ノンバンクとは?銀行との違いやノンバンク融資のメリット・デメリット
ノンバンクとは?銀行融資とノンバンク融資の違い
借り入れや金融に関する記事を読んでいると、「ノンバンク」という言葉を目にすることもあるでしょう。はっきり理解していないまま、読み飛ばしている方もいらっしゃるかもしれません。
「ノンバンク(Non-Bank)」という言葉の通り、「銀行ではない何か」という想像はつくと思いますが、具体的には何を指す言葉なのでしょうか。また、ノンバンクと銀行の違いはどういった点にあるのでしょうか。実際に取引するとしたら、ノンバンクから融資を受ける場合のメリット・デメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか。
今回はノンバンクの概要とノンバンクと銀行との違い、ノンバンク融資のメリット・デメリットについてご紹介します。なお、本稿は個人向けローンを対象にしていますので、ビジネスローンについては割愛します。
ノンバンクとは?
ノンバンク(Non-Bank)とは、融資(お金の貸し出し)を行うことに特化した金融機関を指します。銀行との一番の違いは、預金業務を取り扱っていないことで、利用者はお金を預けたり引き出したりすることはできません。また、ノンバンクは為替の決済も行っていません。
ノンバンクと呼ばれる会社の具体例としては、消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社、リース会社などが挙げられます。
一方で、銀行はもちろん、信用金庫、信用組合、JAなどの組織はノンバンクではありません。ノンバンクは融資に特化しているがゆえに銀行よりも融資に関するサービスが充実しています。詳しくは後述しますが、融資の審査が通りやすかったり審査スピードが速かったりと、利用者からすればメリットも多い反面、金利が高いなどのデメリットもあります。
ノンバンクと銀行の違い
ノンバンクと銀行の違いはなんでしょうか。表面的には先にも触れたとおり、預金業務を取り扱っているかどうかという点にありますが、根本的な違いは銀行が銀行法の規制対象であり免許が必要な業態であるのに対し、ノンバンクは貸金業法の規制対象であり登録制となっているという点です。
この規制する法律の違いが実際の運営に大きく関係するのですが、利用者に影響の大きいところでいうと、ノンバンクは貸金業法における総量規制の対象であるのに対し、銀行は総量規制の対象外である、という点でしょう。総量規制とは、一言で言うと「年収の3分の1を超える貸し出しを行ってはならない」という規制ですので、ノンバンクからの借り入れはこの上限額が適用されることになります。
例えば、年収300万円の方なら、ノンバンクから借り入れできる最大上限額は100万円ということになります。これは1社あたりの金額ではなく合計の金額ですので、仮に3社から借り入れている場合、A社の借入残高が50万円、B社の借入残高が30万円なら、C社からは20万円までしか借り入れすることができません。
一方、銀行の場合はこういった規制がありません。上記のようにすでに2社から合計80万円借り入れている状態で、30万円を借り入れることは理論上可能なのです。ただし、当然のことながら銀行も独自で審査をしますので、必ずしも利用者の希望通りの金額が借りられるわけではありません。
この点に関連することですが、無職や専業主婦など収入のない方が借り入れを希望する場合、ノンバンクでは総量規制が妨げとなって借り入れすることができません。「年収0円×3分の1=0円」となってしまうからです。銀行の場合は、専業主婦であっても世帯収入で審査をしてくれるケースもありますので、借り入れできる可能性は残されています。
なお、ノンバンクでの借り入れは、収入(安定した収入)さえあれば審査対象となりますので、パートやアルバイトでも利用は可能です。
総量規制の対象かどうかという点は法規制の問題ですが、それ以外でノンバンクと銀行の違いはあるのでしょうか。
先ほど述べた通り、ノンバンクは預金業務を行っておらず、融資のサービスを充実させることで、銀行との差別化を図っています。具体的には、以下のような違いが挙げられます。
- ノンバンクは銀行に比べて、融資審査が甘い
- ノンバンクは銀行に比べて、融資までのスピードが早い
- 土日祝日の対応、夜間の対応、提携ATMの数など、ノンバンクは利便性が高い
- ノンバンクは銀行に比べて、金利が高い
詳細は次項「ノンバンク融資のメリット」「ノンバンク融資のデメリット」でご説明しますが、一般的にはこういった違いが見受けられます。ただし、これは先に挙げた総量規制の話と違い、法規制によるものではなく、サービス競争の過程で生み出されたものです。
そのため、一口にノンバンクと言ってもサービス面で足並みをそろえているわけではなく、消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社、リース会社などの会社形態によっても違えば、同じ形態でも各会社によってサービス内容は変わります。あくまでも、こういう傾向がある、程度に捉えてください。
ノンバンク融資のメリット
ここから、ノンバンク融資のメリットについてご紹介します。
審査が銀行よりも通りやすい
銀行融資の審査に比べて、ノンバンクの融資審査は一般的に通りやすくなっています。というのも、銀行は貸し倒れを極端に恐れるがゆえに、慎重な審査をする傾向があるからです。
住宅ローンなどの担保ローンの場合は、申込者の属性に加えて担保となる不動産価値の評価を行うなど総合的な判断が可能ですが、無担保融資の場合は個人の属性のみが頼りになりますので、年収はもちろん勤続年数や雇用形態、勤め先の安定度(公務員>上場企業>中小企業>自営業)など、従前の借り入れ状況を厳しくチェックされます。
ノンバンクも審査ポイント自体は同じなのですが、各項目をスコアリングして自動判定するなど、審査を簡易的に行うケースが多く、結果も甘い判定が出やすくなっています。勤続年数が短い、正社員でない、などは減点対象になりますが、その他の点でカバーすれば問題なく審査に通るケースもあります。
融資が早い
先ほども述べたように、銀行は審査に時間をかける傾向があります。それは審査を丁寧に行っているということの表れなのですが、利用者からするともどかしいことは否めません。
