金融事故とは?時効はいつ?事故情報は自分で確認できるの?

金融事故とは?時効はいつ?事故情報は自分で確認できるの?

金融事故

審査に通らない原因「金融事故」の時効と確認方法とは

「クレジットカードを新しく作りたいのになぜか作ることができなかった」

「カードローンの審査がおりない。住宅ローンの申し込みを行っても、どこにいっても断られる」

など、ローンやクレジットカードについて悩みを抱えている方の中には、どうして審査に通らないのかが分からずにいる方がいらっしゃるかと思います。

すでに多額の借金を抱えているような状況や、限度額いっぱいまで利用しているといった場合には、新規の作成や審査が難しい場合もあるでしょう。しかしながら、審査に通らない理由はそれだけではありません。実は、過去に金融事故を起こしていると審査が通らないことがあるのです。

しかも金融事故の記録はそう簡単に消えるわけではありません。いったい、その金融事故とは何なのか、また事故情報はいつまで残ることになるのでしょうか。

金融事故とは?

金融事故とは?

まず、金融事故について説明します。金融事故とは、お金の貸し借りにおいて、契約(具体的には金銭消費貸借契約)通りにお金を返済できなかった状態を指します。

金融事故が発生した場合には、個人信用情報に登録されることになり、ローンやクレジットカードなどの申し込み、再度作成などに影響が出るため十分に注意してください。

金融事故は大きく分けると、「長期延滞」「債務整理」「代位弁済」「強制解約」の4つに分類可能です。

長期延滞

長期延滞とは、基本的には2カ月~3カ月以上返済が滞ることです。個人信用情報機関によっては、延滞が月をまたぐと登録されるケースもありますし、短期間の延滞を繰り返した場合に登録されることもあります。また、金融機関によっては1カ月程度の延滞であってもデータとして記録することがあるため、明確な期間の定義はありません。

債務整理

債務整理とは、法にのっとって借金を整理し、返済負担を軽減する手続きのことです。債務整理には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つのケースがあります。

任意整理

任意整理とは、裁判所を通さずに、お金を借りた人(債務者)と貸した人(債権者=貸金業者)の間で借金を減額する交渉を行う手続きです。一般的なケースでは、借りた金額に対して発生する利息や毎月の支払金額を減額してもらうことで、その後の支払い(通常3~5年かけて返済)を行っていくことになります。

特定調停

特定調停とは、裁判所が間に入り、債務者に代わって裁判所に所属する調停委員と貸した人(貸金業者)が金利や返済額の軽減交渉を行う債務整理です。通常は3~5年程度で借金返済が行えるような和解計画を立てることになります。手続きは任意整理と同様になりますが、裁判所の仲裁のもと行うことが任意整理と異なる点です。

個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てを行い、住宅や自動車など一部の財産は維持したまま、借金の額を軽減し、生活の立て直しを図る方法です。一般的には一部の財産以外は処分(売却)することで借金返済に充て、借金を1/5程度に免除してもらいます。原則3年間で返済を行う計画を立てていきます。

自己破産

自己破産とは、多重債務で苦しむ方のために、国が設けた救済制度です。裁判所に申し立てを行い、所有する財産をすべて処分し、借金返済に充てることになります。そして、裁判所から借金の免責を受けることで借金をゼロにすることができます。ただし、誰でも利用することができるわけではなく、支払い不能状態にあることが条件となり、裁判所での手続きも厳格なものです。

代位弁済

代位弁済とは、貸金業者が債務者にではなく保証会社に一括返済を求めることを指します。保証会社とは借金する際の保証人の役割を担う会社です。万が一債務者が借金の返済ができなくなった場合に、保証会社が代わりに支払いを行った場合に代位弁済が実施されることになります。

強制解約

強制解約とは、クレジットカードの利用などにおいて、延滞を頻繁に繰り返している場合や不正利用を行った場合に、クレジットカード会社などの金融業者が一方的に契約を解約させることです。何回延滞を繰り返すと強制解約になるかは、金融業者によって異なります。

金融事故の情報の記録に時効はあるの?

