医療ローン(メディカルローン)とは?審査は学生や無職でも通る?
医療ローンの審査基準とメリットとデメリットとは
日本では、健康保険に加入することが義務付けられています。健康保険は、病院での診察を3割負担(※1)で受けられたり、高額療養費制度を利用すると、高額な医療費の負担額を一定額に抑えられたりする非常に便利な存在です。
しかし、治療が長引いたり、健康保険外の手術などで医療費が高額になったりしてしまうと、どうしても医療費はかさんでしまいます。もし手持ちに医療資金がない場合はどうすれば良いのでしょうか。その際には、治療を諦める選択をするのではなく、ぜひ医療ローン(メディカルローン)の活用で治療を受けることを選択してください。
今回は多岐にわたる医療ローン(メディカルローン)についての金利や特徴、審査面についてご紹介します。
(※1)自己負担割合は年齢や所得により異なります。
医療ローン(メディカルローン)とは
医療ローン(メディカルローン)とは、病院での治療費や入院費、先進治療や不妊治療、レーシックなどで使用されるローンのことで、医療機関と提携しているクレジットカード会社と契約することにより利用できます。医療ローンを取り扱うのは医療機関ではなく、銀行や信販会社です。
ただし、医療ローンの申請は、信販会社や銀行だけでなく病院の窓口でもできます。
医療ローンといっても内容はさまざまで、人命に関わる治療に関する目的もあれば、最近では美を追究しての美容整形や医療脱毛、インプラントなどでも多く活用されるようになってきました。そのため呼ばれ方もさまざまで、「医療ローン」や「メディカルローン」、歯の治療でインプラントなどは「デンタルローン」などとして活用されています。
もちろんお金を借りる上ではカードローンのように資金目的を問わないローンに比べて、医療ローンのほうが金利は低い傾向にあります。
医療ローンを申し込むための必要書類は、ローン申込書、運転免許証などの本人確認書、資金の用途を証明する書類の写し、会社員であれば前年度の源泉徴収票、自営業であれば確定申告などです。借入額が50万円を超える場合には所得証明書も必要になります。
医療ローン(メディカルローン)の審査について
ローンを利用するためには審査を通過する必要がありますが、医療ローンの審査基準はどのように決められているのでしょうか。
以下では、収入の安定しない方や学生、無職でも審査が通るのかをご紹介します。
医療ローン(メディカルローン)の審査のポイントは?
審査基準は金融機関によって違いがありますが、基本はきちんと返済できるかどうかの返済能力の有無をチェックされます。
一般的なローンの審査基準と同様に、安定して継続的に収入が入るかどうかやきちんと返済できるか、過去に延滞がないかなどの信用情報を確認されます。また、勤続年数が長期間、他に多額の負債をかかえていないことなども審査に通る上でのポイントです。
医療(メディカルローン)の審査では、借入額が高くなるほど審査は厳しくなる傾向があります。また、金利も金融機関によって違いますが、金利の低い銀行系の金融機関を選択する場合は審査がかなり厳しいものとなるでしょう。
美容系などで借入額が50万円以下の信託系金融機関であれば審査は通りやすいようです。
医療ローン(メディカルローン)の審査は学生や無職でも通る?
比較的審査は通りやすいため、学生でもアルバイトなどで定期的な収入がある場合には審査に通る可能性があります。しかし、収入がない学生や無職などの場合には、本人名義での審査は通りづらいでしょう。
また、美容系などで医療ローンの利用を検討している未成年の学生の場合、保護者に隠して申し込みをしたい方もいると思います。しかし、保護者に隠して申し込みをすることは基本的にできません。
なぜなら、18歳未満の高校生などの場合、申し込みは保護者名義でなければならないからです。18歳以上になると自身での申し込みも可能ですが、20歳未満の場合でも保護者が保証人として必要なケースがほとんどのため、保護者に隠しながらこっそりと医療ローンを組むことはできないと考えてください。
このように、一般的なローンと同じような審査基準があるため、審査には時間がかかります。
病院への支払期日までに余裕がなかったり、医療ローンの審査に不安があったりする方は、初めから、もしくは同時並行としてカードローンへの申請もしておいたほうがスムーズにことが進むでしょう。
医療ローン(メディカルローン)で審査落ちしたらどうすればいい?
