会社の給料未払いで生活できない!給料がもらえないときの対処法
給料未払いが原因で生活できない…給料をもらえない場合はどう対処する?
会社の給料が未払い。嘘のような本当の話ですが、もしかしたら周りの人からの実体験を聞いたことがあるかもしれません。
企業経営においてよくいわれるのが、設立して10年後に残っている会社は1割にも満たないという話。ここからいえることは、中小企業だけではなく、大企業も含めて長期で生存すること自体がなかなか難しいということです。つまり、会社の倒産や赤字経営により給料が未払いとなることは誰にでも起こりうるとも考えられます。
そこで今回は、いざ給料未払いといったアクシデントが発生した場合に、どのように対処することができるのか、また給料未払いが起きる要因は何なのかについてご紹介します。
会社の給料未払い・遅配はなぜ起こるのか
給料日に給料が振り込まれなかったら、1カ月の生活に支障が出る方は多いことでしょう。仮に遅れて給与が振り込まれる場合であっても、不安な日々を過ごすことに変わりはありません。一体、なぜ給料の未払いや遅配が起きるのでしょうか。
会社の経営状態が危ないから
最初に考えられるのが、会社の経営状態が危ないケースでしょう。「役員が普段と異なる行動をとっている」「やたら金融機関との交渉が多い」「社長の顔色が最近悪い状況が続く」などが挙げられます。
こうした状況から判断できる場合もありますが、業績悪化や取引先からの入金が遅延しているといった場合には、資金繰りに窮していることが考えられます。当然ながら、本来は真っ先に支払うべき給料に関しても、支払いが滞ることになりかねません。ひどい場合には、数カ月分の給料未払い、毎月25日支給が1週間遅れて振り込まれるといったことが続く場合もあります。
本人が仕事を無断退職したから
会社ではなく、本人が悪いといった場合には給料が未払いとなる場合があります。例えば、遅刻や早退が頻繁に発生している場合や、仕事のミスにより罰則として給料が支払われない場合もあるかもしれません。無断退職した場合にも本人に責任があるため、給料が未払いとなることは想像できます。
トラブルを起こし賠償金と給料を相殺するとして、給料が支払われないというケースもあるかもしれません。ただし、減額を理由として給料を支払わないケースでは、違法な場合もあります。仕事の罰則として給料を減らす場合には、減額できる上限も決まっており、本来は未払いにはできないのです。
また、就業規則に減額についての記載も必要となります。労働基準法第91条では、就業規則での規定の他、減額する場合には1回の上限が1日分の給料の半額以内であること、減額合計の上限は賃金支払期の10分の1以内(通常は1カ月分の給料の10分の1)と定めています。
単なる支払い忘れ
中小企業、特に零細企業で社長が経理などもこなすといった場合に多いのが、単なる支払い忘れです。給料や支払いなどがシステム化されている企業であれば、こうした支払い忘れといったミスは通常発生しませんが、毎回手動で振り込んでいる場合には振り込み作業を忘れることがあるかもしれません。振り込みミスは通常は何カ月も続けて発生することは考えにくいでしょう。
その他、勤怠データの不具合があった、出勤入力がなされていなかったといった単純なトラブルで入金が遅れるといったこともありえます。
経営側がしっかりしていればこのような単純ミスはないのが一般的ですが、忙しすぎて対応できない場合などには起こるかもしれません。
会社の給料未払いは法律違反!
