債務整理の種類は?任意整理・自己破産・個人再生の特徴を徹底解説!

債務整理の種類は?任意整理・自己破産・個人再生の特徴を徹底解説!

債務整理の種類

債務整理の種類とそれぞれの特徴について

近年では、日々の生活で少しお金が足りないときにいつでもお金を借りられるようになりました。便利な半面、計画的にお金を使わないと借りたお金の返済が難しくなることもあります。よくあるパターンは一時的にお金を借りたつもりが、返すときには手持ちの資金がなくて、他からお金を借りて先に借りた先にお金を返すというやり方です。この方法だと、借りる金額が少しずつ増えていき、最終的にお金を返せなくなる可能性が高くなります。では、借りたお金の返済が難しくなったときにはどのように対処すればいいのでしょうか。

そこで今回は、借りたお金が返せなくなったときに行うべき手続きである、債務整理とその種類、それぞれの特徴についてご紹介します。

債務整理にはどんな種類がある?

債務整理の専門家

債務整理とは、借りたお金の返済が難しくなったときにできる手続きのことです。

具体的な内容としては、借金を減らしたり、借金の返済スケジュールを変更したり、返済額を変更したりできます。

債務整理の交渉は、自分で行うか、専門家に依頼するかの2つの方法があります。

ただし、基本的に自分1人で交渉を行っても貸し手には相手にされません。かえって不利になる場合もあるため、一般的には弁護士や司法書士に依頼します。

弁護士や司法書士などの専門家が介在することで、貸し手も本気で対応せざるを得なくなるのです。

借金問題の相談は、資格で言うと弁護士が最も適した相談相手ですが、借金の額によっては司法書士でも対応できる場合があります。

任意整理の特徴

任意整理の特徴

まずは任意整理についてご紹介します。

任意整理は、裁判所を通さずにお金を貸し手(債権者)と話し合い、返済額の確定、支払い方法、返済額の減額などを個別に交渉する債務整理です。

債権者と合意できれば、合意した内容で返済を行います。

返済額と金利が減る可能性がある

返済額と金利が減る可能性がある

任意整理の手続きでは、かつての法律で定められていた高金利で返済をしていた場合、現在の法律で定められている金利を用いることで、これから支払う返済額が減る場合があります。

まず、借金開始時点にさかのぼり、過去に行った高金利での返済を現在の法律に定められている金利で返済したとすると、いくら返済ができていたのかなどを確認します。金利分ばかり返済していて元本があまり減っていない(過払い金がある)場合には、これから返済しなければならない借金額が減る可能性があるのです。

また、金利の引き下げ交渉が成功すれば、今後返済する借金の返済額がさらに少なくなります。ただし、借金が帳消しになるわけではありません。

他人に知られることはない

他人に知られることはない

借金が返せないと分かったら、まずは家族など身近な人間に相談することをおすすめします。

自分では冷静に判断できなくても、自分以外の人間であれば冷静に判断してくれたり、助けてくれたりすることもあるでしょう。一人で抱え込む前に、ぜひ一度周りの方々に目を向けてみてください。

