緊急小口資金貸付制度とは?即日で借りれる?審査は厳しい?

緊急小口資金貸付制度とは?即日で借りれる?審査は厳しい?

預貯金が足りない

緊急小口資金貸付制度の詳細について

急にお金が必要になったけれど預貯金が足りない、あと少しお金があればなんとか生活が立て直せるといった場合、公的な機関から無利息で少額のお金を借り入れることができます。それが「緊急小口資金貸付制度」です。

この制度は、所得が少なく生活困窮状態になった世帯を対象に、資金の貸し付けと相談支援を行い、生活の安定や経済的な自立を図る公的な貸付制度。生活を立て直す際の大きな助けになります。

今回は、緊急小口資金貸付制度の概要や借り入れまでの期間、申込方法、審査基準などについてご紹介します。

緊急小口資金貸付制度とは

緊急小口資金貸付制度とは

緊急小口資金貸付制度とは、都道府県社会福祉協議会が主体となって実施されている、生活福祉資金貸付制度のひとつです。生活福祉資金貸付制度は、所得の低い方などを対象に、生活支援のために行われる公的な貸付制度で、貸付資金の種類には総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金があります。その中で、緊急小口資金貸付制度は、福祉資金に分類されます。

緊急小口資金貸付は、緊急かつ一時的に生活困窮状態になった場合に、少額の費用を借りられる制度です。借り入れするときも無利子で、保証人も要りません。ただし、申し込みの対象者や方法、必要な書類などが細かく決まっています。

緊急小口資金貸付制度の内容

緊急小口資金貸付制度の貸付限度額は10万円以内で、1,000円単位で借りることができます。貸付金額は返済の負担を考えた、必要最低限の金額です。

返済方法は原則として口座引き落としで、毎月返済を行うことになります。貸し付けの日から2か月間が据置期間であり、据置期間を過ぎて12か月以内に返済を終えなければなりません

利子はつきませんが、返済期限を過ぎても返済が終わらない場合は、未返済部分の元金に対して年5%の延滞利息が発生します。そのため、返済期限内にきちんと返済するようにしましょう。貸付相談から返済の完了までは、社会福祉協議会の職員が世帯のサポートにあたります。

さらに、生活支援困窮者自立支援制度と連携して支援を行いますので、各市町村等の自立相談支援機関が窓口となり、生活の安定と自立への相談や就労支援を行ってくれるので安心して利用できます。

貸し付けの対象者

緊急小口資金貸付は、「個人」ではなく「世帯」への貸付制度のため、貸し付けを受けられるかどうかは世帯全体の状況によって判断されます。また、この制度を利用することを、世帯員の全員が了解していなければなりません。

貸し付けの条件は、低所得世帯であること、緊急かつ一時的に生計維持が困難な状況であること、返済の見通しが立っていることです。ただし、貸し付けにより世帯の負担がさらに大きくなり、現在の生活困窮状態が解決できないと判断された場合は貸し付けが行われません。

緊急小口資金貸付の申込方法

緊急小口資金貸付の申込先は、住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会です。

必要な書類や持ち物は、借入申込書(相談窓口にて入手可能)、住民票の写し、本人確認書類、健康保険証、借入申込書の実印とその印鑑登録証明書、預金口座振替依頼書、銀行届出印、世帯の収入証明(世帯の生計維持に関与している全員分)などです。

他にも、借り入れ理由によって確認書類の提出が求められます。

例えば、医療費または介護費を支払ったことなどにより、臨時の生活費が必要で制度の利用を申し込む場合は、医療費や介護費の領収書(1か月以内のもの)が必要です。

年金の支給開始までの生活費が不足し、制度の利用を申し込む場合は、年金事務所発行の給付額や支給日がわかる書類などが必要です。

必要な書類が何かわからない場合は、窓口で確認すると良いでしょう。

緊急小口資金は即日で借りれる?

緊急小口資金は即日で借りれる?

