入院費が払えないかも!入院費の平均額と払えない場合の対処法
ケガや病気の入院費は平均いくら?入院費が払えない場合はどうする?
日頃から気をつけていても、階段から転げ落ちたり、車と接触してしまったり、食中毒になってしまったり、私たちの身の周りには常に入院が必要になるリスクと不安がつきまとっています。入院費の平均額や入院費が支払えない場合の対処法を知っておくことで、入院が必要になるリスクは消えなくても、経済的不安は少し消えるのではないでしょうか。
今回は、入院費の平均額や入院費が払えないことで起こる出来事、健康保険に加入しているなら絶対に知っておくべき医療費制度についてお伝えいたします。
入院費の平均額はいくらぐらい?
入院した経験がない人にとっては、入院したときの費用が一体いくらになるのかが一番の不安要素になると思います。
厚生労働省が発表している「医療給付実態調査(平成27年度)」および「患者調査(平成26年)」からいくつかの傷病をピックアップして、1日あたりの入院費(3割負担の場合の費用)や入院日数をまとめましたので参考にしてください。
胃の悪性新生物(胃がん)による入院費の平均額
本人に自覚症状があまり見られず、健康診断などで発見されることが珍しくない病気です。悪性新生物(がん)と聞くと不治の病というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、近年、日本では検診の普及による早期発見の効果により、死亡率はかなり減少しています。
1日あたりの平均入院費:約15,000円
平均入院日数:19.4日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):291,000円
乳房の悪性新生物(乳がん)による入院費の平均額
早期の場合あまり自覚症状は見られませんが、進行するにつれ、硬くてあまり動かないしこりを乳房に発見できることがあります。乳房のしこりそのものは乳がんに限った話ではなく他の病気でも見られることがありますが、全体の約90%が良性といわれています。
1日あたりの平均入院費:約17,000円
平均入院日数:12.65日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):約215,000円
白内障による入院費の平均額
白内障の自覚症状としては、景色が眩しく見えたり、暗く見えたり、霧がかかったように見えたり、視力の低下を感じる場合などが挙げられます。日常生活では両眼で見ているため、片眼が白内障になっても気づきにくく、ここに挙げた症状が出てくるころにはかなり進行している可能性が高いです。
1日あたりの平均入院費:約24,000円
平均入院日数:3.9日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):約94,000円
脳梗塞による入院費の平均額
三大疾病のうちの一つである脳梗塞は、急に発症するものと思われがちですが、一過性脳虚血発作と呼ばれる予兆が見られる場合が多いといわれています。急に言葉をド忘れする失語症や、ろれつが回らなくなる構音障害、顔の片側の筋肉が麻痺するベル麻痺などの症状が見られた場合には一過性脳虚血発作の可能性がありますので、早めに病院へ行きましょう。
1日あたりの平均入院費:約9,000円
平均入院日数:90.2日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):約812,000円
糖尿病による入院費の平均額
糖尿病は一言でまとめるなら、徐々に血管がボロボロになっていく病気と言い換えることができます。基本的には糖尿病そのものよりも合併症の方が怖いといわれています。網膜で合併症を引き起こすと失明になる可能性がありますし、腎臓なら人工透析が必要になります。手足なら壊疽(えそ)になりやすく、最悪のケースでは手足を切断しなければなりません。
1日あたりの平均入院費:約8,000円
平均入院日数:31.65日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):約253,000円
骨折による入院費の平均額
骨折については詳しい解説は不要かと思いますが、実は強い衝撃がなくても骨折することがあります。日頃から転ばないように注意していても、踏ん張ったり、くしゃみをしたりした拍子に折れてしまう骨脆弱性骨折になる可能性もありますし、身体の同じ部分にずっと力がかかってしまうことで骨が耐えられなくなる疲労骨折になる可能性もあります。
1日あたりの平均入院費:約10,000円
平均入院日数:39.15日
トータルの入院費(平均入院費×平均入院日数):約392,000円
入院費が払えないケースって?
