事業資金を借り入れたい!事業資金の調達方法一覧

事業資金を借り入れたい!事業資金の調達方法一覧

オフィスで悩むスーツ姿の男性

借り入れやクラウドファンディングなどの事業資金調達方法をチェックしよう

「会社を設立して事業を始めたいが、自己資金では賄いきれない」「事業をさらに順調に進めるためには、もっと多くの資金を確保する必要がある」などの理由で、融資を受けて資金調達を考えている起業家・経営者の方も多いでしょう。

特に起業・創業する場合は、その規模や業種によってかかる資金の目安も大きく異なります。だからこそ、「おこなう事業とその規模に合わせて、必要な資金の目安を知りたい」という方も少なくありません。

今回は、事業にかかる資金の種類や、事業資金を借り入れする方法についてご紹介します。

事業資金を調達する方法も、最近ではかなり幅広い選択肢が用意されているので、最新の知識を身につけて事業の発展にぜひ役立ててください。

事業資金を借り入れたい!金額はどれくらい必要?

事業にかかる資金を借り入れで調達したいと考えた場合、金額的にどのくらい用意しておけば良いのか分かる方は少ないでしょう。なぜなら、創業・起業にあたって資金を調達する場合は、業種によって必要となる金額がかなり異なるためです。

個人事務所として開業できる業種の場合

個人事務所のイメージ

税理士や会計士などの士業や、コンサルタントなどの個人業で事務所を開く場合は、設備資金・運転資金ともに最小限で済むと考えられます。

場所(マンションやシェアオフィスなどでもOK)と通信手段(電話・インターネット)、パソコンやプリンターなどの事務機器がひととおりそろえば、差し当たり事業は開始できます。また、個人での活動が軌道に乗り、利益を得てから事業所拡大や人員の補充を考えることも可能です。

ほかには、デザイナーやフリーエンジニアなど、パソコンだけがあればできる仕事なら、わざわざ多くの資金を借り入れなくても、数万円~十数万円の予算で開業できるケースもあります。

小売店・飲食店などの場合

飲食店業

お客さんに来てもらって利益を得る小売や飲食などの業種は、場所を確保する初期費用のほかに、内外装を整えたり広告や宣伝をおこなったりする費用が多くかかります。「お店」を開店させるには、少なくとも100万円、多くて1,000万円ほどの開業資金がかかると考えておきましょう。

製造業や大規模サービス業などの場合

製造業

商品を生産する製造業や、ホテル・娯楽施設など多くの人を集める大規模サービス業の場合、設備資金も運転資金も多額です。あらかじめ複数の人を雇ってから開業する形になるため、その分の人件費を含めた運転資金が必要であると考えておきましょう。具体的な金額は規模にもよりますが、おおよそ数億円単位での開業費用が必要といえます。

事業資金の種類

事業をおこなうために必要な資金は、大きく分けると「開業資金」「設備資金」「運転資金」の3つです。そのうちの開業資金は、事業開始時の1度しかかかりませんが、あと2つの「設備資金」と「運転資金」は事業を継続させる限り定期的に必要となります。

ここでは、開業資金や設備資金、運転資金といった事業にかかる資金の種類に着目し、借り入れの際に金融機関で定義されている内訳などをくわしくご紹介します。

開業資金

開業のイメージ

事業を始める際に必要な土地や建物、設備(事務機器やオフィス家具などのほか、パソコンやインターネット回線なども含まれる)、そして当面の事業に必要な商材や広告宣伝費、運転資金(※1)などが含まれます。

開業時に用意しておきたい運転資金の目安は、「3か月分の経費」が一般的となっています。

(※1)運転資金は本来定期的に必要な資金ですが、開業時に用意しておく「当面の事業に必要な運転資金」は開業資金に含まれます。

設備資金

オフィス用品

文字通り、事業の開始や継続・拡大に必要となる、物資すべてにかかる資金を指します。「土地や建物の取得費用」「工作機械・事務機器の購入費用」だけではなく、「パソコンやインターネット環境の構築」などの費用も含まれます。また、日々の業務の中で購入する、細かな事務用品や紙類なども設備資金です。

