不動産担保ローンとは?審査基準や必要書類をわかりやすく解説

不動産担保ローンとは?審査基準や必要書類をわかりやすく解説

家の模型とお金と電卓

不動産担保ローンとはどんなローン?審査基準や必要書類について紹介

個人でお金を借りるときに、担保を設定せずに銀行や消費者金融などの金融機関を利用する場合と、担保を設定する場合があります。金融機関が借り入れの利用者に求めることは、融資をした金額と利子を計画通りに返済する誠実さと返済能力ですから、同じ額を借りるにしても担保を設定した方が借りやすいことは確かです。

そこで今回は、どうして借りやすいのかも含め、担保に不動産を設定する不動産担保ローンについてわかりやすくご紹介します。

不動産担保ローンとは?

不動産担保ローンは、担保物件が土地や建物など不動産であることから、高額の価値がある担保物件を設定することのメリットと、高額物件であるがゆえに発生するデメリットもあります。不動産を担保とするローンについてそのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

不動産担保ローンのメリット

高額の融資を受けられる1万円札の上に載る家の模型

原則として借り入れの利用者名義の不動産を担保物件にする場合、無担保型のローンによる借り入れ申し込みよりも、金融機関からの利用者の信用度は高くなります。その理由は、万が一返済が滞るなどの「金融事故」が発生しても、担保物件を差し押さえるなどにより融資額を穴埋めできるからです。
利用者の信用度が高く評価されれば審査に通りやすく、また担保物件の資産価値が高ければ高額の借り入れも可能になるメリットがあります。

低金利で借りられる

金利のイメージ

不動産担保ローンでの融資額は通常100万円以上が想定されますが、比較的低金利での融資を受けられるため、利用者の負担が軽くなります。金利は、金融機関によっては数%程度に設定されています。

長期返済ができるため毎回の返済額を抑えられる

時計とカレンダーと手帳

通常は、財産価値が大幅に変動しない不動産が担保であることから、融資をする金融機関にとって返済期間を長期にしても「金融事故」のリスクは低いと考えられます。そのため、長期の返済期間設定が認められることになり、毎回の返済額を低く抑えることができるというメリットがあります。

フリーローン同等もしくはそれ以上の自由度

両手に買い物袋を持つ笑顔の女性

不動産担保ローンは、融資額の用途が決められていないので、融資額を何に使ってもかまわないことになっています。つまり用途が自由なフリーローン相当ということになりますが、むしろ、借り入れ可能額の高さ、金利の低さ、事業資金にも使えるなど、無担保フリーローンより広範囲にわたるメリットがあります。

不動産担保ローンのデメリット

一括返済すると手数料が掛かる場合がある

先ほど解説したように、不動産担保ローンは高額融資・低金利・長期返済という特徴があります。高額な融資を低金利ではあっても長期間にわたり返済されることで、金融機関が営業上の利益を確保できる仕組みです。

しかし、利用者が借入残高の全額、または一部であっても一括返済を行うと、返済総額が低く抑えられてしまい、金融機関は当初の利益を確保できなくなります。そのため、一括返済時に手数料を要求されることがあります。この手数料は、利用者にとっては本来、とられなくても良いものであり、不動産担保ローンのデメリットといえるでしょう。

不動産の価値下落リスクがある

不動産は資産価値が大きく変動しないことが特徴ですが、それでも長期間にわたり資産価値が下落すると、当初の価値評価額とのギャップが大きくなることも想定されます。場合によっては、契約書にその旨が明記されていて、金融機関から追加の担保物件を求められる可能性があります。

不動産を失うリスクがある

計画通りの返済ができない事態になると、場合によっては担保としている不動産は没収されます。また、場合によっては没収されるだけではなく、不動産の価値が下落していて担保物件だけでは融資残額を補てんできない場合は、差額分を現金で返済しなければなりません。

諸費用が掛かる

不動産担保ローンの場合、通常は融資をする金融機関とは別に保証会社が存在します。利用者は金融機関と借入契約を結び、保証会社とは保証委託契約、抵当権設定契約を結びます。保証会社は、抵当権設定契約により、担保となる不動産に抵当権設定登記(※1)を行い、このとき抵当権の設定費用が掛かります。
また、事務手数料として金融機関に支払うものと保証会社に支払うものとがあります。さらに担保とする不動産の資産価値を鑑定する費用、借入金額の契約時に借入金額によって決まる印紙代など、さまざまな諸費用が掛かります。

