母子家庭がもらえる手当はいくら?ひとり親家庭の支援制度まとめ

母子家庭がもらえる手当はいくら?ひとり親家庭の支援制度まとめ

母子家庭

母子家庭(ひとり親家庭)がもらえる手当・支援制度をチェックしよう

ひとり親家庭のお財布事情は、母子家庭で年間収入の平均額が181万円、父子家庭で360万円というのが現状です(平成23年度 全国母子家庭等調査)。子供を育てていくうえでお金のことは心配になりますが、そのような時に頼りになるのが国や自治体による支援制度です。

そこで今回は、ひとり親家庭の手当や支援制度について、支給条件や支給金額を中心にご紹介します。(平成30年9月1日現在)

児童手当

児童手当

母子家庭に限らず子供が中学校卒業まで手当を受け取れる制度です。総額で200万円程度にもなるので、貯蓄すれば将来の大きな支出に備えることができます。

手当の支給条件

中学校を卒業するまで(具体的には、15歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日まで)の子供を養育している方が受け取れる手当です。

申請が遅れてしまった場合、遅れた月の分の手当は受けることができなくなります。子供が産まれたときや他の市区町村に引っ越した場合は、すぐに手続きしましょう。

また受け取りが始まってからも、継続して受け取るには毎年「現況届」を提出します。

手当の支給金額

支給額は子供の年齢によって異なります。

子供が3歳未満の場合は1万5000円、3歳以上で小学校修了前までの場合は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生の場合は一律1万円が、子供1人当たり月額で支給されます。

ただし養育している方の所得が一定額を超えた場合は、子供の年齢に関わらず月額5000円の支給となります。

児童扶養手当

児童扶養手当

主にひとり親家庭において、子供が18歳になるまで受けられる制度です。親や養育者の所得が低いほど受け取れる金額は大きくなるので、働くことが難しい場合などに特に生活の助けになります。

手当の支給条件

以下のような、18歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日までの子供(中度以上の障がいがある場合は20歳未満の子供)が対象で、その子を監護している母親や監護かつ生計が同じ父親、又は養育者が受け取れます。

  • 父母が離婚した
  • 父親または母親が死亡または生死不明
  • 婚姻によらずに生まれた

この他、父親または母親が重度の障害がある場合なども対象です。

手当の支給金額

請求者やその配偶者・子の扶養義務者の所得(※1)と扶養している親族の人数によって受け取れる金額が異なり、第1子の場合最大4万2500円/月が支給されます(全部支給)。

所得が一定額を超えると所得額によって受け取れる金額が少なくなり(一部支給)、最小1万30円/月です。さらに一定額以上の所得があると全く受け取れません。

(※1)所得

所得とは収入金額から一定の金額を控除・加算した金額です。収入金額は源泉徴収票で確認でき、控除・加算額は各人で異なるので、お住いの自治体に確認しましょう。

第2子は第1子の支給に以下のように加算されます。

  • 全部支給:1万40円/月
  • 一部支給:5千20円~1万30円/月

第3子以上では1人につき以下のように加算されます。

  • 全部支給:6千20円/月
  • 一部支給:3千10円~6千10円/月

児童育成手当の「育成手当」

児童育成手当の「育成手当」

ひとり親家庭において、子供が18歳になるまで受けられる制度です。東京都が実施しており、市区町村によって内容が異なる場合がありますが、基本的に以下の条件・支給額で実施されています。

手当の支給条件

18歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日までの子供を養育している、以下のようなひとり親家庭に支給されます。

  • 父母が離婚した
  • 父親または母親が死亡した
  • 子供が婚姻によらずに生まれ、子供の父親(父子家庭の場合は母親)に扶養されていない

子供が児童福祉施設などに入所している場合や、父親(父子家庭の場合は母親)と生計を同じくしているときなど、一定の場合は支給されません。

手当の支給金額

対象の年齢であれば子供1人につき月額1万3500円が一律で支給されますが、申請者の所得が一定額を超えると受け取れません。  

ひとり親家庭の住宅手当

ひとり親家庭の住宅手当

自治体によって住宅にかかる費用に手当が支給されます。住宅費は家計の多くを占める固定費ですので、制度によって月々少しでも軽減できると長期的に費用の大きな削減になります。

手当の支給条件

自治体独自で行っているので一概に言えませんが、ひとり親家庭であること以外に当該自治体での居住期間や所得、子供の年齢等に条件があります。

手当の支給金額

支給金額も自治体によってさまざまで、月額1万円程度です。

当制度は自治体によって無い場合もありますし、実施されていても内容が異なりますので、お住まいの自治体に確認してみましょう。

ひとり親家族等医療費助成制度(マル親)

