子供の借金は親の責任?息子の借金が発覚したら肩代わりすべき?

子供の借金は親の責任?息子の借金が発覚したら肩代わりすべき?

子供の借金は親の責任?

子供が借金していた場合の親の責任と対処法とは

親の返済責任は?

子供が払えなくなった借金は、「親であれば代わりに払わなければいけない」と考えている方は多いと思います。しかし、親だからという理由だけで借金を肩代わりする必要は、基本的にはありません(例外もありますが、詳しくは後述します)。

ただ、子供が借金を抱えているのに何もしないということに違和感を覚える親御さんも多いでしょう。法律上の返済義務はなくても、子供から借金の肩代わりを頼まれたらなかなか断れないのが親心というものです。しかし、親御さんが経済的に余裕のある場合は大丈夫でも、余裕がないときは共倒れになりかねません。

そこで今回は、子供の借金をどこまで親が責任を持つのかについてご紹介します。

息子や娘の借金が発覚!親の返済責任は?

子供の借金を、親御さんが肩代わりして支払っている事例は多数あります。子供が成人しているかどうかにもよりますが、基本的に親御さんには返済義務はないので、子供自身が借金を返済すべきです。もちろん、わが子が将来困らないように助けてあげたいという気持ちも分かりますが、甘やかし過ぎると子供のためにもなりません。

すぐに借金を肩代わりするのではなく、まずは 「なぜ借り入れをしたのか?」「どのようにして返済する計画だったのか?」 などについて、子供に聞いてみましょう。借金を安易に肩代わりするより、どうすれば子供が返済できるのか一緒に考えてあげて、そのサポートをした方が良い結果につながります。わが子が同じ過ちを繰り返さないように、的確なアドバイスをしましょう。

未成年の子供が借金していたときの対処法

先ほど、親には子供の借金の返済義務はないと申し上げました。それでは、自分の子供が未成年で親の同意がないのに借金をしてしまった場合は、どのように対処すべきでしょうか?

おそらく、親と同居している子供が借金をすることはあまりないと思います。しかし、子供が一人暮らしをしている学生であれば、借金をしてしまう可能性は充分に考えられます。本人はアルバイトの稼ぎなどで、問題なく借金を返済できると思ったのかもしれませんが、現実はそう甘くありません。

借金には利息もかかりますし、借り入れに関することを正しく理解していないと、途端に返済に行き詰まります。そうなると親に泣きつくしか術がなくなり、親はこの段階でやっと子供が内緒で借金をしていることに気が付くのです。

以下で、未成年の子供が借金を抱えてしまう事例と対処法についてご紹介します。

消費者金融の学生ローンで借金をした場合

大手消費者金融の借り入れ基準では、「20歳以上で安定した収入のある方」がお金を借りられます。もちろん、20歳以上で安定した収入さえあれば、学生でも借り入れすることは可能です。しかし、アルバイトなどで安定した収入があったとしても、20歳未満の未成年は大手消費者金融で借り入れができません。

ただし、未成年の学生を対象にした「学生ローン」などと呼ばれるローンを取り扱う消費者金融も存在します。

この学生ローンは、大学生や大学院生、専門学校生が対象です。さすがに無収入の学生は借り入れができませんが、18歳以上で安定した収入がある学生なら、借り入れができます。

とはいえ、民法では未成年者保護の観点から、未成年者の借入時には親の同意が必ず必要であると定められています。自分の子供が借金を抱えてしまったときには、実際どのようにして借り入れを行ったのかを尋ねて、申し込んだときの経緯をチェックしてみましょう。

クレジットカードの使い過ぎで借金をした場合

クレジットカードの申し込み条件は、「年齢が18歳以上」と決められている場合がほとんどです。ただし、申込者が未成年者の場合は、どんなに安定した収入や職業であっても、親の同意が必要になります。

しかし、クレジットカードの中には、「学生専用カード」という学生だけが作れるクレジットカードもあり、これに申し込みをすれば未成年の学生でもお金を借りることは可能です。そのため、この学生専用カードを使って口座残高を上回る買い物をしてしまい、返済ができなくなるケースがよく見られます。クレジットカードでの支払いの際は、財布からお金がなくなるわけではないので、「お金を使わずに買い物ができた」という錯覚に陥りやすくなるためです。

