法書士に、過払い金請求を依頼する際の違いは、請求金額が140万超か140万円以下かで線引きがあることです。弁護士の場合は、金額に関係なく相談できますが、司法書士の場合は、140万円以下の過払い金請求にしか対応していません。なお、請求金額が少ない場合は、司法書士に依頼したほうが費用を安く抑えられる可能性があります。

相談する専門家を決める際は、過払い金請求にかかる費用や、過払い金請求の実績など、さまざまなことを考慮する必要がありますが、まずは想定される請求金額によって、弁護士と司法書士のどちらに相談するかを決めましょう。

伊藤 亮太
伊藤 亮太

CFP(R)認定者
スキラージャパン株式会社取締役、伊藤亮太FP事務所代表

慶応義塾大学大学院商学研究科 経営学・会計学専攻修了。学生時代にCFP®資格、DCアドバイザー資格取得。2007年11月スキラージャパン株式会社設立に参画。取締役に就任。またその後個人事務所として伊藤亮太FP事務所を立ち上げる。独立系FPとして、金融資産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング・相続事業承継、保険見直し、金融機関等における講演など幅広く活動を展開、執筆業務も多岐にわたる。

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