お金を返してくれない!貸したお金を取り戻す方法や時効について
お金を返してくれない…友人に貸したお金を取り戻す方法や時効を知りたい!
お金を借りると一言で言っても、銀行から借りるのか、消費者金融から借りるのか、はたまた友人から借りるのか、方法はさまざまです。金額や状況、そして何よりも人間関係によりますが、友人や親戚から借金を申し込まれることもあるでしょう。
きちんと貸したお金を返してくれたら問題ありませんが、いつまでたっても返済されないと困りますよね。しかし、催促するのも気が引ける、という方も多いはず。
お金の貸し借りは人間関係を破綻させると言われることもありますが、返してもらう方が気を使ってしまうのは友人・親戚間での借金の特徴と言えます。とはいえ、貸し倒れになるのは避けたいところです。
そこで今回は、貸したお金を取り戻す方法や時効についてご紹介します。
貸したお金を返してくれないときにすべきこと
お金の貸し借りに抵抗のある人は少なくありませんが、その抵抗感も金額によって差があります。親しい友人からのお願いであっても、いきなり100万円貸してくれと言われると尻込みするでしょう。理由や返済のめどがはっきりしているからと貸す場合もあれば、きちんと借用書を書けばOKという方もいらっしゃるはずです。
一方、少額のお金であればどうでしょうか。ちょっと飲み代を立て替えておく、帰りのタクシー代がないと言われて1万円貸す、こういうことは日常起こり得るでしょう。後日すんなりと返ってくれば何の問題もありません。しかし借りた方も少額だからとあまり大きく考えていない場合もあります。そもそも「借金」をしているという感覚すらないかもしれません。
貸した金額が1万円であれ10万円であれ、はたまた100万円であったとしても、貸し手は当然返済を求めるのが一般的でしょう。具体的にどういった方法で取り戻すかは次項でご説明しますが、その前段階としてやるべきことは以下の通りです。
まずは口頭で催促しよう
一番はじめにすべきことは、口頭での催促です。直接話す時間がない場合は、電話でも良いでしょう。不安であれば、ボイスレコーダーで会話を録音していくのも良いかもしれません。
相手がどう反応するかによって、今後の対応が変わってきますが、まず口頭で確認すべきことは返済の意志があるかないかです。また前提として、お金を借りている事実を相手方に認めさせる必要があります。
借りた覚えはない、という態度に出られると、なんらかの客観的証拠がある場合は別として、泣き寝入りしなければならなくなる恐れがあります。しかし、借金の事実を相手が認めているのであれば、返済の時期や方法を相手と共有する必要があります。期日を切ることで、次回の督促(催促)がしやすくなるといったメリットがありますし、相手も返済を意識することになるでしょう。
メールでやり取りする
電話や直接話す時間がなく難しい場合は、メールでの催促も検討しましょう。メールであれば、文字情報として残しておくことが可能です。メールの内容はできれば、いつ(貸した時期)、いくら(金額)の貸し付けをしたのかという借金の存在と、いつまでに返済するのか、どのような方法で返済するのか(一括か分割か、また現金か振り込みか)、などの内容を断片的にでもやり取りの中で残すようにしましょう。
貸した事実を書面化する
口頭やメールで催促しても返済されない場合は、いったん借用書という形で書面化するのも効果的です。もちろん、本来お金を貸す前に借用書を取り交わすのがベター。
しかし、相手との関係や金額、その他お金を貸すときの状況によっては、そこまでしないことの方が多いでしょう。そういう場合は、返済期日を延ばすなどとこちらも譲歩する代わりに、相手にも借用書にサインしてもらうように交換条件として持ち掛ける手法がおすすめです。法的手段に出ることになった場合、借用書のあるなしでは状況は大きく変わってきますので、このステップは大事にしてください。
もし高額の借金を申し込まれた場合は、あらかじめ借用書を取り交わすようにしましょう。特に公正証書による借用書がおすすめです。さらに担保を取ったり、保証人・連帯保証人をつけたりすることで安全度は増します。返済に関しても一括か分割か、分割の場合は回数や各回の期日、利息の有無、返済方法(現金持参か振り込みか)、返済が遅れた場合の処置まで、できるだけ細かく取り決めておくことが必要です。
