家賃が払えない…!何カ月滞納すると強制退去になる?対処法は?
家賃を払えないと強制退去になる?家賃滞納の対処法とは
毎月毎月の家賃の支払いは大変ですよね。今は口座引き落としが増えてきているようですが、少し前までは毎月振り込みして、うっかりすると月末を過ぎて振り込み忘れてしまったりしたものです。賃貸先を借りるときに不動産会社に、「延滞しませんよ」とアピールしたら、「当たり前だ!」と怒られたこともあります。
受け取る側にとっては当たり前の収入でも、払う側にとっては大きな負担となる家賃。そんな家賃が払えなくなったらどうなるのでしょうか?うっかりの振り込み忘れ以外にも失業、病気による長期療養、離婚、養育費の負担などいろいろな理由で家賃の支払いが難しくなることもあるでしょう。
今回は、賃貸物件の家賃が払えなくなった場合にどうなってしまうのか、また、滞納が続くと強制的に退去させられてしまうのかなど、家賃滞納にまつわる疑問とその対処法についてご紹介します。
家賃を滞納するとどうなるの?
ここでは、アパートなどの家賃の支払いが遅れた場合に、借り主にどのような影響があるのかをご紹介します。
大家さんや管理会社から家賃督促の連絡がくる
家賃を滞納すると、まず大家さんや管理会社から支払いを求める連絡がきます。電話や手紙による連絡のほか、アパートの隣が大家さんの自宅といった近所の場合などは直接訪問してくることもあります。
中には、1日に何度も繰り返し電話がきたり、深夜に家賃督促のために訪問されたりするケースもあるようです。いくらこちらが家賃の支払いを滞納していることが原因だとしても、日時や都合を問わず督促の連絡がくるのはあまりうれしい状態だとはいえないでしょう。
遅延損害金が発生するおそれがある
家賃の支払いが遅れると、金銭的なデメリットが発生します。支払いが遅れた金額に対して、遅延損害金が発生するのです。
遅延損害金とは、契約で定めて支払期限までに支払いがされなかった場合に発生する、損害賠償金のことです。家賃の支払いにのみ発生するわけではなく、通常のローンなどでも支払いが遅延した場合に発生します。
家賃支払いにおいては、支払われなかった家賃などの賃料に対して所定の利率が加えられます。賃貸借契約書などに特に定めがなければ、年5%の法定利率相当分が遅延損害金となりますが、賃貸借契約書に遅延利息の利率が明記されている場合は、そちらが適応されます。
遅延損害金の上限利率は、利息制限法で年14.6%未満と定められています。年14.6%を超える利率で遅延損害金が請求された場合は、超過分については無効とすることが可能です。契約書に遅延損害金の利率について記載があるかどうかやその利率については、賃貸契約時にしっかり確認しておく必要があるでしょう。
では遅延損害金はいつから発生するのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
法律上は、1日でも支払いが遅れれば遅延損害金の対象となります。家賃の振込日の翌日に家賃が振り込まれていなければ、その時点で遅延損害金が発生するのです。
とはいえ、実際には家賃の支払いが1日遅れただけでいきなり遅延損害金を請求されることは、あまりないでしょう。家賃滞納をするのが初めてであれば、なおさらです。
家賃の滞納が始まった何日目から遅延損害金の支払いが請求されるかなどは、大家さんや不動産管理会社の対応によるところもあります。日ごろから大家さんや不動産管理会社との良好な関係を構築しておくことも大切と言えます。
信用情報に家賃滞納の情報が記録されることがある
家賃を滞納してしまった場合に、大家さんや不動産管理会社から督促が来ている間は遅延損害金の発生のみで済みますが、保証会社からの家賃督促に代わった場合は注意が必要です。
なぜかと言いますと、督促者が大家さんや不動産会社から保証会社に代わったということは、保証会社が大家さんや不動産管理会社に対して家賃を立て替えて払っているということになるためです。
ですから、保証会社は立て替えた分の家賃を入居者に督促していることになります。この場合、クレジットカードやローンを組むときに参照される「個人信用情報」に、支払いを滞納したことの記録が残ってしまうのです。
個人信用情報の記録は、「この人は過去にきちんとお金を払ってきたか」ということを確認するためのデータベースです。住宅ローンの契約やクレジットカードの作成をするとき、他にもカードローンなどでお金を借りるときにも照会されます。
