保釈金が払えない!保釈金の相場や借りる方法について
保釈金の相場いくら?払えない場合や借りる方法をチェック
家族や大切な人が何らかの事情で起訴されると、裁判がはじまるまで身柄を拘束され、その人の大事な時間が奪われてしまいます。その身柄を解くために国に預けるお金のことを「保釈金」といいます。保釈金と聞くとお金持ちしか払えないというイメージがあるかもしれませんが、実際には思っているほど高い金額ではありません。今回は、保釈金の制度や相場、払えないときの対処法などについてご紹介します。
そもそも保釈金って何?誰が払うべきなの?
平成28年の司法統計年報(全裁判所)の資料によると、勾留状の発付された54,992人に対し、16,678人が保釈を許可されました。保釈が取り消された人も80名いましたが、約30%の人が保釈申請を行い実際に認められています。保釈のシステムを知ることで、大事な時間を確保することができますので、まずは保釈の概要から説明いたします。
保釈とは?釈放との違いは?
保釈とは、保釈金の支払いを条件に、勾留をストップさせ身柄の拘束を解くことを意味します。ストップしているだけの状態ですので、勾留の効果は続いていますし、そもそも裁判所が保釈請求を認めてくれなければ保釈されません。なお、保釈はすでに起訴された被告人に認められているもので、起訴前の被疑者には認められていません。
一方、釈放とは逮捕や勾留が失効したことで身柄の拘束が解かれることを意味します。検察官による勾留請求が認められなかった場合などに釈放が認められます。
保釈金は誰が払うべき?
保釈金は、被告人自身のほか、配偶者や直系親族、兄弟姉妹といった近親者が準備をします。それを裁判所の出納官吏へ納付しますが、その手続きについては弁護士に依頼しても構いません。出納官吏へ納めると、保管金受領証書を受け取ることができます。保管金受領証書は、保釈金を還付してもらう際に必要になりますので、大事に保管しておきましょう。
尚、土日は出納官吏などの部署が休みなので、平日に納めに行きましょう。
保釈金を払わないとどうなる?
保釈金を支払わなければ当然保釈されないわけですから、身柄の拘束が解かれることなく、裁判が行われるまでの間、留置所や拘置所に収容され続けます。
保釈されない場合のデメリット
収容されていると外部との連絡がつかなくなるため、勤め先から解雇されたり、裁判の準備が思うようにできなかったり、家族と一緒に過ごす時間もなくなります。解雇されれば死活問題に直面しますし、裁判の準備が十分にできていないと満足できる裁判にならず、もどかしさも残るでしょう。また、いつも家族と一緒に過ごしているのにその時間がなくなるとやはり寂しい気持ちになるでしょう。
このような理由から、どうしても保釈しないでほしい・させたくないといった事情がある場合を除き、保釈請求をした方が賢明でしょう。
保釈は必ずしも認められるわけではない
たとえば、殺人容疑などの重大な罪を犯した場合、常習犯の場合、名前や住所など身元がはっきりしていない場合は、基本的に保釈が認められないと考えておいたほうがいいでしょう。
なお保釈申請後は、1~2日程度で保釈させてもらえるか否かの結果が届きます。
保釈金の支払いが必要なのはどんなとき?