運転資金

給料袋を持った従業員

運転資金は、事業を継続的におこなうためにかかる商材の仕入れコスト、人件費(従業員の給与など)、そして事業所や設備の維持費(家賃や設備機器のメンテナンス費用など)を指します。

先ほどご説明した「事業所となる土地・建物や機器・車などを取得するための初期費用」は「設備資金」にあたりますが、それを維持するための「事業所の家賃や光熱・通信費、設備機器・車の整備費用など」は「運転資金」に含むので気を付けましょう。

つまり、「仕事のために社内で必要な何かを買うための費用=設備資金」で、「日々仕事をする中で継続的にかかってくる費用=運転資金」と考えてください。

事業資金の調達方法

商談のイメージ

開業や事業の維持・拡大にある程度まとまった資金が必要と分かったら、次にその資金をどのような手段で調達すべきかを考えましょう。具体的には、「借り入れる」「寄付を受ける」「補助金・助成金を受ける」などの方法があります。ここでは、より具体的な調達手段について見ていきましょう。

日本政策金融公庫

銀行からの融資を受けにくいベンチャー企業、中小企業、個人事業主などが事業資金を借り入れたいとき、頼もしい存在として知られているのが「日本政策金融公庫」です。

融資の審査には1か月ほど期間を要しますし、融資申し込みまでにはさまざまな準備をおこなわなければなりません。しかし、担保・保証人なしで融資を受けられる制度なども展開しているため、他の金融機関を利用するよりかなり有利な条件で資金を借り入れることができるでしょう。特に、新規開業を考えている方にとっては、日本政策金融公庫は利用価値が高いと考えられています。

また、日本政策金融公庫の融資制度は、しっかり準備を整えて申し込めば審査にも通過しやすい、といわれています。そのため、準備に時間をかければ問題ありませんが、急ぎで融資を受けたいと考えている方にはあまり向いていないかもしれません。

銀行融資

銀行から事業資金を借り入れる場合、信用保証協会からの保証を付ける「保証協会付き融資」と、保証協会を付けない「プロパー融資」という2種類の融資制度があります。

プロパー融資

「プロパー融資」とは、弁済に関する保証を何も付けていない融資を指します。つまり、万が一返済できなくなるなどの事態が発生しても、銀行側がそれらのリスクをすべて負う形になるのです。そのため、銀行側もかなり信頼を置いている企業や事業主に対してしか、プロパー融資をおこなっていません。銀行と取引を一切していない企業や事業主が、プロパー融資をお願いしても借り入れは難しいでしょう。

プロパー融資は保証協会による審査をおこなわないため、融資までのスピードは速くなる傾向にあります。しかし、企業や事業主が適正な融資先として銀行に認識してもらえるよう、時間をかけて信頼関係を築かなくてはなりません。

信用保証貸し付き融資

こちらは、「信用保証協会の保証付きで借り入れる、銀行からの融資」となります。信用保証付き融資なら、返済に伴う事故があっても信用保証協会が弁済をおこなうことになるため、銀行のリスクが少なくなります。新規で融資を申し込む企業や、銀行との付き合いがまだ長くはない企業の場合には、この融資制度が適用される可能性が高いでしょう。

銀行の審査に加え、信用保証協会の審査を経なければ借り入れができないため、融資の決定までにはそれなりの時間がかかります。また、信用保証協会に支払う保証料がかかるため、結果的にプロパー融資よりも支払いが増える場合があります。

経済産業省の補助金

経済産業省は、国が経済や産業を発展させるために設けている機関です。

経済産業省の補助金制度は、地域や中小企業の振興をターゲットとしているものがほとんど。特に、開業時や開業直後の企業の発展を助ける目的で設けられた補助金制度は、小口の事業主の利用におすすめです。商店を経営する方には、インバウンド(海外からの渡航者)需要に対応した補助金制度もあるため、活用を検討してみても良いでしょう。

ちなみに、経済産業省が設けているのは補助金制度のみで、助成金制度は設けられていません。

厚生労働省の助成金

事業や企業活動による経済・産業振興を促進しているのが経済産業省なら、厚生労働省は国民の労働環境や福祉などを管轄している機関です。個人事業から人を雇用する形態に事業を転換したい方や、増員を考えている企業の方なら、厚生労働省による助成金制度を活用する方法も検討しましょう。