緊急小口資金貸付制度では、申し込みの際に必要な書類もたくさんあり、借り入れの理由によっても必要な書類が異なります。そのため、審査には最短でも5日程度(営業日)必要です。それなりに時間がかかりますので、早くお金を借りたい場合や、5日以内にお金が必要な場合には、カードローンを利用するなど別の資金調達方法を探したほうが良いでしょう。

銀行カードローンは2018年1月以降、即日での融資ができなくなりましたが、最短で翌日融資や消費者金融のカードローンなら即日融資が可能な場合もあります。スピードを重視する状況でしたら、これらの方法も検討してみましょう。

緊急小口資金貸付制度の審査は厳しい?審査基準をチェック

緊急小口資金貸付制度の審査は厳しい?審査基準をチェック

緊急小口資金貸付制度は、税金を原資とする公的な制度のため、本当に貸し付けが必要なのか、制度の利用が適切なのかといったことが厳正に審査されます。また、世帯への貸付制度ですので、世帯全体での収入が少なく一時的に生活が困窮しているかどうか、資金を貸し付けることで状況の改善が見込まれるかどうかが問われるでしょう。

ここでは、審査基準や審査での注意点を見ていきましょう。

受給を希望する理由

緊急小口資金貸付制度を利用できるかどうかは、貸付対象理由に該当するかどうかで判断されます。

具体的には以下の通りです。

  • 医療費もしくは介護費を支払ったことなどで臨時の生活費が必要なとき
  • 火災等に遭い、生活費が必要なとき、会社からの解雇・休業等により収入が減ったとき
  • 年金・保険・公的給付等の支給が開始されるまでの間、生活費が不足してしまうとき
  • 給与などが盗難に遭うなどして生活費が必要なとき(貸付限度額5万円)
  • 滞納していた税金・国民健康保険料・年金保険料・公共料金を支払ったことで支出が増えてしまったとき
  • 事故に遭うなどの損害を受けて支出が増えたとき
  • 社会福祉施設等からの退出に伴って賃貸住宅に入居する必要があり、敷金・礼金等の支払いで支出が増えたとき
  • 初回給与支給までの生活費が必要になったとき

また、生活保護世帯や、収入がなかったり少なかったりするために恒常的に生活が困窮している世帯、また多額の負債があり返済が滞っている方がいる世帯、債務整理をする予定がある及び債務整理中の方がいる世帯、生活状況を確認することができない世帯等は、受給することができません。

返済能力

緊急小口資金貸付制度を利用する条件のひとつに、「返済の見通しが立てられること」というものがあります。貸し付けが行われると、2か月間の据置期間が経過した後、12か月以内に返済を終えなければならないとされています。よって基本的には、働いて収入を得られる状態でなければいけません

ただし、失業や収入の減収によって一時的な生活困難に陥っている場合、過去おおむね2年以内の就労実績により返済が可能かどうかを判断するので、働く意欲や就業意欲があれば、貸し付けを受けられる可能はあるでしょう。

また、年金などを受給できる方が世帯内にいて、返済に回す資金があると判断されれば、貸し付けを受けられる場合があります。

つまり、返済期限内に確実に返済が見込まれることが証明されれば、収入要件はそれほど厳しいわけではないといえるのです。

ただし、病気や怪我で働けないなど、世帯の中に就労可能な方がいない場合は、収入の見込みがないということですので、通常は貸し付けを受けられません。このようなケースでは、世帯生活保護を受けるなど、別の支援を受けるほうが適切でしょう。

都道府県ごとに審査基準が異なる点に注意

審査基準が異なる

緊急小口資金貸付を受けたい場合、申込先は居住地の市区町村社会福祉協議会になります。また、審査も社会福祉協議会が行います。社会福祉協議会は都道府県ごとに設置されていますので、審査基準も都道府県によって多少異なります。

緊急小口資金貸付制度の審査では、以下の借り入れ等を負債(債務)と考えています。

  • 金融機関からの借り入れ
  • リボ払いを含むカード会社からの借り入れ
  • 自治体や公的機関からの借り入れ
  • 光熱水費や税金・健康保険料などの滞納金
  • 友人・知人・親族からの借り入れ等

世帯にこれらの負債(債務)がある場合は、当初の借入総額や現在の残額、月々の返済状況について書類や通帳等で確認し、さらなる返済が困難と判断されると貸し付けを受けることができない可能性もあります。

ただ、信用情報機関への照会は行われませんので、いわゆるブラックリストに載っている状態でも貸し付けを受けることが可能な場合もあります。ただし、嘘の申請をしたり不正な手段で資金を借りたりした場合や、借り入れたお金を目的以外のことに使った場合には、貸付金を一括で返済するよう求められますので注意しましょう。

緊急小口資金貸付制度の審査に落ちてしまったら

審査に落ちてしまったら

利子がつかず、連帯保証人も不要で借り入れができる緊急小口資金貸付制度は、大変ありがたい制度です。しかし、借り入れの理由が、緊急かつ一時的に資金が必要になった場合に限られているため、基準に当てはまらず審査に落ちてしまうこともあります。