保釈金が必要になる経験をすることは滅多にないと思いますが、いつ身内が事件に巻き込まれるかなんて分かりません。もしかしたらあなた自身が何らかの事件に巻き込まれる可能性もあります。ここでは、保釈金が必要になるケースをご紹介いたします。
息子から保釈金を払ってほしいと連絡がきた
ご子息が若い世代であればあるほど、まだ経済力が伴っておらず、自分自身で保釈金を支払うことが困難な可能性があります。そのような状態で、ご子息自身が保釈の権利について知ると、まず最初に頼ってくるのがお父さんやお母さんといった家族であると考えられます。
突然「保釈金を払ってほしい」と連絡がくると、「保釈することでまた誰かに迷惑をかけるんじゃないか」とか「でもやっぱり保釈してあげたい」など親としてはとても悩み葛藤することになると思います。他の家族や弁護士などと一緒に悩み抜いた末に、ご子息を信じて保釈してあげることを決めたのであれば、保釈金を支払ってあげてください。
夫が犯罪への関与を疑われて身柄を拘束されてしまった
夫が会社員等で稼いでおり、妻が専業主婦などで収入がない場合には、迷うことなく保釈しましょう。なぜなら、たとえその犯罪に関与していなかったとしても、長期間勾留されてしまうと、職場を解雇される可能性が高まるからです。また、解雇されてしまったとして、解雇理由が勾留されていたともなると、そのあとの再就職へのハードルも高くなってしまいがちです。
一家の大黒柱が職を失うとなれば家計の破綻へと繋がります。場合によっては、職だけでなく社会的信用まで失ってしまいます。そうならないためにも、可能な限り保釈することをおすすめします。
自分自身が身柄を拘束されているが家庭や仕事のために一刻も早く出たい
100%自分が悪く確実に服役しなければならない場合であっても、家庭や仕事など大切なものがあるなら保釈申請をしましょう。保釈されることで、裁判までの間、担当弁護士との打ち合わせ時間を十分に持つことができるので、うまくいけば刑罰が軽くなるかもしれません。また、家族へのケアや仕事仲間への挨拶といった身辺整理をしてから服役することも可能になります。
もちろん、無実の罪で勾留されているのであれば、なんとしてでも保釈されたいでしょう。たとえ無実であったとしても、勾留が長引くことで、解雇されるリスクやその後の生活に悪影響を与えてしまう可能性は十分にあります。今後の人生を守るためにも、保釈申請はしっかりと行いましょう。
保釈金の相場はいくらぐらい?
ワイドショーなどでは「数千万円の保釈金を…」ととんでもない金額を耳にしますが、それは著名人かつお金持ちの人だからだと推測できます。保釈金は裁判所との約束を守っておけば、裁判後に返還されるというルールがあります。そのため被告人にとって「ルールを守るから返還してほしい」と思わせるぐらいの金額が設定されます。保釈金を返してもらうためのルールについての詳細は後述します。
保釈金の額はどうやって決まるの?
被告人の経済力や前科の有無、犯罪の性質や有罪になる確率などを考慮して、裁判官が決定します。そのため同じような時期に同じような罪を犯したとしても、資産状況次第で雲泥の差になることもあります。資産家や投資家などのお金持ちが勾留されたとして、保釈金が数百万円であれば、その数百万円を捨ててでも保釈後に海外へ逃亡しようと企んでしまうかもしれません。
おおよその相場
窃盗や覚せい剤や詐欺など、他人の身体に傷をつけない類の犯罪であれば、相場は150万円から400万円程度といえるでしょう。組織的な犯罪や被害金額が大きい犯罪となると、お金持ちではなくても500万円以上必要になることもあります。
保釈金はあとで返してもらえるってホント?
保釈金をあとで返してもらえるのは本当です。
保釈金は被告人を公判に出頭してもらうための制度なので、裁判が終われば、その結果が無罪でも有罪でも納付した人に返還されます。およそ判決から1週間後に指定した口座へ納付金額をそのまま返還され、振込手数料なども差し引かれることはありません。
保釈金が返還されなくなるのはどんなとき?
