貸付自粛制度などの家族の借金をやめさせる方法3つ

家族の借金を辞めさせる方法と貸付自粛制度について
借金をする動機は、日常生活をしていく上での不足分を補うためにやむをえない場合や、自分あるいは家族が必要以上の欲求を満たす場合、あるいはギャンブル依存症で、ギャンブルで使うお金を調達する場合など、さまざまです。
それでは、家族や周りの方が、返済する目処が立たないような借金を抱えている場合、借金をやめさせるためにはどうすれば良いのでしょうか。
今回は、家族内での借金に対して、本人または家族がすべきことや、家族の借金をやめさせる方法についてご紹介します。
家族の借金が発覚!まずやるべきことは?
家族が多額の借金をしていたことが発覚した場合、本人を叱るばかりではなく、まずは何をすべきか考えることが大切です。初めに、家族の借金が発覚したときにやるべきことをご紹介します。
借金の理由を明らかにする
借金に向き合うことができる家族の一員が、借金をした本人と話し合いの場を持ち、借金をした理由や、動機について聞くことから始め、借金をした問題の本質をとらえる必要があります。
この話し合いは、借金をした本人を責めるためのものではありません。家族として、ともに解決しなければならない問題であることを伝えましょう。
本人から余すことなく情報を引き出し、借金の理由を明らかにすることは、今後の対策を考え、再発を防ぐために重要です。
ただし、明確な理由が、借金をした本人にも分からないという場合があります。
ある病気での診察を例に考えると、重大な病状の診断が下ったとき、その病状が発症したときがいつかが重要になりますが、ほとんどの方は、病状が発症したときがいつかを正確に覚えていません。しかし、過去何年かの定期健康診断の結果を見直すと、あるときから現在の病状につながる何らかの症状が出始めていることが分かる場合があります。
借金の場合も、その借金の理由を明らかにすることだけにとどまらず、初回の借金がいつ頃で、そのときの生活事情、職場事情、人間関係も含めて話を聞く中で、核心的な動機を発見できるかもしれません。
借金状況を正確に把握する
借金状況を正確に把握しないと、有効な対策が立てられません。そのため、現在抱えている借金の状況を正確に把握しましょう。
例えば、借り入れが複数の時期にまたがっていないか、複数の金融業者あるいは友人・知人から借り入れをしていないかなど、すべてを明らかにします。
また、それぞれの毎月の返済額、金利、返済期間または返済回数、毎月の総返済額だけではなく、借入額(元本)と総返済額(元本と金利の総額)の差額も明白にしましょう。
これは、金利の総額を数字で示して、借り入れた本人に返済金額を自覚させることで、事の重大さを気づかせるためにも大切なことです。友人や知人からの借金は、口約束も含めて確認しましょう。
返済計画を立てて本人に返済させる
事の重大さを数字で示した上で、これ以上借金を増やさないことを最低条件として、返済計画を立てて本人に返済させる必要があります。
本人が借金をした時点で、あらかじめ決められている返済額や返済期間より有利な方法がある場合、その方法に変えることを検討する必要があるかもしれません。
いずれにしても、返済の多寡にかかわらず、周りの方が全額または一部の借金を肩代わりすることは避けたほうが良いでしょう。同じ失敗を繰り返させないために、今回の借金で返済の重大さ、大変さを認識させ、誰かが何とかしてくれるだろうという甘えの気持ちを断ち切らせるためにも、本人に返済させましょう。
家族の借金をやめさせる方法とは?
ここでの問題は、返済計画に基づく返済が始まってからも、新たな借金が発生してしまう可能性があることです。
今ある借金をこれ以上深刻な問題にしないためには、本人の自覚を覚醒させたり、借金を繰り返す本人からお金の管理を取り上げたりする必要があるといえます。
ここでは、家族の借金をやめさせる方法として、3つの方法を解説します。
自助グループに参加する
ギャンブル依存症や買い物依存症のような何かに依存している場合、「公益法人ギャンブル依存症問題を考える会」などの自助グループへの参加は、効果がある方法といえます。
なお、自助グループへの会合には、借金をした本人だけでなく、家族(例えば配偶者)も一緒に参加することができます。
同じ依存症で悩む方たちが、自分あるいは家族の状況をグループ内で吐露することにより、それまでの不安が多少なりとも解消され、解決に向かって進むことが期待できます。
自助グループに参加して問題点を共有し、精神的に支え合うことで、目の前の問題ばかりでなく、本人の考え方そのものを変える効果もあるため、その後の本人の生き方まで変え得る可能性があります。
お金の管理を本人以外が行う
依存症に共通する症状として「嘘をつく」、「自分が依存症であることを否定する」ことが挙げられます。また、依存症も含め、過度の借金を繰り返す方の特徴は、「借金返済の深刻さに向き合わず、安易な解決策を選んで、借金に借金を重ねてしまう」ことです。
これらの解決策として、本人に代わり、家族または、信頼できる自助グループが、本人の給料や預金口座、キャッシュカードなどを管理し、本人には1日の生活に必要な最低限のお金だけを渡す方法があります。
これを借金がなくなるまで続けることには、本人も家族も相当な覚悟が必要ですが、トンネルの出口に光明を見いだすまで頑張るしかありません。
貸付自粛制度を利用する
新たな借り入れを防ぐには、家族で監視する必要があります。しかし、24時間監視をすることは、困難です。そこで、貸付自粛制度の活用をおすすめします。
貸付自粛制度を活用することにより、新たな借り入れを防ぐことができます。消費者金融やクレジットカードによって、お金を借り入れる際、業者は、必ず信用情報データベースにより、本人の信用情報(返済能力や総量規制(※1)など)を審査します。
ここで新たな借り入れができないようにすれば、家族の監視に頼らなくても良い、よりシステマチックな監視で借金を食い止めることが可能です。
(※1)総量規制
貸金業法が適用される消費者金融からの借り入れは、利用者の収入の3分の1までと決められている規制のこと。
貸付自粛制度とは?
