リバースモーゲージとは?借り入れ条件や問題点は?

リバースモーゲージとは?借り入れ条件や問題点は?

リバースモーゲージの借入条件や問題点、そもそもリバースモーゲージって何?

リバースモーゲージの借入条件や問題点、そもそもリバースモーゲージって何?

カードローンなどによるキャッシングは、多くの商品で無担保による借り入れが可能ですが、何らかの担保を設けてキャッシングをすれば、金融機関に対する返済の信頼度が増し、借入額の増加が可能となります。

そこで今回は、担保を設定することでキャッシングを実現する方法「リバースモーゲージ」についてご紹介します。

リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージとは?

モーゲージ(Mortgage)は、「抵当権」「担保により貸したお金、あるいは借りたお金」という意味で、抵当権を設定したローンのことをモーゲージローンといいます。

抵当権を設定する物件を住宅とした「住宅ローン」もモーゲージローンの1種です。家を建築または購入する際の住宅ローンは、借入額全額をはじめに手に入れ、その後元本の一部と利子を返済します。

一方のリバースモーゲージは、利用者がすでに住んでいる一戸建ての家を担保にすることで融資を得られるローンです。

リバースモーゲージは、一般的に利用者が金融機関へ申し込みをし、融資額(借金の元本)が決まればお金を受け取れます。その後は、融資元に利子のみを毎月返済し、元本の返済は利用者が亡くなった後に担保にしていた家を売却して返済します。

融資額は一括借り入れや、借入期間を想定し、毎月分割して手に入れることもできます。

このように、融資額に対して元本の一部と利子を毎月返済する住宅ローン(モーゲージローンの1種)とは逆に、元本の返済は利用者が亡くなった後で行うことから、このローンを「リバース(逆)モーゲージローン」と呼んでいます。

リバースモーゲージの申し込みから返済まで

リバースモーゲージの申し込みから融資額の返済までの流れを確認しましょう。

  1. 土地付き一戸建ての持ち家を担保に、リバースモーゲージの融資を申し込みする
  2. 金融機関は一定の融資条件にかなっていれば、担保になる不動産を評価し融資額を決定
  3. この融資額が利用者の希望に合えば、金融機関と持ち家を担保とする「リース契約」を結ぶ
  4. 利用者は、融資額を最初に全額手に入れることも、毎月分割した額を手に入れることもできる
  5. ただしリース契約により、利用者には融資額に対する一定の利子を毎月返済する義務が生じる
  6. 原則、利用者が亡くなるまでこの利子を返済し続けることで、その家に住み続ける権利を得る
  7. 融資額(元本)は、利用者の死亡時に担保物件の不動産を売却、元本の全額を一括返済

リバースモーゲージの利用判断

以下で述べる「リバースモーゲージのメリット」「リバースモーゲージの借入条件」「リバースモーゲージの問題点」はとても重要です。

リバースモーゲージは、老後の住まいの有効活用や老後資金の調達手段として昨今注目されていますが、メリットだけではなく、借入条件や問題点を十分理解した上で、これらが自分にどう影響してくるのかを検証し、利用するか否かの判断をする必要があります。

リバースモーゲージのメリット

持ち家を担保としますが、明け渡すことなくそのまま住み続けられ、融資された額(元本)の返済を利用者の死後まで後回しにできることがリバースモーゲージの大きな特徴です。

ここでは、リバースモーゲージを利用するメリットについてご紹介します。

自宅に住み続けて良い

自宅に住み続けて良い

リバースモーゲージの場合、利用者と金融機関の契約はリース契約です。したがって、物品をリースするイメージのとおり、利用者は契約期間が済むまでその物件を利用できます。

つまり、リバースモーゲージでは、自宅をリースすることになるため立ち退く必要がなく、それまで同様に住み続けることができるのです。

人の生活で最も基本的な「衣食住」のうち、住環境の変化は生きがいの維持や健康に与える影響は大きいといわれています。老後のことを考えると、持ち家に住み続けられることは非常に大きなメリットといえるのではないでしょうか。

