失業保険の受給資格とは?給付金をもらえる期間や金額を教えて!

失業保険の受給資格とは?給付金をもらえる期間や金額を教えて!

落下する男性を受け止めようとする大きな手

失業保険の受給資格は?受給できる期間や金額が知りたい!

会社を辞めるなどして月々の収入がなくなった場合、就業期間中の一定の条件を満たす方には、手続きをすることにより支給される失業保険。今回は、どのような条件を満たせば、どのくらいの金額の支給がされるのかについてご紹介します。
国から支給される保険金は、原則として自分で請求手続きをしなければもらえないので、その仕組みについてよく理解し、スムーズに受給できるようにしましょう。

失業保険とは?

失業保険とは、正式には雇用保険と呼ばれる公的な保険制度のことです。雇用保険法という法律に基づき、一定の資格を有して失業状態にある65歳未満の人に、一定期間または、再就職が決まるまで「基本手当」と称する失業保険金(求職者給付)(※1)が支給されることになっています。
以下の解説では、雇用保険の求職者給付のうちの基本手当について触れますが、一般的に失業保険という言葉が使われているため、失業保険として進めます。

(※1)求職者給付

求職者給付は、基本手当だけではありません。65歳より前から勤務していた会社を65歳以降に辞めた場合、基本手当に代わって「高年齢求職者給付金」という一時金が支給されます。

失業保険を受給する資格があるのはどんな人?

失業保険は、会社を辞めれば誰でももらえるというわけではありません。
まず、辞めた会社が雇用保険に加入していることが必要です。雇用保険に加入している会社を、雇用保険の適用事業所といいます。

また、失業保険をもらうためには、まず本人に雇用保険制度に加入するための資格がなければなりません。その資格を得るには、会社で週に20時間以上仕事をし、入社後31日以上その会社で働く必要があります。つまり、週に20時間未満の働き方をするパートタイマーや、入社後31日未満でその会社を辞める臨時職員は、加入できません。

次に、退職後に失業保険をもらえる資格は、後述する退職の理由によりますが、その会社(適用事業所)で1年以上または半年以上働いたという実績が必要です。勤務期間が1年以上必要という条件は、今勤めている会社の勤務期間が1年未満でも、前の会社も雇用保険の適用事業所だった場合は、条件をクリアできる可能性があります。

前の会社を退職してから1年以内に今の会社に再就職し、再就職までの間に失業保険をもらっていなければ、前職の期間と現職の期間を合算(通算)可能です。その通算期間が1年以上となっていれば、失業保険をもらうことができます。

失業保険の給付金をもらえる期間はどれくらい?

失業保険の仕組みは少し複雑です。失業保険をもらうことができる期間を受給期間と呼び、退職した日から1年と定められています。退職してから1年以内に、辞めた会社に勤めていた期間に応じて失業保険がもらえる日数(所定給付日数)が決まるのです。また、所定給付日数は、申請する本人が、「どのような理由で会社を辞めたか」と「辞めたときの年齢」で変わってきます。

自己都合退職の場合の給付日数

笑顔でガッツポーズする女性

次の就職先を探したいとか、しばらく仕事をしないで自由でいたいとか、本人が自分の都合で会社を辞めるのが自己都合退職です。自己都合退職では、退職までの勤務期間によって所定給付日数が異なります。

勤務期間が1年以上10年未満の場合の所定給付日数は90日、10年以上20年未満であれば120日、20年以上なら150日です。なお、定年退職は自己都合退職の中には含まれませんが、勤務期間と所定給付日数の考え方は自己都合退職と同様になります。

会社都合退職の場合の給付日数

荷物が入った段ボールと、座り込む男性

会社が社員を解雇したり、会社が移転して一部の社員にとり通勤が困難になったり、会社そのものが倒産してしまうなど、本人は会社を辞めたくなくても辞めざるを得ない退職のことを会社都合退職と呼びます。

会社都合退職の場合、特定受給資格者または特定理由離職者と称して、自己都合退職者より長い所定給付日数が与えられます。特定受給資格者も特定理由離職者も所定給付日数が決まる条件は同じで、退職時の年齢と勤務期間により決まります。

例えば、年齢にかかわらず1年未満で退職した場合の給付日数は最短の90日、退職時の年齢が45歳から59歳までで勤務期間が20年以上の場合は最長の330日です。

失業保険の給付金をもらえるのはいつから?

