東京都の個人向け公的融資・個人融資「さわやか」って何?
東京都が行う個人向け公的融資・個人融資「さわやか」を活用しよう
お金が必要になったとき、どのように資金の調達を考えますか?「銀行やクレジット会社のローンを利用する」「消費者金融からお金を借りる」など、融資を受けるにもさまざまな方法がありますよね。
しかし、急な資金調達の方法は民間の金融機関から借りることに限りません。実は、国や地方自治体から融資を受けられる方法もあるのです。意外に知られていないことが多いのですが、消費者金融などからお金を借りようと考える前に、公的融資・個人向け融資という手段を検討してみるのも良いかもしれません。
今回は、公的融資の一つである東京都の個人向け融資制度「さわやか」についてご紹介します。
公的融資とは?
個人や法人に対して、国や地方自治体が融資をしてくれる制度を公的融資と呼びます。公的融資にはさまざまな種類があり、使途が限定されている(教育資金・修学資金・福祉資金など)場合が多いのですが、使途が自由な個人向け融資もあります。
どのようなものが公的融資にあたるのか
よく知られているものだと、教育一般貸付(国が融資する教育ローン)が挙げられます。また、財形住宅貯蓄を行っている方向けの、国による住宅ローン「財形住宅融資」も、公的融資の一種です。
公的融資のメリット・デメリット
公的融資の大きなメリットは、なんといっても「金利の低さ」です。民間金融機関のローンは金利が高いという特徴がありますが、公的融資なら限りなく無利息に近いほどの金利しかかかりません。
その反面、公的融資には分かりやすいデメリットも存在します。それは「契約手続きが煩雑で、融資の実行までに一定の期間を要する」点です。そのため、すぐにお金が必要になったときや、必ずこの時期までにお金を用意したいという期間の縛りがあるときにはあまり向いていません。
個人融資とは?
「個人融資(個人間融資)」という言葉は、一般的には「個人と個人の間で行うお金の貸し借り」を指します。例えば、もしご自身が親戚の方と借用書を取り交わして返済の約束をしたうえでお金を借りれば、それは「個人間融資」となります。
また、クレジット会社や消費者金融、もしくは公的融資制度における「個人向け融資」の商品を略して「個人融資」と呼ぶ場合もあります。
このように、「個人融資」という言葉は「個人間融資」と「個人向け融資」という、まったく異なる性質の融資のいずれかを指す場合があることを知っておきましょう。
インターネット上の「個人間融資掲示板」は危険!
さて、ここでは個人融資と呼ばれる融資の中でも、「個人間融資」についてご紹介します。インターネットで「個人融資」と検索すると、「個人間融資掲示板」などという名称のWebサイトがヒットするかもしれません。しかし、これらのサイトを安易に利用することはとても危険なのでご注意ください。
ネット掲示板などで行われる個人間融資とは?
掲示板に、誰かからお金を借りたい旨を書き込むことで貸し手を募集し、申し出があったらその人から直接お金を借りるという手順で実際に融資が行われています。
「貸し手募集」の投稿用テンプレートを設けている掲示板が多く、そこに年齢や性別、連絡先や借りたい金額、お金を借りる理由などを明記して、お金を貸してくれる人が現れるのを待ちます。
基本的に「お金を貸しても良い」と言ってきた人と直接交渉するため、一般的なローンなどとは異なり審査などは一切ありません。
ネットによる個人間融資の危険性とは?
先にご説明した通り、ネットでの個人間融資は審査がなく、返済期限なども自由に設定できるメリットがあります。しかし逆に言えば、一般的なローン審査に通過できる人はわざわざ個人間融資を利用する必要がありません。
つまり、ネット掲示板で個人間融資を利用する人の多くは「ローンの審査に通らず、どこからもお金を借りられない人」ということになります。そのような人が掲示板で貸し手を募集すれば、申し出てくる貸し手もその事情を分かっているはずです。
個人間融資に応じてくれる貸し手が個人を名乗っていても、もしかすると闇金などの悪徳金融業者という、裏の顔を持っているかもしれません。
さらに危険なのは、個人間融資であっても本人確認書類の写しなどを必ず要求される点です。これは返済の約束をするため当然必要なことなのですが、もし相手が悪ければ、預けた個人情報を悪用される可能性もゼロではありません。
例えば、その書類の情報を使って勝手にお金を借りられたり、振り込め詐欺などの犯罪に使う口座の情報に流用されてしまったりするかもしれないのです。「知らないうちに犯罪の片棒を担いでしまった」という事態を防ぐためにも、ネットでの個人間融資には絶対手を出さないよう気を付けるべきでしょう。
東京都の個人向け融資「さわやか」とは?