先進医療等を受けて医療費そのものが高くなってしまった場合はもちろんのこと、他にも入院費が支払えなくなるケースは存在します。どのようなときに入院費が支払えなくなるのか確認してみましょう。
突然の入院だった場合
交通事故など突発的な入院の場合、貯金が全くないケースが考えられます。入院中は仕事を休んでいるため収入が減るにも関わらず、家賃や通信費などの固定支出は減るわけではありません。
そのため、たとえ民間の医療保険で入院日額5,000円程度を受け取っていたとしても固定支出の支払いに使ってしまい、結果として入院費が払えなくなる場合があります。
入院が長引いて貯金が底をついた場合
たとえ貯金があったとしても入院が長引けば、その貯金が底をついてしまう可能性があります。民間の医療保険には「1入院の支払限度日数」が定められています。もし1回の入院の支払限度日数を60日に設定していたにも関わらず、半年間も入院してしまった場合、およそ4ヵ月分の入院費は自腹になり、4ヵ月分の入院給付金は受け取ることができません。もちろん、その間にも家賃等は毎月口座から引き落とされています。既に民間の医療保険に加入している人は、事前に1入院の支払限度日数を確認しておくといいでしょう。
また近年では、病院側もできるだけ入院日数を短くできるよう努力しています。それでも入院日数が長引くというのは、重い病気や完治しづらいケガ等の可能性があります。退院できたとしても同じ会社・同じ業種に就けない可能性もあるでしょう。そうなれば、入院費だけではなく退院後の生活のことも考慮しなければなりません。
入院費が払えないと強制退院させられる?
退院前に入院費が払えないことが病院側に発覚した場合でも、医師法第19条第1項の「応招義務」により強制退院させられることはありません。
また、退院後に未払いのまま同じ病院へ行ったとしても他の患者同様の診察をしてもらえます。ただし、病院の会計担当者の中では要注意人物としてのレッテルが貼られているでしょうから、未払い分についての話をされる可能性はあります。
入院費未払いのままだと最終的にはどうなる?
病院は厳しく取り立てないと勘違いしている人も多いですが、入院費が未払いの状態が続くと訴訟されることも珍しくありません。具体的に、どのような流れで請求されるのか確認してみましょう
病院職員から電話や文書で支払いの督促がくる
まずは病院の職員から電話や文書にて、入院費の金額や支払期日、支払い方法についての連絡が入るでしょう。
保証人へ請求が行く(入院時に保証人を立てている場合)
電話や文書での支払い督促に応じない場合で、入院時に保証人や連帯保証人を立てている場合は、その方へ連絡が入ります。
弁護士から内容証明郵便で催告が届く
これまで電話や普通郵便などで未払い分の請求があったとしても、あとで言い逃れる可能性を考慮し、「催告しました」という証拠を残す目的で内容証明郵便が届きます。
特に入院費が高額になっているようなケースでは、早い段階で弁護士へ債務の回収を委託する可能性があります。弁護士にバトンが渡ると、訴訟を起こされことも視野に入れなければなりません。
裁判が開始され財産や給料が差し押さえられる
ずっと支払いに応じない場合には、裁判を起こされ、強制執行によって財産や給料の差し押さえが開始されます。給料が差し押さえられる際の「差押命令正本」は、裁判所から直接勤め先へと送達されるため、強制執行を受けたことが勤め先にバレます。
給料の全額を差し押さえられると日常生活を送ることができなくなってしまうため、民事執行法第152条により原則、給料の4分の1までのみが差し押さえの対象となります。ただし、給料が月額33万円を超えている場合には、33万円を超える部分は全額差し押さえが可能になります。
入院費が払えない場合の対処法
入院費が払えないことに気づくと慌ててしまいがちですが、そんなときこそ冷静さを取り戻して、対処を考えなければなりません。
分納や延納を病院に相談する
大きな病院であれば概ね入院費の分納や延納の相談に慣れていることが多いでしょう。会計窓口または医事課と書かれているところで、毎月いくらなら支払えるのか、いつ頃に支払えるのか、といった相談してみましょう。
公的な補助制度を利用する
国民健康保険や健康保険、健康保険組合など公的な保険に加入している全ての人に知っておいてもらいたい制度を紹介します。
高額療養費制度
入院にかかるほとんどの費用は健康保険が適用されるため、自己負担額は3割で済みます。しかし、「医療費が100万円かかったので、3割の30万円を支払ってください」と言われても、ほとんどの方が支払いに困ってしまうことでしょう。そこで、その人の収入(標準報酬月額)に応じて自己負担額に上限が設けられています。これを高額療養費制度と呼びます。
たとえば、標準報酬月額が28~50万円の人が保険適用可能な医療費100万円分の治療等を受けた場合、「80,100円+(100万円-267,000円)×1%」が自己負担額となるので、一旦は窓口で30万円を支払いますが、あとからお金が返ってきて、実質的な負担は87,430円になります。
ただし、この医療費には保険が適用できない先進医療や差額ベッド代、食事代は含まれませんので注意しましょう。
また、この計算は1ヵ月単位(1日から末日)で計算されるため、1ヵ月以上の入院になる見込みであれば、月末に入院するよりも月初に入院した方が得といえます。