また、貸主借主双方のために、お金のやり取りは銀行振り込みにする方が良いでしょう。手数料はかかりますが、お金のやり取りの証拠が残りますので、お互いの安心につながります。
人間関係を断つ必要も
口頭あるいはメールで催促しても返済してくれる気配がない、かといって借用書にサインしてくれる様子もない、そして手元にはなんら証拠もない……このような場合は、どうすべきでしょうか。
何も対応してくれないということは、相手はあなたを軽視している可能性があります。人間関係、信頼関係を築く意志がないのかもしれません。この場合は、お金を貸した人との人間関係を断ってしまった方が賢明です。
人間関係を断つことを覚悟して、督促をする方法については次項でご紹介します。
貸したお金を取り戻す方法
ここからは、一歩進んだ督促の方法をご紹介します。口頭やメールでの催促ではらちが明かない、あるいは借用書の取り決めを反故にされた場合に、こちらのステップに進むことをおすすめします。
内容証明郵便を送って催促する
内容証明郵便とは、送った内容を郵便局が保存し、証明してくれる制度です。書かれた内容自体が根拠のあるものであるかないかなど、中身の審査をされることはありません(書式が郵便局の規定にのっとっていれば受け付けてくれます)。
内容証明郵便を送付する場合、配達記録をつけましょう。配達記録をつけることで、いつ相手が受け取ったかということも証明できますので、いつ、どのような内容の文書が相手方に到達したかということが裁判でも証明できます。
内容証明郵便を送ると、時効の中断事由にもなります。ただし、6カ月以内に訴訟手続きをしないと中断の効力がなくなることに注意してください。
内容証明郵便を受け取る側は、これを無視すると訴訟に持ち込まれるのではないか、というプレッシャーを受けることになりますので、口頭やメールでの督促よりも効果は高いと考えられます。
民事調停の申し立てをする
内容証明郵便は裁判所を介さない督促方法です。一種の脅しのように受け取る場合もありますので、無視される場合もあるでしょう。
一方、裁判所を介した督促には、支払督促、少額訴訟、民事調停、民事訴訟があります。支払督促や少額訴訟、民事調停は、相手の出方によっては民事訴訟に発展しますので、状況によってははじめから民事訴訟する方が良いケースもあります。
民事調停は相手方との歩み寄りがしやすいなどの特徴があります。調停員立会いの下で話し合いをしますので、第三者の意見を聞きながら落としどころを見つけられます。もちろん、不調になれば通常訴訟へ移行しますが、支払督促や少額訴訟に比べるとまだ柔軟性があると言えるでしょう。裁判所を介した手続きの中では、一番相手との人間関係を保てる可能性が高い制度です。
内容証明郵便の書き方
内容証明郵便は郵便局で取り扱っています。ただし、すべての郵便局で取り扱っている限らないため、事前に確認するようにしましょう。
用意するものは、次の通りです。
- 内容証明郵便で決められている書式に沿って作った書類を3通
- 受取人と差出人の住所と氏名を書いた封筒を1通
- 郵便料金
書類が3通必要なのは、相手方に届ける分、差出人の控え分、郵便局が保存する分に使用するからです。
郵便料金は、通常郵送料82円、内容証明加算料金430円(2枚目以降は1枚当たり260円プラス)、一般書留料430円、配達証明310円、合計1,252円です。枚数が増えれば当然料金も増えますのでご注意ください。
書式は、縦書きの場合、1行20字・1枚26行以内に収めなければなりません。横書きの場合は、1行20字・1枚26行以内に収めるか、1行26字・1枚20行以内、もしくは1行13字・1枚40行以内に収めて書類を作成する必要があります。
さて、肝心の文章ですが、決まった内容があるわけではありません。しかし少なくとも以下の事項は記載しておく必要があるでしょう。
- 貸している金額
- 貸した日付
- まだ返済がなされていない旨
- 返済すべき日
上記をごく簡単に表記するなら、下記のような内容になります(受取人や差出人の住所氏名、振込先などは省略しています)。
「私は平成〇年〇月〇日、貴殿に対し金〇円を貸し付けました。平成〇年△月△日までに返済するとの約束であったにもかかわらず、いまだ返済がなされていません。つきましては、本督促状到着から5日以内に、金〇円全額を振り込みにてご返済ください。貴殿に返済の意志が見られない場合は、弁護士に委任の上、法的手続きに移行する所存です」