最近では、学卒時に就職するのではなく、「第二新卒」として就職活動に取り組む方の雇用を促進する助成金制度が注目されています。人を新たに雇うために事業資金を増やしたい、と考えているならぜひ利用を検討してみると良いでしょう。

中小企業ファンド

中小企業の創業や再生、拡大や業態転換などを支援する各ファンドから投資を受け、事業資金に生かすこともできます。

ファンドから投資を受けたい場合は、まず事業計画や資金計画などを明確にしなければなりません。計画がまとまったら、投資を希望するファンドを探し、その運営元である投資会社に相談をしましょう。審査に通過できれば、投資や支援を受けることができます。

事業計画の立案やファンドを探すときには、「独立行政法人中小企業基盤整備機構」や「中小企業再生支援協議会」などに相談しましょう。ファンドが見つからなくて困っているときに、中小企業再生支援協議会から他の資金調達方法などを提案してもらえる場合があります。

ファクタリング

売掛金を保有している企業がその売掛金を「ファクタリング会社」に買い取ってもらい、それによって事業資金をスピーディーに調達する方法です。この方法なら、本来は翌月や翌々月などに支払われる予定の売掛金もすぐ現金にすることができ、「売り掛けの支払いを待っているため社内に現金がない」という状態を作らずに済みます。「お金を借り入れることなく、資金をすぐ現金化できる」ことが、ファクタリングの大きなメリットです。

一方、デメリットとしては「ファクタリング会社に一定の手数料を支払う必要があるため、手元に入る現金は売掛金の全額とはならない」点が挙げられます。

ノンバンク

銀行や公的金融機関以外の金融業者(信販会社・クレジット会社・消費者金融など)でも、事業資金の融資をおこなっています。それらを利用して資金を借り入れる方法も一案ですが、銀行や公的金融機関と比較して返済時の金利がかなり高めになる、というデメリットがあります。

クラウドファンディング

「ソーシャルファンディング」とも呼ばれる、インターネットを通じて事業の趣旨に賛同してくれる人から寄付金を募り、それを事業資金に充てる方法です。

クラウドソーシングは、SNSなどを経由して全世界にリアルタイム発信できることが主なメリットといえます。たとえ1口の寄付金が少なくても、賛同する人が多ければ資金が集まるため、目標金額を達成させやすいという利点もあります。

借り入れなくても資金が調達できる点は魅力的です。しかし、事業の性質や寄付の呼びかけ方、そしてタイミング次第では思った通りに寄付金を集められない可能性があります。また、寄付金の使途や事業の経過などを明確にすることにより、事業に対する信頼度も上がるため、実際に寄付を受けたあとも報告を詳細におこなっていくことが大切です。

その他、事業資金の調達において大切なことは、どの手段を検討する場合でも「資金の使途」や「今後の事業計画」を明確にしておくことでしょう。融資を受ける場合も、補助金や助成金を活用する場合も、これらがはっきりしていなければ資金調達の実現は難しくなります。

もちろん、中小企業ファンドからの投資やクラウドファンディングなどで援助を受けたい場合も、企業や事業について信頼できる要素が明確にならないと資金を集めることは難しいかもしれません。

事業資金調達のカギは開業・事業拡大の意義や有用性を明示すること

今回は、事業資金を必要としている企業・個人事業主の方が、借り入れや補助・助成・寄付などで資金を得るさまざまな方法についてご紹介しました。

「開業してどんなことで社会に貢献したいか」「事業を拡大してどれだけ人々の役に立てるか」などを、より具体的に明示して説得力を込めることが資金調達実現へのカギになります。

また、資金を借り入れて調達する場合には、「きちんと返済するだけの体力を企業・事業主として維持できること」を証明することが大切です。

もしかしたら、「不足している資金を借りて調達することは難しい」という先入観を持っている方もいるでしょう。しかし、資金調達の方法も借り入れだけではなく、さまざまな方法が選択できるようになりました。「借金は作りたくない」という方も、ファクタリングやクラウドファンディングなど「借りずに資金調達できる方法」を検討してはいかがでしょうか。

高橋 成寿
高橋 成寿

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。

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