カードローン利用があると住宅ローンは組めない?審査への影響は?
利用経験があると住宅ローンは組めない?カードローンの利用は住宅ローン審査に影響する?
「カードローン利用があると、住宅ローンの審査に通らない」という噂が、よくささやかれています。実際に「カードローンを利用していたがために、住宅ローンを組めなかったので解約した」などの体験談を聞いた方もいるかもしれません。
しかし、本当にカードローンを利用しているだけで住宅ローンが組めなくなることがあるのでしょうか?そこで今回は、カードローンと住宅ローンの関係、審査への影響についてご紹介します。
住宅ローンの審査基準
ローンの申し込み状況に関する情報は、申込者の個人情報にあたります。そのため、住宅ローンの審査に通過する人の割合を金融機関が開示することはありません。しかし、住宅ローンの仮審査の段階で審査を通過できない人の割合は、10%ほどといわれています。つまり、10人に1人ぐらいは住宅ローンを申し込んでも審査でNGとなってしまうのです。
ここでは、住宅ローンのくわしい審査基準についてご紹介します。もし住宅ローンの申し込みを考えているなら、詳細な審査条件とご自身の状況を照らし合わせてみてください。
年収
審査項目にはまず「申込者の年収」があります。具体的に「年収○○○万円以上なら可」という基準を開示している金融機関はないため、詳細は分からないことが一般的です。しかし、審査OKとなる年収の下限は、金融機関や金融機関が委託した保証会社によって異なるといわれています。
また、年収の下限について、基本的には金利の低いネット系銀行が高めの基準で審査をしているといわれています。もし年収がそれほど高いという自覚がなく審査が不安なら、ネット系銀行での申し込みは避けたほうが良いかもしれません。
返済比率
返済比率とは、収入に対する返済額の割合を指し、「返済負担率」とも呼ばれることもあります。
例えば、月収にして35万円の方が、月々の返済額を7万円として住宅ローンを借りた場合、その返済比率は「20%」となります。各金融機関では、月額の返済金がいくらになるかで返済比率を計算し、収入状況によって20%から35%までの間で上限を設けています。月々の返済額が収入に応じた返済比率の上限を超える場合は、審査でNGとなってしまいます。
基本的には、住宅ローンの返済比率を「20%以下」になるように返済計画を立てれば、審査を有利にできるといわれています。過去には、返済比率40%でもOKが出たケースもあるようですが、ご自身の月収の何割を住宅ローンの返済に充てられるかよく考え、基本的には返済比率を低めに抑えられるようにすると良いでしょう。
個人の属性
ローンの審査には付きものの「属性」も、住宅ローンの審査ではもちろん参照されます。年齢、勤続年数、居住年数、家族構成などが属性に含まれます。
ちなみに、住宅ローンの場合は他のローンでは見られない「申込者の健康状態」も含まれます。返済年数が長くなる傾向にある住宅ローンを借りる場合、「団体信用生命保険(団信)」への加入が義務づけられるからです。
通常の団信では、健康状態が良くない場合に加入を断られてしまい、それが理由で住宅ローン審査に通過できないことがあります。ただしそのような場合でも、加入基準を緩めた「ワイド団信」と呼ばれる団信であれば、加入できる可能性があります。健康状態を理由に通常の団信に加入できなかった場合は、ワイド団信を検討してみると良いでしょう。
また、年齢条件についても「完済時の年齢が何歳になるか」という条件が設けられます。申込時の年齢は「20~65歳」までの場合が主ですが、完済時年齢には上限があります。たいていの金融機関では、完済時年齢の上限を「80歳」としています。もし45歳で住宅ローンを申し込む場合は、完済時年齢の上限が80歳であれば最長で返済期間35年までという条件が付けられます。
しかし、定年退職後何十年分ものローンを残すことはあまり得策ではありません。ゆとりを持った返済計画を立てられるよう、住宅ローンは早めに完済できるようにするに越したことはありません。「家を建てるなら、若ければ若いほど良い」といわれるのは、これらの事情に基づいています。
購入する住宅の担保価値
住宅ローンの場合、購入する家や土地を担保としてお金を借りることになります。つまり、それらの資産としての価値が著しく低ければ、担保としての価値がないとみなされて審査に通らないこともあるのです。
新築住宅の場合はまず心配はありませんが、お買い得な中古住宅や中古マンション、土地などを購入する際に住宅ローンを利用したい場合は、注意が必要かもしれません。
税金の納付状況
税金の納付遅れや納付忘れなどが残っていると、どんなに高収入で信用できる属性を備えていても、住宅ローンの審査には通りません。税金がきちんと納められているかどうか確かめ、もし納めていない分があれば責任を持って完納してから、住宅ローンを申し込みましょう。
ちなみに、納付遅れの税金があっても、分割納付の申請をしたうえで期日を守って納付中の場合には、住宅ローンの審査への影響はありません。
購入する住宅に入居する人数
見落としがちな要素ですが、購入する家に何人が居住するかで住宅ローン審査を有利にできる場合があるといわれています。基本的には、1人での居住予定とするよりは、家族などと同居する予定でローンを申し込んだ方が審査を有利にできるとされています。
もしも家を建てたあとに結婚する予定があるなら、婚約者と同居する旨を伝えると良いでしょう。そのケースでも複数人同居とみなされるので、1人で家を購入するよりは審査を有利にできるかもしれません。
カードローンがあると住宅ローンは組めない?