医療ローンの審査に1度落ちてしまった場合には、すぐに別の金融機関に申し込みをしても多くの場合は否決されてしまいます。審査に落ちたからといって安易に何社も申し込みをすると謝絶履歴もたくさん残ってしまうため、もう一度医療ローンに申し込む場合には一定期間はがまんしてから、再チャレンジされたほうが良いでしょう。
医療ローンは低金利であるために審査面でも厳しいです。審査に落ちた場合は、半年か1年ほど経過してから個人信用情報などを確認した上で、再度申請をすることをおすすめします。
医療ローン(メディカルローン)の金利
用途を医療に限定した目的別ローンだけに、一般的なカードローンと比較すると金利は低いです。ただし、銀行系と信販系で金利水準が違います。受診する段階から医療機関を選択できるようでしたら、リサーチしてから受診するのも一案です。
医療ローン(メディカルローン)の金利相場は?
銀行系の医療ローンでの金利は、年5% から年10%ほどです。
各金融機関によっての違いはあるものの、信販系よりも銀行系のほうが金利水準は低い傾向があります。
医療ローン(メディカルローン)の金利の上限は決まっているの?
医療ローンの金利では、貸金業法で金利の上限が定められています。
貸金業法が2010年6月18日に完全施行して以降は、金利が上限20%を超えていると行政処分の対象になります。
貸付額に応じても行政処分の対象となり、借入額が10万円未満であれば20%、10万円以上100万円未満であれば18%、100万円以上であれば15%が上限とされているため、万が一にこの上限金利を超えていないかも確認してから申し込みましょう。
医療ローン(メディカルローン)のメリット
医療ローンを活用する1番のメリットは、治療が長引いたり高額治療を受けたりする際に、手元にお金がなくても医療資金の準備ができることです。
特に人命に関わるような場合には治療にはタイミングが重要です。手元に医療資金がない場合には治療を諦めるのではなく、ぜひ医療ローンを活用して治療を受けてください。
手元にお金がなくても治療を受けられる
人はいつ病気になるか分かりません。もし家族や自分が重い病気になってしまった場合には、保険が利かないなどの高額な手術でも治る見込みがあればきっとトライするかと思います。手元にお金がない場合、医療ローンは大事な資金準備手段の1つとなるでしょう。
病院でスムーズに手続きができる
医療ローンは病院が金融機関と連携しているため、手続きに手間がかからないというメリットがあります。病院の窓口でそのまま手続きができるため、自らの足で金融機関に医療ローンの申し込みに行く時間が必要ありません。
特に、緊急に入院して自由診療のオペの必要性が出てきた場合などは、他の借入先を探すことは難しいため、その場で手続きができる点もメリットと言えるでしょう。
分割で支払いが可能
本来であれば治療代金は一括で支払わなくてはなりませんが、医療ローンを組むことによって、分割で返済していくことが可能となります。
利息の負担を軽くすることが今後の返済にも大きく影響してきますので、同じような医療サービスを利用する際には、提携金融機関の金利が少しでも低いところを選びましょう。
貯蓄を将来のために取っておける
「独身時代に貯蓄をある程度はしていたけれど、高額な治療費を払うと手元にほとんど残らない」という状態では今後の生活にも不安を覚えてしまうでしょう
その場合には、多少金利はかかりますが、医療ローンを活用し、手元に貯蓄をある程度残すことも可能です。
保険適用外の医療行為に利用できる
医療といっても治療もあればレーシックや美容整形、インプラントなどの保険適用外の医療技術も多数あります。
医療ローンは、医療行為であれば、保険適応外の医療行為でも利用できる可能性のあるローンです。そのため、病気を治すためにも、美容整形や医療脱毛など、身体のコンプレックスを治すためにも利用できます。
医療ローン(メディカルローン)のデメリット
医療ローンのメリットをご紹介しましたが、医療ローンにはデメリットもあります。
代表的なデメリットとしては、医療ローンの審査時間がかかりやすいことや、何よりも返済していく負担などが挙げられます。その他も、以下で詳しく確認しましょう。
ローン審査に時間がかかる
医療ローンは、資金の使途を問わないカードローンに比べると、審査が若干厳しく、時間もかかる傾向にあります。そのため、どうしても融資までに時間がかかってしまう点がデメリットと言えるでしょう。
時間的に余裕があれば医療ローンに申し込んでも問題ありませんが、急ぎの場合にはカードローンを利用したほうが手続きもスムーズで数日中に支払いができます。
状況によって、どちらを選択すれば最適かをしっかりと検討してください。
銀行系金融機関での医療ローン(メディカルローン)の審査
借り入れの申し込みをする銀行口座を持っている場合は数日で済みますが、口座がない場合には仮審査の結果を受けてから普通預金の口座開設も必要なため、1~4週間ほどかかります。
信販系金融機関で医療ローン(メディカルローン)の審査
金融機関によっても違いがありますが、早いと2、3日~1週間ほどで済みます。
病院を転院する場合には全額返済の可能性も!?