さて、ここからは先にも述べた公的融資について、特に東京都による個人向け融資「さわやか」についてご紹介します。
東京都の個人向け融資「さわやか」は、もちろん先にご説明したネット掲示板による個人間融資とはまったくの別物。東京都中小企業従業員生活資金融資制度の1つで、一般生活資金として安心して利用できる公的融資です。
個人融資「さわやか」の融資額はいくら?
個人向け融資「さわやか」の、融資額の上限は「70万円」となっています。ただし例外的に、医療費・教育費・冠婚葬祭費・住宅の増改築費が使途である場合に限り、上限額が「100万円」まで引き上げられます。
個人融資「さわやか」の金利はどれくらい?
個人向け融資「さわやか」の金利は「年1.8%」と、銀行やクレジット会社・消費者金融などのカードローンと比較しても非常に低金利で利用できます。
個人融資「さわやか」の審査は厳しい?
融資の審査は一般的なローンと同様に行われますが、非正規職の方も比較的申し込みやすいという特長があります。例として、派遣社員の方の申し込み条件を後の項目でご紹介しますのでご参照ください。
個人融資「さわやか」の返済方法は?
個人向け融資「さわやか」は、借入金額によって返済回数の上限が変動します。例えば、30万円を借り入れれば返済回数は12・24・36回となりますし、上限の100万円を借り入れれば24回・36回・48回・60回から返済回数を選べます。返済額は月々一定となり、ボーナス払いなどの設定はありません。
個人融資「さわやか」の申し込みについて
東京都の個人向け融資「さわやか」には、申し込みに一定の条件があります。とりたてて厳しい条件ではありませんが、ここでは個人向け融資「さわやか」に申し込める方の条件に付いて、念のためくわしくご説明します。
申し込みできるのはどんな人?
東京都内の小売業・サービス業・卸売業などの中小企業に所属する従業員で、6カ月以上の勤続期間があって3カ月以上現在の自宅に居住している方を対象としています。
派遣社員の方の場合、派遣元に6カ月以上雇用され、同一の派遣先で6カ月以上働いていれば申し込むことができます。派遣社員の方でも利用しやすい点はメリットと言えるでしょう。
申し込みには連帯保証人が必要?
個人向け融資「さわやか」に申し込む場合、連帯保証人は原則として必要ありません。ただし「一般社団法人 日本労働者信用基金協会」の保証が付くことになるため、日本労働者信用基金協会の保証許諾が得られる方のみ融資を受けられることになります。
他に借金をしていても申し込みできる?
現在の借入先が1社のみであり、その借り入れに担保が設定されておらず、「さわやか」での借入金で現在ある借り入れの元本を返済可能であれば申し込みできます。そのうえで、金融機関の審査が通過できれば融資を受けることができます。
個人融資「さわやか」の申込先はどこ?
東京都内にある「中央労働金庫」の窓口またはローンセンターで申し込みができます。なお、ローンセンターは土曜・日曜にも営業していますが、申し込み受付のみの対応となります。審査ののち融資の本申し込みを行う場合には、中央労働金庫の窓口へ出向かなければなりません。
申込時の必要書類は?
東京都の個人向け融資「さわやか」に申し込む際に必要な書類は、以下の通りです。
- 給与明細書や源泉徴収票など、所得を証明できるもの
- 融資金の使いみちを証明できるもの(見積書や請求書など。基本的には融資額70万円以上の申し込みの場合のみに必要となりますが、融資金額にかかわらず必要な場合もあります)
- ご自身の健康保険証
- 印鑑(シャチハタは不可)
これら以外にも書類が必要となる場合がありますので、くわしくは窓口でお問い合わせください。
申し込みの流れを教えて!