借りたお金の使い道は自由

原則的に、融資額の用途に制限はなく、自分で決めることができます。一括で借り入れして、そのお金で相続人の相続税対策にするもよし、老後の起業資金として活用するもよし、ローンの繰り上げ返済に使うもよしです。また、分割して借り入れるのであれば、年金の補填やローンの毎月の返済など生活資金にも利用できるでしょう。

用途に制限を加えている場合でも、「住宅の改修費用」や「老人ホームへの入居金」などとしているため、用途が合わずリバースモーゲージが活用できないことは少ないのではないでしょうか。

利用時の要件が穏やか

民間の金融機関が融資するリバースモーゲージは、比較的裕福な層を対象に広がってきたもので、融資額の回収に対するリスクは高くありません。利用時の要件も以下に示すとおり、それほど厳しいものではないといえるでしょう。

利用年齢

利用年齢

金融機関によりさまざまですが、リバースモーゲージに申し込みができる年齢は、一般的には55歳以上、配偶者がいる場合は50歳以上です。

申し込みの一般的な上限年齢(金融機関によっては、融資ができる期間)は、75歳から80歳です。

年収

年金など長期安定的に得られる収入が望ましいため、120万円ほどの年収があることが条件です。保証人は原則必要としません。

リバースモーゲージの借入条件

キャッシングの一般的な借入条件である、年収をはじめとする個人信用情報は、リバースモーゲージでも問われます。

ここでは、個人信用情報以外の、リバースモーゲージ特有の借り入れ条件について解説します。

利用者所有の一戸建て住宅

利用者所有の一戸建て住宅

リバースモーゲージの利用要件で最大の特徴は、利用者本人所有の一戸建て家屋ということでしょう。しかし、一戸建て家屋であれば何でも良いというわけではありません。

民間の金融機関としては、ある程度まとまった評価額を融資して利子収入を増やす必要があるため、土地が狭い物件であるとか、あるいは路線価値のつかない土地物件の場合は利用できないことがあります。また、火災保険へ加入している一戸建て住宅であることも必須です。

利用者本人所有の分譲マンションは、リバースモーゲージの担保対象外(※1)とする金融機関がほとんどのため注意してください。

(※1)分譲マンションは、リバースモーゲージの担保対象外:分譲マンションはよほど資産価値の落ちにくいマンションでないと担保にできません。なぜならマンションは、土地と部屋の所有権が分離しているためです。部屋の所有権は担保になるにしても、土地は部屋の面積で按分した区分所有権になり、金融機関が任意の方法で処分できないこと、部屋についても他家の部屋と隣り合わせの場合、改修や取り壊しがしにくいことなどが理由と考えられます。

推定相続人全員の同意

推定相続人全員の同意

利用者がリバースモーゲージで一戸建て家屋を担保に融資を受けようとしても、推定相続人(例えば自分の子供)がいる場合は、家族全員の同意がなければ融資は受けられません

担保にする不動産が利用者あるいは利用者夫婦の名義であっても、推定相続人全員の同意が必要です。

なぜなら、リバースモーゲージは毎月の返済額が利子程度で少なく、保証人を立てることは原則必要ありませんが、担保物件の回収は利用者の死亡後に行われるため、もし担保物件の売却価格が融資額相当より下回った場合、融資額との差分を利用者に代わって推定相続人が支払わなければならないからです。

リバースモーゲージでは、このことに同意する推定相続人がいなければなりません。

連帯保証人であれば、連帯保証をした資産に対して相続放棄はできないため、推定相続人の1人を連帯保証人にしなければならないとしている金融機関もあります。

毎月の返済利子が変わらない

通常のキャッシングでは、借入額(元本)に対する利子の額は、月々元本の一部が返済されることで少なくなるため、利子も少なくなります。

これに対してリバースモーゲージは、担保にした不動産の評価額が変わらない以上、元本が変わらないため、毎月の返済利子が減ることはありません。このことはリバースモーゲージの仕組み上、やむを得ないことのため、利用者は十分に理解する必要があります。