また、3回以上の分割払いやリボ払いでは、1回あたりの支払い負担は減りますが、手数料がプラスされているので気が付かないうちに借金が増えている、という事態にもなりかねません。「クレジットカードは一括返済が原則」ということも子供と確認した方が良いでしょう。

親の同意がない未成年者の借金は取消可能

20歳未満の未成年者のことを、日本の法律上では「無能力者」などという呼び方をします。無能力者は自分だけでできる法律行為が制限されており、未成年者なら親の同意がなければ借り入れの契約自体できません。

そのため、親の同意がない借金は返済しなくてもいいとされています。未成年者が親の同意もなく借り入れをしたとしても、その契約取消ができるのです。

これは、借金をした未成年者が悪いのではなく、返済能力のない未成年者にお金を貸した貸金業者が悪いとも言えます。ただし、借り入れした全額が返せない場合でも、手元に借り入れしたお金が残っていれば、それは返済しなければなりません。

注意が必要な点としては、未成年の子供が親に内緒で契約した借り入れであっても、

「借金の取り消し願い」「未成年者契約の取消通知」を、相手方の消費者金融やカードローン会社に内容証明郵便で提出しなければ、返済の義務が生じることです。

要するに、法律で決められているから何もしなくてもいいわけではありません。借金を返済せずにそのまま無視していれば自動的に消滅する、というわけではないので注意してください。

そもそも、消費者金融やカードローン会社は、トラブルが起こらないように未成年者との契約時には、親の署名・捺印を必ずもらうようにしています。しかし、契約時に未成年の子供自身や友人などが、親の署名欄を勝手に代筆して申し込んでしまうケースもあるでしょう。その場合は、親が「未成年者契約の取消通知」を内容証明郵便で相手方に送付すれば、契約の取り消しができます。

親が子供の借金の返済義務を負う場合とは?

親が連帯保証人になっている

「基本的には子供の借金を親が肩代わりする必要はない」とはじめにご紹介しました。しかし、借入時の契約や子供本人の状況によっては、親が返済義務を負わなくてはならない場合もあります。

ここでは、親が返済義務を負う可能性のある、 2つのケース をご紹介します。

親が借金の連帯保証人になっている

親が連帯保証人として借り入れの契約を結んでいるのであれば、返済の義務はあります。「保証人」と「連帯保証人」という、一見同じような表現ですが、それぞれの立場は異なります。

保証人と連帯保証人は、借金をした人が返済できないときに、その人に代わって返済をする義務が生じます。しかし、消費者金融やカードローン会社が返済を請求してきたら、保証人は「私に返済を請求する前に、借金をした契約者本人に請求してください」と主張することができます。

一方、連帯保証人は契約者本人の代わりに返済する義務があるので、保証人のような主張をすることはできません。子供に頼まれて連帯保証人として借り入れの契約書に署名・捺印したなら、その支払い義務からは逃れられません。相手が子供だからと言って安易に連帯保証人になるのは、子供のためにもなりませんのでご注意ください。

借金を残して子供が死亡した

借金の返済中だった子供が、突然の事故などで帰らぬ人となった場合も、親に借金の肩代わりが求められるでしょう。子供の葬式などが終わって一段落したころ、子供が借り入れの契約をしていた金融機関から、子供が残した借金を代わりに返済するよう求める連絡が、親宛てに届くケースがあるのです。

まずは、慌てずに「相続放棄」の手続きを速やかに行いましょう。相続放棄を行えば、子供が残した借金の返済義務はありません。

相続においては、資産も負債も両方引き継がないといけない決まりがありますが、相続放棄という手続きを行えば借金(負債)を引き継がなくても良いのです。

ちなみに、相続放棄は相続の開始を知った日から、3か月以内に手続きします。これだと「子供が亡くなってからすでに3か月が過ぎているけど、相続放棄はできないの?」という疑問を持たれるかもしれませんが、3か月のカウントがスタートするのは、子供の死亡日ではなく子供の借金があることを知った日です。

家庭裁判所への申請が自分では難しいとお考えなら、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが無難だと思います。

子供が借金をしていた金融機関から返済を請求されたら

もし、金融機関の担当者から「子供が借金を返せないなら親が代わりに払うべきだ」などと言われたら、ついその通りだと思ってしまいますよね。道義的には分かりますが、民法では金融機関が借り入れた本人以外から借金の返済を請求することは、明確な違法行為になります。

