妊娠したけどお金がない!妊娠・出産費用に関する補助制度まとめ
妊娠・出産時に役立つ補助制度の活用方法
妊娠や出産はおめでたいことである反面、お金がかかるという経済的な不安も感じるかもしれません。特に、結婚したばかりの若いご夫婦であれば妊娠や出産の費用だけではなく、その先には教育費の必要性も出てくるので、躊躇してしまう方もいるでしょう。
しかし、ここ数年で妊娠や出産に関して、国や自治体からの補助制度が充実し、自己負担額は随分変わってきています。また、補助制度はあくまでも申請ベースであり、自分から請求しないともらえません。補助制度を上手に活用できるよう、しっかり把握しておきましょう。
今回は、妊娠や出産費用に関する補助制度についてご紹介します。
妊娠に関する補助制度
妊娠してから出産までは、定期的に妊婦健診(妊婦健康診査)へ通います。妊娠は病気ではないため、治療が必要なトラブルが発生しない限りは健康保険が使えず、すべて自己負担となります。窓口の支払いが3割でなく10割となるため、妊婦健診代も高くなるのもわかるでしょう。
数年前には、経済的に厳しいことを理由に未受診分娩(出産前に妊婦健診を受けていないまま出産となるケース)もあったため、少子化対策の一環として妊娠に関する補助制度の充実が図られました。
では、具体的に妊娠に関する補助制度を見てみましょう。
妊娠中の検査費用をサポートしてくれる「妊婦健診費の助成」
妊婦健診費用の一部、または全額を国が助成する制度です。妊娠してから出産まで行われる、トータル14回の妊婦健診に対して助成金が出るので、毎回自己負担する金額は少なくなります。
妊婦健診のスケジュールとしては、妊娠が発覚してから23週までは4週間に1回、24週以降は2週間に1回ペースの検診です。妊娠36週になると、毎週検診を受けるようになります。その回数がトータル14回になる妊婦健診は、1回あたりの健診料が5,000円~8,000円かかるのが平均的です。他に血液検査などがあれば、2万円ほどかかる時期もあるでしょう。
これらの妊婦健診の費用に対して、助成金は1回あたり上限5,000円ほどあるので、自己負担額は少なくてすみます。妊娠届を役所に提出したときに母子手帳と一緒にもらえる「補助券」や「受診券」などと呼ばれるチケットを受診時に提示することで、費用の一部を負担してもらうことができます。
また、助成金の額は全国一律ではなく、住んでいる自治体によって違いがあります。そのため、どのくらい助成金が出るのか事前に確認すると安心でしょう。特に、里帰り出産をする場合は注意が必要です。なぜなら、里帰り出産だと今住んでいる地域と自治体が違うため、里帰り先の病院で助成金が適応されない可能性があります。
しかし、出産が終わって自宅に戻ったときに、お住まいの自治体に請求をすることで精算が可能です。病院や出産でかかった費用を把握するためにも、領収書は必ず保管しておきましょう。
出産に関する補助制度
自然分娩の場合には健康保険が使えないため、全額が自己負担となります。分娩費用も40万円前後はかかる病院が多いものの、「出産育児一時金」などの補助制度の効果で、用意すべきお金は少なくてすみます。このような出産に関しての補助金制度はいくつかありますので、見落として給付申請をし忘れないようにしておきましょう。
赤ちゃん一児につき42万円がもらえる「出産育児一時金」
妊娠4か月以上の方が出産した場合には、一児につき42万円の支給です。ただし、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合には、一児あたり40万4,000円の給付となります。双子の場合には二児分の84万円です。
2009年10月以降は直接支払制度が導入されたことにより、妊婦の代わりに医療機関へ直接、出産手当金の支払い対応が可能になりました。
また、会社によっては付加給付としてプラスの一時金がもらえるケースもあるため、会社の健康保険組合などにも確認することをおすすめします。そして妊娠85日以上経過した後に、残念ながら流産や死産になってしまった場合も、出産手当一時金の対象です。
働くママが産休中にもらえるお給与の代わり「出産手当金」
出産手当金は、妊娠・出産を理由に「産休」という形で仕事を休んでいる間、その生活を保障する制度です。支給額は標準報酬日額の3分の2。職場復帰までの期間において、産前42日(多胎妊娠は98日)と産後56日、最大で98日間が取得できるようになっています。