高額療養費貸付制度
高額療養費制度を利用することで実質負担額が30万円から87,430円になったとしても、一度は窓口で30万円を支払うとなるとかなりの負担になります。また、実際に払い戻されるのは申請から約3ヵ月後なので、その間の生活も苦しくなります。このように医療費の支払いが困難なときに、無利息でお金を借り入れられる制度が「高額療養費貸付制度」です。
限度額適用認定証
事前に医療費が高額になると分かっている場合には、「限度額適用認定証」を会計時に窓口へ提出することで30万円の立て替えが不要になり、退院時には87,430円を支払うだけで済みます。
限度額適用認定証は、どの保険に加入しているかで発行先が異なります。まず、国民健康保険に加入しているのであれば、市区町村役場で発行してもらいます。協会けんぽに加入しているのであれば協会の各都道府県支部に申請します。申請書類は協会けんぽのWebサイトからダウンロードできます。組合健保(組合管掌健康保険)に加入している場合には、その健康保険組合に申請します。
傷病手当金制度
傷病手当金とは、健康保険や健康保険組合に加入している人を対象にした制度です。病気やケガで仕事を4日以上連続で休んだ場合に、4日目から最長1年6ヵ月までの間、およそ1日分の給料の3分の2が支給されます。
ただし、自営業者など国民健康保険に加入している人は対象外のため、この制度を利用できません。
一部負担金減免制度を利用する
日本は国民皆保険なので全国民が健康保険や健康保険組合、国民健康保険などに加入しているのですが、ホームレスなど一部の人は加入できていないという事実があります。どんな事情があろうとも体調が悪い人を放っておくわけにはいきません。保険に加入しておらず全額自費診療になることを恐れて診察に行けない人は「無料低額診療事業」をしている医療機関を探しましょう。
無料低額診療事業
無料低額診療事業とは、低所得者やホームレス、DV被害者といった生活がままならない人を対象に、医療機関が無料または低額な料金で診察を行う事業のことです。
全日本民医連のWebサイトによると、2018年4月16日時点で、404の医療機関が無料低額診療事業に取り組んでいます。
カードローンで借り入れをする
無料低額診療事業の対象でもなく、保険にも加入できていないような場合には、カードローンで借り入れをするという方法もあります。借金をしたくない気持ちがあったとしても、入院を要するほど体調が悪いのであれば背に腹は変えられないでしょう。
入院費の支払いのためにカードローンを申し込む際のポイント
カードローンを今まで申し込んだことがない人のために、いくつかカードローンを申し込む際のポイントをご紹介いたします。
自分に合ったカードローンを選ぶ
まずは自分に合ったカードローンを選ぶために、自分が必要とする「条件」や、カードローン会社から見て「不安要素」になりそうなところを考えましょう。たとえば、外出せずに借り入れたいのであれば「Web完結」がキーワードになりますし、フリーターや学生の場合はカードローン会社から見ると不安要素になりますので、「フリーターOK」「学生OK」といったキーワードで選ぶことになるでしょう。
迅速に融資してくれるカードローンを選ぶ
入院費は一刻も早く支払うべきものですので、迅速に融資をしてくれるカードローンを選ぶほうがいいでしょう。たとえば、思い立ったのが夜で翌日の朝一番で入院費を支払おうと思っているような場合には、無人契約機のあるカードローンが役立つでしょう。
必要最低限の額で申し込む
どうせ借りるなら「入院費は10万円だけど、今月は仕事も休みがちで生活が厳しいから20万円借りたい」といった気持ちになるかもしれませんが、そもそも審査に通らなければ入院費が支払えないということを忘れてはいけません。融資希望額は低いほうが審査に通りやすいため、必要最低限の額で申し込むようにしましょう。
入院費が払えない場合はまず公的な補助制度や医療保険の保障を確認しよう
今回は、入院費の平均や入院費が払えない場合の対処法についてご紹介しました。まずは公的医療保険に加入することが大切です。そして、日頃から栄養バランスのとれた食事や適度な運動、十分な睡眠など健康な生活を心がけましょう。また、現代の社会人には難しいかもれませんが、ストレスをためないことも重要です。
イザというときには公的な補助制度を賢く使い、もし事前に民間の医療保険にも加入しているのであれば、どんな保障があるのかも確認しておきましょう。 入院費が払えないからといって我慢し続けていると、取り返しのつかないことになったり、もっとひどい状態で入院し、支出がかさんだりなど本末転倒な結果になってはいけません。健康を一番に考えて行動しましょう。
CFP(R)認定者/1級FP技能士
NPO法人 全国NIE.E指導委員会 講師指導委員
FPおふぃすプラスめいきっと代表
奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るも、知人の連帯保証人になっていた祖父の自殺をきっかけに家族はバラバラ、高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。
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