さて、ここからはカードローンと住宅ローンの審査の関係についてご紹介します。
まず、よくいわれている「カードローンを利用していると住宅ローンの審査に通らない」という噂そのものは、本当ではありません。マイナスポイントの1つとみなされることはありますが、カードローン利用中に住宅ローン審査に通過できている人もいます。
ただし、カードローンの利用や契約が住宅ローンの審査に影響する、という話は本当です。住宅ローン審査への影響の有無は、カードローンの使い方次第。ここでは、カードローンが住宅ローン審査へ及ぼす影響についてご説明します。
住宅ローンを組む際、カードローンはどう影響する?
先にご説明した通り、カードローンを利用している方全員が住宅ローンの審査に通過できないわけではありません。では、カードローンはどのように住宅ローンの審査に影響するのでしょうか。
ここでは、住宅ローンを申し込む際のカードローンの影響について、その仕組みや範囲をご紹介します。
年間合計返済額
住宅ローン審査の項目でご説明したことの1つに、「返済比率」があります。
先のご説明では、住宅ローンの返済額と収入の関係だけで例を挙げました。しかし、住宅ローン以外に別途借り入れがある方の場合、その借入額まで含めて返済比率が算出されることになるのです。
(年間の住宅ローン返済額+年間の他の借り入れの返済額)÷年収=年間の返済比率
上記の式で、最終的な返済比率が算出されるとお考えください。
なお上記の式のうち、「(年間の住宅ローン返済額+年間の他の借り入れの返済額)」の部分を「年間合計返済額」と呼びます。
この年間合計返済額が、住宅ローンの審査には大きくかかわってきます。基本的に、住宅ローンと他の借り入れ(カードローンやマイカーローンなど)、さらに携帯電話(またはスマートフォン)の分割払いを含めた返済額の比率は「35%」以内であることが望ましいとされています。
つまり、住宅ローンの支払額と現在ある他の借り入れ等の返済額を合わせて、返済比率35%をオーバーしてしまうと、審査を通過できなくなる可能性が高くなるのです。現状他に借り入れがある方は、その返済額を計算して返済比率に大きく影響するようなら、いったん完済してから住宅ローンを申し込むなどの措置を検討した方が良いかもしれません。
過去の信用トラブル
住宅ローンを申し込むと、審査のうえで必ず「個人信用情報」をチェックされます。
個人信用情報とは、信用情報機関で記録されている個人のクレジット・ローン利用状況です。過去5~7年間の情報が記録されていますから、そこに悪質な返済遅れや債務整理などの事故情報が登録されていれば、審査には確実に不利となってしまいます。現在そういったトラブルを抱えていない場合でも、信用情報の記録いかんでは住宅ローンのみならず大半のローン審査に通らない場合もあるでしょう。
以前個人信用情報にかかわるトラブルがあった方の場合は、それが記録された時期から5~7年の期間を経てから、住宅ローンに申し込むことをおすすめします。
カードローンの利用が原因で住宅ローンに落ちる場合
さて、ここからは「カードローンの利用状況が原因で住宅ローンの審査に通過できない状況」の、具体的な理由についてご紹介します。「カードローンを利用中でも住宅ローン審査に通る場合」と「カードローンの利用によって住宅ローン審査に落ちてしまう場合」の、くわしい違いをご確認ください。
カードローンによる借り入れが多額
現在、カードローンで借り入れている金額が多いと、住宅ローンの審査で不利になる確率が上がります。これは先にもご説明した「年間合計返済額」の関係です。
例えば、年収500万円の方が月額8万円の均等払いで住宅ローンを申し込んだとします。
年間合計返済額96万円で、年間の返済比率も19%と審査には影響しない範囲内だったにもかかわらず、住宅ローン審査に落ちてしまいました。
審査に通らなかった原因は、現在あるカードローンの借入金にありました。現状のカードローン借入残高が300万円あり、それを月額10万円で返済中の状況だったのです。その借入額を合わせて年間返済比率を算出すると、「(10万円+8万円)×12カ月÷500万円=約43%」となり、明らかに審査に通過できない返済比率となってしまっていました。
