利率はいくら?起算日はいつ?カードローン遅延損害金の計算方法

利率はいくら?起算日はいつ?カードローン遅延損害金の計算方法

利率はいくら?

カードローン遅延損害金の利率や起算日、計算方法などについて

クレジットカードや銀行のローンカード、あるいは消費者金融のキャッシング専用カードは、カードの申し込みと同時に申込者の信用情報(返済能力)が審査され、審査の結果によってカードの利用限度額と手数料率および一括返済の場合の年利率が決められます。一括返済をする場合は、借入日から返済日までの日数あたりの利率により返済額が決まるので、遅延損害金は発生しません。

しかし、分割払いやリボルビング払いでは毎月の返済日が決められているので、その返済日に返済ができないと「遅延損害金」が発生します。

今回は、カードローンを利用した後、毎月の返済が滞ったときの遅延損害金とその周辺情報についてご紹介します。

遅延損害金について

遅延損害金

カードローンによる借入金を毎月分割して返済する場合、一般的に返済が長期にわたるため、借入金(元金)の返済だけでなく、その期間にかかる利息(手数料)も一緒に返済しなければなりません。

ここではローンによる借り入れと返済額はどのように求められているのかを確認してから、遅延損害金について解説します。

手数料率

手数料率

カードローンによる分割払い、またはリボルビング払いの手数料率(年利率)は、カードの発行元金融機関によりあらかじめ決められています。

分割払いの場合は、分割回数により手数料率(実質年率)が決められており、例えば、三菱UFJニコスカードの場合、3回払い(支払期間3カ月)の手数料率は12.25%、10回払い(支払期間10カ月)では14.50%、24回払い(支払期間24カ月)では15.00%と決められています。

また、リボルビング払いの場合は返済額を一定にするため、分割回数で手数料率を決めるのではなく、一律で◯◯%と決めています。

分割払い手数料

分割

手数料率により計算される手数料は、その月の未返済の借り入れ残金に手数料率を掛けて求めるため、毎月支払いを行い残金が減る度に手数料は少なくなります。

例えば、元金10万円を5回の分割払いで返済するときの手数料率が13.5%(ひと月あたり13.5%の12分の1)とすると、元金分の返済額は毎月2万円のため、1回目の手数料は、残金10万円x13.5%÷12=1,125円となり、返済額は21,125円になります。
しかし、2回目の手数料は、残金8万円x13.5%÷12=900円なので、返済額は20,900円に変化するのです。
ただし、実際の毎月の返済額は均等に支払うため上記とは異なります(1円単位の端数は出ます)。
この毎月の均等額は、手数料率から求められる毎月の返済額の合計を、返済月数で割れば求められます。
上記の例で求めると、毎月の均等返済額は20,680円です。
したがって、元金10万円に対する、毎月の手数料680円の5カ月分は3,400円ですから、元金に対する均等分割手数料は、100円あたり3.40円になります。

この100円あたりの手数料が分割払い手数料と呼ばれるものです。

このように、ローン契約での毎月の返済額は、元金の分割部分と100円あたりの分割手数料の合計からなる毎月均等払いと決められています。

遅延損害金とは?

遅延損害金とは?

遅延損害金は、あらかじめ決められた返済日にカードローンの毎月の返済額(元金の分割部分と100円あたりの分割手数料)を何らかの理由で返済できないときに発生します。

つまり、借金とその返済に関する契約に違反したことを理由に請求されるペナルティーです。

遅延損害金が発生すると、その後に支払う金額の内訳は、当月の元金部分の返済額、当月の手数料、遅延損害金になります。

返済日に返済が確認できなかった場合、ローンの借入先が銀行系金融機関であれば「契約している保証会社」から、銀行系消費者金融であれば「その業者」から、通知はがきで入金の催促をします。

もし、返済日に返済できないということが事前に分かっているなら、借入先の窓口に連絡を入れて、いつ支払いができるかを伝え、少しでも借入先へ良い印象を持たれる努力をしましょう。これを行うことで、遅延損害金を免れることもあるようです。

また、以後の長い付きあいになることを考えると、支払日を確約できないときでも借入先に連絡するよう心掛けたほうが良いでしょう。

遅延損害金の発生後はどうなる?

遅延損害金発生後はどうなる?