長期延滞の場合

金融事故が発生し、個人信用情報に記録された場合、永遠に残るのかというとそうではありません。事故情報の記録には一定の保存期間があるのです。

長期延滞の場合

長期延滞の記録は、個人信用情報機関によって保存期間が異なります。

例えば、シー・アイ・シーの場合には、延滞中は記録され続けますが、延滞部分を返済し終わった延滞解消日から5年経てば信用情報から延滞の履歴は削除されます。

全国銀行個人信用情報センターの場合にも、延滞中は登録が継続されることになりますが、延滞を解消してからではなく、借金を完済してから5年間登録が残ることが、シー・アイ・シーとは異なる点です。

日本信用情報機構の場合にも、延滞中は登録が継続されることになり、延滞部分を返済し終わった延滞解消日から1年間は記録が残ることになります。

このように長期延滞の記録は、個人信用情報機関によって時効が異なるのです。

任意整理の場合

任意整理の履歴を金融事故として登録する機関は、日本信用情報機構のみです。任意整理が発生してから5年間登録されます。

シー・アイ・シーや全国銀行個人信用情報センターでは、任意整理そのものは登録されませんが、任意整理の前に延滞していた場合には登録されるケースがあります。また、シー・アイ・シーの場合、任意整理後の返済状況は記録対象です。

特定調停の場合

特定調停の場合も任意整理の場合と同様で、特定調停を金融事故として登録するのは、日本信用情報機構のみです。特定調停が発生してから5年間登録されます。

シー・アイ・シーや全国銀行個人信用情報センターでは、特定調停そのものは登録されませんが、特定調停の前に延滞していた場合には登録されるケースがあります。また、シー・アイ・シーの場合、特定調停後の返済状況は記録対象です。

個人再生の場合

個人再生の履歴を個人信用情報に登録する機関は、日本信用情報機構と全国銀行個人信用情報センターです。日本信用情報機構は発生日から5年間、全国銀行個人信用情報センターでは発生日から10年間記録が残ります。

一方、シー・アイ・シーでは個人再生そのものは記録されませんが、個人再生後の返済状況は記録対象です。

自己破産の場合

自己破産の場合には、日本信用情報機構とシー・アイ・シーは申立日から5年、全国銀行個人信用情報センターでは申立日から10年間登録されます。

代位弁済の場合

代位弁済の場合には、いずれの個人信用情報機関においても、発生日から5年登録されます。

強制解約の場合

強制解約の場合には、いずれの個人信用情報機関においても、解約実行日から5年登録されます。

金融事故の情報が登録されることによるリスクは?

マイホームが買えなくなる恐れが

このような金融事故情報が登録された場合、どのようなことがリスクとして生じるのでしょうか。具体的なケースを挙げて説明していきます。

債務整理から10年間はローン審査に通らない恐れが

債務整理の方法によっては、5年~10年間個人信用情報に登録されます。個人信用情報は、各金融機関に共有されているため、債務整理(金融事故)の履歴が残っている間、つまり、最大10年間は返済能力がない人物だとみなされ、ローン審査に通らない可能性があるのです。

債務整理は借金を返済できなくなった方にとって便利な手段ですが、借金の一部を踏み倒すことになるため、代償として一定期間社会的なハンディキャップを背負ってしまうことになります。

マイホームが買えなくなる恐れが

事故情報に登録された場合、あくまでも利用者本人の話とはいえますが、後々トラブルとなることがあります。

例えば、事故情報登録後に結婚し、夫婦でマイホーム購入を金融機関に融資を相談した場合を考えてみましょう。金融機関からローンの審査が通らないといわれ、そこで初めて過去に何かあったのか?とパートナーに気づかれることもあるでしょう。マイホームが買えないどころか、その後の夫婦関係にあつれきを生む可能性もあるのです。

お金が借りられなくなり、生活に困窮する恐れが

事故情報への登録は、お金の貸し借り、クレジットカードの作成等がNGとなる根拠になります。場合によっては携帯電話の契約でもNGとなる場合があります。そのため、金融事故後にお金を借りたくても借りられず、生活に必要な携帯電話も契約できず、生活にますます困窮するといったことも起こりえます。資金計画は万全にと考える利用者は多いものの、いざとなるとなかなかそうはいかないといったことも考えられます。

金融事故の情報は自分で確認できるの?

