おまとめローンとは?メリットは?デメリットはあるの?
おまとめローンって何?おまとめローンのメリットとデメリットは?
総量規制によって、消費者金融などから借り入れできる総額は年収の3分の1までと決められています。そのため、複数社から借金があり、その返済のために新たに借り入れしようと思っても総量規制のために審査に通らず、返済不能に陥る人が増加しました。そのような方への救済措置として登場したのが「おまとめローン」です。
今回は、おまとめローンとは何か、また、おまとめローンの具体的な利用方法とメリット・デメリットについてご紹介します。
おまとめローンとは?
おまとめローンは多重債務者向けのローン商品で、複数社からの借り入れをまとめることで金利や毎月の返済額などの負担を減らすとを目的としています。
おまとめローンを利用する場合、まずは専用商品を提供している金融機関へ利用の申し込みを行います。審査に通ると現在の借入金額と同額の融資を受けることができ、融資されたお金を使って複数社の借り入れを返済します。これが「おまとめローン」の使い方です。
ただし、おまとめローンの利用で借金の総返済額が確実に減るというわけではありません。複数社からの借り入れを一本化することで返済先を1社に絞れるので、返済日や返済金額などは管理しやすくなるでしょう。
もちろんご利用にあたってのメリット・デメリットはあります。お申し込みの前に、おまとめローンを利用できるケースや特徴について確認しておくことが大切です。
おまとめローンが利用されるケースは?
A社、B社、C社の3社から借り入れをしている場合を想定してみましょう。
借り入れの際の金利はそれぞれ18%で現在も利用しており、借入金額はそれぞれ50万円ずつで合計150万円とします。これまで毎月の利息を含めて3社に返済を継続してきましたが、最近は負担が大きくなり、このままでは生活資金が不足して返済が滞ってしまいそうです。そこでおまとめローンを申し込んで何とか借金を一本化させようと考えています。
おまとめローンを提供しているD社に申し込みをしたところ、無事に審査を通過することができました。この場合だと合計150万円の借金(厳密には150万円+利息)があるので、おまとめローンで150万円を借り入れました。
その結果、借り換えの際の金利は15%に下げることができ、A、B、C社それぞれに50万円ずつを返済し、以前の借金はすべて無事に完済。あとの残りはD社への150万円の返済を続けていけば良いので、以前よりも返済日の管理が楽になります。
さらに金利が以前よりも3%も下がって15%になり、毎月の返済額や返済総額を減らせたため、負担が随分と軽くなったことも大きなポイントです。
以上はおまとめローンを利用した場合の理想的なケースですが、すべての場合に当てはまるわけではありません。申し込む前に支払総額が本当に減るのかなどを、よく確認してから申し込むようにしましょう。
金利が下がって返済総額が減る場合
必ずしも借金の返済総額が減るとは限りませんが、おまとめローンを利用することで金利が下がるケースは比較的多くあります。借り入れの金利が下がれば、当然利息を減らすことができるので返済はその分楽になります。
しかし、毎月の返済額が少なくなるとその分借り入れの期間が延び、その結果、支払総額が逆に増えてしまうことも考えられます。したがって、おまとめローンを利用する場合は毎月の返済額を減らすのか、それとも支払総額を減らすのか優先事項を決めてから申し込みをしましょう。
おまとめローンで返済日をまとめたい場合
複数社からの借り入れがあると、バラバラの返済日に常に気を配らなければなりません。返済日だけではなく、毎月の返済額までバラバラだと非常に管理がわずらわしくなるでしょう。A社とB社の返済額を勘違いして、事前に入金する額を間違えてしまい、支払い遅延が発生するなどのトラブルも起こりえます。それまできちんと返済していても、一度支払い遅延を起こしてしまうと利用者の信用は落ちてしまいます。
そこで便利なのがおまとめローンです。おまとめローンで借入先が1社に減れば、返済スケジュールの管理が簡単になり、入金額を間違えてしまうようなことも起こりません。細かいスケジュール管理や入金先の管理が苦手な方は、おまとめローンの利用を検討することをおすすめします。
信用情報をキズつけたくない場合