カレンダー

失業保険の給付金がもらえる給付開始日も、退職理由によって異なります。
会社都合退職者や定年退職者の場合は、住居地のハローワークに受給申請をしてから7日間の待機期間を経てから受給可能です。ただし、並行してハローワークで失業の認定を受けるなど事務手続き上の期間が必要なので、実際に給付金が銀行口座に振り込まれるまではもう少し時間が掛かります。なお、給付金は28日ごとに銀行口座に振り込まれます。

しかし、自己都合退職者の場合は、待機期間7日間の経過後、通常は3カ月間の給付制限があるため、受給申請から3カ月と7日間は失業保険が受給できません。実際に銀行口座に支給金が振り込まれるのは、事務手続き上もっと後になります。自己都合退職者は、この間苦しい生活を強いられるでしょう。

失業保険の給付金をもらえるのはいつまで?

オフィスでノートPCを使って仕事をする女性

失業保険の給付金がもらえる期限は、以下のうち最も早い日までです。

  • 退職をした日から1年間経過した日(受給期間)
  • 所定給付日数が終わる日
  • 再就職をした日

例えば、退職してすぐに所定給付日数150日の人が受給申請をすれば、1年の受給期間内に所定給付日数の期限が来ます。この場合は、所定給付日数が終わる日か、その前に再就職先が決まれば、再就職の日が給付の最終日となります。

失業保険でもらえる金額はいくら?

実際に失業保険でもらえる額はいくらくらいなのでしょうか?給付金の具体的な額を見ていきましょう。

失業保険の給付金額はどのように決められるのか

カレンダーを見ながら電卓を叩く人

失業保険の給付金額は、「基本手当日額」という1日の給付額が決められています。給付金が振り込まれる間隔の28日間のうち、一定の収入がなかった日が認定され、その日数分の給付金が銀行口座に振り込まれます。28日間のうち収入がなかった日の認定が行われるのは、アルバイトなどで数日間一定以上の収入があった日は、失業保険を受給できる対象にしないためです。

基本手当日額は、本人の賃金日額(退職前6カ月の給料合計(※2)を180日で割って求めた額です)に、賃金日額によって決まる掛け率(45%から80%)を掛けた額になります。なお、賃金日額や基本手当日額には上限値が決められているため、高額の給料をもらっていた方の基本手当が極端に高額になることはありません。同様に下限値も決められているため、基本手当は極端に低額になることもありません。

例えば、40歳で給料が40万円だった人の場合は、6カ月の給料合計を180日で割ると400000×6÷180=13333となるため、賃金日額は1万3,333円です。この額は賃金日額の上限値を超えていないので、このまま賃金日額になります。

また、40歳で賃金日額が1万3,333円の場合の掛け率は50%なので、13,333×0.5=6,666となるため、この場合の基本手当日額は6,666円です。したがって、認定日から次の認定日までの28日間にアルバイトなどでの収入がなければ、28日間すべてが失業中と認定されて、日額6,666円の28日分である18万6,648円が銀行口座に振り込まれます。

(※2)6カ月の給料合計

この給料合計には、その間に賞与が支給されていたとしても賞与は含みません。この他、一時的または臨時に支給された手当など(出張手当、結婚祝い金、見舞金など)も含みません。

失業保険の給付金額の相場はいくら?

一万円札の上で相談をする人形のビジネスマン5人

失業保険の給付金額には、本人の給料額にかかわらず下限値と上限値が決められています。
平成29年8月1日からの支給額の下限値は、失業時の年齢に関係なく28日間で5万5,328円です。一方上限値は、失業時の年齢が29歳以下で18万7,880円、失業時の年齢が30歳以上44歳以下で20万8,740円、45歳以上59歳以下で22万9,740円、60歳以上64歳以下で19万7,176円です。

この範囲の中で支給されるわけですが、厚生労働省の雇用保険事業年報、一般求職者給付の状況(平成28年度)では、失業保険の平均給付額は28日間で11万8,368円となっています。上記「失業保険の給付金額はどのように決められるのか」で挙げた例では、40歳で給料40万円の人の場合、給付額は約18万6,000円です。

また、アルバイトが雇用保険に加入できる最低限の勤務時間である週に20時間の働き方の場合、時給1,000円とするとひと月の給料は約8万円なので、基本手当は28日間で約5万9,000円になります。

失業保険の給付金だけじゃ生活費が足りない!どうすればいい?