しかし、借金が返せなくなったという事実は家族や友人、知人には知られたくない方がほとんどですよね。

「知られたくない、恥ずかしい、みっともない」といった気持ちが先行して、自分だけで何とかしようと、借金を返すための借金をしてしまう方もいらっしゃるでしょう。

返済にあたってお金を工面するのは大事なことですが、借金のための借金は最もやってはいけないことです。

債務整理は借金が返せなくなったときに行う手続きですが、裁判所を利用することがないため、借金返済に問題を抱えていることが明るみにでることはありません。

そのため、「今は何とか借金を返済できているけれど、返済が続くと生活が厳しい」などという方は、1人で悩まず、早めに専門家に相談することをおすすめします。

自己破産の特徴

自己破産

自己破産は、借金を返せなくなった場合に、破たんした生活を立て直すことを目的とした債務整理です。

借金が返せない状態であることを裁判所が認めれば、全ての借金の支払いが免除されます。

自己破産の流れは以下のとおりです。

  1. 自己破産の申し立て
  2. 裁判官が申し立てを行った人物から話を聞く(審尋)
  3. 話を聞き、手持ちの財産だけでは借金の返済ができない状態であると認められると、破産手続きの開始が決定する
  4. 裁判所が破産手続きの開始決定と同時に破産管財人を選任し、破産者の財産を調べて管理する
  5. 破産者の財産を破産管財人が換金し、自己破産の申し立てを行った人物にお金を貸していた人物全員に分配す
  6. 分配するための資金がなかった場合、破産手続き開始と同時に、破産手続きを終了させる手続きである同時廃止決定を行う
  7. 借金の返済義務がなくなる

財産の処分が必要となる

自己破産をするときには、財産を換金して借金の貸し手に返済しなければなりません。

ここで言う財産とは、不動産、自動車、現預金、保険の解約返戻金、退職金などです。

自己破産で清算される借金は、カードローン、消費者金融、会社や家族からの借金、友人知人からの借金など支払いが必要な全ての借金が対象になるため、全ての借金を明確にする必要があります。

自己破産の事実が官報(国が発行している新聞)に掲載される

任意整理の場合、その事実が明るみにでることはありません。

しかし、自己破産の場合は、破産手続きの開始が決定すると、国が発行している官報に自己破産をした事実が掲載されます。そのため、何らかのきっかけで個人再生をしたことを知られる可能性はあります。

個人再生の特徴

個人再生

個人再生は、自己破産と同様に裁判所を通じて行います。

具体的な内容としては、借金の減額です。

個人再生では大幅に借金を減らすことができますが、自己破産のように借金がまったくなくなるわけではありません。

持ち家が残せる

借金の中に住宅ローンがある場合は、後述する小規模個人再生手続きか給与所得者等手続きの申し立てをするときに、住宅ローンについて特則を加えることができます。

この制度を使用することで、住宅ローンについては支払いを続けることができ、住宅ローンを払い続ける限りは家を失うことがありません。

小規模個人再生手続き

個人事業主を対象とした、今後減額された借金を返すことが前提の手続きです。

利用条件としては、住宅ローンを除く借金が5,000万円以下であることと今後継続して収入を得る見込みがあることとなります。

給与所得者等再生手続き

会社員などを対象とした手続きです。あくまでも借金を返すことを前提に、住宅ローン以外の借金を減額します。

小規模個人再生手続きと同様に、住宅ローンを除く借金が5,000万円以下であること、今後の返済を可能にする収入があること、かつ収入が給料など安定していることが利用条件です。

最低返済額

<小規模個人再生手続きの場合>

借金の総額に応じて、以下のように最低返済額が定められています。

100万円未満の場合 全額
500万円~1,500万円 総額の5分の
1,500万円~3,000万円 300万円
3,000万円~5,000万円 総額の10分の1

<給与所得者等再生手続きの場合>

下記の金額と、収入から税金、社会保険料、生活費などを引いた金額の2年分と比べて、多い方の金額が最低返済額になります。

100万円未満の場合 全額
100万円~500万円 100万円
500万円~1,500万円 総額の5分の1
1,500万円~3,000万円 300万円
3,000万円~5,000万円 総額の10分の1

個人再生を行うと官報に掲載される

自己破産と同様に、個人再生を行った場合にも、官報に掲載されます。

一般の方が官報をくまなくチェックしているとは考えづらいですが、何らかのきっかけで個人再生をしたことを知られる可能性はあります。

特定調停の特徴

特定調停は、自己破産や個人再生と同様に裁判所を通じて行います。

借金の返済が苦しく返済ができなくなる恐れがある場合に、裁判所に申し立て、借金の利害調整を行うことで、経済的再生を図ることを目的とする手続きです。

裁判所ではお金の貸し手と借り手の話し合いを仲介します。そこで合意が成立すれば、合意内容に沿って借金を返済するだけで済むため、それ以上の取り立てを受けることはありません。

