高校の授業料の平均は?授業料の免除や学費が払えないときの対処法

高校の授業料の平均は?授業料の免除や学費が払えないときの対処法

勉強する高校生の女の子

高校の学費はどのくらい必要?授業料を免除するには?

小学校や中学校は義務教育のため、公立の場合は授業料がかかりませんでした。では、高校へ入学すると、授業料はどのくらいかかるのでしょうか。

高校は義務教育ではないといっても、中卒で社会に出る人は現代では珍しく、親としても子どもを高校までは卒業させてあげたいと考えるものです。

そこで今回は、高校の授業料や授業料の免除、学費が払えないときの対処法についてご紹介いたします。

公立高校(全日制)の授業料の全国平均額

文部科学省が公開している平成28年度子供の学習費調査、調査結果の概要によると、公立高校の授業料の平均額は23,368円です。

では、この授業料を免除してもらったり、支援してもらったりすることはできるのでしょうか。また、授業料以外の学費はどれくらいかかるのでしょうか。

公立高校の授業料に関する法改正と就学支援金について

平成26年3月以前の公立高校入学者について、授業料は原則不徴収(無償)となっていましたが、法改正により原則、入学者に授業料の負担が発生することになりました。ただし、平成26年4月以降の高校入学者に関しては、国立、公立、私立を問わず、一定の所得条件を満たせば就学支援金が支給されます。一定の所得条件とは、市町村民税所得割額が304,200円未満の世帯であり、例えば、両親のどちらかが働き、子どもは高校生1人と中学生1人がいる4人世帯の場合、年収約9,100,000円未満の世帯が該当します。

支給額は公立高校全日制の場合、月額9,900円で、年間総額は118,800円です。公立高校の授業料は年間118,800円ですから、所得条件等を満たし就学支援金が支給されれば、実質授業料は無料となります。就学支援金は現金等で直接生徒や保護者が受け取るのではなく、学校に直接支払われます。

就学支援金を受給するためには、入学時の4月、申請書や市町村民税所得割が確認できるもの等を学校に提出します。収入によっては支援金を受けることはできません。なお、虚偽の記載をした場合、刑罰に処される場合があります。

公立高校(全日制)の学校教育費の全国平均額

授業料のほかに、修学旅行や遠足、学校納付金等、図書・学用品費、通学関係費などを含めた「学校教育費」の平均は、年間275,991円です。

授業料以外の学校教育費の内訳は、修学旅行・遠足・見学費が34,892円、学校納付金等が49,762円、図書・学用品・実習材料費等が40,662円、教科外活動費が44,276円、通学関係費が79,157円、その他が3,874円という結果になっています。

公立高校は、自動的に最寄りの学校へ通うこととなる公立小・中学校とは異なり、校風や教育方針、進学実績や専攻する学科・コースの有無により学校を選ぶことが多いので、必ずしも最寄りの学校に通うとは限りません。電車やバス等で通学する場合も多いため、学校教育費のうち通学関係費用が一番高くなっています。

公立高校(全日制)の学校外活動費の全国平均額

文部科学省、平成28年度子供の学習費調査、調査結果の概要によると、公立高校の学校外活動費は平均で年間174,871円です。学校外活動費には、学習塾や家庭教師、通信教育、参考書代といった補助学習費と、習い事やスポーツ活動などのその他学校外活動費が含まれます。

費用の内訳は、補助学習費が平均で142,702円、その他学校外活動費が32,169円と、補助学習費の割合が8割以上となっています。また大学進学に向け受験があることから、学年が上がるごとに補助学習費が上がる傾向にあります。

公立高校(全日制)の学費は3年間で合計いくら?

公立高校の学校教育費と学校外活動費を合計すると、年間平均450,862円となります。月額換算すると37,572円、高校に入学してから卒業するまでの3年間の学費を合計すると1,352,586円が全国平均額という結果になります。

私立高校(全日制)の授業料の全国平均額

上述の平成28年度子供の学習費調査、調査結果の概要によると、私立高校の授業料の全国平均額は271,835円です。同年度の公立高校の授業料全国平均額23,368円に比べると10倍以上の金額となっています。

ただし、私立高校の授業料は地域や運営者による金額差が大きいため、一律270,000円程度となるわけではありません。さらに授業料が安い学校もあれば、全国平均額をはるかに上回る授業料が必要な学校もあります。

東京都における私立高校(全日制)の授業料

前述の私立高校の授業料は、全国平均額です。私立高校の授業料は地域によって金額に大きな差があり、東京都は全国平均に比べると高額です。

東京都の「都内私立高等学校(全日制)の学費の状況」によると、平成30年度の平均授業料は、455,345円で、全国平均のおよそ1.7倍となっています。授業料だけでなく、入学金や施設料も全国平均より高い傾向にあります。

また、平成30年度において授業料を前年より値上げした学校は43校、値下げした学校が4校、据え置いた学校が183校あり、都内の私立高校全体では1.4%程度値上げされました。この調査は毎年行われており、授業料は毎年値上げされる傾向にあります。

