留学費用は平均いくら?留学したいけどお金がないときの対処法
留学費用はいくら必要?留学するお金がない場合の対策
独立行政法人日本学生支援機構が実施した「協定等に基づく日本人学生留学状況調査」によると、日本人学生が海外に留学している人数は、平成28年度で9万6,641人。対前年度比で1万2,185人増となっており、ここのところ海外留学希望者が増加傾向にあります。
とはいえ、海外留学にはお金がかかるのも事実。海外留学を検討したくても、ご家庭の状況によっては、なかなか難しいということがあるかもしれません。
しかし、海外留学費用の捻出は必ずしも現金ですべて用意する必要はありません。さまざまな対処法を利用することで乗り切ることも考えられます。一生を考えれば、留学はしておいた方が良い、そうお考えになる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、留学費用がどのぐらいかかるのか、また留学したくてもお金がないときの対処法についてご紹介します。
留学費用の平均額
まず、海外留学にはどのような費用がかかるのか、ご説明します。
留学のためには、飛行機代や大学などの授業料はもちろんのこと、家賃や生活費、保険などの加入も必要です。日本学生支援機構「留学実態調査」によると、留学費用の平均は217万円となっています。
しかし、どのぐらいの期間留学に行くのか、どの地域に行くのか、語学留学なのか大学留学なのかでは全く異なります。そのため、実際に留学される際には、どこの国に行くのか、その国ではどの程度の物価なのかなどを知っておく必要があるでしょう。 ここでは、例として、アメリカ、イギリス、オーストラリアを取り上げていきます。
渡航費
2018年6月現在における各国渡航費の金額は以下の通りです。なお、この金額は時期や、いつ頃チケットを購入するかでも変わってきますので、あくまで目安として考えてください。
- 【アメリカの渡航費】
- 場所にもよりますが、ロサンゼルスの場合、最安値(直行便)で約4万~となっています。一般的な価格帯で片道7万円~9万円前後が多いようです。
- 【イギリスの渡航費】
- ロンドンに渡航した場合、最安値(直行便)で約7万~となっています。一般的な価格帯で片道30万円~45万円ぐらいと高めで、乗継便の場合には、5万円程度からあるようです。
- 【オーストラリアの渡航費】
- オーストラリアに渡航した場合、シドニー行きで最安値(直行便)4万円前後~となっています。一般的な価格帯で片道6万円~26万円。乗継便の場合には4万4,000円程度からあるようです。
1カ月の学費
次に、1カ月あたりの学費について説明しましょう。どういった目的で留学するのかで費用体系も異なってくるため、あくまで目安としてください。ここでは、名門大学の1年間の授業料から1カ月あたりの学費をご紹介します。
- 【アメリカ】
- アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校では、1年間の授業料の概算が4万1274ドルとなっています。1カ月あたり、3,440ドルほど。1ドル=110円とした場合、ひと月あたり37万8,400円となり、学費はかなり高いことが分かります。
- 【イギリス】
- イギリスのケンブリッジ大学はどうでしょうか。ケンブリッジ大学の1年間の授業料は、2万7,007ポンドです。1カ月あたり、2,250ポンドほど。1ポンド=145円とした場合、ひと月あたり32万6,250円という計算になります。
- 【オーストラリア】
- オーストラリアのオーストラリア国立大学の場合、1年間の授業料は、3万5,904オーストラリアドルです。1カ月分で、2,992オーストラリアドル。1オーストラリアドル=85円とすると、ひと月あたり25万4,320円となります。
このように、大学で留学する場合には、かなりの費用がかかることが分かります。語学留学の場合でも、1カ月換算で20~30万円ぐらいは見積もっておきましょう
1カ月の宿舎費
1カ月の宿舎費用は、これもどの国かどの地域か、またどのような物件に住むかでかなり変わってくるといえます。例えば、アメリカの場合、1カ月の宿舎費用は3~10万円程度が目安です。イギリスの場合の宿舎費用は月に7~15万円が目安となります。オーストラリアの場合の宿舎費用の目安は、月に5~10万円です。