貸付自粛制度とは、本人や親族の申告により、借り入れを制限する制度のことです。日本貸金業協会が設ける制度で、申告後は申告した情報が、信用情報データベースに登録されます。
では、この貸付自粛制度とはどういうものなのでしょうか。
ここでは、貸付自粛制度について詳しく解説します。
貸付自粛制度の概要
貸付自粛制度は、日本貸金業協会が窓口です。全国の各支部で、本人もしくは代理人から、新たな貸し付けをしないでほしいといった申告を受け付けます。申告により、日本貸金業協会は、信用情報データベースに申告内容を登録します。
登録しておくことで、本人が新たな借り入れで審査を受ける際に、貸金業者は申込者が貸付自粛中であることが分かるため、貸し付けの審査は通らなくなるのです。なお、貸付自粛制度への申し込みに料金はかかりません。
貸付自粛制度の申込者
貸金自粛制度を申し込む方は、借金を申し込む本人(自粛対象者)か、自粛対象者が未成年の場合は、親権者(一般的には親)、あるいは成年後見人(※2)、裁判所が選任した相続財産管理人などの法定代理人、もしくは自粛対象者の配偶者、2親等内の親族となります。
ただし、自粛対象者の配偶者や2親等内の親族が申し込む場合は、自粛対象者の所在が不明のときに限られます。また、2親等内の親族が申し込むことができない事情がある場合は、3親等内の親族、または自粛対象者と同居の親族が代わって申し込むことが可能です。
(※2)成年後見人
自粛対象者が高齢などで社会的に十分な意思疎通ができない場合、本人の意思を尊重しながら法律行為の代理・取り消しや財産の管理を行い、療養看護の義務を負う者のこと。
貸付自粛制度の登録手続き~相談窓口へ直接出向く場合
貸付自粛制度を申し込む方法は、日本貸金業界の各支部窓口に直接出向く方法と、郵送による方法があります。
相談窓口に直接出向く方法では、事前に出向く日時を連絡の上、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証などの本人写真があるもの1点、本人写真がない場合は2点)の提出が必要です。
貸付自粛制度の登録手続き~郵送の場合
郵送による方法では、窓口へ出向く場合の書類と、それに加えて貸付自粛申告書を記述し、返信用の切手を同封する必要があります(切手代は、申告書の控えを簡易書留で送れる金額が必要)。
また、郵送の場合は、書面だけのやりとりとなるため、郵便が到着後に、電話による本人(申込者)の意思確認が行われます。
貸付自粛制度の登録内容・登録期間
貸付自粛制度の申し込みにより、日本貸金業協会は、信用情報データベースに自粛対象者の氏名、性別、生年月日、住所、自宅または携帯電話番号、勤務先名、勤務先電話番号を登録します。これらの情報の登録期間は、原則5年間です。
5年以内でも申込者による撤回の申し込みがあれば、情報は削除されますが、登録の申し込みをしてから3カ月間は、撤回の申し込みができません。
ただし例外があり、申込者が配偶者または親族の場合、自粛対象者の所在不明に関する状況が変わったときは、3カ月以内でも情報の削除ができる場合があります。
登録情報の提供
信用情報データベースの貸付自粛制度の登録内容が参照できる機関は、消費者金融系業者が加盟している日本信用情報機構と、クレジットカード系業者が加盟しているCICです。
これらに加盟している業者は、貸付自粛対象者の情報が参照できるため、該当者が分かります。
貸付自粛制度を利用する際の注意点
貸付自粛制度は、新たな借り入れを増やさないための有効な対策といえるでしょう。しかし、利用する際、いくつか注意点があります。
貸付自粛制度には、日本信用情報機構とCIC、この2つの信用情報機関が参加しています。しかし、その他の信用情報機関は、貸付自粛制度に参加していないため、審査の通過や借り入れの停止は、貸金業者の任意となります。
そのため、日本信用情報機構とCIC以外の信用情報機関に登録している貸金業に借り入れを申し込んだ場合、水際で食い止めることができない可能性があります。
また、ヤミ金業者からの誘惑も考えられます。ヤミ金業者は、貸付自粛制度が機能していません。貸付自粛制度といえども、必ずしも万能とはいえないのです。本人がヤミ金に走らないよう注意する必要があります。
さらに、登録申告の3カ月後から、貸付自粛対象者本人による撤回の申し込みができてしまうため、自分で撤回し、借り入れを再開してしまう可能性があります。
貸付自粛制度には、本人に借金依存症から脱却する強い意志がなければ、うまく機能しない側面も持ち合わせています。
家族の借金をやめさせるには暖かいサポートが重要
今回は、家族内での借金に対して、本人または家族がすべきことや、家族の借金をやめさせる方法についてご紹介しました。
本人を借金まみれの状態から更生させるためには、本人の自覚と覚悟の他に、家族の暖かいサポートが重要になります。まず、家族は借金の現状を正確に把握することから始めましょう。
現状を把握したら、本人と伴に、返済計画を立てて、確実な返済の実行を考えます。また、さらなる借金を重ねないためには、本人および家族の努力が必要です。貸付自粛制度を活用して、借金をできない環境を作ることも良いでしょう。
貸付自粛制度は、まだ道半ばの制度です。しかし、貸付自粛制度を利用することは、決して無駄ではありません。家族に借金をやめさせる解決方法の1つとして、貸付自粛制度は大変役に立つでしょう。

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表
2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。
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