交通違反の罰金・反則金を払わないとどうなる?払えない場合の対処法
交通違反の罰金・反則金
現代の日本では、自動車や自転車などが家庭に広く普及しています。利用者が多いからこそ怖いのが、交通違反。交通違反から交通事故に発展し、怪我をしたり命の危険にさらされたりすることがあるかもしれません。
また、交通違反には怪我などの他にも罰金や反則金といったお金に関するリスクもあります。罰金や反則金を支払わずに放置すると、差し押さえや労役場留置といった強制執行手続きが行われ、今後の人生に大きな影響を与えることになります。
今回は、交通違反の罰金・反則金の金額や、それらが支払えないときの対処法についてご紹介します。
交通違反のお金と点数
反則金と罰金の違い
反則金とは、「交通反則告知書・免許証保管証(青きっぷ)」および「仮納付書」を交付された際に支払わなければならないお金のことです。
交通反則告知書・免許証保管証によって告知を受けた場合には、「交通反則通告制度」が適用されます。
交通反則通告制度とは、違反の度合いが軽かった場合に、反則金の支払いをもって刑事事件としての手続きが免除され、前科もつかない制度です。未成年者の場合は、家庭裁判所の審判に付されなくなります。
一方で罰金とは、「告知票・免許証保管証(赤きっぷ)」および「納付書」を交付された際に支払わなければならないお金のことで、違反の度合いが重かった場合に科せられる刑事処分の一種です。
詳細は後述しますが、反則金を支払わずにいると、罰金として扱われる可能性もあります。
違反点数の数え方
よく「減点された」と表現される違反点数ですが、減点されていっているわけではなく、逆に加算(累積)されていきます。過去3年間で何も違反していない場合、6点で免許停止処分、15点で免許取り消しになります。
過去3年間で1度だけ処分を受けていた場合には4点で免許停止処分になるという具合に、前歴の回数によっては低い点数でもすぐに免許停止になってしまいます。
なお、1年以上無事故かつ無違反など、ある一定の条件を満たせば、これまでの違反点数が0に戻ります。
また、非常に軽い違反であれば運転免許試験場などで行われる「違反者講習」を受講することで免許停止処分が免除される、といった制度も設けられています。
交通違反の罰金・反則金はどのくらいかかる?
交通違反には主に、免許証不携帯、信号無視、駐車禁止(駐停車)違反、スピード違反(速度超過)などがあります。ここでは、これらの違反点数および反則金がいくらなのかをご紹介します。
免許証不携帯
自動車を運転するには、自動車免許を取得しているだけでなく、運転時に免許証を携帯することが義務付けられています。
免許証不携帯で運転した場合、違反点数の増加はありませんが反則金の納付が必要となります。違反点数による処分がないため、ゴールド免許証からブルー免許証への降格もありません。
尚、免許証不携帯の反則金は、原付車、二輪車、普通車、大型車のいずれの場合も3,000円です。
信号無視
信号無視をした場合、赤色等(赤信号や黄色信号)であっても点滅(赤色点滅や黄色点滅)であっても2点の違反点数がカウントされます。
また、車種により次の通り反則金を納付しなければなりません。
【赤色等の場合】
- 原付車・・・6,000円
- 二輪車・・・7,000円
- 普通車・・・9,000円
- 大型車・・・12,000円
【点滅の場合】
- 原付車・・・5,000円
- 二輪車・・・6,000円
- 普通車・・・7,000円
- 大型車・・・9,000円
交差点内は駐停車禁止場所ですので、速やかに交差点内から抜け出さないといけません。そのため、すでに停止線を越えたタイミングで赤信号になった場合や、ブレーキをかけることで後続車両に危険がおよぶ場合には信号無視にはなりません。
ただし、スピードを出しすぎたことで安全に停止できない場合には、信号無視にならなくても速度超過などで交通違反の対象となるので注意しましょう。
なお、赤点滅信号は交差点への進入前に必ず一時停止をしなければならず、黄色点滅信号は歩行者や他の車両の進行を妨害するような運転は違反とみなされます。
駐車禁止(駐停車)違反
一般的に「駐車違反」と呼ばれるものですが、厳密には「駐停車違反」といいます。そして、駐停車違反には、「駐停車禁止場所違反」と「駐車禁止場所違反」の2種類があります。
駐停車禁止場所違反とは、駐車および停車が禁じられている場所で駐停車をする違反のことです。交差点、横断歩道、踏切といった「法定駐停車禁止場所」や標識により指定された「指定駐停車禁止場所違反」があります。このような駐停車禁止場所に駐停車すると、2点の違反点数がカウントされ、車種ごとに下記の反則金が科せられます。
- 原付車・・・7,000円
- 二輪車・・・7,000円
- 普通車・・・1万2,000円
- 大型車・・・1万5,000円
駐車禁止場所違反とは、駐車が禁じられている場所で駐車をする違反のことです。例えば、工事区域の側端から5メートル以内、火災報知機から1メートル以内といった「法定駐車禁止場所」や、標識により指定された「指定駐車禁止場所違反」があります。