1カ月の生活費
1カ月の生活費についても、物価水準の違いなどにより異なってきます。アメリカの場合、生活費は月に3~10万円程度が目安となります。自炊するかどうかで変わってきます。イギリスの場合は、月に4~8万円程度、オーストラリアの場合は、月に3~10万円程度が目安となります。
その他、ビザ申請や海外留学保険など
このほかにも、ビザ申請費用がかかります。また、留学中の万が一に備えて海外留学保険に加入する方は多いことでしょう。こうした費用はどの程度かかるのでしょうか。
まず、ビザ申請に関しても、国によって異なります。
例えば、アメリカの場合、学生ビザは160ドルです。イギリスの場合には、短期学生ビザのうち6カ月までであれば89ポンド、11カ月までであれば170ポンドとなっています。
オーストラリアの場合は、学生ビザは550オーストラリアドルです。なお、ニュージーランドの場合、学生ビザは日本国籍保有者の場合には無料です。
海外留学保険は、どの補償を得るかで保険料が異なります。傷害、治療、疾病などどこを重点とするかでも保険料は違ってきます。
例えば、東京海上の海外留学保険では、治療・救援費用1000万円のみで申し込んだ場合、1年間の保険料が16万1,390円です。これに、傷害死亡300万円、傷害後遺障害300万円、疾病死亡200万円を補償で追加した場合で、1年間の保険料が16万4,670円となっています。
海外留学保険は、いざというときの備えとして考えておきましょう。
留学したいけどお金がないときの対処方法は?
こうしてどのぐらい留学にお金が必要か見てくると、居住期間、どこで学ぶかによっても変わってきますが、結構お金がかかることが分かります。
では、留学を希望しているけど、お金がない場合にはどう対処していけば良いのでしょうか。その方法として、大きく4つの観点から対策が可能です。
公的機関の奨学金を利用
皆さんが真っ先に思い浮かべるのは、奨学金の利用ではないでしょうか。そう、海外留学の場合でも公的機関の奨学金を利用できる場合があります。<
公的機関の奨学金の奨学金を利用するには、条件に該当する必要がありますが、日本学生支援機構奨学金にはさまざまな種類がありますので活用を検討してみましょう。
給付型であれば、海外留学支援制度があります。この制度が活用できれば、奨学金は月額5万9,000円~11万8,000円(留学先により決定)となります。授業料は250万円を上限とする実費額が支給されます。
こうした給付型の条件は厳しいですが、お金を借りる貸与型というものもあります。例えば、日本学生支援機構では、第一種奨学金により、450万円まで海外留学費用として借りることが可能です。
海外留学ローンを利用
このほかにも、海外留学ローンを利用する方法もあります。これは、金融機関が提供するものです。例えば、千葉銀行では、入学金や授業料、教材費や渡航費など海外留学にかかる費用に利用できる「海外留学ローン」を提供しています。
おおよそ2週間程度で借り入れができ、インターネットで仮審査を行うことも可能です。
現地で働く
奨学金やローンだけでは足りない場合や、できるだけ借り入れはしたくないなどの場合には、現地で働くことも検討してみましょう。言葉の壁など最初のうちはあるかもしれませんが、むしろ語学を学ぶには良いチャンスといえるかもしれません。
ただし、語学習得を目的とする場合、就労は基本的に認められていません。また、大学や大学院などで学ぶ留学生の場合には、労働可能時間は週20時間以内などの制限があります。現地でなんとかなる、と考えて行ったものの実は働けないということも考えられますのでご注意ください。
ホームステイを利用
語学を学び、費用を浮かしたいのであれば、ホームステイを利用するという方法もあります。ホームステイでは、ホストファミリーとともに生活を行うことで、語学学習だけではなくその国の文化や生活習慣なども直接学ぶことができます。
また、ホームステイの費用には、一般的に朝・昼・晩の食事費用は含まれているため、費用の節約につながります。もちろん、電気代や水道代も含まれていますので、余分なコストはかかりません。