一度延滞などの履歴が残ってしまうと、今後信用情報を照会される際に「この人はお金をきちんと支払えない人だ」というレッテルを貼られてしまうに等しいのです。
ローンの契約やクレジットカードの新規作成ができなくなる可能性があるほか、スマートフォンの分割購入の審査に通らなくなる可能性も考えられます。ですから、家賃が払えなくなった場合は、今後のことも考えて早急に対応する必要があります。
強制退去させられる可能性がある
入居の際に記入したり説明を受けたりする賃貸借契約書や重要事項説明書には、賃貸契約を解除できる場合についての記載があります。賃貸借契約書を締結して入居しているということは、それらの条件について合意したということになります。契約書の署名が合意の証拠となります。ですから、知らなかったという言い逃れはできないわけです。
例えば、重要事項説明書に「借り主が支払いを2カ月分以上遅滞した場合は、貸し主は賃貸借契約を解除することができる」と書いてあれば、2カ月家賃を滞納した場合は賃貸借契約が解除されてしまいます。すると、借り主は部屋に住むことができなくなり、退去を促されることになります。
家賃滞納から強制退去までの流れ
家賃を滞納すると、強制退去させられる可能性があることが分かりました。しかし、家賃の支払いが1日2日遅れたからといって、即強制退去となるわけではありません。一般的には以下のような流れで、強制退去までの手続きが進められていきます。
1.家賃支払いの督促がくる
先ほどもご紹介した通り、家賃の支払いを滞納すると、まずは大家さんからの督促がきます。
2.連帯保証人の方へ連絡がいく
大家さんは、借り主に直接連絡をしても支払いに応じてもらえなかった場合、連帯保証人へ連絡を入れます。
3.内容証明郵便で請求がくる
電話や手紙などによる連絡を何度も無視して支払いをしないでいると、内容証明郵便で請求額の通知がきます。内容証明郵便を使用するのは督促を行った証拠を残すためですので、内容証明郵便が送られてきたということは、貸し主側は裁判を考えている可能性が高いといえるでしょう。
4.契約解除通知が送られてくる
滞納期間が長期にわたると、賃貸契約を解除する旨の通知が送られてきます。こちらも、内容証明郵便で送られてくる場合が多いでしょう。
5.裁判になる(明け渡し請求訴訟が行われる)
これまでのすべての通知を無視して家賃を滞納し続けると、いよいよ裁判を起こされてしまいます。貸し主側が裁判所へ、物件の明け渡し請求とともに、滞納されている家賃と遅延損害金の請求を行います。
貸し主側の申し立てが通れば、立ち退きに関する訴状が届きます。訴状を受け取ったら、裁判所へ出廷しなくてはなりません。
6.強制退去(強制執行)が行われる
立ち退き要求が裁判で受理された場合、借り主に立ち退きの催告状が届きます。催告状で指定された期日までに立ち退きをしなかった場合、強制執行が行われます。
強制執行では、物件からの立ち退きだけでなく、室内にある家具などの一切のものが部屋から運び出され、撤収された荷物は一定期間内に取りに行かないと処分されてしまいます。また、場合によっては、給与や預金などの差し押さえが同時に行われる場合もあります。
家賃を滞納しそうなときの対処法
まずは大家さんや不動産管理会社に相談する
家賃を払えない場合は、分かった時点で大家さんや不動産管理会社に相談しましょう。
「実は仕事をクビになってしまって求職中で、家賃の支払いがしばらくできそうにない」などの事情や、「来月の10日頃にはお金を工面できそう」など、支払いのめどが立っていることを話せば、やさしい大家さんであれば支払いを待ってくれることもあるでしょう。
不動産管理会社も、きちんと事情を説明すれば、大家さんに事情を伝えてくれて家賃の支払いを待ってもらえることもあるでしょう。支払いを待ってもらうだけでなく、一括払いが難しければ分割払いにするなどいろいろな手段があるので、お互いにとって良い方法を提示してもらえる可能性があります。
大家さんや不動産管理会社にまったく連絡をしないで家賃を支払わないというのが最悪のパターンです。大家さんも不動産管理会社も連絡のない家賃滞納が一番困ります。契約で定められた期間までに家賃が払われなければ、督促の連絡をする必要がありますので、借り主に連絡をせざるを得ないのです。
今後も同じ物件に住み続けたいのであれば、大家さんとは気まずい関係にはなりたくないはず。家賃の支払いができていない手前、言い出しにくいと感じるかもしれませんが、大家さんとの信頼関係を保つためにも、まずは一報入れることをおすすめします。
