永住権なしの外国人でもカードローンでお金を借りることはできる?
永住権なしの外国人がお金を借りるためにカードローンを利用することはできるの?
国内に中長期滞在する外国人居住者が、一時的にお金に困った場合、どのような方法で当面のお金を工面することができるのでしょうか。カードローンをはじめとする借り入れでは、多くの場合、利用者本人の信用情報(返済能力)が審査されます。
そこで今回は、外国人が一時的にお金に困った状況の中で、永住権がない外国人でも金融機関(銀行、消費者金融など)からお金を借りることができるのか、そもそも永住権とは何か、どのような条件が整えば借りることができるかなどについてご紹介します。
外国人でも金融機関からお金を借りられる?
お金を借りるときは、金融機関が「審査」と称して申込者個人の信用情報(※1)を調査します。そして、「安定した収入があるか」などを確認されたあと、金融機関側が「この申込者に貸し付けても、お金が間違いなく返ってくる」と信用すれば借り入れできます。
信用情報の中には国籍の項目がないので、国籍によって判断されることはありません。しかし、お金を借りたまま母国に帰ってしまい返済が滞る、という「帰国リスク」を避けるために、外国人の場合はより慎重な審査が行われています。もちろん、外国人だからという理由で借り入れを断られることはないのですが、やはり申込者本人の信頼度が決め手になります。
(※1)個人の信用情報
氏名、生年月日、住所、性別、勤務先などの基本的な個人情報と、借り入れ状況、借入金額、返済状況などの情報。初めての借り入れ時から、信用情報機関に登録されます。
永住権なしの外国人がカードローンを利用するには?
外国人に対する審査がより慎重になる理由は、先に書いた通り「帰国リスク」があることです。帰国リスクなど、金融機関にとっての不安材料をなくす最善の方法は「帰化」(※2)になります。また、事前の方法としては「永住権」(※3)の取得でしょう。
では、帰化もしていない、永住権も取っていない20歳以上の外国人が、カードローンを利用してお金を借り入れるにはどうしたら良いのでしょうか。銀行系と消費者金融系カードローンの違いや、借り入れに必要な書類についてお伝えします。
(※2)帰化
日本の国籍を取得して、日本人になることです。
(※3)永住権
永住権とは、外国人のまま(国籍を変えない)、いつまでも日本に居留することができる権利のことです。
いずれも許可されるためには厳しい条件があるので、これらは、日本国内における個人の信用度を高くします。
銀行系カードローン
銀行系のカードローンでは、審査が厳しく行われる傾向があるので、永住権のない外国人が「安定収入がある」と示しても、カードローンを利用することは難しいでしょう。もしかしたら申し込みの段階で、永住権のない外国人とわかれば審査すらしてもらえない可能性もあります。
ただ、銀行によっては、中長期滞在者(※4)であれば「在留カード」(※5)を示して、在留カードの券面に記述してある内容の通り、正当な目的があって中長期間日本に滞在する許可を得ていること、それまで国内において本人の信用を害するような生活をしていないことを証明できれば審査の対象となることもあります。
(※4)中長期滞在者
外国人の在留資格を明らかにするため、上陸時の入国審査で査証(ビザ)の内容により在留期間を決めていて、3ヵ月を超える在留期間が決定した者を中長期滞在者といいます。
(※5)在留カード
新規や在留資格の変更、在留期間の更新許可など、中長期滞在者に対して交付される「証明書」であり、就労の可否などの「許可証」です。
消費者金融系のカードローン
消費者金融系のカードローンやキャッシングでは、銀行系に比べて審査は緩やかであり、外国人についてもこの傾向は同様です。
しかし、「帰国リスク」を恐れるのは銀行系と同じなので、永住権がなくても在留カードを示して、中長期間日本国内に滞在する許可が下りていることを示しましょう。そして、許可された在留期間内に、ローンの返済が終わるような返済計画を示すことも大切です。
他には、日本人に対する審査と同様、国内に住居地を持つこと、勤務先、安定した収入などが審査に影響する要素になります。また、消費者金融では、総量規制(※6)が適用されます。
(※6)総量規制