このような駐車禁止場所に駐車した場合、1点の違反点数がカウントされ、車種ごとに下記の反則金が科せられます。
- 原付車・・・6,000円
- 二輪車・・・6,000円
- 普通車・・・10,000円
- 大型車・・・12,000円
駐停車違反によく似た交通違反として、「放置駐車違反」というものがあります。駐停車違反は、車の近くに運転手がいる状態を意味するのに対し、放置駐車違反は違反車両の運転手が車の近くにいない状態を意味します。駐停車違反同様に、「駐停車禁止場所違反」と「駐車禁止場所違反」により違反点数や反則金の金額が異なります。
【駐停車禁止場所違反の場合(違反点数3点)】
- 原付車・・・1万円
- 二輪車・・・1万円
- 普通車・・・1万8,000円
- 大型車・・・2万5,000円
【駐車禁止場所違反の場合(2点)】
- 原付車・・・9,000円
- 二輪車・・・9,000円
- 普通車・・・1万5,000円
- 大型車・・・2万1,000円
このような放置車両における使用者責任の拡充の一つとして平成18年6月より導入された制度が「車検拒否制度」です。この制度により、放置違反金を支払わずに公安委員会から違反金の督促を受けると、放置違反金を納付済みであることを証明できなければ車検を受け付けてもらえません。
スピード違反(速度超過)
急ぎの用事があると、ついスピード違反してしまうこともあるかと思います。しかし、スピード違反は、速度がオーバーしすぎると反則金ではなく罰金等の刑事罰が科せられる可能性があるので、気をつけなければなりません。
一般道路であれば超過した速度ごとに次のような処分があります。
【15km未満(違反点数1点)】
- 原付車・・・6,000円
- 二輪車・・・7,000円
- 普通車・・・9,000円
- 大型車・・・1万2,000円
【15km以上~20km未満(1点)】
- 原付車・・・7,000円
- 二輪車・・・9,000円
- 普通車・・・1万2,000円
- 大型車・・・1万5,000円
【20km以上~25km未満(2点)】
- 原付車・・・1万円
- 二輪車・・・1万2,000円
- 普通車・・・1万5,000円
- 大型車・・・2万円
【25km以上~30km未満(3点)】
- 原付車・・・1万2,000円
- 二輪車・・・1万5,000円
- 普通車・・・1万8,000円
- 大型車・・・2万5,000円
【30km以上~50km未満(6点)】
違反点数が6点に達するので、前歴がなくても免許停止になります。また、反則金ではなく略式裁判により罰金が科せられます。ケースにより異なりますが、普通車であれば8万円前後でしょう。
なお、50km以上オーバーした場合には違反点数が12点カウントされ、罰金額もさらに高額になります。
交通違反の罰金・反則金を払わないとどうなる?
納付書の期限までに支払いを済ませない場合、警察で取り調べを受け、略式裁判になる可能性があります。
ここでは、反則金や罰金の定義やそれらを払わなかった場合の流れについてご紹介します。
交通反則告知書に書いてある「反則金は任意です」の意味は?
本来であれば、仮納付書に書かれている期限までに銀行または郵便局にて反則金を納付しなければならず、納付期限を過ぎれば交通反則通告センターでの手続きが必要です。しかし、交通反則告知書・免許証保管証の裏面をよく見ると、「反則金の納付はあなたの任意です」という表記があります。
任意とは本人の意思に任せることを意味しますが、納付をしないでいると、違反した約40日後に「交通違反通告書」と「送付費用(800円+税)が上乗せされた納付書」が届きます。それも無視し続けた場合やすでに告知票・免許証保管証として扱われている場合には刑事手続きとなり、警察や検察官による取り調べが行われ、検察官による起訴・不起訴の判断がなされます。
不起訴となった場合は、刑罰なしで処分は終了しますが、起訴になれば「略式裁判」または「正式裁判」を受けることになります。
運転者が違反を起こしたことを認めており、罰金が100万円以下で、人身事故の場合には被害者が軽症といった条件であれば略式裁判になることが多いです。
略式裁判とは、書類だけで裁判官が罰金額を決定することを意味し、ドラマ等でよく見る法廷での正式な審理は開かれません。そして、略式命令に従って罰金を支払えば、処分は終了となります。
もし略式命令に不服があって罰金を支払いたくない場合には、正式裁判で争う必要があります。
一方、悪質な違反を繰り返している、人身事故にて被害者が重症・死亡となったなどのケースでは、たとえ運転者が違反を起こしたことを認めていたとしても、正式裁判になる可能性が高くなります。
また、罰金額が100万円以下など略式裁判が可能であったとしても、運転者が交通違反を否認している場合には正式裁判となります。正式裁判で無罪となれば刑罰はありませんが、有罪となった場合には科料、罰金、禁固、懲役といった判決が下されます。
このように、反則金は任意と言えども放置すれば罰金という名に変わり、刑事事件として処理されることになります。
罰金を払わないとどうなる?