複数社の借金を整理するということは、債務整理のことだと思われる方もいらっしゃいますが、おまとめローンと債務整理は全く別物ですのでご安心ください。債務整理とは、簡単にいうと借金を踏み倒すということです。「これ以上借金を返せないのでもう勘弁してください」という状況まで追い込まれてからでないと認められません。
債務整理では借金を免除してもらうことになるため、当然社会的にはペナルティーが課せられます。これが信用情報にキズがつき、債務整理後は数年間借り入れができなくなるということなのです。一方、おまとめローンは他社の借金を借り換え、結局は完済するので信用情報をキズつけずに安心して行えます。
おまとめローンのメリット
おまとめローンで毎月の負担額が減る
おまとめローンのメリットの1つは、借り入れの金利を安くできることです。おまとめローンを利用して金利が低くなれば、毎月の返済額が少なくなります。借金を返済できずに最終的に自己破産してしまうような方は、収入に見合わない返済をしているのです。
さまざまな費用を切り詰めて、休みも取らずに働き続ける生活は長く続かないでしょう。日常生活に過度の負担をかけ過ぎると、返済に対するモチベーションも大きく下がってしまいます。おまとめローンを利用することで毎月の返済額が減らせれば、負担が軽くなり、毎日の生活に余裕が生まれます。これは大きなメリットといえるでしょう。
借り入れをするときに、「1%ぐらいの金利差なんてたいして変わらないから別に気にならない」という方もいらっしゃると思いますが、それは大きな間違いです。「たかが1%されど1%」なのです。借入金額が大きくなればなるほどその差は無視できません。借入先に支払う総額が少なくて済むということは、完済しやすくなるということなのです。
特に借入先が消費者金融系で高めの金利を払っている場合、低金利の銀行系のおまとめローンに借り換えができれば、支払総額を大幅に削減できます。たとえ1%でも金利を下げることで得られるメリットは大きいので、おまとめローンを選ぶ際はぜひ金利も含めて検討しましょう。
おまとめローンで返済計画が立てやすくなる
特に、複数の金融業者から借り入れをしていると、毎月別々の返済期日に追われることになってしまいます。利用者の給料日が25日だとして同じ25日に1社分の返済をしても、すぐまた1週間後に次の返済期日が迫ってくると短期の資金繰りしか考えられず、長期的な返済計画が立てられません。
このような事態に陥る前におまとめローンを利用すると、返済期日を1日に減らせるので返済計画も立てやすくなる点もメリットです。また、おまとめローンを利用してもブラックリストに載るわけではないので、安心して利用することができます。
おまとめローンは総量規制に関係なく借り換えられる
総量規制(例えば、年収300万円で複数社からの借金の合計が100万円を超えてしまい、もうこれ以上の借り入れができない)に引っかかってしまった方には朗報です。おまとめローンは総量規制の対象外となる貸し付けに該当するため、年収の3分の1を超える借り入れをしている方でもおまとめローンを利用できるのです。
ちなみに「総量規制の対象外」にあたるのは、「顧客に一方的に有利となる一定の借り換え」と「総量規制抵触者の借入残高を段階的に減らしていくための借り換え」などが該当します。一般的によく利用されている「住宅ローン」や「自動車ローン」、それから「不動産担保ローン」なども総量規制の対象外です。
借り入れている金融機関が消費者金融などの貸金業者であれば総量規制の対象になるため、通常の追加融資は受けられませんが、銀行の場合は貸金業法の影響は受けないので貸し付けは可能です。
おまとめローンは、借金を1つにまとめて負担を減らしたいという利用者にとって有利な商品といえるでしょう。
おまとめローンのデメリット
審査に時間がかかる
いわゆる多重債務者にお金を貸すのですから、融資する側にとってもリスクが大きくなるのがおまとめローンの特徴です。融資の審査は通常のカードローン審査よりも時間もかかりますし、厳しく判断されます。
おまとめローンは職業に制限がつく場合も
おまとめローンを提供している業者によっては、利用者の属性が正社員のみしか利用を認めず、自営業者やパート、アルバイトは申し込みができないというところもあります。審査においても通常融資では求められない金額であっても、収入証明書の提出を求められることもあるようです。当然利用者の信用情報も厳しくチェックされるので、申し込みを行う前にご自分でもよく確認しておきましょう。