ひとり親家族等医療費助成制度(マル親)

主にひとり親家庭の親と子の医療費の自己負担分を減らしてくれる制度です。医療費が高額になるのを抑えられるので、安心して治療に臨むことができます。

手当の支給条件

以下のような方を対象に支給されます。

  • 子供を監護しているひとり親家庭等の父親または母親
  • 両親がいない子供等を養育している養育者
  • ひとり親家庭または養育者に養育されている子供(18歳の誕生日の属する年度の末日まで)

また、ひとり親家庭等において父親または母親の所得が一定額を超える場合や生活保護を受けている場合等は、支給の対象外です。

対象となる医療費は、国民健康保険や健康保険などの医療保険の対象となるもので、健康診断や予防接種、差額ベッド代など保険外の医療費は対象外です。

手当の支給金額

住民税非課税世帯の場合は対象となる医療費であれば全額が助成され、自己負担がありません。住民税課税世帯は医療費の自己負担が1割で済みます(通常は2~3割負担)。

さらにひと月あたりの医療費に上限があり、通院の場合1万4000円(年間14万4000千円)、入院の場合5万7600円までしか医療費がかかりません。これを超えて医療費がかかった場合に、その超えた金額分が助成されます。

乳幼児や義務教育就学児の医療費助成

乳幼児や義務教育就学児の医療費助成

ひとり親家庭かどうかに関わらず、子供にかかる医療費が全額または一部が助成される制度で、自治体によって対象の年齢や助成額など細かい内容は異なります。

ここでは東京都における助成内容をみていきます。

手当の支給条件

乳幼児の医療費助成は「マル乳」、義務教育就学児の助成は「マル子」と呼ばれ、マル乳は6歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日までの子供、マル子はマル乳対象後から15歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日までの子供が対象です。

対象となる医療費は、いずれも国民健康保険などの医療保険の対象となる治療や薬の費用です。健康診断や予防接種などの医療保険の対象とならない費用は対象外になります。 また医療保険に加入してない場合や生活保護を受けている場合も対象外で、自治体によっては所得制限を設けています。

手当の支給金額

マル乳では、医療保険の自己負担分を助成します(入院時食事療養標準負担額を除く)。

マル子では、入院の場合マル乳と同じで入院時食事療養標準負担額を除く自己負担分が助成されます。通院のときは200円を上限とした一部負担する費用はありますが、それを超えた自己負担分が助成されます。また自治体によってこの一部負担金もなくし、全額助成しています。

つまり簡単に言うと、医療保険の対象の治療であれば6歳までは窓口での支払いはなく、15歳までは、支払いはあっても200円程度で済むということです。

なお、マル親・マル乳・マル子は同じ人が同時に受けることはできませんが、親は「マル親」子は「マル乳」といったように、親子で別の制度を利用することはできます。

遺族年金

遺族年金

配偶者が亡くなってしまったひとり親家庭では、その配偶者の入っていた年金制度によって遺族年金が受けられます。年金の種類によっては終身受け取れる場合があるので、老後まで続く安定した収入になります。

手当の支給条件

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があります。亡くなった配偶者が自営業など第1号被保険者の場合は遺族基礎年金のみ、会社員などの第2号被保険者の場合は両方の年金が支給されます。

いずれの年金も、年金加入中の方が死亡した月の前々月までの1年間の保険料に滞納が無ければ、基本的に支給の要件を満たします。

これに加えて、年金を受け取るためには支給対象者がいなければなりません。

遺族基礎年金の支給対象となる方は、亡くなった方の収入によって生計を維持していた「亡くなった方の配偶者で、子供がいる方」または「亡くなった方の子供」です。

遺族厚生年金の支給対象者は、亡くなった方の収入によって生計を維持していた「妻」「子供、孫」「55歳以上の夫、父母、祖父母」です。

いずれも「子供」というのは、18歳の誕生日を過ぎた最初の3月31日を経過していない子供(障害年金の障害等級が1級または2級の場合は、20歳未満)です。

遺族基礎年金の場合は子供の年齢によって受け取れなくなりますが、遺族厚生年金の場合は、基本的に再婚しない限り受け取り続けられます(30歳未満の子供を持たない妻は5年間のみ受け取れます)。

手当の支給金額

遺族基礎年金の年間支給額は77万9300円ですが、子供の人数によって加算があります。第1・2子の場合に22万4300円、第3子以降は7万4800円が1人当たりプラスで支給されます。

遺族厚生年金は亡くなった配偶者が厚生年金に加入していた期間と、その間の収入によって異なります。加入期間が長く収入が高いほど、受け取れる金額は大きくなりますが、もし加入期間が短くて25年未満であった場合でも、25年間加入していたものとして計算してくれます。

