親・旦那・他人のクレジットカードを使ったら犯罪?勝手に使うとバレる?

親・旦那・他人のクレジットカードを使ったら犯罪?勝手に使うとバレる?

他人のクレジットカードを使ったら犯罪?

他人のクレジットカードを使ったらどうなる?親や旦那のカードも使ってはダメなの?

サインするだけで、または暗証番号を入力するだけで支払いが完了するクレジットカードは、1人で複数枚持つのが当たり前で、かなり普及しています。大きな金額を支払うときには、多額の現金を持ち歩かなくてすむので安心ですし、少額の支払いでは小銭をいちいち数えなくてもスピーディーに会計がすむ便利さがあります。

このような便利な決済システムが成り立っているのも、クレジットカード会社と利用者、そして加盟店(お店)の間で信頼関係が成り立っているからです。そもそも、英語の「Credit」は、「信用する」という意味ですし、海外では現金よりクレジットカード払いの方が安心だと考えられている国もあります。

ただ、日本ではまだクレジットカードに対する認識が甘く、家族に貸したり、勝手に使用したりするケースも見られます。今回は、家族や他人のクレジットカードを使ったらどうなるのかについてご紹介します。

親のクレジットカードを子供が使ったら犯罪?

親のクレジットカードを子供が使ったら

親のクレジットカードを子供が使ってしまうケースというのはどんな場合でしょうか。最近多いのは、有料のオンラインゲームで、親のクレジットカードを勝手に使っているケースです。

身に覚えのない高額請求が来たのでクレジットカード会社に問い合わせたところ、子供が知らないうちにオンラインゲームで使用していたことがわかった、というケースが報じられています。小学生でもスマホを持っているのが珍しくない時代です。無料のスマホゲームで遊んでいるだけでは面白くないので、有料のアイテムが欲しくなり、ついつい財布や引き出しから家族のクレジットカードを見つけ出し、必要事項を入力して使用したら、いつの間にか数十万円にもなっていた、というものです。

国民生活センターによりますと、2013年のオンラインゲームに関する相談のうち、子供が占める割合は40%にも上るということです。また、相談事案の平均年齢も、2013年度では12.3歳まで低年齢化しています。

このような場合は、本人以外が勝手に使ったとはいえ、カードの所有者である親がクレジットカードをきちんと管理していれば起こらなかったケースですので、基本的には親が請求通りに支払うことで問題は解決します。子供が罪に問われることはないでしょうが、クレジットカード会社は、親に対して、クレジットカードの使用を停止させることも考えられます。クレジットカードは、家族であっても本人以外が使用することはできません。子供にも、勝手に使用しないよう厳しく教えておくことが必要です。

旦那や他人のクレジットカードを使ったら犯罪?

旦那や他人のクレジットカードを使ったら

それでは、本人以外のカードを一時的にでも使用した場合は罪に問われるのでしょうか。もちろん、盗んだり拾ったりしたクレジットカードを勝手に使用して買い物をした、というような場合は、窃盗罪や横領罪などの犯罪にあたるでしょう。ですが、もっと身近にあるケースとして、旦那や家族が所有しているクレジットカードを使用する場合が考えられます。

例えば、専業主婦ではクレジットカードを作ることが難しいと考え、ご主人名義のクレジットカードを借りて買い物をするケースや、まだ学生である子供が、親のクレジットカードを利用するケースです。家族なら家計は一緒だし、クレジットカードも共有して良いと考えて気軽に使っている方も多いのではないでしょうか。

当然、カードの持ち主である契約者しかクレジットカードを使用できないことは、クレジットカード会社の規約で決められています。クレジットカードは、裏面に本人がサインをする欄があり、クレジットカードで支払いをする際にサインをしますが、サインした本人がカードの所有者かどうかを判断するためにも利用されているのです。

ただし、最近では一定金額以下の使用なら、サイン無しでカードを使用できる場合も多くなっています。また、サインの代わりに端末に暗証番号を入力するお店も増えてきています。

このように、カードを使用される店側では、本当にクレジットカードの所有者本人が使用しているかどうかの判断が難しくなってきていますが、基本的には本人が使用していることを前提として、サイン無しや暗証番号での利用も認めているのです。

それなのに、規約を無視して本人以外が使用したとなると、クレジットカード会社との契約違反になり、カードの使用が停止されてしまう可能性があります。たとえ家族であっても、本人以外がカードを使用することは許されないのです。