おまとめローンは追加での借り入れができない
おまとめローンはあくまでも借金の返済が目的という商品なので、追加での借り入れはできないと考えておきましょう。もしおまとめローンの返済中に急な出費が発生して新たな借り入れを他社に申し込んでも、相手側にはおまとめローンを返済中であることがすぐに分かってしまいます。そうなればまず審査に通ることはありませんし、信用情報にキズがつく可能性もあります。
特に注意が必要なのは、おまとめローンの中には返済中に他社への借り入れの申し込みをすると「契約違反」として一括返済を迫られる場合もあることです。そんなことにならないように、おまとめローンを利用するのであれば、まずは借金を完済することを一番に考えることが重要でしょう。
返済期間が長くなることも
おまとめローンを利用すると毎月の返済額が減って返済負担が軽くなるというメリットがある反面、元金を完済するまでの期間が長くなってしまう場合もある点がデメリットといえます。
ケースバイケースなので一概にはいえませんが、借金の早期完済を優先するのであれば、今借り入れている複数社への返済を継続した方が早く完済できる場合も考えられます。毎月の返済額が減る反面、利息分も含めた返済総額が増えてしまってはデメリットが大きいため、一度返済シミュレーションをしてみることをおすすめします。
おまとめローン利用で過払い金の請求ができなくなる?
おまとめローンを利用するということは、現在の借り入れを完済することになります。つまり、過払い金が発生していたとしても関係なく完済してしまうのです。完済してからも過払い金の請求はできるのですが、とても手続きが難しく素人ができるものではありません。
したがって、過払い金の請求については専門家(弁護士・司法書士)に相談するのが最善策でしょう。ちなみに、貸金業法が改正された2010年6月より前にカードローンやキャッシングを利用していた方は、過払い金が発生していた可能性が高いといわれています。ただし、最終返済日から10年間しか請求できませんのでご注意ください。
おまとめローン詐欺には注意を
今回は、おまとめローンのメリットやデメリットについてご紹介しました。
非常に便利なおまとめローンですが、利用者が増えたことによって、利用者の心につけこみ詐欺行為をする悪徳業者も出てきています。悪徳業者は「おまとめローン無料相談」などと甘い言葉で勧誘して、お金に困っている多重債務者たちを狙っているのです。
好条件をちらつかせておいて、最終的には相手の弱みにつけこんで高金利で貸し付けたり、さらに悪徳な違法業者を紹介したりします。銀行だけではなく消費者金融でも融資の審査に落ちてしまったら、このような業者からの勧誘はありがたい申し出と感じてしまいがちです。
しかし、よく考えてください。そもそも各社のおまとめローンの審査に通らなかったということは、ご自身の収入や信用情報から判断して借金の返済能力がないと判断されたということです。
借金がどうしても返済できないほど追い詰められたのであれば、専門家に相談して債務整理など他の解決方法を検討することをおすすめします。

CFP/第一級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員1種/生命保険・損害保険募集人資格/日商簿記2級/日本FP協会 兵庫支部 運営選任委員/こうべ企業の窓口 イベント企画委員長/認定NPOはんしん高齢者暮らしの相談 正会員
大和証券(株)にて27年間に渡り延べ5,000件以上のお客様の資産運用や相続、事業承継についてのご相談を承る。お客様からのあらゆる相談に応じたいとの思いで独学にて勉強を続けた結果、2010年にCFP資格を取得。しかし、特定の金融機関に所属した立場での相談業務に限界を感じて2014年3月に大和証券(株)を退職する。
同年11月に中立の立場でお客様の思いを大事にする船津正明FP事務所を開設。 独立開業後は年間延べ300件以上に及ぶ個別相談を実践し、相談者のお金に関するお悩みを解決すべく尽力している。
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