年収の3分の1を借り入れの限度とする、という規制です。貸金業法で管理、監督される消費者金融系のカードローンやキャッシングで適用されます。
身分証明書の提出
外国人が所有する、日本国内で有効な身分証明書として、パスポート、健康保険証、年金手帳、日本の運転免許証(自動車運転許可証)などがあります。写真付きのもの(パスポート、運転免許証など)は1通、写真なしのもの(健康保険証、年金手帳など)は、原則2通提出する必要があります。
なお、社員証は補助的な身分証明にはなり得ます。しかし、もう1つ公的な身分証明書を求められるのが一般的でしょう。
勤続年数
審査での重要な要素の1つが、日本での勤続年数です。1つの会社に長年勤務していることは社内での信用の証であり、返済に際しても誠意ある態度で臨む人である、という判断材料になります。勤続年数によって貸し出しの限度額が変わってくるのも事実です。
安定した収入
審査で大切なポイントとして並ぶ情報は、中長期滞在を許可されていることと、日本国内で安定した収入があることです。安定した収入が求められるのは、あるときは大金を手にし、あるときは収入ゼロというのでは、毎月の返済ができなくなるリスクが考えられるからです。したがって、安定した収入は、勤続年数が長いこと、会社の規模、職種なども同時に判断材料になります。
在留期間
これらの他に、外国人の場合は日本に滞在できる在留期間も重要です。観光などで3ヵ月以内の滞在期間が許可されている場合は、滞在期間が短いことからカードローンやキャッシングは使えません(審査に通りません)。どうしても現金が必要なときは、海外での換金が可能なクレジットカードの海外キャッシングに頼ることになります。
3ヵ月を超える中長期滞在の場合は、許可された在留期間よりも在留期間の残り期間が審査対象になるので、中長期滞在が許可されていればカードローンを利用できる、というものでもありません。
外国人がカードローンを利用する際に必要な書類
これまで述べた通り、3ヵ月以内の滞在期間しか許可されていない外国人が、国内でカードローンを利用することは不可能です。また、3ヵ月を超える滞在期間が許可された中長期滞在者でも、永住権を持たずにカードローンを利用するのは、難しいとお伝えしました。では、永住権を獲得している外国人が、カードローンを利用する場合はどうでしょうか。
在留カード
在留カードは、永住権を持つ人(以下、永住者といいます)も含め、中長期滞在を許可された証明書であると同時に、在留資格によっては就業ができる許可証でもあります。パスポートや運転免許証などの身分証明書とともに常に携行すべきもので、在留カードを見れば在留期間がいつまでか知ることができます。また、在留カードの有効期間も書かれていて、永住者以外は有効期間の最終日が在留期間の満了日です。
永住者は、在留カードで永住権を証明することで、カードローンを利用するときも有利に働きます。しかし、在留カードには有効期間があるので、在留カードの期限が切れる前に更新手続きをして再発行を行わないと、在留カードの期限とともに永住権もなくなってしまいます。
また、永住権を失う危険が大きいケースに、出国時に再入国許可(※7)を得ないで出国し、1年を超えて再入国しないというケースがあります。このようなケースでは永住権を失ってしまいます。
カードローンなどを利用している外国人永住者が、借金の返済途中で再入国許可を得て、最長5年間も再入国しないというのは、再入国許可期間を決めている入国管理法とは無関係に、お金を貸し出している金融機関にとっては大問題です。金融機関が、返済途中の外国人の出国を禁じるわけにもいかないので、審査の時点で各金融機関がこの問題に対してどのような対策を立てているのか気になるところです。
(※7)再入国許可
永住者は出国時に再入国許可を得なくても、再入国が1年以内なら「みなし再入国許可」により、入国時の査証(ビザ)を必要とせず、入国、上陸手続きが簡略化されます。
永住権の取得条件と信用度
カードローンを利用する際に非常に重要な「永住権」について、明確にしておく必要があります。ここでは、永住権の取得条件について、簡単に解説します。
客観的条件としては、正規の在留資格で継続して10年以上日本に滞在している人で、そのうちの5年以上は就労資格または、居住資格を持って引き続き在留している人、日本人の配偶者として在留資格を所持する滞在年数が3年以上の人などです。