そのような場合、以下のような別の資金調達方法を探してみましょう。

自治体の役場で他の方法がないか相談する

緊急小口資金貸付制度の審査に落ちてしまったら、他の融資制度や貸付制度など、利用できる制度がないかどうか、自治体の市民課や福祉課の窓口で相談してみましょう。恒常的に生活資金が不足しているなら、生活保護の対象になるかもしれません。

各自治体では、「生活困窮者自立支援法」に基づき、生活に困っている方への専門の窓口を設けて支援をしています。一人で悩まずに早めに相談することも大切です。

家族や友人・知人からお金を借りられないか相談する

10万円程度のお金でしたら家族(親戚)や友人、知人からお金を借りられないか相談してみる方法もあります。ただし、緊急小口資金貸付は世帯への貸し付けですので、そもそも同じ世帯の家族はお金を持っていないはずです。別居している祖父母や兄弟などがいれば、借り入れを相談してみると良いでしょう。

友人や知人にお金の話をするのは抵抗があるかもしれません。信頼関係に影響が出ないよう、借りることを目的にするというより、お金に困っていることを相談する形にすれば、手助けをしてもらえるかもしれません。

不要なものを売却する

数万円程度のお金でしたら、家の中にある不要品を売却すれば工面できるかもしれません。例えば、書籍や雑誌、衣類、バッグ、靴、使わなくなった子供用品やおもちゃ、ゲームソフト、スポーツ用品などです。リサイクルショップに持ち込めば、その場で査定をしてもらえる上、すぐにお金を受け取ることが可能です。運転免許証などの身分証明書の提示を求められますので、持って行くようにしましょう。

また、フリマアプリを使って商品を出品すれば、意外と高く売れる場合もあります。大きなものは送る手間もかかりますが、アクセサリーやゲームソフトなど、小さくても高く売れそうなものには便利です。使わないものを処分できて、家がスッキリと片付くというメリットもあります。

クレジットカードのキャッシング枠を利用する

買い物用にクレジットカードを持っているなら、クレジットカードのキャッシング枠を利用する方法もあります。クレジットカード会社のATMの他、コンビニATMや提携金融機関のATMで手軽にお金を借りることができます。ただし、年利は15%~18%程度となっていますので、資金が調達できたらなるべく早く返済するようにしましょう。

所持しているクレジットカードに、キャッシング枠があるかどうかわからない場合は、クレジットカード会社に確認することをおすすめします。また、キャッシング枠がない場合は、後から申請してキャッシング枠をつけてもらうことも可能です。ただし、キャッシング枠があるからといって必要以上の金額をキャッシングしないようにしましょう。

カードローンを利用する

カードローンは、利用目的を問わずお金を借りることができます。借り入れの金利は金融機関により異なりますが、数%~18%程度です。大手消費者金融では即日融資が可能、また条件によっては一定期間無利息で利用できるカードローンもあります。

ただし、借り入れを申し込むと、収入や勤務状況、過去の返済実績などの審査があります。申し込みは直接金融機関に行く方法だけではなく、ネットや電話でも可能ですので、急いでいる場合でも比較的スピーディーに借り入れができるでしょう。

緊急小口資金貸付制度以外の資金調達方法についても知っておこう

資金調達方法

今回は、緊急小口資金貸付について、制度の内容や審査についてご紹介しました。

緊急小口資金貸付制度は公的な資金からの借り入れのため、審査に時間がかかったり必要な書類が多かったりするのも事実ですが、少額な資金を無利息で借りることができるのは大きなメリットです。制度の内容を知っておくだけでもいざというときに役に立つかもしれません。

しかし、緊急小口資金貸付制度が利用できないケースも考えられます。そのような場合も考えて、その他の資金調達方法についても知っておくと安心です。

水野 圭子
水野 圭子

CFP(R)認定者/1級ファイナンシャル・プランナー技能士
株式会社K’sプランニング 代表取締役社長
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事

大手損害保険会社で事務企画や本店営業を経験後に2010年にFPとして独立。女性の視点も踏まえたお金のノウハウをセミナーや企業研修にて延べ3,000人以上の方々に伝授。家計相談を中心とした個別相談やマネー情報等の執筆でも活動中。
著書:「小学生にもわかるお金のそもそも事典」

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