もし、全く収入がなくクレジットカードを作れないのだとしたら、家族カードを発行してもらえば問題は解決します。専業主婦や学生などでも作れるクレジットカードはありますが、すでに家族が持っているクレジットカードの家族カードであれば、よりスムーズに発行できるでしょうし、会費も安くすみます。

次に、他人名義のクレジットカードを使用した場合に、クレジットカード会社との契約違反だけでなく、犯罪として訴えられるかどうかを見ていくことにしましょう。

クレジットカードの無断使用と詐欺罪の成否

クレジットカードの無断使用と詐欺罪の成否

他人名義のクレジットカードを無断で使用したら犯罪になるのでしょうか。実は、このような場合、詐欺罪が成立するという裁判での判決が出ています。一見、カードの無断使用と詐欺罪とはつながりがないように思われますが、いったいどのような理由で詐欺罪に問われるのでしょうか。

詐欺罪とは何か

まずは、詐欺罪とはどのような罪なのかを確認してみましょう。

詐欺罪について規定している条文は、刑法246条です。その1項には、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」とあります。

また、2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」とあります。1項の「人を欺いて財物を交付させ」る詐欺罪をわかりやすくいうと、詐欺を行う者が、当初から人を騙す意思をもって相手に働きかけ、事実と異なることを正しいと相手に勘違いさせた上で、財産や利益を移転させること、といえます。

わかりやすい例でいえば、「振り込め詐欺(オレオレ詐欺)」ではないでしょうか。最近では手口も巧妙化しているようですが、単純にいえば、相手を騙す意思をもって働きかけ、金品を奪う犯罪です。騙される側は、完全に犯罪者を身内や知り合いだと勘違いして、金品を渡してしまっているのです。

他人名義のクレジットカードを使用したというケースが詐欺罪にあたるかどうかの場合、騙す相手は「お店」になります。具体的に、カードの所有者の承諾を得ずに勝手に使った場合と、カードの所有者の承諾を得て使った場合に分けて考えてみましょう。

他人名義のクレジットカードを勝手に使った場合

他人名義のクレジットカードを使うケースでは、盗んだり拾ったりしたクレジットカードを使って勝手に買い物をしたというような場合や、家族のカードを、了承を得ずに使用した場合が考えられます。

このような場合、盗んだり、拾ったりしたカードを使用したことに関しては、カードの持ち主に対しての窃盗罪や横領罪などが適用されるのでしょうが、家族間であれば、警察に被害届を出さない限り、一般的には家族に対しての窃盗罪などは問われないようです。 ただし、クレジットカードが自分の名義ではないのに利用したということなので、お店に「カードの所有者だと思い込ませ、商品を受け取っている」とみなされ、お店側に対して詐欺罪が成立すると考えられています。

他人名義のクレジットカードを本人の承諾を得て使った場合

それでは、他人名義のカードを、相手の了承を得た上で使用した場合はどうなるのでしょうか。このようなケースでは、夫婦間でカードを共有していたり、子供が親の承諾を得てクレジットカードを利用していたりする場合が考えられます。

例えば夫婦で買い物に行った際、支払いのときに急にお手洗いに行きたくなり、カードでの支払いをカードの所有者ではない家族に頼むといったこともあるのではないでしょうか。

この場合、結局はクレジットカードを利用した料金は支払うのだから、詐欺罪にはあたらないのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。ですが、お店側の立場としては、カードの所有者ではない人がカードを利用したという事実には変わりありません。つまり、お店側に対して「カードの所有者だと思い込ませ、商品を受け取っている」ことから、その後の料金の支払いがどうなるのかは別問題として、たとえカード名義人の許可を得ていたとしても、カードの所有者以外が使用すれば詐欺罪は成立するという判決が出ています。

店員が承諾していれば詐欺罪にあたらないの?

それでは、店員がカード所有者本人ではないことを認識していたのなら、本人以外がカードを利用しても詐欺罪にあたらないのでしょうか。

例えば、サインレスでの支払時には、少なくとも署名欄に名前が記入してあるかを確認する必要はありますが、署名を行わないので、店員が本人確認をすることは難しいでしょう。また、署名欄に男性の名前が記入してあるのに、女性が使用していたのを店員が気づかずに支払いが終わったとしても、それは単なる店員の確認ミスであって、結果として起こったことです。いずれにしても、店員を欺こうとして他人のカードを使用したという事実には変わりありませんので、店員が承諾しているから詐欺罪にあたらない、と主張するのは難しそうです。

ただ、近年クレジットカードの不正利用が増加しており、クレジットカードでも対策に苦慮していますので、本人確認義務を怠ったとして、お店側がクレジットカード会社から何らかのペナルティを受ける可能性はあるかもしれません。

クレジットカードを勝手に使うとバレる?