これはあくまでも、職場復帰を前提とした産休中のママへの給与となるため、仕事での給与が支給されている場合には、出産手当金は支給停止か、差額分だけ支払われる形です。
妊娠をきっかけに退職しようか迷われる女性は多いですが、いったん会社をやめて子育てをしながらまた職を探すのも大変でしょう。
子どもができても退職するという選択肢ではなく、働き続けることを選べば「出産手当金」や次にご紹介する「育児休業給付金」を利用できます。まさに、働くママを応援してくれる制度です。
パパ&ママの育休中の給与代わり「育児休業給付金」
産休の後に育児休業に入った場合に、会社から給与が振り込まれる代わりに雇用保険から支給されるのが「育児休業給付金」です。
支給額は、休業してから180日までは月給×67%、その後は月給×50%が支給されます。支給期間は赤ちゃんが1歳になるまでとされていますが「保育園の入園が困難な場合」「配偶者のケガや病気で養育が困難な場合」などの条件を満たせば、最大2歳まで延長可能です。
育児休業給付金はパパでもママでもどちらでも請求が可能なため、お互いが6か月ずつ取得すると支給額も月給×67%と高い支給額になります。最近では、イクメンとしてパパが育休を取る家庭も珍しくないでしょう。
出産をきっかけに会社をやめた場合の「失業給付金」
就職する意思がある場合において、再就職が決まるまで給付が受けられる制度です。退職した日からさかのぼった6か月間の月収の5~8割(給付期間は年齢や勤続年数によって変わる)が支給されます。ただ、あくまでも求職中であることが前提のため、妊娠中の場合は給付申請ができません。
そこで、受給権利を延長する手続きをしておきましょう。通常は1年までですが、最長3年まで延長することができます。
帝王切開で手術費が高額になっても安心な「高額療養費制度」
もし自然分娩ではなく、帝王切開で手術や入院となった場合に治療費がどうなるか気になりますよね。
治療が必要になる場合は健康保険の対象であり、高額療養費制度の対象にもなります。高額療養費制度とは、1か月の間にかかった医療費の負担が高額になったとき、一定の自己負担分を払い戻せる制度です。事前に限度額認定証を提出しておけば、窓口で高い医療費を支払う必要はありません。ただし、差額ベッド代や食事費用などは対象外となります。
医療費が年間10万円以上なら税金が戻る「高額医療費控除」
家族や自分が医療費として1年間で支払った、手術代や薬代の合計が10万円(所得金額が200万円未満の場合は所得金額×5%)を超えたときに、確定申告をすることで一部の税金が戻ってくる制度です。控除できる金額の上限は200万円になります。
妊娠や出産をした年には、分娩費用の他にも定期健診やタクシー代に関しても、高額医療費控除を申請するチャンスです。家族分の病院での診療費や薬代、歯医者の領収書などをしっかり残すようにしておきましょう。
分娩で赤ちゃんが脳性麻痺を発症した場合の「産科医療補償制度」
分娩時に赤ちゃんが重度脳性麻痺になった場合に、その家族の経済面を補償する制度です。これは分娩する病院が保険料を払い、公益財団法人日本医療機能評価機構を通じて満5歳まで補償しているものです。
補助制度を利用しても妊娠・出産費用が足りない場合の対処法
妊娠や出産に伴っての補助制度は数多く存在するため、以前に比べてまとまったお金がかからない傾向にあります。しかし中には、切迫流産などで妊娠期間中に入退院を繰り返し、差額ベッド代といった高額療養費の対象外もあったせいか、医療費が数十万円かかる可能性もあるようです。
また、妻が産休で働かなくなると世帯収入がご主人の給料のみになります。これにより、生活費のやりくりが大変になるケースもあるようです。以下は、妊娠・出産費用または生活費用が足りないときの対処法になります。
日常の生活費を見直す
出産後に家計のやりくりが難しくなった場合は、どんなものにお金を使っているのか、書き出してみましょう。主な要因としては、妻の収入ダウンに支出が追いついていない、妊婦期間のストレス発散によく買い物をするようになった、時間があるからついお金を使ってしまうなど、さまざまです。また、産まれてくる赤ちゃんのために、グッズを買いすぎてしまう傾向の方もいます。
夫婦2人で働いていたときの感覚が抜けないと、ついつい支出が増えてしまい、ご主人の収入だけではやりくりも難しくなります。そのため、家庭内における支出をどうコントロールしていくかが、これからの子育て時代にも重要になるでしょう。ファイナンシャル・プランナーに相談して家計改善するのも1つの手段です。
マタニティ用品やベビーグッズはママ友間の協力やリサイクル活用を!
