介護費用を借り入れできる介護ローンとは?カードローンと比較してみよう
カードローンと比較!介護費用の借り入れが可能な介護ローンとは?
親族や身内の介護は、予期せず突然必要になることもあります。ある日を境に、急に日常生活の中に「介護」という務めが増えてしまったら、体力的・心理的負担のほか、金銭的な負担を強いられる場合もあるでしょう。
そこで今回は、急に必要となってしまった介護の費用をすばやく調達する方法についてご紹介します。一般的に金融機関などで設けられている介護ローンのほか、通常のカードローンと比較しながら、介護費用を借りるための情報を取り上げました。
高額になりがちな介護費用
同居の場合でも別居の場合でも、家族の介護を行うことになったら介護用ベッドや車いすをはじめとした介護器具、そして介護用紙おむつなどの消耗品が必要になります。
また、自宅の構造によっては、介護のためにリフォームをする必要が出てくる場合もあります。車いすでも部屋を行き来できるよう、扉を引き戸に変える、動線の幅を広く取る、手すりをつける、段差をなくすなどのリフォームが一般的です。場合によっては、車いす用エレベーターの設置を検討するケースもあるでしょう。
これらをすべて急いで整備するとなると、かなりの費用がかかります。
【自宅介護用品の価格の目安】
介護用ベッド | 10万~15万円 |
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ポータブルトイレ | 1万~10万円 |
車いす | 1.5万~40万円 |
【介護リフォームにかかる費用の目安】
屋内のバリアフリー化 | 400万~500万円 |
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手すりの取り付け | 1カ所あたり6~8万円 |
やはり、本格的に介護の設備を取り入れるとなれば数百万円単位での出費が必要になることが分かります。ただし、一部介護用品の購入には介護保険を適用できる場合がありますし、介護リフォームには補助金制度があります。
とはいえ、介護保険や補助金の対象となる費用も、いったんは全額支払うことが必要になってしまうもの。後でいくらか戻ってくるとはいえ、すぐにはお金を用意できずに困ってしまうケースも少なくないでしょう。
そんな介護費用を差し当たって用立てる際に役立つのが介護ローンです。
次の項目からは、さまざまな金融機関などでも展開されている介護ローンについて、詳しくご紹介します。
介護ローンとは?
介護ローンとは、融資金の使い道が介護関連の費用に限定されている、いわゆる目的別ローンの1つです。融資金は介護用品や機器類の購入やレンタル、介護を目的とした住宅の改修、介護施設やサービスを利用する費用に充てることができます。
介護ローンの利用条件は?カードローンとの違い
介護ローンを、要介護者本人が利用するケースは少ないと考えられるため、介護ローンは基本的に「要介護者の家族」が利用することを前提とした条件設定がされています。
ここでは、介護ローンの利用条件について詳しくご紹介します。
申込者の年齢
一般的なローン・クレジットと同様、「20~65歳まで」とされている場合がほとんどです。ただし介護ローンの場合、「完済のタイミングで満70歳未満/75歳未満」など、付帯条件が課せられる場合もあります。これは他のローンにはあまりない特徴ですので、利用を検討しているなら、ぜひ覚えておきましょう。
申込者の収入
こちらも一般的なローン・クレジット同様、安定した収入があって、借入金を返済する能力があると審査で判断された方が利用できます。
介護の必要な方がいるかどうか
また、介護ローンですから、身内や同居家族に介護を必要としている方がいることも条件となります。具体的には、保険などで「要介護」の状態にあると認定されている方がいなければ、介護ローンの利用はできません。
介護ローンで認められている使途
介護ローンですから、借入金の使い道は介護に関する費用(医療費を除く)に限定されます。
- 介護のための住宅改修(介護リフォーム)
- 介護用ベッドや車いすなどの介護用品・機器の購入またはレンタル
- 介護用消耗品(紙おむつや介護用衣類など)の購入費用
- 介護施設の利用費
- デイサービスなど介護支援サービスの利用費
- 介護関連施設に通う交通費
例えば上記のような出費に、介護ローンの借入金を充てることができます。
介護ローンのメリット
介護ローンは目的別ローンであり、利用する際には使い道が介護関連費用であるという証明が必要です。その分、一般的なローン・クレジットと比較して利用するメリットが多いという特徴も。
ここでは、介護ローンのメリットをご紹介します。
比較的金利が低い
一般的なカードローンの金利は年10~18%ほどと高めですが、介護ローンを利用すれば年3~8%と金利が低めに抑えられます。
長期間設定の借り入れプランが多い
介護は、長期間にわたって行わなければならない可能性もあります。そのため、介護ローンは返済期間が長めに設定されている場合があります。
一般的なカードローンの場合、長くても返済期間は5年ほどまでですが、介護ローンの場合は7年、10年などのプランが設けられていることもあります。
担保が不要
介護ローンは担保の設定が不要ですが、一般的なカードローンも基本的には担保が不要なため、この面での条件を比較すると特に変わりはありません。
介護ローンのデメリット
介護ローンは、急に介護が必要になったときなどに低金利での借り入れができるため、目的別ローンならではの優遇金利が生かされた便利なローンといえます。しかし、借り入れたい方の状況によってはデメリットが生じることも。
ここでは、介護ローンのデメリットについても詳しくご紹介します。
介護費用以外の目的では利用できない
介護ローンは、住宅ローンや自動車ローンなどと同様に、使途が明確でなければ借り入れできない目的別ローンの1つです。そのため、介護に必要となる家具や機器・消耗品などの購入や介護目的のリフォーム、介護施設の利用などに使い道が限られてしまいます。
ただし、病気や怪我の治療費など、医療費には使うことができませんので注意しましょう。介護と医療は切り離せない関係がありますが、現状では医療費に介護ローンの借入金を充てることはできない場合が多くなっています。