勝手に使うとバレる?

親や家族など、他人のクレジットカードを勝手に使っても、いちいち内容を確認しないだろうからバレないのではないか、と思われるかもしれません。ですが、たとえ少額でも勝手にカードを利用するといつかはバレるでしょうし、相手にバレなければ無断で使用しても良いというわけでもありません。

では、どのような経緯でカードの無断使用がわかってしまうのでしょうか。

引き落とし金額でバレる

引き落とし金額でバレる

例えば、自分でクレジットカードを使用した覚えがないのに、カードの請求が来たのなら、明らかにおかしいので簡単にバレてしまうでしょう。また、いつもより請求金額が多い場合も不審に思われます。

カードを利用したときはバレなかったとしても、カードの所有者の口座からお金が引き落とされるときに気づかれる可能性はあるでしょう。

利用明細書を見てバレる

利用明細書を見てバレる

利用明細はカードを利用したら1カ月に1回は郵送されてきますし、最近では利用明細書をWebで確認できるサービスが普及していますので、定期的に明細をチェックしていれば身に覚えのない請求が来ていることは簡単にわかります。Web明細なら、頻繁にチェックしていればいるほど不正利用に気づくのは早いでしょう。ですが、残念ながら明細をチェックしていない方もいらっしゃいます。

もし不正利用があったら、一般的にはカードに付帯している盗難保険でカバーされ、カードの所有者が支払う必要がなくなるのですが、盗難保険で補償されるのは、不正利用を届け出た日から60日前まで利用分という制限があります。カードの不正利用に気づいた日が利用日から60日を過ぎていたとしたら盗難保険は利用できません。利用明細は定期的にチェックするようにしましょう。

増え続けるクレジットカードの不正利用

増え続けるクレジットカードの不正利用

一般社団法人日本クレジット協会の調査「クレジットカード不正使用被害の発生状況」によりますと、平成29年1月~9月のクレジットカードの不正使用被害額は176.8億円にも上ります。クレジットカード会社でも常にカードの不正利用がないかを監視しており、加盟店にも不正利用が起きないよう、注意を促しています

それなのに、自分のカードを家族に勝手にカードを利用させるなどの規約に反した使用方法をしていたり、暗証番号が自分の誕生日などわかりやすい番号で不正利用が可能だったりしたら、せっかくの企業努力も無駄になってしまいます。ですので、このようなケースでは基本的に盗難保険は利用できません。規約に違反した利用方法をしないよう、クレジットカードの利用や保管方法には十分に注意しましょう。

また、最近はネット通販でのクレジットカード決済からカード情報が漏れて不正利用されるケースも増えています。セキュリティソフトを最新の状態にしておくなど、ネットでの情報漏洩対策もきちんと行っておく必要があります。

クレジットカードは規約を守って正しく利用しよう

今回は、親や旦那をはじめ他人のクレジットカードを使ったら犯罪になるのか、また、勝手にカードを使ったらどうなるかをご紹介しました。

最近ではネット通販でのクレジットカード決済からカード情報が漏れて不正利用されるケースも増えています。ちょっと家族に貸すだけなら大丈夫といった気持ちのゆるみがカードの不正利用につながり、高額請求をされることも考えられます。

規約に違反した利用方法をしていると、カードに付帯している盗難保険で補償されないこともありえますし、契約解除となりカードの利用ができなくなることもあります。 クレジットカードは、契約している本人しか利用できないことを自覚し、正しい使い方をするよう心がけましょう。

水野 圭子
水野 圭子

CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランナー技能士
株式会社K’sプランニング 代表取締役社長
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事

大手損害保険会社で事務企画や本店営業を経験後に2010年にFPとして独立。女性の視点も踏まえたお金のノウハウをセミナーや企業研修にて延べ3,000人以上の方々に伝授。家計相談を中心とした個別相談やマネー情報等の執筆でも活動中。
著書:「小学生にもわかるお金のそもそも事典」

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