今までのいきさつや「口頭で再三催告したにもかかわらず」などの文言を入れても良いでしょう。枚数が増えると費用がかさむため、できるだけ簡潔に書くように心掛けてください。
民事調停の流れと手続きの方法
民事調停は簡易裁判所に申立書を提出して申し立てします。所定の申立書と、申し立て費用(請求金額によって変動)、証拠書類を簡易裁判所に提出。申し立てが受理されると、調停日が裁判所によって調整されます。調停日はもちろん債務者側にも通達されますので、指定の日に債権者(申立人)と債務者が裁判所に出頭する必要があります。なお、代理人として弁護士を立てても構いませんが、弁護士以外(配偶者や家族など)を代理人としたい場合は、あらかじめ裁判所の許可が必要です。
調停では、双方の主張と証拠書類をもとに、調停員を交えた話し合いが行われます。ただし、100%申立人の主張が通るわけではありません。簡単に言うと妥協点を探ることになります。債権者側からすると、返済金額の減額や、分割回数を増やしたり猶予期間を与えたり、利息の取り決めがある場合は利息を諦めたりと、譲歩しなければならないことも多いでしょう。
しかし、調停が不調に終わって訴訟手続きに移行すると、時間も費用もかかってしまいます。損切りではありませんが、どこかで見切りをつけることも重要です。
なお、1回の調停で終わるとは限らず、2回、3回と日を改めて調停を繰り返すこともあります。途中で合意に達することができれば合意内容を記した調停調書が作成され、合意成立が難しいと判断されれば通常の訴訟に移行します。
調停調書には裁判の判決と同じ効力がありますので、仮に調停で合意した通りに返済がなされない場合は、相手の財産に強制執行をかけることが可能です。
貸したお金の時効に注意
貸したお金には消滅時効があります。貸し手が個人である場合(貸金業者など業としてお金を貸しているものでない場合)、消滅時効は10年です。時効は返済期日の翌日から起算しますが、期日を決めていなかった場合は借金をした日の翌日から数えることになります。
貸金業者や銀行から借金している場合は消滅時効になる5年間もほったらかしにされることはありませんが、個人間でお金の貸し借りをした場合、忘れていたということも十分にあり得るでしょう。10年たってしまうと、相手方から時効の援用をされる可能性もあるため、返済を求める場合は注意が必要です。人間関係を円満に保ちたいなら忘れたふりをするのも1つの手かもしれません。
内容証明郵便で督促をして時効を中断させた場合も、そこから6カ月以内に裁判上の手続きに移行しなければ中断の効力は失われてしまいます。いずれにせよ、返済してもらいたい意志があるのなら、早めに督促、回収することが重要です。
貸したお金を取り戻す際は慎重に!
今回は、貸したお金を取り戻す方法や時効についてご紹介しました。
友人などにお金を貸す場合、業として貸し付けを行うわけではありませんので、事務的に督促を進めるのは考えものです。しかし、貸したお金をそのまま放置しておくのは問題です。相手がつけあがってさらなる借金を申し込んでくる可能性もあります。
相手との関係を考えると悩ましい場面もあるかもしれませんが、借りた方もあなたとの関係を尊重しているのであれば、誠意ある対応をしてくれるはずです。そうでなければ、関係を断ち切る覚悟で督促手続きを進めてみるべきかもしれません。

CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/マンション管理士/ 住宅ローンアドバイザー/賃貸不動産経営管理士 他
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当
大手賃貸仲介業者に就職し、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。不動産業を営む傍ら、ファイナンシャルプランナーとしても活動中。
住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、不動産投資、相続対策などに関しての相談業務を行っている。
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