もし、介護にかかる費用のほかに医療費なども借入金の使い道に検討したいのであれば、使途の限定がないカードローンの利用を考えた方が良い場合もあるでしょう。
老老介護の場合は介護ローンを利用できないことがある
介護ローンは、突然必要になる介護費用を用立てることには適していますが、ローンですから申し込みには所定の手続きを行わなければなりません。ローンは借り入れる際に審査を必ず行いますし、審査を通過しなければそもそも借り入れ自体ができないこともあるでしょう。
ローンの審査では、借り主の返済能力について厳正な判断がなされます。例えば、近年では要介護者と介護する側の両方が高齢者である「老老介護」が社会問題化しています。このケースの場合、介護する側がローンの申し込みを行ったとしても、年齢や保有資産、安定した収入の有無などを考慮しても審査条件をクリアできない可能性が高いのです。
現に、老老介護のケースで介護ローンの審査を通過できる見通しはかなり薄いといわれています。
また、介護期間は短期間で済むとは限らないこともあります。最近では10年単位、十数年単位と介護期間が長期にわたるケースも決して少なくありません。介護が長引き、介護する側が高齢になってしまってからローンを利用しようとなると、利用が難しくなってしまうことも考えられるでしょう。
介護ローンには無利息期間を設けている商品がない
介護ローンのデメリットには、「無利息機関が設定された商品がほとんどない」という点も挙げられます。
自治体と提携した介護支援融資などには、介護する側が介護のため休職している場合に、職場復帰してから元本の返済を開始できる据え置き制度が設けられているものもあります。しかし、このケースであっても据え置き期間中に発生する利息分は継続して支払う必要があるのです。
当然、銀行や消費者金融が提供する介護ローンの場合も、無利息期間の設定はほとんどありません。
例えば、もし「介護保険での払い戻しを待たずに一括払いが必要で、一時的に足りなくなる費用を用立てたい」という理由で介護ローンを利用するケースがあるとします。その場合などには、一定の無利息期間があればとても助かるという人は大勢いるでしょう。
今後、介護需要の増加とともに急な介護資金を必要とする人が増えることを見越して、これらのサービスも充実していくことがさらに望まれます。
介護保険を適用するなどで長期での返済を考えていない場合には、一定の無利息期間が設けられたカードローンを介護ローンの代わりに活用するという方法で対処するのも一案かもしれません。
介護ローンの審査はカードローンよりも厳しい?
介護ローンも、一般的なローン商品と同様、所定の審査を行います。審査では借り入れる方の職業や年齢、勤続年数や居住年数のほか、預貯金・保有資産や家族構成などを見られる点も、他のローン審査と変わりません。
このため、基本的には介護ローンだから特別審査が厳しいということも、逆に審査が緩いということもありません。個人信用情報の調査なども行われますから、過去にローンやクレジットでの事故歴がある方は審査に通りにくくなる点も同様です。
とはいえ、1社で審査に通過しなかったとしても、他の金融機関では利用できることもあります。また、返済プランを変更することで審査に通過できる場合もあるようです。
介護ローンとカードローン……どちらがおすすめ?
ここまで、介護ローンと一般的なカードローンの違いについても、おおまかにご紹介してきました。それでは、ここでは介護ローンの利用が適している方と、カードローンなどを利用した方が良い方について具体的にご紹介します。
【介護ローンの利用がおすすめの方】
- ローン審査の条件に合っていて、介護費用以外の資金が必要となる予定がない
- 介護を始める必要はあるが、今のところ医療費などで高額出費を強いられるめどが立たない
【一般的なカードローンの利用に向いている方】
- 介護費用の範囲に入らない、細かな出費なども定期的に予定されている
- 今後介護費のほか、医療費などがかかってくることも予測されている
- 早期返済のめどが立っているので、一定の無利息期間が設定されているローンのほうが助かる
- 介護ローンの元利均等返済方式より、月によって多めに返済できるなど柔軟な返済方法を望んでいる
介護費用を必要とする方にも、それぞれさまざまな事情があるはずです。ですから、「○○な方は介護ローンが絶対おすすめ」「△△な方ならカードローンを利用するべき」とは、一概に言い切れない点もあります。
介護はデリケートな問題ですし、介護資金のためにローンを利用したいと考えるに至った理由も多様なはずです。どのようなローン商品を選定するかはあくまでケース・バイ・ケースだと思いますので、ご自身の状況をよく鑑みた上で最終的な判断を下しましょう。
また、忘れてはいけないのが、「介護ローンは基本、元利均等返済になる」という点です。「月々決まった額しか返せないよりは、余裕があるとき多めに返済しておくなど、柔軟に対応したい」と考えている方は、介護ローンではなく、繰り上げ返済も可能なカードローンなどを利用したほうが良いこともあります。
介護の長期化を想定してローンの利用や返済計画を考えよう
今回は、借入金を介護費用に充てられる目的別ローン「介護ローン」の概要と、一般的なカードローンごとの違いについて詳しくご紹介しました。
介護ローンはとても有用なローン商品ですが、「介護の必要が出てきても介護ローンを使えば良い」と安易に考えるのは禁物です。あくまで自己資金と公的な介護保険、そして民間の介護保険などを活用して、急な介護による経済的な負担を乗り切ることを前提に考えておいた方が良いでしょう。
介護は「終わりがない」と例えられることも多いものです。長期間の介護になることも想定し、しっかり資金計画を立てておくことをおすすめします。また、介護ローンやカードローンを利用するにしても、返済計画をしっかり立て、返済と介護生活の両立が可能かどうかなども考えておくよう心掛けましょう。

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役
慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。
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