納めた保釈金が返還されないことを「没取」といいます。刑事訴訟法第96条により、次のような場合、保釈金が没取される可能性があります。
- 被告人が、裁判所の呼び出しに正当な理由がないにも関わらず応じないとき。
- 被告人が逃亡した場合。または、逃亡しそうだと疑うに足りるだけの理由があるとき。
- 被告人が証拠を隠した場合。または証拠を隠しそうだと疑うに足りるだけの理由があるとき。
- 被告人が、被害者や事件の関係者、それらの親族の身体や財産に害を加えたり、怖がらせるようなことをしたとき。
- 被告人が裁判所に内緒で住所変更したとき。
保釈金を借りる方法はある?保釈金が払えないときの対処法
保釈されたい一心で保釈金のことだけを考えてしまいがちですが、保釈金だけではなく、今後の生活にかかるお金のことも考えておかなければなりません。毎月引き落とされる家賃や水道光熱費等があれば、銀行口座にある程度のお金を残しておく必要があります。
保釈申請は認められそうだけれども、肝心の保釈金が払えそうにない場合は、どのように対応すればいいのでしょうか。
株や証券で支払う
保釈金は、原則として現金で納めなければならないというルールがあります。しかし、刑事訴訟法第94条にて「裁判所は、有価証券または裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に変えることを許すことができる」とあります。
つまり、裁判所から許可してもらえば、株券などの有価証券で保釈金を納めても構わないということです。ただし、分割して納めることはできませんので注意しましょう。
家族・友人からお金を借りて支払う
現金には名前が書かれていませんので、家族はもちろん友人や知人にお金を準備してもらうことも可能です。また、保釈金の一部の納付に代えて、身元引受人が「保証書」を差し出すことも認められています。保証書には金額が記載されており、もしも保釈が取り消され保釈金を没取されたら、身元引受人がその金額を納付する義務を負います。日本保釈支援協会の立替制度を利用する
日本保釈支援協会の立替制度を利用することで、500万円まで立て替えてもらうことが可能です。立替期間は原則2ヶ月で立替手数料が必要になります。2ヶ月ごとに立替期間を延長することはできますが、その都度、立替手数料を支払う必要があります。ただし延長した日から1ヶ月以内に立替金を返還できれば、立替手数料の半分が返金されます。
立替手数料は立て替えてもらう金額に応じて異なります。立替金額が50万円なら立替手数料は1万円+税、100万円なら2万円+税、という具合に50万円単位で1万円ずつアップしていきます。上限である500万円を立て替えてもらうのであれば、10万円+税が立替手数料となります。
ただし、利用できるのは被告人以外になりますので、家族や友人がいない場合には利用できません。また、立て替えてもらう際、審査が行われますので、被告人の事件内容や前科内容次第では利用を断られる可能性があります。
カードローンでお金を借りて支払う
カードローンを利用する際に少しでも損を少なくするための情報についてお伝えします。
日本保釈支援協会での審査が通らなさそうであれば、保釈金を全額カードローンで借りることになるかもしれませんが、日本保釈支援協会の立替手数料さえ支払うのが困難な状態且つ日本保釈支援協会での審査が通る見込みなのであれば、次の手順を参考にどうすれば得になるか考えましょう。
- 日本保釈支援協会の立替手数料表を確認する。
- 保釈金額×カードローンの年利率÷12ヶ月×期間(月単位) を計算する。
もし1.の方が安ければ、日本保釈支援協会の立替手数料分だけをカードローンで借り入れ、保釈金は日本保釈支援協会に立て替えてもらいましょう。
逆に、2.の方が安ければ、保釈金の全額をカードローンで借り入れましょう。
<例>
- 保釈金が500万円必要
- 2ヶ月で保釈金が返還される見込み
- カードローンの年利率が10%
- 立替手数料は10万円+税なので、108,000円になります。
- 500万円×10%÷12ヶ月×2ヶ月≒83,000円
つまりこの例の場合、保釈金の全額をカードローンで借りる方がお得ということになります。ただし、カードローンは借り入れ金額が少ないほど審査に通りやすいという特徴がありますので、カードローンの審査に通るか不安な人は立替手数料分だけを借り入れた方が得策かもしれません。
保釈されている間に裁判や今後のことを冷静に考えよう
今回は、保釈金が支払えないときの対処法を中心にご紹介いたしました。
予想よりも保釈金が高いと感じた人もいるかもしれませんが、保釈金を用意する段取りがうまくいかないという理由で、必要以上に長期間拘束されてしまうのは将来的にマイナス要因になってしまいます。
もしも身内が起訴されてしまったのであれば、早めに家族や弁護士などと協議をして、保釈を見据えた準備に取り掛かることが必要不可欠です。保釈されている期間は、裁判に向けての準備をするだけではなく、今後の生活にも大きく影響する大切な時間になります。起訴されてしまったことに嘆くのではなく、どうするべきかを冷静に考えて、最適解を導けるようにしましょう。
CFP(R)認定者/1級FP技能士
NPO法人 全国NIE.E指導委員会 講師指導委員
FPおふぃすプラスめいきっと代表
奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るも、知人の連帯保証人になっていた祖父の自殺をきっかけに家族はバラバラ、高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。
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