また、リバースモーゲージは、初回の事務取扱手数料が高い(※2)こと、2年目以降は、担保管理料を取られることを覚えておきましょう。

(※2)例として、リバースモーゲージローンを早くから商品化した東京スター銀行のリバースモーゲージ「充実人生」の事務取扱手数料は、融資額にかかわらず税込みで108,000円(担保管理料は、12,960円)、このほか登記費用がかかります。

もう1つのリバースモーゲージ

もう1つのリバースモーゲージ

国(厚生労働省管轄、相談窓口は各自治体の社会福祉協議会)が主体となり低所得者向けにリバースモーゲージローンを提供することがあります。

例えば、持ち家はあるが、年金など老後の所得が少ないため、生活資金の補填を必要とする場合です。

そのような場合は、国が持ち家の価値を評価し、その不動産を担保に生活資金を貸し出します。その後、利用者が亡くなるか、担保の評価額に相当する生活資金を貸し出し終わったら、担保の所有権を国に移転し、担保の所有権が亡くなった後も生活する必要がある利用者に対して、生活保護世帯とするなどの対応を行います。

このように、国が行うリバースモーゲージは、生活資金に余裕がない方が対象です。

利率は、年3%か長期プライムレートのいずれか低いほうとされており、2017年の利率は1%でした。

リバースモーゲージの問題点

リバースモーゲージは、利用者が生存している間は、利子のみの返済、亡くなってから元本の返済という仕組みです。しかし、利子の返済に関しても、元本の返済に関しても、長い時間を単位とするローンのため、その間に何か問題が起きてしまうかもしれません。

以下では、リバースモーゲージの問題点についてご紹介します。

変動金利

変動金利

リバースモーゲージの金利は変動金利です。長期にわたる金利の返済期間で金利が変動します。

融資額(元本)は、元本を一括返済するときまで減ることはないため、長い返済期間の中で変動金利が上昇すれば金利も上昇してしまいます。

融資額を借り切ったとき

年金の場合は、長生きすればするほど年金受領総額が増えるというメリットがありますが、リバースモーゲージでは、長生きすると負担になってしまう可能性があるのです。

リバースモーゲージのリース物件である、不動産のリース期間は決められており、通常このリース期間に利用者(契約者)が亡くなってから、担保の売却で一括返済します。

リース期間以後には、担保としての不動産を金融機関に譲渡しなければならないため、リース期間を超えて長生きすると、住む家がなくなってしまう可能性があるのです。

不動産価格の下落

リバースモーゲージの融資額を評価する根幹となる土地の価格(路線価)は、毎年評価され、価格が下落すれば、評価替えされます。

リバースモーゲージでの評価額は、路線価の70%ほどです。しかし、融資額の下落が当初の予定にないものであった場合、何らかの対策を打たなければなりません。

リバースモーゲージは問題点を把握し上で検討しよう

今回は、担保を設定することでキャッシングを実現する方法「リバースモーゲージ」についてご紹介しました。

日本ではまだ歴史の浅いリバースモーゲージは、不動産を手放さずに、そのままの生活をしながら融資が受けられる魅力的な商品です。

しかし、メリットだけを見て安易に契約の判断をしてはなりません。利用者本人が亡くなってから相続者にしわ寄せが行くことのないよう、また、長生きしたことを後悔することのないよう、十分に吟味し、自分のライフプランの中で利用することがメリットになるかを見極めてから融資を受けましょう。

キャッシングを考える上で忘れてはならないことは、「借金」は返済しなければならないということです。また、借りるときのメリットと、返済するときのデメリットは何か、メリットがデメリットを上回るように何をすべきか、日ごろからどういう態度でお金に向き合わなければならないかをしっかりと考えてから、融資を検討してくださいね。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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