インターネットでの開示請求

事故情報が登録されることでお金の面や家族間のトラブルが起こりうる話をしました。それでは実際に事故情報の確認をすることはできるのでしょうか。

事故情報は、各信用情報機関に問い合わせを行うことで確認できます。郵送や訪問、インターネットからの申し込みなどさまざまな手段を用いて確認することが可能です。

事故情報の確認方法

例として、シー・アイ・シーにおける事故情報の確認方法を説明します。

シー・アイ・シーでは、インターネット利用(パソコン、スマートフォン)、郵送、窓口(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡)で開示が可能です。なお、電話での開示は不可となっています。

窓口・郵送での開示請求

いずれの場合も手数料がかかりますが、窓口開示の場合には現金500円、インターネット開示ではクレジットカード一括払い1000円、郵送開示ではゆうちょ銀行で発行の定額小為替証書1000円が必要です。

開示可能な時間は、窓口の場合平日のみ10時~12時、13時~16時、インターネット開示の場合には毎日8時~21時45分までとなっており、郵送の場合には、必要書類到着後、10日ほどで開示報報告書が送付されます。

窓口開示と郵送開示の場合には、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が、郵送開示の場合にはさらに開示申込書も必要です。

インターネットでの開示請求

インターネット開示の場合には、パソコンもしくはスマートフォンの他に、クレジットなどの契約に利用した発信番号を通知できる電話番号が必要です。

インターネットで開示請求を行うには、まずシー・アイ・シーのホームページから、「自分の信用情報を確認」をクリックします。そして、クレジット契約で利用した電話番号(固定電話もしくは携帯電話)を用いて電話をシー・アイ・シーにかけてください。

そして、このとき取得した受付番号を、パソコンで1時間以内に入力すると、開示報告書をPDFファイルで取得できます。

なお、利用手数料をクレジットカードで支払うことになるため、シー・アイ・シーが指定するクレジットカードを用意する必要があるため、注意してください。

信用情報の見方

なお、シー・アイ・シーの場合には、確認できる情報件数は、クレジット情報・申込情報・利用記録ともそれぞれ50件が上限です。

入金情報部分に「A」という表記があった場合には、利用者本人の事情で未入金となっていることを、「P」と表記されている場合には、請求額の一部が入金されていることを意味しています。また、返済状況部分に「異動」と記載されている場合には、金融事故があったという意味です。

このように、入金がされているかどうか、また事故があったどうかは信用情報を確認することで分かるようになっています。

金融事故の履歴は個人情報で確認を

今回、金融事故と個人信用情報の関係や事故情報の時効などについてご説明してきました。

クレジットカードやローンの審査がなぜか通らないのかと疑問に思った方は、一度個人信用情報を確認してみましょう。「そういえば昔延滞したことがあった」と、過去の金融事故を確認できる他、今後どのように生活をしていけば良いかを考えるために必要となる資料になるかもしれません。事実確認をすることが重要です。

仮に金融事故情報が登録されている場合には、いつまでその記録が残りそうかを確認し、信用情報が回復できるまでにできること(無駄遣いしない、家を買うためのお金をしっかりためるなど)を行っていきましょう。

金融事故を起こして個人信用情報に傷がついたとしても、悲観的にとらえるのではなく、事故情報には時効があることを理解し、回復するまで待つことが大切です。

伊藤 亮太
伊藤 亮太

CFP(R)認定者
スキラージャパン株式会社取締役、伊藤亮太FP事務所代表

慶応義塾大学大学院商学研究科 経営学・会計学専攻修了。学生時代にCFP®資格、DCアドバイザー資格取得。2007年11月スキラージャパン株式会社設立に参画。取締役に就任。またその後個人事務所として伊藤亮太FP事務所を立ち上げる。独立系FPとして、金融資産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング・相続事業承継、保険見直し、金融機関等における講演など幅広く活動を展開、執筆業務も多岐にわたる。

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