生活費に苦しむイメージ

失業保険の給付金は、賃金日額によって決まる掛け率(45%から80%)を掛けるので、それまでの給料の半額近くになってしまいます。国としては、失業期間をなるべく短くし、早く次の職に就くよう促すためにも潤沢な額を支給することはできないという事情があります。そのため仕方ないともいえますが、失業者が失業保険の給付金だけで生計を立てるのは難しいでしょう。
以下では、再就職までの期間をどのようにして、より多く収入を得るかについて、ご紹介します。

技能習得手当を受給する

失業保険を受給する条件の1つに、再就職に向けての就職活動をしていることが挙げられます。再就職の意思がないのに失業保険をもらい続けることはできません。また、再就職にあたっては自分の技能を高めた方が、より良い条件での就職先が決まります。そこで技能習得手当を受給すれば、自分の技能の向上を図りながら、失業保険の給付総額が増え、かつ給付期間が延長されるのです。

技能習得手当を受給するためには、まず技能を習得するためにハローワークや「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に受講申込書を提出してください。技能習得手当は、申し込んだカリキュラムの受講に対する受講手当と、学習の場所までの交通費(通所手当と呼びます)が失業保険金とともに支給されるので、結果的に受給総額が増えます。

また技能習得期間は、失業保険も同時に受給できることになっているので、例えば失業保険の所定給付日数が90日の場合、所定給付日数がなくなる前に50日間の技能習得カリキュラムを受講することになったとすると、最長140日間は失業保険を受給できます。さらに、技能習得をしている50日間は、技能習得手当(受講手当の上限は2万円、通所手当は交通費の実費で上限は月額4万2500円)も受給できます。

単発のアルバイトをする

生活費を稼ぐために、日払いなどのアルバイトをしようと考える方もいらっしゃるかもしれません、しかし、失業の申請をしてから待機期間と呼ばれる7日間は、アルバイトをすることは禁止されています。この期間にアルバイトなどをして収入を得ると、失業認定そのものがされなくなるため注意が必要です。7日間を過ぎれば、一定の条件下でのアルバイトなら認められています。

失業中と認定される働き方は、「月に14日未満」かつ「週に20時間未満かつ週に4日未満」といわれています。このくらいの働き方なら再就職とはみなされないからです。ただし、具体的な判断基準はハローワークによって違うので、詳細はご自分で確認してください。
また、失業中と認定される働き方をする場合でも、その日は失業の認定日とはならないため、アルバイトをした日はハローワークに申告をする必要があります。つまりアルバイトをした日の分の基本手当日額は支給されません(正確には支給が保留されます)。

親にお金を借りる

単発のアルバイト代と失業保険の給付金だけでは生活が成り立たないとき、再就職までの期限付きで親などからお金を借りる方法もありますが、普段からの親との関係性(信頼関係)がないと、社会人が親からお金を借りるのは心情的にも難しいかもしれません。

それでも借りなければならないときは、貸主が親といえども借用期限を明記した借用書を書いておくべきでしょう。いずれにしても、この期間に一番精力を傾けなければならないのは再就職先を早く探すことです。今すべき目標を明確に意識しなければなりません。

カードローンでお金を借りる

再就職先を早急に決めるという明確な目標を立てて実践するのであれば、その限定された期間だけ、カードローンを利用して当面の足しにすることも1つの方法です。消費者金融のカードローンであれば、審査が比較的緩く、また初めての借り入れなら30日間金利がつかないサービスをしているところもあります。借り手に有利な条件を駆使して賢いカードローンの利用も考えてみましょう。

自分の失業保険給付金について確認しておこう

今回は、失業保険について、受給資格と受給額、受給期間などについてご紹介しました。失業保険は、自己都合退職の場合はその会社に1年以上勤務しないと原則受給できないこと、退職時の年齢や退職理由によって受給額も受給期間も変わってくることをご理解いただけたと思います。また、自己都合退職の場合は、失業保険の手続き後3カ月以上は、無支給期間があることも重要なポイントです。

自分が失業保険を利用することになった場合、どの程度の給付金を受給できるのか今回ご紹介した内容を参考に計算してみてください。現在失業中で失業保険を受給しているけれども生活に困っている方は、技能習得手当やカードローンなどの利用も検討されると良いでしょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

各種カードローン比較
ピックアップ
各種カードローン比較
© カードローンQ All Rights Reserved.