まず都内の中央労働金庫またはローンセンターに電話相談し、必要書類を聞いて集めたら持参のうえ店舗を訪ねます。
その後、5日ほどで審査結果が通知されます。審査に通過したら、印鑑証明書など必要書類をそろえて中央労働金庫店舗の融資窓口を訪ね、契約したのちに融資が実行されます。
個人融資「さわやか」のメリット
個人向け融資「さわやか」には、他のローンやクレジットにはないさまざまなメリットがあります。どんな利点があるのか、さらにくわしく見ていきましょう。
金利が低い
一般的なクレジット会社におけるカードローンの金利は、年12~18%ほどと高めです。一方、個人向け融資「さわやか」の金利は年1.8%と、カードローンの1割ほどととても低金利です。
保証人が不要
先にも少しご説明しましたが、連帯保証人が原則不要な点も個人向け融資「さわやか」のメリット。保証協会である「一般社団法人日本労働者信用基金協会」の保証に加入できますから、保証人を立てて申し込む必要がありません。
個人融資「さわやか」のデメリット
メリットが豊富な個人向け融資「さわやか」ですが、人によっては不便さを感じてしまう点もあるかもしれません。ここでは、「さわやか」の数少ないデメリットについても見ていきましょう。
申し込みできる人が限られている
前述の通り、申し込みできるのは東京在住もしくは在勤の方に限られます。また、勤務期間についても条件が設けられています。これらはデメリットの1つと言えるでしょう。
融資までに時間がかかる
審査までの期間が長めであることや、審査後に再度窓口を訪ねる必要がある点などから、民間のローンと比較して融資の実行までに時間がかかってしまいます。目安としては、10日~2週間ほどの日数を見ておいた方が良いでしょう。
必要書類が多い
実際の申し込みに印鑑登録証明書が必要となるなど、民間のローンよりは必要な書類を多めに用意しなければなりません。手続きも若干煩雑になるため、スピーディーに融資を受けたいという方にはあまり適していないかもしれません。
個人融資「さわやか」が利用できない!融資まで待てない!そんなときはどうすればいい?
お金を借りたいという方の事情によっては、「すぐにお金を調達したい」という方もいるはずです。個人向け融資「さわやか」は融資実行までに2週間ほどかかってしまうため、そこまで待てないという場合には、他の資金調達方法を検討する手もあるでしょう。
他の公的融資に申し込んでみる
万一、個人向け融資「さわやか」の審査に通過できなかった場合は、生活福祉資金貸付制度など別の公的融資に申し込んでみる方法もあります。生活福祉資金貸付制度は、基本的に生活に困窮している低所得者のための融資なので、通常の個人向け融資が利用できない方向けと言えます。
ダメ元で親や友達に借金をお願いしてみる
たとえ公的融資であっても、ローンを利用するのは嫌だという方もいるでしょう。そのような場合には、親族の方や友人・知人にお金を貸してくれるよう頼んでみる方法もあります。「ローンを利用するほど多額のお金は必要としていない」という場合は、この方法でもなんとかできる可能性があるでしょう。
カードローンならすぐ借りられる!
「ローンの審査に不安はないし、とにかく金利などにこだわらずすぐお金を用意したい」という場合は、やはり審査や融資までのスピードが段違いで速い民間のカードローンを利用するのがおすすめ。使途を証明する書類なども必要ないため、柔軟な使い方も可能です。
状況やプランに応じて公的融資とカードローンを使い分けよう
今回は、公的融資や個人向け融資に関する基礎知識や、東京都の個人向け融資「さわやか」を利用するポイントについてご紹介しました。
「すぐにお金を用意できなくて良いが、低金利で融資を受けたい」という場合には公的融資を、「とにかくすぐにお金が必要」というときにはカードローンを利用するなど、ニーズが異なれば適したお金の借り方もちがいます。「いつまでにお金が必要なのか」「返済計画をどのように立てるのか」など、個々の状況やプランに応じて最適なお金の借り方を選択しましょう。
ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役
慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。
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