返済期日に返済ができなければ遅延損害金が発生しますが、遅延損害金の発生によってどのような影響が出るのでしょうか。

カード利用の停止

遅延損害金が発生してから滞納が続く限り、そのカードから新たなローンを利用したり、ショッピングやキャッシングで使用したりすることはできません

延滞が続く限り、金融機関は債務者の信用(返済能力)が本当にあるのかと不審に思います。そのため、利用することができなくなるのです。

また、同じ金融機関へ新たなカードを申し込んだとしても、当然のことながら審査には通りません

ブラックリスト状態

金融機関が利用する個人信用情報機関では、ローンなどを申し込んだ人の信用情報(返済能力)をデータベース化し、各金融機関がその情報を共有できるようになっています。

つまり、遅延損害金が発生しこのデータベースにその情報が書き込まれて(いわゆるブラックリスト状態になる)他の金融機関も信用情報を把握できるようになると、遅延損害金が発生している会社のカードに加えて、返済の遅れがない他社のカードも利用ができなくなる可能性があるのです。

遅延損害金が発生してからブラックリスト状態になるまでの期間は決まっていません。しかし、これまでの例では各社3カ月間滞納が続くとデータベースに書き込む傾向があるようです。

一度ブラックリスト状態になると、遅延損害金を含む返済額を返済しても5年から10年はその情報がデータベースから消えません。その間は、新たなカードの作成時などで行う個人信用審査で厳しい評価が下されるでしょう。

カードの強制解約

長期間滞納し続けた場合、あるいは遅延損害金が何回も発生した場合には、カードが強制解約されることがあります。

金融機関にもよりますが、一般的に長期間滞納で3カ月から4カ月、あるいは遅延損害金を連続3回発生させた場合に強制解約されることが多いようです。

ちなみに、解約になったからといって返済が終わっていない元金とそれまでの手数料、遅延損害金がなくなるわけではありません。多くの場合は、その債権を引き継いだ債権回収会社から債務の一括返済を求められます。

毎月の返済ができない状況で一括返済を求められても返済は不可能ですから、滞納には十分気を付けましょう。

裁判所からの通知

もしそれでも滞納が続いてしまった場合、次は裁判所から「支払催促申立書」が来るでしょう。

支払催促申立書が届いた後、2週間以内に異議申し立てと称する反論ないしは事情の説明を文書でしないと、今度は裁判所から仮執行宣言付き支払催促申立書が届きます。

この申立書が届いた後、2週間以内に文書で返事をしなければ、裁判所から財産が差し押さえられてしまうため、注意してください。

遅延損害金を回避するには?

返済計画

遅延損害金が発生するとかなりのデメリットが発生するため、遅延損害金の発生自体を極力避けたいところです。もちろん、返済日にしっかり返済ができるよう計画的なローンの組み立てが必要なことは言うまでもありません。

ここでは遅延損害金を回避するにはどのような策があるかを確認しましょう。

遅延損害金がないカードローン

返済日に遅延させないためには、いささか邪道な策ではありますが、返済日に返済できなくて遅延しても遅延損害金を取られないカードローンから借り入れてを行ってはいかがでしょうか。

具体例を出すと、セブン銀行カードローンがそうです(※1)。

遅延損害金がなく、その後1カ月ほどは特段の措置がないとするのであれば、2カ月分(前月の返済元金と前月の手数料および当月の返済元金と当月の手数料)まとめて返済ができるでしょう。

ただし、2カ月分をまとめて返済することを何回か繰り返せば何らかの措置に移行することは、十分に考えられるため注意してください。

(※1)該当のホームページには、遅延損害金は取らないが「社会的責任を負わなければならない」と書いてあり、遅延期間が2カ月から3カ月続くと他の金融機関同様の措置に移行することを示唆しています。

最少返済額の支払い

「最小返済額」とは、毎月の返済時に「返済額が返済できなくても少なくとも返済しなくてはならない最小返済額」です。

カードローンなどの場合、どの金融機関も最少返済額を定め、各金融機関が利用限度額、借入額、借入残高などを元に独自に決めています。返済日にこの最少返済額を返済していれば、遅延損害金は発生しません

例えば、三井住友カードローンでは、借入額が10万円のときの最少返済額は、2,000円としています。
借入額10万円を5回分割払いにすると1回あたりの手数料は730円(100円あたりの分割払い手数料3.65円)のため、毎月の返済額は20,730円です。
この返済額に対して、最少返済額2,000円を返済したとすると、まず手数料の730円を引き当て、残金の1,270円が元金の返済になります。
したがってこの月は、本来元金部分2万円の返済に対して、1,270円だけ返済したということになります。

手数料だけの支払い

最少返済額も支払えそうにないときは、手数料だけ支払うことを金融機関に相談してみてください。もし認められれば、手数料だけの支払いでも遅延損害金が発生しなくなる可能性があります。

先ほどの例だと、毎月の返済額が20,730円に対して、手数料である730円だけを返済することになります。

この場合、730円は手数料として引き当てられるので、本来の元金の返済額2万円は返済できていません。したがって、返済の1回目は手数料だけ、2回目から本来の1回目が始まるとして、以後の返済日には返済したとすると返済総額は730円多くなるので、総返済額は104,380円になります。