罰金を支払わない場合には、「差し押さえ」または「労役場留置」の対象となります。
差し押さえとは、給料や預貯金や車などの財産を没収されることを意味します。
基本的には給与が差し押さえの最優先対象となりますが、仕事をしておらず貯金もない場合には、車を没収されるかもしれません。車がないと生活に支障をきたす場合には、かなりの痛手となるでしょう。
労役場留置とは、罰金や科料を納められない人を対象に、一日数千円程度で強制労働させることです。その罰金(または科料)の分だけ働かないと、その労役場からは出ることができません。なお、労役場にいるのは最長でも3年間という決まりがあります。
交通違反の罰金・反則金が払えない場合の対処法
反則金を未納のままにすると、やがて罰金を科せられることになりますし、罰金も拒めば、正式裁判となります。有罪の判決が下った場合には禁固や懲役を受ける可能性もありますので、交通違反をしたのであれば早めに対処しなければなりません。
分割・延納ができるか相談する
反則金については分納できませんが、延納であれば交通違反通告書罰金が届くまでは猶予があると捉えることもできるでしょう。
罰金の場合、相当の理由があれば「徴収事務規定」における第16条により分納、同じく第17条により延納が可能になるケースもあります。
分納が認められたケースには、たとえば、何度も引っ越しを繰り返し、免許証の住所変更をしていなかったケースがあります。この場合、住所変更をしていないことで納付書等が手元に届かず、忘れた頃にまとめて請求されて罰金が高額になり、一括で払うのが厳しくなりました。このような特殊な場合に、分納が認められることがあります。
ただ、現実問題としては相当な理由がない限り、それらをすんなりとは認めてもらえず、「親に借りられないか」など現金一括納付を促されるでしょう。過度な期待はせず、ダメ元で相談してみましょう。
親や友人に借りて支払う
分納や延納が認められなかったのであれば、事情を説明して身近な人にお金を借りてでも支払うのが望ましいでしょう。交通違反による反則金や罰金は、他の金銭事情よりも比較的金額も少なく、理由もはっきりしていることから、きちんと誠意を示せばお金を貸してもらえる可能性は高いと考えられます。
ただし、親しき仲にも礼儀ありの言葉の通り、たとえ親や友人であったとしても、借用書などを交わし後々のトラブルにならないよう気をつけましょう。
カードローンで借りて支払う
分納や延納も認められず、誰からもお金を借りられないのであれば、カードローンで納付に必要な分だけお金を借りて支払いましょう。普通車であれば、反則金を言い渡されたとしても3万5,000円以下です。
仮に、3万5,000円を金利18%(年)で1カ月間借り入れたとしても利息は525円ですので、ランチ一食分程度で利息を補うことが可能です。最近では、低金利のカードローンや1カ月間無利息のカードローンも存在しますので、よく比較検討するといいでしょう。
また、納付期限ぎりぎりなのであれば、審査時間が短いカードローンがおすすめです。最短30分で審査され即日融資される店舗も存在します。
ただ、カードローンは申し込みが簡単で必要な分のお金をすぐに借り入れることができる便利なサービスなので、借り入れ癖がつかないよう気をつけましょう。
交通違反を犯したら早めに対処することが大切
今回は、交通違反の反則金・罰金の金額や、それらが支払えないときの対処法についてご紹介しました。交通違反を犯したのであれば、早めに対処することが大切です。もちろん、取り締まりに不服があるような場合には、刑事手続きをして無実だと証明するのもいいかもしれませんが、かなりの時間と手間がかかってしまうので、その覚悟はしておく必要があります。
どれだけ交通ルールを完璧に覚えていたとしても、そのルールを守ろうとしなければ意味がありません。違反点数がカウントされることや反則金・罰金の支払いを回避したいのはもちろんですが、自分や他人を傷つけないためにも、日頃から安全運転を心がけましょう。

CFP(R)認定者/1級FP技能士
NPO法人 全国NIE.E指導委員会 講師指導委員
FPおふぃすプラスめいきっと代表
奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るも、知人の連帯保証人になっていた祖父の自殺をきっかけに家族はバラバラ、高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。
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