海外留学ローンの金利や返済方法、注意点
さて、ここでは海外留学ローンを借りた場合の金利や返済方法、注意点について解説していきます。
海外留学ローンの金利
上記でご紹介した千葉銀行「海外留学ローン」では、2018年6月現在で、金利は年2.40%(変動金利・保証料込)です。さらに、以下の条件に該当する場合には、金利が割引になります。
- 以下のいずれかの条件に該当する場合
- 千葉銀行で住宅ローンを利用中の方(一部住宅ローン対象外)
・こども積立(1年以上預け入れ、残高30万円以上)を契約している方
・子育て家庭優待カード「チーパス」を持っている方
上記に該当する方は、店頭表示金利より年0.10%割引となり、2018年6月現在では年2.30%となっています。
該当する方は、店頭表示金利より年0.20%割引となり、2018年6月現在では年2.20%となっています。
千葉銀行の海外留学ローンの場合には、最大1,000万円、貸出期間は最長16年6カ月となります。海外留学にかかる費用(入学金、授業料・教材費・制服代、渡航費・下宿費・定期代・仕送り資金、資格取得など)に充てることが可能です。
こうした海外留学ローンは、各金融機関で取りそろえられています。お近くの金融機関にも海外留学ローンがないかどうか探してみてください。
海外留学ローンの返済方法
海外留学ローンの返済はどのように行っていけば良いでしょうか。例えば、千葉銀行の場合には、在学中は元金据置きが可能であるため、利息のみ返済することもできます。また、留学から戻ってきてから返済することも可能です。
一般的には、元金と利息をあわせた金額を毎月一定金額返済していく「元利均等毎月返済」で返していきます。ボーナスで返済する場合には、ボーナス時増額返済も利用可能です。
もちろん、通常の教育ローンなどと同様に、繰り上げ返済を行うこともできます。海外留学ローンの注意点
海外留学ローンの注意点についても触れておきます。
まず、地方銀行によるローンの場合は、お住まいの地域が限定される場合があります。そのため、お住まいがどこであっても利用できるわけではない点には注意が必要です。
また、取りあえず借りて留学すれば良いと思い借りたものの、後々返済に困ることもあるかもしれません。帰国後に大きな負担となる可能性も考えられます。また、カードローンでお金を借りて留学した場合には、金利負担が大きくなる恐れがあるため、本当に返済可能かどうかも見積もっておきましょう。
なお、留学中から返済する場合には、預金口座から引き落としを選択されることになります。この場合には、口座に資金をしっかり確保しておく必要があります。ATMによる入金なども手段としてはありますが、日本の金融機関口座への振り込みに対応していない場合もありますのでご注意ください。
留学費用を見積もって賢くカードローンなどを使おう
今回は、留学費用がどの程度かかるのか、また留学したいけどお金がないときの対処方法についてご紹介しました。
留学先や留学期間などにより留学費用は大きく異なってきます。そのため、ご自身の行きたい場所とどのような留学を行うのかを具体的に決めた上で、費用を正確に見積もるべきです。上記の金額はあくまで目安として、多めの資金を見積もっておくべきでしょう。また、資金が不足しそうな場合には、奨学金や借り入れなどを検討するほか、現地で働く、ホームステイを利用するという手段も考えてみましょう。留学までに時間がある方は貯金をできるだけ多くしておくこともおすすめします。
CFP(R)認定者
スキラージャパン株式会社取締役、伊藤亮太FP事務所代表
慶応義塾大学大学院商学研究科 経営学・会計学専攻修了。学生時代にCFP®資格、DCアドバイザー資格取得。2007年11月スキラージャパン株式会社設立に参画。取締役に就任。またその後個人事務所として伊藤亮太FP事務所を立ち上げる。独立系FPとして、金融資産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング・相続事業承継、保険見直し、金融機関等における講演など幅広く活動を展開、執筆業務も多岐にわたる。
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