労働基準法第24条によると、賃金は毎月1回以上、一定期日に支払われなければならないとされています。このように法律で給料をしっかり払うことが明記されているのです。つまり、給料未払いは法律違反。仮に給料が未払いといった状況になるのであれば、その場合には労働者が支払い請求を行うのは正当な行為といえます。労働の対価として給料は受け取っているのですから、当然の権利でしょう。
なお、これは給料遅配にも適用されます。もし数日でも給料支払いが遅れるのであれば、これも実は法律違反となるのです。
1日でも早く支払ってもらおう!給料未払いへの対処法
給料が未払いとなった場合にはどのように対処していけば良いでしょうか。ここでは、その対処法を順に追ってご説明します。
大きな流れとしては、「1.会社に確認する」「2.会社へ請求する」「3.労働基準監督署へ相談する」「4.裁判所で訴訟を起こす」といったステップを踏みます。
この途中で解決する場合もあれば、裁判までいくケースもあります。それでは各ステップについて詳しく見ていきましょう。
1.会社に確認する
上述したように、給料が振り込まれていないケースには単なる支払い忘れの場合や、本人が振込日を勘違いしていたといううっかりミスもありえるため、まずは会社に確認してください。
その際に、「振り込みがなされていないのですが、私の勘違いでしょうか?」といった内容で総務や経理に聞いてみましょう。後々トラブルにならないように、穏便に確認することをおすすめします。
2.会社へ請求をする
そして、うっかりミスではなく、実際に未払いと分かった場合には、会社に口頭で至急支払ってほしい旨を伝えましょう。
経営悪化等が理由であれば、それでも支払われないことはありえます。そうした場合には、証拠を残すために、内容証明郵便により会社へ給料未払い分の請求を行ってください。
3.労働基準監督署へ相談する
ここまでのステップを踏んでもまだ支給される見込みがない場合には、労働基準監督署へ相談しましょう。労働基準監督署は、労働条件における労働基準を遵守しているかをチェックする役割を持っており、使用者、事業者を監督する立場にあります。
労働基準監督署では、相談者からの依頼等に基づき、使用者や事業者に対して労働条件の遵守に関する質問を行ったり、帳簿等の書類の提出を求めたりすることが可能です。残業代などが支払われていない場合には、その是正勧告も行います。
当然ながら未払いについても使用者、事業者に対して支払うように勧告を行い、賃金支払いを促す効果が期待できるでしょう。
場合によっては、労働基準監督署が使用者を逮捕することもあります。このような権限を持つことから、是正勧告の段階で使用者、事業者は賃金支払いに応じることが一般的です。ただし、実際に刑事告訴まで発展するのは極めてまれなケース。実際には使用者側が是正勧告を重く受け止め、支払うことが多いといえます。
4.裁判所で訴訟を起こす
なお労働基準監督署ができることは、給与未払いに関しては是正勧告までです。実際に強制的に支払わせることまではできません。では、是正勧告を無視して給料未払い分を支払わなかった場合にはどうなるのでしょうか。是正勧告を無視した場合、労働基準監督署では財産の差押えなどの権限は持っていないため、これ以上の深追いはできません。
そこで、裁判所で訴訟を起こすステップに進みます。給料の未払いの場合には、労働審判制度を利用する方法があります。労働審判制度とは、使用者側と労働者側の話し合いを主軸としつつも、話し合いがつかない場合には裁判所が労働審判を下すという方法です。訴訟の一歩手前の手段で、話し合いをしながら裁判官や労働問題に精通した労働審判員という専門家が判断を下します。
訴訟で戦う場合には、労働訴訟を起こします。使用者側と労働者側が双方の主張を裁判で行い、裁判所が判決を下します。場合によっては和解がすすめられる場合もあります。結論が出るまでに1年など時間がかかることも想定されますので、あらかじめ時間がかかることも考慮しておくべきでしょう。
この他、話し合い重視であれば、労働調停を利用する方法もあります。使用者側と労働者側で話し合いがつきそうになければ、労働審判や労働訴訟も検討してください。
給料未払いのまま会社が倒産した場合はどうなるの?
仮に、給料未払いの状況で会社が倒産してしまった場合にはどうなるのでしょうか。
結論は、会社の倒産手続きによって対応は異なります。
会社の倒産手続きには、大きく分けて「破産」「民事再生」「会社更生」の3つに分けることができます。
破産
破産に関しては、手続き開始前の3カ月分の未払賃金(もしくは退職金)が他の債権者よりも優先的に支払われます。これは労働者保護が優先されるためです。
民事再生・会社更生
民事再生や会社更生の場合には、未払賃金(もしくは退職金)の全額に関して、他の債権者よりも優先的に支払われることになっています。なお、優先的といっても必ず支払われる保証はありません。あくまでも会社に残っているお金から支払われますので、全額ではなく一部のみ回収できるといったケースもあります。会社の資産が少なければ回収が難しいといったこともあるかもしれません。
未払賃金立替払制度
未払い賃金をすべて回収できない場合には、「未払賃金立替払制度」を利用することも検討しましょう。未払賃金立替制度とは、倒産した会社の代わりに国が未払賃金や退職金の支払いを行ってくれるしくみです。
具体的には、独立行政法人労働者健康安全機構に未払賃金や退職金の立替請求を行います。この制度を利用することで、実は未払賃金や退職金の最大8割まで支払われる可能性があります。
ただし労働者の年齢ごとに上限があり、最大で296万円までと定められているため、必ずしも全額回収できるとは限りません。
また、未払賃金立替払制度を活用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 会社が労災保険の適用事業所であり、1年以上事業活動を行っていたこと
- 会社が倒産した
- 立替払請求者が労働基準法の定める労働者であること
- 倒産手続きの申し立て等がされた日の6カ月前の日から2年の間に退職している
- 賃金もしくは退職金が未払いであること(ただし、総額2万円未満は対象外)
- 退職日の6カ月前から立替払いの請求日の前日までに給与や退職金の支払期日がきていること
- 倒産手続きの開始決定日等の翌日から2年以内に立替払いの請求を行うこと
給料がもらえない間どうやって生活すればいいの?