治療で入院するために医療ローンを活用した後、その病院で医療行為を受けている間に何かしらの理由で、病院が自分に合っていないと感じて転院を希望した場合、医療ローンの返済はどうなるのでしょうか。
病院で医療ローンを組んだ場合には、転院と同時に借りたお金を全額返済しなければならない場合もあります。
医療ローンの利用前にはこのような際にどうなるのかなどもしっかり確認しましょう。
返済計画を立てないと家計が圧迫してしまう
自由診療の高額治療をした場合などは、借りた後の返済が特に大変です。
治したい一心で借り入れた後に家計が圧迫して生活ができなくなってしまわないよう、適切な返済計画を立てる必要があります。
自由診療の治療以外に、別の病院で健康保険が利く治療はないか、自治体の助成金はないかどうかなど、最新情報を確認することで助成の対象になる場合もあります。現在では、セカンドオピニオンサービスで医療サービスのアドバイスも受けやすくもなっているため、最善の方法をしっかりとチェックしましょう。
人命に関わる治療の場合はやむを得ないとしても、美容整形やインプラント治療などの場合は見送る選択肢もあります。
審査が通って「借りられたから安心」では、後々後悔してしまうかもしれません。お金を借りた後は返済をしなければならないため、毎月の返済額なども踏まえて最終どうするのかをしっかりと考えて医療ローンの利用を検討しましょう。
クレジット会社を選べない
医療ローンは、各医療機関が提携しているクレジット会社と契約して利用できるようになっています。そのため、利用者はクレジット会社を自由に選ぶことができません。
医療ローンの金利を銀行系と信託系で比較した場合、一般に銀行系のほうが低い傾向がありますが、病院と提携しているのは大半が信販系であるため、病院によっては、低い金利で利用できないこともあります。
医療ローン(メディカルローン)の審査は厳しめ
今回は多岐にわたる医療ローン(メディカルローン)についての金利や特徴、審査面についてご紹介しました。
医療ローンは、通常のカードローンと比べると金利が低いことがメリットです。しかし、その分審査が厳しく時間がかかってしまうため、融資が遅くなるといったデメリットも存在します。特に、銀行系の医療ローンの場合はこれが顕著に表れるでしょう。
今すぐ医療費が必要で手元にまとまったお金がなく、医療ローンの審査に通るか不安という方は、銀行系よりも信販系の医療ローンを選択したほうが金利は少し高くなるものの、審査も多少通りやすく、融資時期も早くなります。
それでも審査が厳しいようであれば、カードローンという選択肢も併せて考えたほうが良いかもしれません。医療ローンに限らず、金利が少しでも低い金融機関を選ばれたほうが無理のない返済ができるでしょう。
医療ローンで一時的に医療費がまかなえても、借り入れた後は返済がスタートしますので、まずは治療であれば他の治療の選択肢はないか、助成金はないかなどを調べてより良い選択をしていくべきです。
医療ローンはあくまでも借金であるということを忘れずに、借りる場合にはしっかりと返済計画を立てて返済をしてください。

CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランナー技能士
株式会社K’sプランニング 代表取締役社長
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事
大手損害保険会社で事務企画や本店営業を経験後に2010年にFPとして独立。女性の視点も踏まえたお金のノウハウをセミナーや企業研修にて延べ3,000人以上の方々に伝授。家計相談を中心とした個別相談やマネー情報等の執筆でも活動中。
著書:「小学生にもわかるお金のそもそも事典」
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