比較的自分で申し立てをしやすい

特定調停は、法律の専門家でなくても申立書のひな形を使用し、自分で申し立てをすることで手続きを進められます。

申し立てた本人が裁判所に赴き、調停委員が個別の事情をヒアリングします。

費用においては、業者1社について500円程度で済み、かつ裁判所への出頭回数も2回程度であるため、利用しやすい手続きといえるでしょう。

調停は非公開に行われ、外部に知られることはありません。

申し立ては、相手方の住所を担当する簡易裁判所に対して行います。

申し立ての方法

特定調停の申し立てを行う場合、申立書、財産の状況を示す明細書、債務者であることを明らかにする資料、権利関係者の一覧を作成し、申し立ての手数料と郵便代を裁判所に提出します。手書きでもパソコンを利用して打ち出した書類でもどちらでも可です。

ただし、申し立ての内容によって、書類の追加提出が必要な場合もあります。

官報には掲載されない

特定調停は、裁判所に申し立てを行うものの、官報に掲載されることはありません。ただし、裁判所から通知が届くため家族には知られる恐れがあります。

家族に内緒で手続きを済ませたいという場合は、特定調停より任意整理が適しているといえるでしょう。

個人信用情報について

個人情報

債務整理をすると、ブラックリストに載ってお金を借りられなくなるといわれています。

そこでここからは、個人信用情報についてお伝えします。

個人信用情報って何?

信用情報という言葉を聞いたことはありませんか。これは、私たちが普段接する個人情報とは異なります。

個人信用情報とは、クレジットカードを何枚持っているか、お金をどの金融機関からいくら借りているかなどが分かる、お金を貸すことに特化した個人情報のことです。

信用という言葉の意味を含めて考えれば、今までの信用の履歴の情報ということが何となく想像できるかと思います。

ブラックリストって何?

実は、ブラックリストなるものは存在しません。あるのは個人信用情報のみです。

きちんと返済ができている情報、借りたお金の返済が滞ってしまった情報、どこのクレジットカード、どこの金融機関から借りたものなのかというお金の貸し借りに関する情報は、全て個人信用情報に履歴として残されています。

この情報は会社を超えて、金融機関で共有する仕組みになっており、お金を貸す側はその個人信用情報を見て、貸すか貸さないかを判断します。

このような破産や滞納などのネガティブな情報をブラックリスト、ブラック情報と表現しています。 個人信用情報に延滞を繰り返している、自己破産をしているなどのブラック情報があれば、新たにお金を借りることは難しくなるでしょう。

自分の情報がどのようなものであるか知りたい方は、全国銀行個人信用情報センターなどに問い合わせると、自分の信用情報を取ることができます。もし気になる方がいれば、試してみてはいかがでしょうか。

返済がどうしても難しければ責務整理を

今回は、債務整理の種類と、それぞれの特徴についてご紹介しました。この制度を利用すれば、最低限の支払いに抑えられるようになるでしょう。

始めは返せると思ってお金を借りる方がほとんどです。しかし、さまざまな事情でお金を返すことが難しくなることは誰にでも起こりうることでしょう。その際に、誰にも相談できずに借金に借金を重ねて身動きが取れなくなる方も珍しくありません。

あなた自身や友人知人がいつ何時、借金をせざるを得ない状況になるかは分かりませんし、借金を返すための借金をすることもない話ではないのです。

知識がないと損をすることはたくさんあります。たとえ借金に苦しんでいても、債務整理の制度を知らないと何もできません。

少しでも債務整理のことを頭の片隅にとどめられれば、いざというときに何をすべきかが分かるのではないでしょうか。

今回の債務整理について、縁のないことと感じる方もいるかもしれません。

しかし、例えば大きな災害が発生して、財産と仕事を失って、生活のためにお金を借りざるを得ないこともあるでしょう。その場合に今回の内容を少しでも覚えておいていただければ、あなた自身や大切な人を守るために活用できるかもしれません。

高橋 成寿
高橋 成寿

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。

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