子供に障がいがある場合の手当や支援制度

ひとり親家庭のなかには、子供に障がいがある場合もあるでしょう。その場合に利用できる制度も、簡単にご紹介します。

国の制度

〇特別児童扶養手当

20歳未満で精神または身体に障がいのある子供を家庭にて監護、養育している父母等に支給されます。支給額は子供1人当たり、重度の場合5万1700円/月、中度の場合3万4430円/月です。

受給対象者やその配偶者、扶養義務者の所得が一定を超えると支給されません。

〇障害児福祉手当

精神または身体に重度の障害があり、常に介護が必要な状態にある20歳未満の方に支給される手当です。支給額は1万4650円/月で、上記と同様の所得制限があります。また、受給対象者が施設等に入所していたり、障害を理由とした年金を受給していたりすると、支給されません。

自治体での取り組み

〇児童育成手当の障害手当(東京都)

20歳未満で心身に障害がある、以下のいずれかに該当する子供を養育している父母等に支給されます。

  • 身体障害者手帳1・2級程度
  • 愛の手帳1~3度程度
  • 脳性マヒまたは進行性筋萎縮症

支給額は子供一人当たり1万5500円で、育成手当と共通の所得制限があります。

〇障害児育児手当金(横浜市)

横浜市の国民健康保険に継続して加入している子供で、生まれて2年以内に先天性の障害または異常があった場合に支給されます。支給額は障害の程度で異なり、10万円~80万円です。

ひとり親家庭の支援制度でもらえる手当の総額はいくら?

では、これらの制度によってどのくらい家計の助けになるのか、具体的に一年間の受取額を計算してみましょう。ここでは以下の事例で見ていきます。

事例:離婚による母子家庭・年収240万円(給与のみ)・小学生の子供1人・新宿区在住

養育費等は受け取っていないものとし、扶養親族は当該子供1人とする

【1】児童手当

所得制限額以下で子供が小学生なので、月額1万円受け取れます。

そのため年間受取額は、1万円×12カ月=12万円

【2】児童扶養手当

所得制限により「一部支給」を受け取ります。この場合の手当の額は所得額によって異なりますが、ここでは所得額を142万円(※2)として計算します。

扶養親族1人の一部支給の場合の計算式は、

手当月額=4万2490円-(所得額-57万円)×0.0187630

となっているので、所得額142万円を当てはめ、1年分(×12カ月)で計算すると、年間受取額は31万8480円

(※2)所得額の計算

所得額は【収入-給与所得控除-各種控除】で求められます。ここでは給与所得控除90万円、各種控除は社会保険料相当額8万円のみとして算出しています。

【3】育成手当

所得制限以下のため受け取ることができ、受取額は一律月額1万3500円です。

そのため年間受取額は1万3500円×12カ月=16万2000円

これら、3つの手当だけでも、合計すると年間約60万円受け取れます。

この他に、新宿区の場合は住宅費用に対する手当はありませんが、国立市や武蔵野市などは制度があり、年間12万円程度をさらに受け取れます。 また離婚ではなく死別で遺族年金を受け取れる場合は、遺族基礎年金だけでも年間100万円程度がさらに支給されます。 そして、これらの手当を受けながら、医療費の助成制度により医療費についてはゼロ、または一定に抑えることができるということです。

母子家庭(またはひとり親家庭)が受けられる支援制度を上手に活用しよう

今回は、ひとり親家庭に役立つ支援制度として大きく7つの制度をご紹介しました。これらの制度が利用できれば、年間で数十万単位の手当てを受けることができ医療費も抑えられます。各自治体でひとり親家庭向けの相談窓口を設けているので、どの制度が利用できるのか、どのくらいの手当を受けられるのかなど、尋ねてみましょう。

また、制度を利用する他に、親御さんに相談してお金を借りる、一緒に暮らすなど身近な人に支援してもらうのも手です。また、特に使い途を注意しなければなりませんが、カードローンで一時的にお金を借りる手段もあります。

ひとりになったときこそ、ひとりで抱え込まず誰かに頼ることが大事ではないでしょうか。

松原 季恵
松原 季恵

CFP(R)認定者

お茶の水女子大学卒業後、銀行・損害保険会社に勤め、家庭に身近な金融商品(保険、ローン、投資信託など)を取り扱ってきた。夫の転勤を機にファイナンシャルプランナーの資格「CFP(R)」を取得し、独立。FPではこれまでの経験を活かしてお客様の「今日を楽しく」をモットーに、お客様サイドに立った相談・執筆・セミナーの活動を行う。

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