(※1)抵当権設定登記

融資したお金が返済されない場合、担保物件である不動産を売って、そのお金を優先的に回収できる権利(抵当権)を金融機関に与えることを登記して宣言します。

融資までに時間がかかる

担保とする不動産の資産価値を詳細に鑑定し、評価額を決めなければならないので、評価が確定するまでに時間がかかります。申し込んですぐに融資を受けるというわけにはいきません。

不動産担保ローンで担保に入れられる不動産

不動産であれば何でも担保になるかといえば、そうではありません。不動産としての価値は、必要なときにすぐにお金に換えられるかという観点で、「流動性」「確実性」「安全性」が評価されます。これらの評価が極端に低ければ担保に入れられない不動産ということになります。

流動性

不動産の自由度を評価します。売り手と買い手が合意したらすぐに換金できることが重要です。評価が低くなる例では、市街化調整区域内の土地はすぐに宅地化できないなどの制限があるので、流動性が低いということになります。場合によっては不動産担保ローンの担保にはできないかもしれません。

確実性

不動産の現状を評価します。担保とする不動産が別件で仮差押えされている、その不動産が何らかの紛争の原因になっているなど、不安定な状態にある不動産は、担保物件として確実性が低いと評価されます。

安全性

その不動産が長期間にわたり安定的に価値を維持しなければ、担保物件として高い評価ができません。例えば、大量のゴミや化学物質が埋まっている土地、爆発物を扱っている建物などは、安全性が低いと評価されます。

不動産担保ローンの審査基準

虫眼鏡で書類を読む人

担保物件のあるなしにかかわらず、金融機関にローンの申し込みをすると利用者本人についての審査がされます。これは本審査前の事前審査と呼ばれる段階で行われます。利用者の申し込み時情報だけでの審査に加え、それぞれの金融機関は、信用情報機関(※2)と契約を結び、利用者がローンの申し込みをした段階で信用情報機関に保管されている利用者の利用履歴などを参照します。
信用情報機関とは、主に銀行が利用する全国銀行個人信用情報センター、主に消費者金融が利用する日本信用情報機構、主にクレジット会社や信販会社が利用するCICなどです。
また多くの金融機関は、複数の信用情報機関と契約を結び、申込者が他の金融機関も利用している場合でも情報に齟齬や漏れがないよう情報を共有しています。

また、無担保型のローンでは、ローンの利用者の信用度(返済能力)が審査での重要な要素になりますが、有担保型のローンでは、担保とするものの評価が審査での重要な要素になります。特に不動産担保ローンの場合は、融資をする金融機関にとって、担保とする不動産の現在および将来にわたる価値をどう評価するかが、重要な審査基準です。

なお、審査基準と各評価の重みは、各金融機関により異なることはいうまでもありません。

1.不動産の担保価値

まず、不動産の担保価値をどのように評価するのか、土地、建物、担保掛目について具体的に見てみましょう。

土地の評価額

土地の評価には、その評価目的により何種類かの公的な評価基準がありますが、金融機関が融資に使う公的な評価基準は、国税庁が決める「路線価」です。この路線価は、公道に沿った土地の単位面積当たりの価格を決めたものです。

土地の売買時に利用されることが多い、国土交通省が決める「公示地価」に対して、路線価はその80%程度に設定されているので、金融機関にとっては手堅い土地価格での評価ができることになります。なお、金融機関は、その土地の状態や周囲の環境を考慮して、路線価で評価した土地の価格に多少の増減を行います。

建物の評価額

建物には国税庁が耐用年数を決めています。耐用年数とは、その建物が資産として価値がある期間ということができます。例えば、木造住宅の場合の耐用年数は、22年です。その建物をもう一度建築するとしたらいくら掛かるかという金額に、資産価値(※2)を掛け合わせることで建物の評価額を決めます。