さて、請求や訴訟等により給料の未払いを解決する手段があることが分かりました。しかしながら、こうした手段を用いても、すぐに未払い分が支給されることになるとは限りません。給料がもらえない間は、どのように生活していけば良いのでしょうか。
週末に日払いバイトをして稼ぐ
短期的な話であれば、週末に日払いバイトで稼ぐといった方法がもっとも簡単な方法になります。日払いバイトには、イベントなどの催し物における誘導やグッズ販売などもあれば、警備スタッフのように1日で2万円以上稼げるものもあります。ただし、週末すべての時間を使ってしまうおそれがあること、体力勝負のバイトが多いため体力に余裕がない場合にはなかなか難しいかもしれません。
FXや株式投資で稼ぐ
FXや株式投資も1つの方法です。FXとは外国為替証拠金取引を指し、手元の資金の最大25倍までの外貨取引を行うことができます。例えば、米ドルやユーロを購入し為替の利益や利息を狙っていきます。
一方、株式取引の場合は気になる企業の株式を購入し、値上がり益や株主優待を目的に売買する投資方法です。
ただし、こうした取引はある程度手元に資金があることが前提となります。また、取引によっては損失が発生する場合もありますので、投資に対する学習や準備も必要でしょう。
カードローンで借り入れする
バイトでは時間や体力がとられ、投資ではまとまった資金が必要です。こうした方法が難しい場合にはどうすれば良いでしょうか。
方法の1つとして、カードローンで借り入れを行う方法が考えられます。カードローンの場合、利用用途がフリーであるため使い勝手が良いといえるでしょう。消費者金融系のカードローンであれば最短即日融資も可能なことが多いため、本当に困ったときに力を発揮するかもしれません。
給料が会社から支払われるまでの短期間や、転職先が決まるまでの間のつなぎとしての利用であれば、カードローンで借り入れを行う方法は便利だといえます。その後給料が安定したら返済していけば良いのです。
給料未払いに備えて生活手段を考えておこう
今回は、会社の給料未払いとその対処法についてご紹介しました。
未払いという状況は、誰にでも起こり得ます。もし未払いが生じた場合には催促の仕方をまずは思い出してください。そして、さまざまなステップを踏む準備を行ってください。
それと同時に、資金繰りで困ることはないかも確認していきましょう。給料未払いにより生活に支障を来すようであれば、バイトを考えるもよし投資を考えるもよし、生活する手段はいくつかあります。まとまった資金がすぐに必要な場合にはカードローンの利用を検討しても良いでしょう。カードローンはいざというときの味方になります。
会社の給料未払いは、いつ誰に起こるか分かりません。いざというときに落ち着いて対処できるように、対応策や催促の手順などを知っておくことが大切です。
CFP(R)認定者
スキラージャパン株式会社取締役、伊藤亮太FP事務所代表
慶応義塾大学大学院商学研究科 経営学・会計学専攻修了。学生時代にCFP®資格、DCアドバイザー資格取得。2007年11月スキラージャパン株式会社設立に参画。取締役に就任。またその後個人事務所として伊藤亮太FP事務所を立ち上げる。独立系FPとして、金融資産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング・相続事業承継、保険見直し、金融機関等における講演など幅広く活動を展開、執筆業務も多岐にわたる。
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