この他には、日本社会の安全と秩序を脅かす恐れがないこと、収入が安定していること、税金などの社会的義務を果たしていることなどが考慮されます。したがって、永住者は個人的な信用度が高いと推量できることになります。
特別永住者証明書
在留カードを持つ永住者とは別に、「特別永住者証明書」を持つ「特別永住者」と呼ばれる人がいます。特別永住者は、太平洋戦争終了まで当時の日本が統治していた台湾や朝鮮などの地域出身の方のうち、戦後も日本国内に残った人々です。このような人々に対しては、特例法によって永住権が与えられました。また、この特別永住者の子孫も特別永住者になります。特別永住者は、在留カードとは異なる「特別永住者証明書」を持っています。
特別永住者証明書は、在留カードのように常時携行する義務はありません。しかし、証明書には有効期間があるので、期限が切れる前に更新手続きは必須です。
また、再入国許可を得れば、再入国が6年以内なら入国時に査証(ビザ)を必要とせず、入国、上陸手続きが簡略化されます。
特別永住者証明書は法的地位を証明するものなので、永住者の在留カードと同様、持っていればカードローンを利用するときの信用度が増します。
特別永住者証明書の交付申請は、居住地の市区町村窓口ですが、特別永住者の子孫以外が新たに特別永住者に認定されることはありません。
パスポート、もしくは運転免許証
日本国内で本人を確認するための身分証明書は、本人の顔写真付きのものが要求されます。写真がない公的証明書は、2通提示することになっています(健康保険証の場合、1通で良い場合があります)。写真付きの身分証明書として広く認識されているのが、運転免許証でしょう。
この場合、国際免許証ではなく日本国内で発行されたものです。また、同等の公的証明書としてパスポートがあります。カードローンの利用を申し込むと、まず身分証明書で本人確認をします。そして、外国人とわかれば、在留カードや特別永住者証明書の提示を求められます。
収入証明書類
カードローンを利用するとき、借り入れる金額によっては、最新の収入証明書類を提示します。収入証明書類には、源泉徴収票や住民税決定通知書、確定申告書控え(ただし税務署の受付印が押されていること)などがあり、これらの書類が手元になくても勤務先や市区町村役場で再発行できます。
なお、源泉徴収票は、複数の勤務先からそれぞれ発行されているときはすべて必要です。
外国人がカードローンを利用できるための本質
銀行でも消費者金融でも、金融機関が「審査」により貸し出しの可否、あるいは貸し出しの金額を決定する要素は、日本人に対してであろうが外国人に対してであろうが、申込者に信用度(返済能力)があるかが大切です。
外国人の場合、金融機関が持つ不安要素として「帰国リスク」が加わるので、申込者本人が自分にとって「帰国リスク」はリスクにならないことを、永住権などの資格によって証明することになります。
外国人のカードローン利用では在留カードとパスポートが必要
今回は、永住権を持たない外国人でもカードローンの利用ができるのかについて、中長期滞在者や永住者、および特別永住者それぞれの信用度の違いや、準備する必要書類などをご紹介しました。
外国人が日本でカードローンを利用するには、在留カードとパスポートなどの身分証明書の提示が必要です。しかし現在、日本国内で単純労働をするために入国する人に、中長期滞在許可は出していません。とはいえ、今後の労働者人口の減少対策として、単純労働のために入国する外国人にも中長期滞在許可が与えられる可能性があります。これにより、中長期滞在者のカードローンやキャッシングのニーズも増えるでしょう。
行政および金融機関においては、カードローンやキャッシングが中長期滞在外国人にも利用しやすいように、審査基準の見直しを含めた改善が望まれます。
CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表
2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。
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