このケースだと、どんなに現状の返済状況が順調だったとしても、審査上は「返済能力に疑問あり」とみなされ、住宅ローンの審査では確実に不利になってしまうでしょう。
現在カードローンで借入額・返済額の多い方は、まずローンを返済してから住宅ローンの利用を検討するほうが得策といえそうですね。
カードローンの支払いを延滞している
こちらは当然ですが、カードローンの返済が遅れている方は個人信用情報に延滞情報が登録されている可能性がありますので、住宅ローンの審査にも通過できません。
「支払日を過ぎてしまったことが分かって、すぐに返済すれば延滞扱いにはならないのでは?」と思う方も多いでしょう。実際そのケースが大多数といわれてはいますが、延滞に関する情報を信用情報機関に登録するか否かは、各金融機関やノンバンクの個々の裁量次第ともいわれています。
もしかすると、頻繁に支払い遅れを繰り返す利用者を「不良顧客」とみなして、1日でも支払いが遅れたらそのたび延滞扱いとしているケースも、必ずしもないとはいえないのです。もし不安があれば、信用情報機関に自分の信用情報を開示してもらいましょう。住宅ローン審査を申し込む前に、どうしても気になるなら念のため確認してみると良いかもしれません。
ただしその信用情報機関のデータを、住宅ローンの取扱金融機関が参照しているかどうかは分かりません。したがって、それが審査状況を予測できる要素となるかどうかについても、あくまで未知数と考えましょう。
カードローンの借り入れがなくても審査に影響するケースがある
現在カードローンをまったく利用しておらず、完済してかなりの期間が経っている方でも、住宅ローンの審査にカードローンの契約が影響する場合があります。これは、カードローンの利用限度額がかなり高額であるケースでよく見られます。
住宅ローンにかかわらず、ローンの審査においては「この人にはこれだけのお金を貸しても良い」と判断して設定する融資可能額=与信枠という考え方があります。現在ご契約中のカードローンの利用限度額が高額だと、その利用限度額にご自身の与信枠が「食われてしまう」という状況が発生することがあるのです。
「カードローンは今使っていないから大丈夫」と、契約したまま放置していると、住宅ローンの与信枠に影響して、審査には通過できても借入額を大幅に減額されてしまうなどの可能性があります。このような住宅ローンへの影響を可能な限り防ぎたい場合は、住宅ローンを申し込む前に使わないカードローンをすべて解約しておくというのも手でしょう。
住宅ローンを申し込む前にカードローンの利用状況を確認しよう
今回は、カードローンの利用と住宅ローン審査への影響についてご紹介しました。カードローンを使っているからといって、それだけで住宅ローンが組めなくなることはありませんが、利用状況によっては審査そのものや借り入れできる金額に影響することは考えられます。
住宅ローンの審査をスムーズに通過させるコツは、「借り入れを増やさない」「支払いを遅らせない」「カードローンは、限度額・借入額ともできるだけ少額に」の3点であるといえそうです。カードローンを利用したことのある方は、住宅ローンを申し込む前に契約しているカードローンの利用状況を確かめ、審査への影響についても念のため確認しておくと良いでしょう。
CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
まえはらFP事務所 代表
大学卒業後にトヨタ系ディーラーで営業を行い、その後、生命保険業界に転職。CFP®の資格を取得しファイナンシャルプランナーとして経験を積み独立。
個人のライフプラン、保険の見直し、資産運用、住宅購入診断、相続対策をメイン活動中。また、法人の財務のアドバイスも行っている。
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