借金の保証人でない場合ははっきりと返済を断る

連帯保証人でない場合ははっきりと返済を断る

金融機関の担当者から借金の返済を迫られても、自分が保証人でない場合は、「私は保証人ではありません。これ以上返済を迫るなら警察を呼びます」とはっきりと断るようにしてください。こちらが 毅然とした対応を取れば、相手は強引な取り立て ができないので引き下がるはずです。

ただし、 子供の借金の連帯保証人 になっているような場合だと、親や兄弟であろうが他人であろうが、滞納された借金の返済義務からは逃れられません。借り入れした本人が絶対に返すと言っても、決められた日までに返済しなければ、金融機関は当然のように連帯保証人に借金の返済を求めます。親が子供の借金の連帯保証人になっているのであれば、金融機関からの返済の請求には応じないといけません。

子供の借金を肩代わりする際は金銭貸借契約書を作成する

金銭貸借契約書を作成して借金を肩代わり

法的には親が子供の借金返済をする必要はないと認められていても、やはり親としては無視できない問題です。親にとって子供は、いくつになっても子供です。もし、親に充分な貯蓄があれば、子供の借金をいったん肩代わりして返済を行い、その後、時間をかけて子供から返してもらうという方法も1つです。

その際は、親子とはいえきちんとした金銭貸借契約書を作成し、記録として残しておく方が良いと思います。単なる口約束だとお互いに忘れてしまい、実行されないままになりがちだからです。

しかし、この方法を何度も繰り返すと、子供がいつまでも親を頼ってしまって安易に借金を繰り返してしまうリスクがあります。だからといって、いつまでも甘やかしてはいけないと思って突き放す方法は、子供が闇金に手を出してしまう可能性があります。そのため、どちらの方法が良いとは一概には言えません。

子供を自立させるためには債務整理という方法も

債務整理を検討する

親として子供の自立を促すためには、債務整理をアドバイスして、自分の責任で借金問題を解決させるという方法があります。債務整理をすれば、5~10年間は信用情報機関にその情報が登録されるので、その間は新たな借り入れの申し込みやクレジットカードの申し込みもできません。

「債務整理などさせたら、子供がクレジットカードも使えなくなって不便になるのではないか」と、心配に思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、クレジットカードが使えることで、さらに借金が増えてしまう可能性もあります。

たとえ、クレジットカードがなくても生活にそれほど支障はないはずです。子供にこれ以上借金をさせないようにする反省期間と割り切って、債務整理をするようにアドバイスしても良いでしょう。

あくまでも借金は子供自身の問題であって、親は借金の肩代わりをしてくれないことを、債務整理を通じて理解させるのは親の役割です。「困っている子供を助けない」というのは親として苦渋の選択かもしれません。しかし、子供の将来のためにも、お金に関して厳しい姿勢で向き合うことをおすすめします。

親は子供自身で借金を解決できるようなサポートを

今回は、親が子供の借金を肩代わりすべきかどうかについてご紹介しました。

親としては、たとえ成人した子供の借金に対してでさえ、なんとかしなくてはいけないという気持ちがあると思いますが、保証人になっていなければ、子供の借金に対して親の返済義務はありません。もし金融機関から請求されても、親として返済の意志はないと必ず伝えてください。

それでも、困っている子供を放っておけないのが親心です。しかし、子供に責任を持てる大人に育ってほしいのであれば、借金問題は自分で解決させることが大切です。

債務整理という方法を教えて、弁護士や司法書士などの専門家に相談に行くように促しましょう。

船津 正明
船津 正明

CFP/第一級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員1種/生命保険・損害保険募集人資格/日商簿記2級/日本FP協会 兵庫支部 運営選任委員/こうべ企業の窓口 イベント企画委員長/認定NPOはんしん高齢者暮らしの相談 正会員

大和証券(株)にて27年間に渡り延べ5,000件以上のお客様の資産運用や相続、事業承継についてのご相談を承る。お客様からのあらゆる相談に応じたいとの思いで独学にて勉強を続けた結果、2010年にCFP資格を取得。しかし、特定の金融機関に所属した立場での相談業務に限界を感じて2014年3月に大和証券(株)を退職する。
同年11月に中立の立場でお客様の思いを大事にする船津正明FP事務所を開設。 独立開業後は年間延べ300件以上に及ぶ個別相談を実践し、相談者のお金に関するお悩みを解決すべく尽力している。

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