私立高校(全日制)の学校教育費の全国平均額

私立高校の学校教育費は、平均で年間755,101円です。学校教育費の内訳は、前述の通り授業料が271,835円で学校教育費のうち36%を占め、次に入学金や施設費などの学校納付金等が228,864円で学校教育費のうち30.3%、通学関係費は109,048円で14.4%を占めます。学校教育費について公立高校と比べると、私立高校は2.74倍ほど高くなっています。

私立高校(全日制)の学校外活動費の全国平均額

平成28年度子供の学習費調査、調査結果の概要によると、私立高校の学校外活動費は平均で年間285,067円です。学校外活動費の内訳は、補助学習費が年間平均230,103円、その他学校外活動費が54,964円です。

公立高校と同様に、学年が上がるごとに補助学習費用が増える傾向にあります。補助学習費の内訳は家庭内学習費、家庭教師費、学習塾費、その他とありますが、学習塾の費用が最も多く年間平均171,462円と、補助学習費のうち75%を占めています。

私立高校(全日制)の学費は3年間で合計いくら?

私立高校における学費は、年間平均1,040,168円です。月額換算すると86,680円、高校卒業までの3年間の学費を合計すると、3,120,504円かかるという計算になります。

私立高校の授業料免除について

所得条件等を満たせば、私立高校に通う場合も高等学校等就学支援制度により月額9,900円の支援を受けられます。しかし、私立高校の授業料は公立高校の10倍以上となることも多く、この支援額だけでは足りない場合がほとんどです。そのため、私立高校の場合は、収入が一定金額を下回るとき、就学支援金が加算されます。

また、高等学校等就学支援制度とは別に、都道府県等が収入等に応じて独自で実施する授業料減免制度があります。家計の急変や学び直しの支援として、奨学給付金や授業料の減免などが受けられます。

高校の学費が払えないときの対処法

膝をついて悩む高校生の女の子

私立高校の授業料は高額です。ここまで見てきた通り、入学金や施設料、授業料、寄付金、通学費、クラブ活動や学校外活動など、さまざまな費用がかかります。また、私立高校の場合、学校指定の制服やカバンが一流ブランドの製品という場合もあり、公立に比べると高額となります。制服は1着だけで良いわけではなく、夏用と冬用合わせて2着~4着は準備する必要があります。

高校の学費を払えず、滞納したからといってすぐにでも学校を辞めなければならない、といったことはありません。しかし、高校は義務教育ではありませんので、学費を滞納し続けると、保護者へ督促の電話や郵便が届き、悪質な場合は退学や除名処分といった場合もあります。退学や除名までにはならなくとも、子どもが肩身の狭い思いをすることは事実です。

最悪の事態にならないように、払えないと分かった時点で早めに対処することが大切です。ここでは、学費が払えないときの対処法についてご紹介いたします。


まずは学校に相談する

資料を広げて説明する女性

授業料が支払えないとき、まずは通っている学校の総務や経理部に相談してみましょう。家庭の事情などを考慮し、奨学金や支援金などの制度を教えくれます。また、学費の支払いを少し待ってくれたり、分割での支払いなど家庭の事情に合わせて考慮してくれたりする場合があります。

高校では学費に関する相談を日々受けており、学費の支援体制も整っています。ですから、困ったときにはまず、学校に相談してみると良いでしょう。

支援金や給付金などの制度を利用する

父親と娘

先ほどもご紹介した通り、子どもが高校に通う家庭で、市町村民税所得割が一定金額を下回る場合、高等学校等就学支援金が加算されます。生活保護世帯や住民税所得割が非課税の場合は年額297,000円、住民税所得割が85,500円未満(年収の目安は350万円以下)の家庭で年額237,600円、住民税所得割が257,500円未満(年収の目安は590万円以下)の家庭で年額178,200円が加算されます。

なお、記載した年収額は目安の金額です。家族構成などにより異なり、扶養家族が多いほど、高等学校等就学支援金の加算対象となる所得制限が緩和されます。

また、各都道府県が行う高校生の奨学を支援する事業として、高校生等奨学給付金があります。この給付金は低所得者世帯を対象に、授業料ではなくそれ以外の教育費の負担を減らすもので、市町村民税所得割が非課税世帯の場合、全日制の公立高校なら年額80,800円、全日制の私立高校は年額89,000円、第2子以降の場合、公立高校で129,700円、私立高校で138,000円が給付されます。給付金の用途は、教科書費や教材費、通学用品費、生徒会費、PTA会費、修学旅行費など幅広く利用できます。

奨学金制度を利用する

教室の机と椅子の模型

奨学金制度はさまざまな団体が実施しています。

日本教育公務員弘済会は、就学意欲がありながら家庭の事情等で学費の支払いが困難な高校生を対象に、奨学金の給付事業を行っています。受給人数に制限がありますが、委員会の選考を通過すると500,000円を上限に給付を受けることができます。