(※2)資産価値

新築時点の価値を100%とし、耐用年数経過以降の価値を0%として、新築後の経過年数で資産価値を評価します。例えば、新築時点での木造住宅の価値(建築費)が、2,000万円とすると、22年経過以降の価値は0円、11年経過時の価値は、半額の1,000万円です。

2.利用者本人の属性や信用情報

次に、利用者本人をどう評価するのか、本人の属性と信用情報について見ていきます。これらの評価基準は、長期の返済期間中に滞りなく利用者により融資額が返済されるかの評価がすべてといっても良いでしょう。

利用者本人の属性

ローンの申し込みをした際に最初に行われる事前審査では、利用者の年齢、とりわけ完済時の年齢、会社員の場合は勤続年数と年収、さらに住宅ローンのような高額の融資をするときなどでは、他の金融機関・他のローン残高なども考慮の上での返済負担率などが審査されます。
返済負担率とは、現在のローン残高の年間返済額と今回申し込んだ融資額の年間返済額との合計が、利用者本人の年間収入の何割を占めるかを示す指標です。30%から40%などと各金融機関であらかじめ決めた返済負担率を超えるようであれば、新たな融資は行わないという判断が下されます。

利用者本人の信用情報

信用情報機関では、利用者のローンに関する履歴が記録、保管されています。過去の返済状況、とりわけ返済遅延や返済不能といった「金融事故」を発生させた経歴があるかは、利用者本人の信用情報にとって重要な要素です。
金融事故を発生させた利用者は、信用情報機関のデータベースからその記録が消えるまでは、新たな融資を申し込んでも審査で落とされます。また、ここでも利用者の借り入れ履歴である件数や金額から多重債務者と判断されれば、審査には通りません。

不動産担保ローン申し込み時の必要書類

書類の受け渡し

事前審査を通ったら、必要な書類を取りそろえて金融機関の窓口で不動産担保ローンの申し込みをし、本審査を受けることになります。本審査に必要な、不動産関連の必要書類などにはどのようなものがあるかを見てみましょう。

審査の際の必要書類

不動産関連書類

不動産登記事項証明書(かつての登記簿謄本)や物件案内図、公図など、不動産についての詳細が客観的にわかる書類が必要です。建物の場合は建物図面があると良いでしょう。登記簿に抵当権が設定されていたり、公図で土地の形状が変則的であったりすると評価が落ちます。

税評価関連書類

担保物件の固定資産税評価証明書や前年度の固定資産税納付証明書など、当該不動産の固定資産税が納付済みであることを証明できる書類が必要です。正しく税金を納めている資産でなければ評価されません。

借入残高関連書類

ローンなどによる借入残高がある場合は、借入残高を示す書類の他に今後の償還予定表を提出すれば、審査で好印象を与えることができます。

契約時の必要書類

本人確認書類・住民票

運転免許証など、公的機関が発行した、利用者本人であることを証明できる書類が必要です。また、現在の住所と家族構成の確認も行われるため世帯全員の住民票が必要です。昨今の住民票には個人番号(マイナンバー)が表示可能ですが、個人情報の漏えいを防ぐためにも、必要時以外、個人番号は表示しない住民票を請求した方が良いでしょう。

収入証明書類

会社員の場合は源泉徴収票、会社員ではない場合でも課税証明書などの本人の収入を証明できる書類が必要です。源泉徴収票は、複数箇所から給与をもらっているときはすべてを準備します。なお、確定申告書を提出するときは、税務署の押印があるものでなければなりません。

不動産の登記識別情報通知書

担保にする不動産の名義人が本人であることを示すため、不動産の登記識別情報通知書(かつての権利書)が必要です。

その他書類

融資額を振り込む預金口座の通帳、印鑑登録証明書、印鑑登録証明書に押印をした実印も必要になります。

不動産担保ローンは申請書類の準備やローンの審査期間に気を付けよう

今回は、有担保型のローンのうち不動産担保ローンについてご紹介しました。融資をする金融機関の一番の関心は利用者の返済能力であり、その審査基準は、個人の信用度だけでなく担保物件の価値評価に重きを置いたものとなっています。

不動産担保ローンは融資金額が大きく、返済期間が長期に及びます。申請書類が多岐にわたり、審査に時間がかかることを踏まえた上で、計画的に利用することが大切です。
大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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