一方、ノンバンクの審査は非常に早いのが特徴です。とりわけ、消費者金融カードローンの場合、申し込みから審査完了まで最短で30分、融資実行(実際の借り入れ)まで最短1時間でたどり着けることもあります。無論そのためには申込時に必要事項を正しく回答することや、本人確認書類のアップロードの際に鮮明な写真を使うこと、在籍確認の対策を取っておくことなど、事前にきっちり準備をしておく必要があります。
また申込方法も郵便など時間がかかる方法はなるべく避け、電話かできればWebでの申し込みをおすすめします。あくまでも申し込みが正しく受け付けられた後の回答がスピーディーということですので、申し込みが受け付けられるまでは申込者自身の努力が必要です。
担保なしで借り入れできる
ノンバンクの個人向け融資の代表格はカードローン(消費者金融カードローン、信販カードローンなど)ですが、カードローンの場合、無担保で融資が受けられます。担保というのは、具体的には物的担保(不動産)と人的担保(連帯保証人)が挙げられますが、こういった担保が必要ないことで、手軽に借り入れを受けることができます。
銀行でも無担保融資商品としてカードローン(銀行カードローン)がありますので、ノンバンクにのみ該当するメリットであるというよりは、カードローン全体に関するメリットと言えるでしょう。
なお、ノンバンクでも住宅ローンや不動産を担保としたローンを取り扱う会社もあり、こういった商品は担保ありの借り入れとなります。資金の利用目的や金額によっては担保付きローンを選択する必要があるケースもありますが、担保を入れたくない、入れられないという方は、カードローンを選択すると良いでしょう。
ノンバンク融資のデメリット
つづいて、ノンバンク融資のデメリットについてご紹介します。
金利が高い
審査が甘い反面、ノンバンクの金利は銀行よりも高くなっています。これは貸し倒れのリスク取る以上、当然の結果であると言えます。また、銀行と違いノンバンクは預金という形で低金利の資金調達ができないという理由もあります。
利息は「利率(金利)、借入額、借入期間」の3要素によって決まりますので、大きな金額を長期間借り入れする場合には、金利が高い低いという点を重視すべきでしょう。反対に、借り入れが少額である場合、もしくは短期間の借り入れである場合は、それほど気にする必要はないかもしれません。例えば、次のような具体例をご覧ください。
200万円を1年間(365日)借りるケース 金利15%の場合の利息:300,000円
金利10%の場合の利息:200,000円
200万円を1週間(7日)借りるケース 金利15%の場合の利息:5,753円
金利10%の場合の利息:3,835円
10万円を1年間(365日)借りるケース 金利15%の場合の利息:15,000円
金利10%の場合の利息:10,000円
10万円を1週間(7日)借りるケース 金利15%の場合の利息:287円
金利10%の場合の利息:191円
(簡略化のため、元本減少は考慮していません)
借入額が200万円で借入期間が1年間の場合、金利が5%違うと利息は10万円の差が出ます。しかし、同じ200万円の借り入れであっても期間が1週間であれば利息の差は1,918円にしかなりません。また、借入額が10万円なら、借入期間が1年間でも利息の差は5,000円、借入期間が1週間ならその差は96円です。
このように、短期的な借り入れや少額の借り入れの場合、金利による利息の違いはそれほど重要視しなくても良いかもしれません。もちろん、0.1%でも低い方が良いに越したことはありませんが、それ以外のメリットやデメリットなどを総合的に勘案して比較することをおすすめします。
融資可能額が少ない
ノンバンクでは総量規制の対象ですので、借入上限額が年収の3分の1と定められています。しかしこれは、「年収の3分の1までなら借り入れできる」ということを保証するものではありません。仮に年収が300万円だとして、絶対に100万円まで借りられる、ということではないのです。上限の範囲内で、ノンバンクがいくらまで貸すかを決めるのです。
ノンバンクのメリットとして審査が甘いと述べましたが、それは申込者が希望する金額が満額で通るということを意味するのではありません。年収300万円の方が100万円の融資を希望したとしても、融資額50万円もしくは30万円、20万円、10万円など、減額されたうえで審査が通るというケースもあります。
というより満額OKというケースの方が少ないかもしれません。特に初回利用時は取りあえず10万円、30万円という上限が与えられ、継続して取引しているうちに(優良顧客に対しては)上限額が増額されるのです。はじめから高額の借り入れができると思っていると金策に困るかもしれませんので、この点は注意が必要です。
審査が通りやすくスピード融資を受けられるのは「ノンバンク」
今回はノンバンクの概要とノンバンクと銀行との違い、ノンバンク融資のメリット・デメリットについてご紹介しました。
ノンバンクか銀行かによって根拠とする法律や規制が違うことを知っておけば、そこから派生する両者の違いを理解することはそう難しいことではありません。とはいえ、実際に個人が融資を受けるにあたって、ノンバンクかそうでないかという点で意識することは少ないかもしれません。それよりは、カードローンが銀行系なのか消費者金融系なのかといった違いで比較することの方が多いでしょう。
ノンバンクと銀行の違いなどはあくまでも周辺知識として頭の片隅にでも入れておいていただければ結構ですので、実際にお金を借りる際にはそれぞれの貸し手の特徴を理解したうえで、ご自身に合ったローン商品を選択するようにしてください。
ファイナンシャルプランナー
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当
大手賃貸仲介業者に就職、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。 その後、創業者杉本雅幸の後継として株式会社大峰の代表取締役に就任、現在に至る。住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、相続対策などに関しての相談業務を行っている。
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