妊婦用の洋服や赤ちゃんの出産グッズ、おもちゃなど、ついつい買いたくなってしまう気持ちもわかります。しかし、ほんの一時期しか使わないものやおもちゃなどは、ママ友間で譲り合ったり、リサイクル活用したりすると良いでしょう。子どもにお金がかかるのは、教育費です。妊娠や出産の段階では、できるだけうまくやりくりしましょう。
切迫早産など入院が長引く場合に備える民間の保険活用
妊娠後半になると、お腹が張ったり切迫早産になったりする方もいて、点滴と休養が必要になり入院するケースもあります。治療費が健康保険の対象であれば安心ですが、差額ベッド代などは保険適用外のため、その分費用がかさんでしまいます。心配な方は、出産前後だけでも医療保険を確保しておいたほうが安心かもしれません。
お金を借りる場合はまず両親や親戚にお願いする
妊娠・出産に関する補助制度のおかげで、妊娠や出産で大きな出費が減ってきてはいるものの、どうしてもやりくりが難しい場合には、まずは両親や親戚に頼ってみましょう。もしここで頼れない場合には、金融機関などにお金を借りる選択となりますが、身内であれば審査の問題や高い金利を払わなくてすむので非常ありがたいことです。
どうしてもやりくりできない!最終手段はカードローンの活用を
妊娠や出産費用でやりくりが難しくなった場合には、カードローンで借り入れるという選択肢があります。自動車ローンのような独自ローンは存在しないため、利用目的が限定されていないカードローンを活用することになるでしょう。
契約者をご主人ではなく妻にする場合、産休中となっているため審査の不安もあるかもしれません。しかし、仕事復帰の予定があることを明確にすれば、審査に通る可能性は十分にあります。
また、カードローンは目的別のローンよりも金利が高くなる傾向です。そのため、カードローンから借り入れをする前に、
まずは公的な補助制度をフルに活用しながら、可能な限り改善や対策を行いましょう。それでもお金を借りないと厳しい場合には、借入額を最小限にして、返済計画をしっかり立ててください。
補助制度の利用を検討するなら余裕を持って準備を進めよう
今回は、妊娠・出産費用に関する補助制度についてご紹介しました。
妊娠・出産における制度は自動的に受給できるものではなく、あくまでも自ら申請するものです。せっかく使える補助制度の申請漏れがないように、余裕を持って手続きの方法などを確認しておくと良いでしょう。
公的な補助制度を知っておくと、例えば入院や手術をカバーする民間の医療保険に、必要以上に加入する必要もありません。また、会社の健康組合も付加給付など独自の制度がある場合もあるため、事前にホームページなどで見ておくことをおすすめします。
CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランナー技能士
株式会社K’sプランニング 代表取締役社長
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事
大手損害保険会社で事務企画や本店営業を経験後に2010年にFPとして独立。女性の視点も踏まえたお金のノウハウをセミナーや企業研修にて延べ3,000人以上の方々に伝授。家計相談を中心とした個別相談やマネー情報等の執筆でも活動中。
著書:「小学生にもわかるお金のそもそも事典」
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