あしなが育英会は、親を亡くしている子どもや、病気やケガで働けない親を持つ子どもの就学を支援するため、奨学金制度を実施しています。国公立と私立の違いにより金額が異なり、奨学金の貸し付けと給付が受けられます。貸し付け部分は20年にわたり、無利子で返済できます。

交通遺児育英会も貸し付け型の奨学金を実施しており、交通事故で親を亡くした子ども、交通事故によって親が障害者となった子どもの就学を支援する奨学金です。借入金額は月額20,000円、30,000円または40,000円の中から選ぶことができ、金利は無利子です。

社会福祉協議会の奨学金は、就学で必要なお金を生活福祉金として無利子で借りられるもの。利用する場合はお住まいの市町村役場で相談し、社会福祉協議会の審査を受ける必要があります。

親族に援助の相談をする

相談する女性

ご両親との関係が良好な場合は、子どもの学費を援助してもらえるか相談すると良いでしょう。教育目的の資金であれば、子ども1人につき15,000,000円までは非課税で贈与できるため、かわいい孫のためにと援助してくれるかもしれません。

しかし、そんな余裕はないと断られる場合もありますし、学費が払えないことを心配し家族は必ず理由を聞いてくるでしょう。やむを得ない事情ならば手助けしてくれるかもしれませんが、内容によっては援助してもらえない場合もあります。援助を求めるより借り入れするほうが交渉しやすい場合もありますが、なるべく早く返さないと親族といえども信頼を失います。

国の教育ローンを利用する

眼鏡をかける豚の貯金箱

日本政策金融公庫が運営する、国の教育ローンを利用しても良いでしょう。借り入れ可能金額は子ども1人につき3,500,000円で、返済期間は15年以内です。金利は固定金利で、平成29年11月時点では1.76%と低金利で借りることができます。

利用には収入等の条件があり、子どもが1人の場合は原則世帯年収7,900,000円以下、子どもが2人の場合は世帯年収8,900,000円以下、3人の場合は9,900,000円以下となっています。なお、お勤め先の勤務年数により収入条件が緩和されるため、日本政策金融公庫に問い合わせてみると良いでしょう。

申し込みから融資までは3週間程度かかるため、利用する場合は早めに手続きをしたほうが良いでしょう。

カードローンを利用する

財布からカードを取り出す場面

緊急でお金が必要なときは、カードローンを利用する方法があります。

「借金」、「ローン」という言葉に対して、何となく怖いような、後ろめたいようなイメージを持たれる方がいると思いますが、「借り入れ」や「ローン」は決して悪いものではなく、必要に応じて賢く利用するべきだと思います。

カードローンは手間がかからずスムーズにお金を借りることができます。保証人も不要なため、周囲の人に知られることなく借り入れできるため便利です。

カード会社によって所要時間に差はありますが、30分程度の簡単な審査で借り入れ可能なため、子どもの学費で急な出費がある場合でも安心です。また、融資までの期間が比較的短いため、奨学金や教育ローン等の審査が下りるまでのつなぎとしても利用できます。

金利は年利2%から18%程度とカード会社により異なりますが、借りた日にちの分だけ利息がつく仕組みです。借入期間が短く済めば、利息は大きくなりません。例えば、100,000円を金利15%で2週間借りた場合の利息は、100,000円×15%×14日/365日=575円です。さらに、カード会社によっては、最初の30日以内に返済すれば、金利がかからない会社もあります。

高校の授業料や学費が支払えないときは免除制度やカードローンの利用を

今回は、高校の授業料の平均と授業料の免除制度、学費が払えないときの対処法などについてご紹介しました。

高等学校等就学支援制度により授業料の援助が受けられるとはいえ、高校にかかる費用は高額で支援金だけでは足りない場合があります。学費が高くて払えない場合、高校は義務教育ではないため、最悪、辞めなければならないでしょう。

高校の学費が払えない場合は、まずは学校に相談することが大切です。支援金や給付金のアドバイスをしてくれる場合もありますし、学費の分割払いなどに応じてくれる場合もあります。

しかし、支援を受けることを待ってはいられない状況があるかもしれません。そんなとき、カードローンは緊急な借り入れができるため便利です。借入期間が短ければ利息もそこまで大きくなりませんので、急な出費のときには助かります。なおカードローンを利用する際は、計画的な利用を心がけましょう。

富田 浩司
富田 浩司

ファイナンシャルプランナー AFP/富田FP事務所 代表

ゴールドマン・サックスでの勤務経験のある独立系ファイナンシャルプランナー。
防衛省陸上自衛隊、国内大手電気会社、外資系証券会社、独立系コンサルタントの経験を経て、2007年(株)フォーチュンフィールドを設立。富田FP事務所所長として、資産運用や家計の見直しセミナー、コンサルティング業務、マネー情報に関する執筆活動を行っている。設立から12年、「家計と企業財務の健康促進パートナー」をモットーに顧客の資産形成および収支改善に向けアドバイスを行っている。
著書:『子育てママのためのお金の教室 実況中継』、『「稼ぐFP」の作り方:ネット社会を生き抜く新しいFP戦略とは』

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