連帯保証人に連絡する
物件の借り主が家賃を払えなくなると、連帯保証人に督促の連絡が届きます。大家さんからの督促で、借り主が家賃を滞納していることを初めて知ったということがないように、事前に連帯保証人に連絡しましょう。
もしかすると連帯保証人の方が家賃相当額を負担してくれたり、貸してくれたりするかもしれません。
生活困窮者自立支援制度を利用する
失業によって収入が途絶えたり減少したりして家賃が払えない場合は、生活困窮者自立支援制度の「住居確保給付金」の給付を受けられる可能性があります。
生活困窮者自立支援制度とは、厚生労働省が定めた制度で、2015年4月から開始されました。市町村などの地方自治体が窓口となり、生活に困っている人に対して支援を行ってくれる制度です。
住居確保給付金の支給は、この生活困窮者自立支援制度の支援のうちの1つです。離職や自営業の廃業によって家賃を払えなくなり住むところがなくなってしまった方や、なくなってしまいそうな方へ対して給付金が支給されます。
支給を受けるためには、離職してからの期間や同居親族の収入合計額などに制限があるほか、ハローワーク(公共職業安定所)で求職活動をすることなどが条件となっています。
給付金をもらえる期間は、原則的には3カ月と定められています。ただし、支給期間中に再就職がかなわず、引き続き支給が必要だと認められた場合は、最大2回延長することができるため、最大で9カ月間住居確保給付金をもらうことが可能です。
支給方法は自治体によって異なりますが、借り主へと支給される場合よりも、自治体から貸し主へと直接振り込みされる場合が多いようです。
生活福祉資金貸付制度を利用する
上記の生活困窮者自立支援制度と合わせて、生活福祉資金貸付制度を利用することもおすすめします。生活福祉資金貸付制度の中でも特に有用性が高い制度が、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」です。この制度は名前の通り、つなぎ資金を貸し付けてもらうことができます。
生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金の受給を申し込んだとしても、受給が確定し支給が開始されるまでは期間がかかります。臨時特例つなぎ資金貸付制度では、この申請から支給開始までの間に必要な生活費を貸し付けてもらえるのです。住居費ではなく生活費として支給がなされますが、家賃を滞納していて「●日までに家賃の3割でもいいから振り込まないと、すぐに退去してもらう」などと通告されている場合には大変助かる制度といえるでしょう。
カードローンを利用する
家賃の支払いのために、カードローンで一時的にお金を借りるのも1つの方法です。家賃滞納時の損害遅延金の利率は最大で14.6%ですので、それよりも金利が低いカードローンでお金を借りたほうが良い場合もあります。
また、もしカードローンの金利と損害遅延金の年率がさほど変わらない場合でも、その後の大家さん、不動産管理会社、保証会社との督促交渉の面倒さや、裁判・強制退去のリスクを考えると、カードローンで用立てた方が便利なこともあります。
家賃が払えない場合に備えていろいろな対処法を知っておこう
今回は、家賃を滞納するとどうなってしまうのかや、家賃が払えなくなった場合の流れ、家賃を滞納しそうな場合の対処法をご紹介しました。
家賃が払えなくなるというのは生活がギリギリであるということでしょうから、心にゆとりもなくなっていることでしょう。もしすでに生活がギリギリであるならば、今のうちに消費生活センターや社会福祉協議会に相談しておくことをおすすめします。
本当に払えなくなってしまったら、大家さんや不動産管理会社、連帯保証人にも連絡を入れましょう。カードローンで急場をしのぐ方法もあります。いろいろな対処法があるのだということを頭の片隅に入れておくと、いざという時に慌てずに対処できるのではないでしょうか。

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役
慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。
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