遅延損害金の起算日について

遅延損害金の起算日

遅延損害金は、いつから発生するのかが決まっていなければ計算で求めることができません。

この遅延損害金が発生する初日(起算日)は、民法412条を根拠として、返済期日の翌日と決まっています。例えば、返済期日の翌日に返済した場合、遅延経過日数は1日です。

遅延損害金の利率について

遅延損害金の利率は、金融機関が独自に決めていますが、利息制限法7条で債務不履行による賠償額の上限を年20%と規定しているので、各金融機関とも遅延損害金の利率は、20%を超えません。

一般的な遅延損害金の利率は、消費者金融系の場合20%、銀行系の場合は14%から20%です。

遅延損害金の計算方法と具体例

遅延損害金の起算日と利率が決まれば、計算で遅延損害金を求められます。

ただし、実際に遅延損害金を支払う場合は、必ず遅延を起こしてしまったカードの金融機関にいくら遅延損害金があるかを確認しましょう。いつ支払えば、いくらの遅延損害金になるかを金融機関に確かめたうえで支払ってください。

遅延損害金の計算方法

遅延損害金を求める式は、返済期日現在の借入残高に対する遅延損害金の利率の日割り相当額、かつその遅延経過日数分ですから、以下のようになります。

遅延損害金(円)=借入残高(円)×遅延損害金の利率(%)÷365(日)×遅延経過日数(日)

遅延損害金か手数料だけか

遅延損害金の求め方が分かったところで、手数料と遅延損害金を比較しましょう。

「手数料だけの支払い」の例で手数料だけを支払う場合は、返済総額が730円多くなりますが、遅延損害額が730円未満であれば、返済総額は遅延損害金を支払ったほうが少なくなります。

この730円未満に抑えられる最長の日数は、10万円×19.94%(三井住友カードローンの遅延損害金の利率)÷365日×遅延経過日数が730円未満になる遅延経過日数なので、13日です。

したがって、返済期日から13日以内に返済できるのであれば、手数料だけを支払うより、遅延損害金を加算して返済したほうが返済総額は少なくなります。

しかし、これはあくまで返済総額の比較であって、遅延損害金を発生させたことによる個人信用情報の信用度の低下については考慮していません。

借入残高が10万円で返済期日を10日過ぎている場合

三井住友カードローンを例に、返済期日を10日過ぎている場合の遅延損害金を求めてみましょう。

三井住友カードローンの遅延損害金の利率は19.94%です。そのため、借入残高10万円、遅延損害率の利率19.94%、遅延経過日数10日を計算式に当てはめると、遅延損害金は546円(1円未満の端数は切り捨て)になります。

借入残高が10万円で返済期日を30日過ぎている場合

同様の例で返済期日を30日過ぎている場合、遅延損害金は1,638円(1円未満の端数は切り捨て)になります。

ここで、「最少返済額の支払い」を思い出してみましょう。

三井住友カードローンの場合、借入金10万円の最少返済額は2,000円でした。もし、返済期日を30日過ぎた時点で当月の返済額と遅延損害金を返済することができず、最少返済額の返済でこの回は済ますことした場合はどうなるのでしょうか。

この場合、永久に元金が減りません

なぜなら、2,000円のうち、まず遅延損害金の1,683円が引き当てられ、次に手数料の730円が引き当てられますが、この時点で2,000円を超えているので、最少返済額では元金の返済額はもちろん、当月の手数料も全額支払えないためです。

借入残高が10万円で返済期日を60日過ぎている場合

同様の例で返済期日を60日過ぎている場合、遅延損害金は3,277円(1円未満の端数は切り捨て)になります。

60日も過ぎた場合には、遅延損害金だけでなく個人信用情報がいわゆるブラックリスト状態になっていないかも心配したほうが良いでしょう。うかうかしているとブラックリスト状態になり、返済完了後も5年から10年はどこの金融機関からもカードローン、その他の利用ができなくなります。くれぐれも気を付けましょう。

返済計画を立てて遅延損害金が発生しないように心掛けよう

今回は、カードローンの遅延損害金とその周辺情報についてご紹介しました。

遅延損害金を発生させてしまうと、当該金融機関に利用者の返済能力を疑われることになり、決して良いことはありません。また、遅延が3カ月ほど続くか遅延が連続3回ほどになると、信用情報機関の個人信用情報にその事実が登録され、ブラックリスト状態としてすべての金融機関にその情報が知れ渡ります。

お金を借り入れるときは、常に返済計画を立て無理のない返済をするよう心掛けることが何より重要であることを再確認しましょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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